鬼才を誇る劣等生――イレギュラーは舞台を返す――   作:silika

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第十三話 逆襲撃

小野先生渾身のボケで、完璧に本題が流れ掛けたが、達也の手で修復される。

「目と鼻の先じゃねえか」

「舐めた事してくれるわね」

憤慨しきりのレオとエリカ。むべるかな、徒歩一時間足らずの距離に置かれてたらまあ、そうもなろうよ。町外れの丘に立てられたバイオ燃料工場の骸、データには、過去にも武装暴力集団の隠れ蓑だったらしい。

 

「当局が気付かない内に舞い戻ってたのかしら?」

「同源だと?」

真由美先輩、マリ先輩共に、問答の形式を取りつつも、日本国と敵対する勢力による暗躍の枝葉だという確信を持って会話している。その感覚はイマイチ分からないのだけども。とはいえやり方が、正当なテロルの系譜ではなく、20世紀初頭の自滅的テロリズムの系譜でもない、手段そのものが目的化した目的の無いテロの系統、すなわち反抗の為の反抗っぽいとこが有るのは否定出来ないのだけど。

 

「車で襲撃掛けようか? どうせ探知されてるのは変わんないだろうし」

「正面突破ですか?」

「それが一番意表を突けるだろう、なにせアンティナイトを持ち出してくる相手だからな」

私と深雪と達也が好戦的に作戦を決めてく中、十文字先輩が賛同してくれる。ついでに車も出してくれるらしい。

十師族の義務がどうのこうのとか言ってたけど、大変だねえ、貴族って奴は。

 

#26

「ふいー」

すっかりお疲れなレオ。時速100kmオーバーで衝突する車を、その瞬間に硬化魔法で守る、という阿呆みたいに集中力の要求される芸当をしたわけだから仕方無いね。

「司波、お前が立てた作戦だ、お前が指揮を取れ」

「レオはここで退路の確保、エリカと玲はその補助と逃げる奴を狩れ。俺と深雪は正面から、会頭と桐原先輩は裏口からお願いします」

「あいよ、殺しても?」

「生け捕りは狙わなくて良いだろう、安全重視だ」

 

うんうん、すっかり指揮官の風格がある。やっぱし軍人か……? だとすると勧誘は困難かもしんないなぁ……。

「深雪、気を付けてね?」

「達也も気をつけろよ」

悠然と裏口に向かう先輩コンビ、ちょっとそこの公園に、って雰囲気で正面から入ってく司波兄妹。どっちも頼りがいのあることこの上ない。

ってか正直暇である。一応、銃器構えて見張ってはいるけど。

 

「……って、ああ! よく考えたら、その銃、どうしたのよ」

「裏口の連中シバいてる時に確保した。そのあとずーっと背中に背負ってたんだけど……?」

「マジか……似合い過ぎてて気付かなかった」

「機関銃が似合うってどうなのよ……っていうか反動大丈夫?」

「かなり鍛えてるからまあ、ちゃんと構えれば? あとは魔法でどうにか」

雑談をする。っていうか、背中に銃を背負ってるのが自然に見えるってどういう事さ……。私練習しただけでそんなに銃器の扱いが上手い訳じゃないんだけど。

「軍人かなんかだったりする?」

「違うよ? 私軍隊とかそういうの嫌いだし」

 

「軍人じゃないのに銃器に慣れてる、ってどういうことさ? 千葉家は警察に強い影響力を持ってるってこと、知ってて言ってる?」

「知ってるけど……。日本では銃器持ってないよ」

湿度の高い目で見られる。レオからも同じような目線を向けられる、なんか変な事言ったかなぁ……。銃器は魔法があったってとても重要なんだけど。大国連中を撃退してるだけでかなりの修練になるし。

 

あの後も、特に何か起きた訳でもなく、普通に戻ってきて、普通に帰った。後始末は、十文字先輩がやってくれるらしい、素敵。恋人が居なかったら惚れてたかも、その枠は既に、私の存在意義として埋まってるけどね。

一番笑ったのは、ブランシェのメンバーの殆どが氷漬けになってたことだけど。擬似的なコールドスリープだったらしいし、深雪がやらかしたのかな?

 

ちなみに、帰って銃器をずっと担いでたことを自供したところ、十文字先輩以外の全員がそのことに気付いてないか、気付いても忘れていた模様……。

「セーラー服と機関銃、って小説あったなー」

っていうか達也よ、それで良いのか。

そして、そんな物騒な物を担いでたことについて、がっつり御叱りを受けた。

「だって丁度良く武器があったんですもの、使うのは普通ですよね?」

「普通の奴は機関銃なんて使えないぞ」

 

この辺で、入学式から続く騒動に一段落が着いた。なんか達也と深雪の雰囲気が一段と甘くなったり、桐原先輩と壬生先輩が甘い関係になったりしているけど、そういうことも有るでしょう。

「あ、カップルで思い出したのだけど、玲、恋人が居るのね?」

発端は深雪の一言。エリカが、あの場に居なかった美月、雫、ほのかにも、カフェで桐原先輩と壬生先輩がお付き合いを始めた事を報告したことで、思い出したらしい。

 

「あれ、そうなの?」

「ちょっと驚き」

「えっと、どうして知ったんですか?」

「ああ、あれか。襲撃事件があったろ、あの時に壬生先輩が、恐らく俺を念頭に置いてだろうが、『誰からも侮辱されてきたはずよ』って言った直後にな、何を思ったかいきなりカミングアウトしたんだ」

えぇ……、という目で見られる、いや酷くない? っていうか達也は面白がってるし。

 

「いやだって……侮辱軽蔑侮蔑してきた相手と付き合う人いないじゃん? だから、凄い有効に否定できるかなって」

「分かるけどそれは無い。もうちょっと言い方あると思うんだ、私」

「で、この猫みたいな行動をよくしている玲を射止めたのはどなた?」

「ん、すっごく綺麗で優しい人」

 

レオが脇で小さくなっている。達也もこっそり気配を消してる。まあ、仕方があるまい、ガールズトークの類は基本的には男子にとって肩身が狭いものらしいし。写真をせびられたので、端末を操作して、二人で記念撮影した時の奴を出す。

金髪に、血のような赤い瞳でスタイルの良い美女が私をお姫様抱っこしている写真。凱旋門で取った時の奴。師匠がかなりノリノリに取ってくれた。

「あ、玲ってそっち系?」

「そっちってどっち?」

「同性愛」

「愛の前に性別も年齢も種族も関係無いと私は思ってるんだけど……。私の恋人が女性なのもまあたまたま」

 

私にリーの事を話させると何もなくとも甘くなると聞いてる。というか、話す過程で主にエリカの顔が窶れてくる。深雪はいつもの皮を被ってるし、美月は顔を赤くしながら興味津々。弄れそうなのは寧ろレオか。なんというか初心……いや、私が耳年増なだけかな。

「えー、じゃあどこまで進んでるの?」

「まだ16なんだけど?」

いやまさかそんなねえ、16才やそこらで性行為なんてしてるわけないじゃないですかやだー。

 

……脳裏に過るあれやこれや。カップル成立13才、始めての性行為15才のカップルとか、死体姦とか、眼孔姦とか、ハレムとか、そんなもの私は知らない、知らないのだ。

 




これにて、第一章、入学編は終了となります。まだ原作との乖離は大きくありません。
次回からは、第二章、九高戦編となります。予定では玲はエンジニアとしての参加になる予定です。あと司波兄不敗伝説は発生しません。
気付いていると人も多いと思いますが、玲を風紀委員に入れるために、風紀委員の枠が若干増えています。九高戦でも同じように、枠が増えていますが、そういう世界線なのだと思って頂ければ幸いです。

終了記念に、活動報告の方にて、デュエマにおいて箭泉玲の使いそうなデッキを掲載しました。気になる人は少々覗いて頂けると幸いです。知らん、どうでも良い、という人は無視して先へお進みください。
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