鬼才を誇る劣等生――イレギュラーは舞台を返す――   作:silika

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第二話 クラス分け

#3

総代の答辞が終わる。流石7教科平均96の妹らしく、差し障りは無いが言いたい事は詰め込んだ、聞いてて愉快になるものだった。ブラコンの面目躍如と言いたくなるくらい、お兄様こそ評価しろという意思の強いものだった。

兄司波はさっさと新入生総代、司波深雪を労いたいところだろうけど、ID交付があるせいでそうも行かない。

 

「司波君、何組? 私はE組だったけど」

「E組だ」

「お、同じクラスだ」

「私もです」

上から私、司波、千葉、柴田である。ようするに、学年ペーパー2TOPと、剣術だけなら恐らくかなりの強者と、かなりの霊子放射光過敏症が同じクラスな訳である。……大丈夫か、これ?

 

1クラス25人、8クラス。そこは平等だけど、二科生はE-H組、一科生はA-D組で、使用する階段すらも分けられているが、まあ。他の人も、そこを気にしてはいなさそう。ただ単にクラス分けで浮かれてるだけかも、分からないけど。

「ホームルームを覗いてみる?」

千葉は問う。私としてはどっちでも良いので達也に投げる。

 

「悪い、妹と待ち合わせているんだ」

やっぱコイツもシスコンか、成程。柴田が司波に司波深雪の--面倒だから達也と深雪で良いや--兄か尋ねている。そりゃそうだろ、という感じではあるが。

それよりも、本人が似ていると認識してないほうが気になる。

「なんていうかさ、司波君のガワを女性化させて、より美人にすると妹の方になりそうなんだよ」

まあ、雰囲気もよく似ているけどね……。

 

そしてなんでかは知らないけど、柴田は霊子放射光過敏症を隠したいらしい。

 

#4

「お兄様、おまたせしました」

噂の妹殿、司波深雪の登場である。想定外の人物を伴って。

「また会いましたね、司波君、箭泉さん」

とはいえ、深雪の方はそっちよりも兄の方が気になるよう。

 

「お兄様、そちらの方たちは……?」

ふむ……恋敵チェックか。兄が人を伴っていることの方を優先するとは……ガワ程優等生じゃないな、深雪は。

「こちらが、お前の言っていた全教科満点を取った箭泉玲さん、こちらが柴田美月さん、そしてこちらが千葉エリカさん。同じクラスなんだ」

 

「早速、クラスメートとデートですか?」

「こらこら、そう言う言い方は三人に対して失礼だよ」

達也は嗜める。この兄妹、やっぱなんかオカシイけど、面白そうだから問題は無い。

「はじめまして、箭泉さん、柴田さん、千葉さん。司波深雪です。兄同様、わたしも新入生なので、どうぞよろしくお願いしますね」

「こちらこそ」

というわけで、名前呼び捨ての許可を貰う。区別とかかなり面倒だしね。エリカは見た目通りに開放的、深雪も結構気さくだし、仲良くやっていけそうなのは良いことだ。

 

深雪としても、恐らく、私とエリカの大雑把な物言いが、ストレスフルな世辞愛想群を襲ったあとの心にはとっても有り難かったらしく、一発で打ち解けられた。

「深雪、生徒会の方々の用は済んだのか? まだだったら適当に時間を潰してるぞ」

「大丈夫ですよ、今日はご挨拶させていただいただけなので」

達也の問いに対する答えは、深雪じゃなくて、七草から齎された。

 

「では深雪さん、詳しいお話は、また」

七草は一礼したら出て行こうとしたが、それを後ろの男子が引き止める。

「しかし会長、それでは予定が……」

「予めお約束していたものでもありませんから。別に予定があるなら、そちらを優先すべきでしょう?」

食い下がる気配のあるその男子を見て、こっちを意味深そうに笑顔でみてから、その男子を半ば強制的に掴まえながら、退散した。

なお、達也はその男子に睨まれてた、笑える。

 

微妙な雰囲気になったところで、達也が半ば強引に切りだす。

「……さて、帰ろうか」

達也の、深雪の入学祝いにエリカが店の情報を提供し、結果的に5人でぞろぞろとサ店に向かって、少々お話しをした。ほんとに、ブラコンシスコン兄妹の評価を覆すのは無理だわ。

 

#5

家に帰り着く。今日は同居人が二人共、運が悪いせいで帰ってこない。でも、お祝いは昨日も今朝もいっぱいしてくれたから私は大丈夫。

家の、私のPCにはメールが一通入っていた。送り主は、私の実の両親。一応の義理で中身を見るが、相変らず碌でも無いことばかり書いてあったため、即効で削除する。

 

家柄なんざ知ったことじゃないし、私の家族は、この家の同居人であって、生みの親ではない。私の家族から習った、身を守る術の鍛錬とCADの調整だけは怠らず、それを済ませるとさっさと寝る。

 

#6

登校した1-Eの教室は相変らず雑然としていた。登校一発目から1-Aの深雪に会いに行くのも面白いが、その前に、エリカともう一人の男子が面白い。

「おはよう、エリカ、美月、達也。で、そっちのゲルマン人はどなた?」

「……おいエリカだっけか? さっきお前が言ってた失礼な奴じゃないか、コイツ?」

「ちょっと悪かったわ、レオ」

なんか妙な共感をしている。まあ、理由は分かる。

 

「流石に冗談。さっきの一騒ぎは一部始終見てたから敢えてかぶせたの。私は箭泉玲、玲で良いよ、よろしくね、レオ」

「玲、お前実はかなりのお調子者か……?」

「そりゃねえ……面白そうな奴が居たらまず弄るでしょ?」

なんかレオに引かれた。解せぬ。

 

レオと達也がどこに行くか決めて、美月とエリカが乗った所に混ぜてもらう。

「私も一緒に行っても良い? 一応魔工師希望なんだよね」

「え、玲もそこのと同じで肉体労働派かと」

「そこのじゃねえよ名前で呼べや、エリカ」

私をネタにまた言い合いを始める二人。中々に息ぴったりというか、相性が良い様で。

 

「んー、まあ否定はしないけどね、喧嘩は得意だよ」

「やっぱり」

「止めといた方が良いと思うぞ」

と達也。だがそこで止まれないから野生動物呼ばわりされるのである。

「そーかぁ? 見るからに脳筋だろ」

「あはは、実はこれでも入試7教科満点の学力学年1位でーす。見直した?」

 

「世も末だな。こんなのが一位とは」

「あんたと同じ意見なのが気にくわないけど、本当にね」

悪し様に言われ過ぎでは? 私そんな肉体労働派に見えるのか、か弱い乙女に向かって酷いことを言う連中である。

「だ、大丈夫です……よ? 充分可愛いですから」

美月の謎のフォローが一番キツいかも。

 




無駄に高スペックな主人公が二科生な理由はおいおい。まあ、達也と同じで、評価と噛み合ってないだけです
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