夢見鳥の憂鬱   作:キョクアジサシ

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矢印が導いた先で

 コーラを飲み、コーヒーを飲み、紅茶を飲み、アップルジュースを飲み。

 ポテチを食べて、チキンを食べて、から揚げを食べて、ドーナツを食べ。

 これは終電がヤバいという時間まで、大騒ぎした夜。

 

「少し、食べ過ぎたかも……」

 

 帰宅した後、お風呂に入り、パジャマに着替えた私は、姿見に映る自分の姿を見て、少し苦笑した。

 多分、他の三人も同じ事を感じているのだろうな、と思う。

 私もちょっと羽目を外してしまった感はあるが、まあ、たまにはいいだろう。

 

「さて、じゃあ……」

 

 私は意識して声を出し、勉強机の上の花束へ視線を送る。

 本当はすぐに、その意味を調べたかったのだが、何となく自分を焦らすように、お風呂に入ったり、時間をかけて髪を乾かしたりしてしまっていた。

 だが、もう、そろそろだろう。

 

「名前は……アングレカムだっけ……」

 

 高鳴る胸の鼓動を感じつつ、私はスマホを立ち上げて、検索エンジンを開く。

 

『アングレカム 花言葉』

 

 そう打ち込み、意を決して、検索を始めた。

 トップに出て来た結果を見て、私は机に突っ伏す。

 

「あ、あの三人は……っ」

 

 一段と強くなった鼓動を抑えることができないまま、じわじわと体温が高くなり、呼吸が大きくなるのを自覚する。

 帰宅して少しは落ち着いていた感情が再び騒ぎ出し、私は頬に熱が滲むのを感じ取った。

 机の上の花束と、スマホの検索結果の画像が並んで見える。

 ブルーライトが光る画面には、こんな文字が並んでいた。

 

花の名前 : アングレカム

形態   : 多年草

開花期  : 主に冬から春

 

 そして。

 

花言葉  : いつまでも、あなたと一緒

 

「……っ!」

 

 歯を食いしばって、感情の波に翻弄されないように私は努める。

 本当に、この一件の私は勘違いばかりだった。

 283プロでアイドルデビューした透と小糸と雛菜が、新しい出会いを、機会を得たのは事実。

 そして、これからそれぞれの道を歩み、今までと同じようにはいられなくなるのも、遠くない未来の話だろう。

 一緒に過ごす時間が少なくなり、距離が生まれ、生活のために仕事をする。

 それが生きるということだと私は考えていた。

 だが、それは間違いだった。

 私は、私が感じていた以上に一人ではなかった。

 難しいことなんて、何もない。

 いつか来る未来などという、あやふやなものにすがる必要もない。

 私はただ、今もたらされた花の恵みを信じて歩けばいい。

 改めて、三人の幼馴染達からもらった、花束を腕に抱く。

 その花は白く、美しい。

 

「アングレカム、か……」

 

 最後に私は噛み締めるような口調で、その花の名を呼び、微笑んだ。

 

 

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