暗部の矢吹   作:(´・ω・`)しょんぼりくん

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遅くなり申し訳ない…書く時間が中々無くて…


蜃気楼

瀬戸組の屯所、隊長に当てられた部屋にて矢吹が事務作業をしていた。いつもの冷静に顔色一つ変えない彼であったが眉間にシワを寄せ机の上に置かれた書類を見つめていた。

 

『〇月〇〇日 19時30分にて田端警察署の警官が〇〇町にて巡回をしていた際沢渡家にて窓に血糊があるのを見て訪問した所返事がなかったため突入、中を捜索した所沢渡 康太(38歳)が死亡している事を確認し現場保管のため封鎖を行った。

 

死因は右肩から左腰にかけての三本線による傷痕による出血多量による死亡と思われる、傷痕はまるで熊にでも襲われたような痕から動物による事件かと思われたがここ近辺でそのような事変は起こっておらず尚且つ近代化による非自然化が進んでいる街中でそのような事は考えられず隠蔽工作の線が考えられる。

 

しかし近辺の調査を行った結果目撃情報、証言および違和感があるような物はなくそれから一週間ほど経過したが何一つとして情報が得られていない。そのため今回の事件についての詳細な情報が一切なく波田組、白瀬一家、本田警察課、田端警察課、瀬戸組の系5課が合同で捜索を行う事にした。』

 

「…雑な報告書だ…金田の奴また教える必要があるな。」

 

そう少し不器用な文章を見て愚痴を溢す、あいつあれほど報告書を書くとき丁寧に作れと言ったのに…だがそんな呆れもこの報告書による内容を見て冷めていく。

 

「5課が揃っても見つけられていないと言うのはおかしい…それに隠蔽工作をしているのに死体を残したのはおかしい。」

 

普通人が殺された場合死体を隠そうとしたりある程度見えないようにするのがよくある話なのだが今回はそのような事はない。かと言って今回のように死体を残した場合大抵なにかの情報が得られてもいいようなものだがこの一週間なに一つ得られていない。瀬戸組と本田警察課の人間が探して何も見つからないと言うのは少しおかしい。

 

人がやった結果には過程が残っている筈だ、にも関わらず過程がない。ありえない。

 

「”過程”は残さず”結果”だけを残せ…当家、恐らく先生だな。」

 

だが謎だ、何故体を三回も切る必要があった?先生ならば目標を一撃で終わらせるのがあの人のやり方だ、にも関わらず先生に似合わない行動だ。これは恐らく…

 

「鬼狩りを誘っているな…」

 

相変わらず耳が早い、この事件が起こる2日前胡蝶姉妹と交戦した。私が接触した事により当家、そして潜りからその事を聞いた先生が私に警告を意味を持って鬼狩りを殺す気なのだろう。私のせいだ…

 

「…かと言って止めたら逆に動くだろうな。」

 

止めた瞬間この件に関して首を突っ込むだろう、鬼狩りと呼ばれる集団にとっては目障りな存在、なら修羅の一家について何か知りたいと言うのは当然だろう。だが相手が最悪だ、岡田さんならともかくよりもよって先生が相手なら一瞬で殺される。

 

「…私が行くしかないな。」

 

立ち上がり止まり木の方を見る、既に鷹はいなく朝方の方に飛ばして置いた。恐らく二人を監視しており異常がないため続行しているのだろう。だがあの子は耳はいいが内容を深く理解はできない、簡単な言葉なら理解できるが流石に漢字などは読めない。(ひらがなはある程度読めるが)一応見て置く必要がある。

 

立ち上がり部屋を出る、そして自分の隊員を探し見つける。

 

「慎太、悪いが仕事ができた。局長に伝えてくれ。」

 

「わかりました、いつものですね。伝えておきます。」

 

そう伝えおわりその場を後にした。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「悪いがしらないねぇ…」

 

「わかりました…ここも空振りか。」

 

そう礼を述べ後にする、しのぶは既に矢吹が気にしていた事件について修羅の一家の仕業と知り行動を開始していた。そのため近辺で事情聴取をしていた、だが成果は得られずただ何も知らない人に突き当たっていくだけ、空振りだ。

 

「姉さんは仕事で出かけている、私だけでも情報を集めて置かないと…」

 

カナヲは鬼狩りの仕事に出かけておりしばらく帰ってこない、そのため今はしのぶ一人で捜査を行っていた。今回で既に四日経ちその事件の事については何もわかっていない。一応隠を使っているが判明していない。普通の殺人事件なら調べれば出てくるはずなのだが出ていない。

 

「死体を見た感じ絶対鬼ではない、人の仕業だ。」

 

かなり雑な切り方だが明らかに人が切った痕だ、なのにしのぶが調べているのはこの事件が修羅の一家が関係しているからだ。ならその事を知ればあの組織に近づけるかもしれない、しのぶの行動理念としてもあの組織は障害となる、いつカナヲが殺されるかもわからないからだ。

 

「姉さんが殺されないように、速めに掴まないと…」

 

だからこそしのぶは続けることにした、たった一人の肉親を助けるために…そうしてある情報を掴んだ。

 

「ホントですか?」

 

「ああ、一週間前だろ?それならなんか変な人見かけたよ。雨笠被って和服着た人なら。」

 

「その人は何処で?」

 

「う~ん確か橋ですれ違ったような。」

 

「っ!ありがとうございました。」

 

目撃情報が出た、雨笠をさした和服の男性、その腰には長い棒のような物を布で覆っていたらしい。恐らく彼らの武器、刀だろう。そしてその橋に行きその人物について聞き込みを行った結果同じような人物をみたらしい、顔は笠のせいで見えなかったようだが最初の証言と一致する部分が多いため恐らく同一人物だろう。

 

「ようやっと掴みましたよ。」

 

そしてそれを追っていくうちにある場所に辿り着いた、街外れの廃れた神社を見つけた。既に放棄されており屋根には穴が空き庭は荒れ、神社の中もボロボロになりとても人が住める場所ではなかった。だが農家から米を輸入をする人がその神社の通り道にその和服の人物が良くのを見ていたらしい。あくまでその道を通ったと言うだけでこの神社に来たという証言はない。だがこの道は人が通ることはない獣道、人工的に作られた道には草木が生えているため人が通ること事態おかしい。

 

「確定ではありませんが…この神社が関係しているのは間違いありませんね。」

 

既に獣道となっているとは言え神社の存在を知っているのならこの道を通ることはおかしな話ではない。そのため和服の人物がこの神社を使っているのは確実だろう。ここを調べれば何かわかるかもしれない。

 

神社の中は文字通りの廃墟だ、そのためぱっと見て違和感のない場所は無視した。そしてある場所を見つけた、他の所と同じでボロボロだがよく見ると放置された茶碗がある。それにここは他と違ってほこりがない、誰かが住んでいたんだ。

 

「仕掛けてくるならここかと思ったんですが…」

 

特に殺意もなく人の気配がない、感ずかれて逃げられたかあるいは留守なだけかどちらにしてもここにいた事は間違いない。ならここからたどれば…

 

「っ!」

 

上から物音、それと同時に何かが降ってくる。それが降る前に腰の刀を抜きそのまま突きを放つ。その物体はその突きを避け着地する。自分の後ろに着地したその人物を見る、額から皮膚に覆われた突起物が見える、鬼だ。

 

「おいクソ野郎!!あの和服野郎を出せ!!!」

 

そう怒声の声を浴びせられた、しのぶはその言葉に疑問を持ち問いを投げる。

 

「それはどういう意味で?」

 

「惚けんな!!あの野郎昨日俺の体細切れにしやがって!!ここに来たって事はあいつの仲間なんだろ!!」

 

「…雨笠を被った和服の人間があなたを襲ったんですか?」

 

「そうだ!あの野郎俺が食事している時切り殺そうとしやがって!!」

 

聞けば鬼はここ近辺で人を襲っていた際急に刀を持った男性に襲われたらしい、四肢を切断され動けなくなったところを見下ろしていた。

 

『鬼とは言えつまらんな、せっかく遠くから来たのに…無駄足だったな。』

 

そう言い残し立ち去った、四肢を治した後は何処を探してもいなかったらしい。だが臭いは覚えていいたようでその跡をたどっていたらここに辿り着いたようだ。

 

「ここが住処だと思って待ってたのに鬼狩りが来やがって…てめぇで憂さ晴らししてやる!」

 

そう爪を出ししのぶを威嚇する、どうやらここで間違いはないが既にここにはいないようだ。もう少し早ければ来れば見つけられたかもしれないが今は目の前の鬼をどうするかを考えるべきだ。鞘から刀を抜き構える、そのまま睨み合うかと思ったが鬼の方が直ぐに仕掛けた。

 

ただの突進だが普通の人が受けたらただじゃすまないだろう、だがこちらは鬼狩りだ。そんなもの冷静に見れば避けられる。鬼が横を通り過ぎようとしている、その通り過ぎようとしている鬼の首を目掛けて振り下ろす。首に刀にめり込み切り落とそうと切れ目が広がっていく。このまま切り落とせばしのぶは楽に勝利できるだろう。だがその顔はまるで辛そうだ。

 

(重い!)

 

手に力を入れそのまま振り落としていくが徐々に重くなっていく、しのぶは力が弱い。そのため首一つ切り落とすのも一苦労なのだ。そのためか落とすのに時間が掛かった。

 

「クソがぁ!!」

 

切り落とされる前にしのぶを蹴り飛ばし落とされかけた首を抑える、だがしのぶの方は直ぐに追撃をかける。鬼の方は切られかけた首を抑えながら反撃するがそのせいで首の守りが薄くなった。その隙を狙って逆側の首の方目掛けて斬る。

 

「ぐぼっ!?」

 

喉が潰され何も喋られなくなる、そのまま勢いをつけた刀に力を込め続け首を切り落とした。

 

「く、くそがぁ…」

 

「大人しく死になさい。」

 

首を落とされた鬼は恨みの声を残しそのまま炭となり消えて行った。しのぶは大きく息を吐き周辺を見渡す。

 

「この場で仕掛けないと言う事は…本当にいないんですね。」

 

てっきりこの場に鬼を誘いその戦闘中に仕掛けるかと思っていたが…どうやら違うようだ。その和服の人物が本当に鬼を切りに行っただけだと言うのならここから立ち去ったと考えるのが普通だろう。だがそう遠くには行っていない筈だ。鬼が活動を再開してそんなに時間は経っていない。調べるだけ調べよう…例え見つからなくとも続けたい。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

夕日が沈み月の光が夜に明かりと灯す夜の世界、人の盛りは沈み自身の住処でゆっくりと過ごす時間、仕事終わりなどであればもうすぐで休む人もいるだろう。胡蝶家もそうだった、結局の所例の人物に関して見つける事はできなかった。睡眠時間を削り夜通しで探し続けたためかしのぶの方は疲れていた、彼女の姉が料理を作りその事について話をしていた。しのぶの方はその事について悩んでいた、唯一の手掛かりだと言うのにぞれを生かせなかったのが嫌なのだろう。彼女の性格から考えればわかる話だ。

 

とは言えカナヲは攻めなかった、当たり前だ。ここ鬼殺隊が今まで捜索を行ってきたが空振り続きだった。しかも恐らくほぼ全員が柱を殺せるほどの実力者だ。恐らくだが追跡については最初から気づいてたのだろう、しのぶが殺されなかったのは謎だが彼女の無事に安堵していた。

 

そんな空間の中近寄る人が一人、しのぶたちが今話をしている場所の外に出るための戸、縁側の近くにいた。頭に傘を被り腰には大小それぞれの刀を一つ差している。ただその場に立ち止まり彼女たちの隙を伺っていた。そしてその隙が訪れた、彼がここに来たのは彼女たちが彼の行動に疑問を持つ前に殺すことだ。何故彼は現れたのか、何故殺したのか、そして何故自分の足取りを残したのか…その疑問に行き着く前に殺すの必要があった。恐らく後数分もすればそのことに辿り着き元の警戒心が高い二人に戻るだろう。だからこそ男は腰の刀に手をかけた。

 

「……」

 

その瞬間後ろから殺気を感じた。ふと後ろに振り返る、その場には誰もいない。塀を越えた先に気配がある。感じ慣れた…懐かしい気配だ。奇襲をやめ庭を出る。誰もいない歩道をゆっくりと歩いて行く、曲がり角を見るとそこに矢吹が立っていた。

 

「最後まで殺していたつもりですが…やはりバレましたか…」

 

「…腕を上げたな。以前よりも磨いている。」

 

そう男はいつの間にか矢吹の後ろにいた、さっきまで目の前にいたのに…。頬に汗が伝る、相変わらずでたらめな人だ、足の音も殺気さえ聞き取れもせずいつ移動したかもわからなかった。

 

「恐縮です。」

 

「わざと殺気を出したな。」

 

「…」

 

「ここに誘導すればあの二人に見られる事もない、何故助けた?」

 

やはりバレたか…とは言え狙い通りだ。

 

「…彼女たちについては見逃してはもらえませんか?」

 

そう後ろを振り返り提案を出す、月明かりに照らされ男の顔が見えた。いつも通りの鋭い眼光、前髪に隠されてもその鋭さは変わらない。思わずそれに萎縮しそうになるも踏み止まり交渉を続ける。

 

「…当家の邪魔になるのなら消す。特に嗅ぎまわる奴はな。」

 

「その事でしたら私が止めておきます。彼女たちももう既に探しても無駄と知ったでしょう。それに下手に手を出したら殺されたと言う事実ができます。そうなったら鬼狩りは本格的にあなたたちを探し始めます。」

 

「来たのなら殺せばいい。先代も同じように殺していた。それに今まで見つかった試しがない。」

 

「彼らは超人の類です、あまりなめてはいけない。」

 

「弱くは見ていない、だが奴らは絶望的に…人殺しに向かな過ぎる。」

 

胡蝶家の二人を見ればよくわかる、鬼に対しての執念は中々のものだが人殺しの技術がない。とは言え特殊な経緯で入った人もおり油断はできないがそれでも積極的に我々を探している訳ではない。そもそも仕事先が普通では無さすぎるのでその前に隠が死ぬのだ。

 

「我々が住む場所は社会の闇だ、人に知れることはなくただ知られず終わる…お前もその一人だ。」

 

「私は違います。」

 

「そうか?あの頃よりもよく技を磨いている、五感、歩術、流派、私が教えていた技をそのままにしていない。人殺しの技をだ。」

 

「私の刀は…活人剣です。」

 

「自惚れるな。」

 

怒声が飛んでくる、殺気に当てられ心が怯える。声だけではなく顔の表情からもわかりやすいように怒りに満ちていた。

 

「お前に授けたのは殺人剣だ。それを活人剣にしようなど…」

 

「でも局長は、瀬戸さんは俺にならできると…」

 

「黙れ。」

 

「っ!」

 

「犬の真似事をしていても貴様は牙を研ぐことを忘れなかった。使命や習慣なのではなくだ…その気になれば二人も殺せただろうに…」

 

「いいか、常忘れるな。お前が残っていれば、私の後継者だった。」

 

まるで子供を叱るように言葉を続けた、その言葉を受け止められず思わずまた目を反らしてしまった。その一瞬にしてその男は消えた。

 

『もしまだ戯言を続けるのならその時は…お前の首を貰いに行く。肝に銘じておけ。』

 

その言葉を残して完全に消えてしまった。矢吹は歯を噛み締めながら下を向いていた。

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