さて、今回のはいつまで続くかな??
(何作も捨ててきた作者の言葉)
目覚め
パチリ
目が覚める。なんてことは無い幼稚園のお昼寝の時間だ。今の今までぐっすり眠っていた。頭の中を巡るのは先程まで見ていた夢である。
辺りに響くブレーキ音とクラクション。体を襲った衝撃と浮遊感。そしてまた感じる衝撃。
漠然と理解する、これは自分に起きたことなのだと。
そして察する、私は死んだんだと。
体を動かすことのできない中、視界の端に尻もちを着いた男の子を見た。何が起きたのか分かっていないらしく、動くことなくキョトンとしている。すぐに母親らしき人が駆け寄り、大切そうに、生きていることを確かめるように、力強く抱きしめた。
その様子を見て、数秒前の記憶が一瞬で蘇ってきた。動画を超早送りで見ているような、妙な感覚だ。そこに映っていたのはボールを追いかけて赤信号に飛び出す男の子の背、そしてすぐ側まで来ているトラックだった。友達と話していた私はそれを見て、咄嗟にスクールバッグを投げ捨てて男の子に手を伸ばした。男の子の腕を掴んで、思いっきり後ろへ引っ張る。そのせいだろう、代わりに私の体が道路へ出てしまった。
思い出した。そうだ、私はあの子を庇ってトラックに轢かれたのだ。
夢を見ているような感覚で──というか夢で思い出した。
自分の死に際を冷静に分析していると、頭の中で声がした。
(痛いなぁもう、なんで庇っちゃったかなぁ)
《確認しました。
最初に聞こえたのは自分の声、後のは無機質な女性のような声である。いっそPCの自動音声と言った方が分かりやすいかもしれない。
自分の声の方は、死ぬ間際の私の心の声だろう。恥ずかしいことを思ってなければいいのだが。
(まだ処女なんだけど)
とんでもねぇ裏切りだ。
死ぬ間際に何考えてんだ。もっと他にあるだろうよ、両親のこととか友達のこととか。人間関係捨ておいてお前、処女捨ててないってお前。はあああ?
虚しくも心の声はやまないのである。
(男は童貞30歳で魔法使いかぁ、女も30歳まで貫けばなれるのかな、魔法使い)
《確認しました。歳を重ねることによる魔法使いへの進化・・・情報不足により実行不能。代替措置として、エクストラスキル【
何か聞き入れてくれて代替措置まで取ってくれてんだけど。私の解釈があっていれば魔法的なものが使えるようになっているようだ。え、死ぬ間際に魔法使いになってたの?嘘やん無駄やん。
(そうすればこの怪我とかも魔法でパパッと治せたでしょ)
《確認しました。エクストラスキル【
(あ、でもいっその事40歳までいけば賢者になれるのかも。50歳になれば大賢者とかか)
《確認しました。エクストラスキル【
(つーかアチコチ熱っ。何コレ)
《確認しました。
(んで、手先と足はクソ寒い。あぁ、血が抜けてんのか)
《確認しました。
どんどん獲得してるし、条件達成して進化もしてるんだけど。何、何なの。
体が動かない代わりに頭を必死に回す。だが、全く答えは出てこない。いっその事神様の声だとか、そんなオカルト的なオチであって欲しいとさえ思っている。頭が狂ったとは思いたくない。そんな時である。
「きゃああああっっ。足がっ、手がぁぁ!!」
周りの野次馬がムス○のごとく叫んでいる。多分、私の手足がとんでもない方向に曲がっているとかそんなとこだろう。
(うるさっ。そんなに悲鳴あげるくらいヤバいの?トラックにぶつかったんだから、まあ、予想できるけど)
《確認しました。
「おい、バンパー刺さってないか!?」
「うそっ、どこどこ!?」
(は?バンパー刺さってる?)
見世物じゃねぇぞおい。つーかバンパー刺さったのか。道理で血がドバドバなはずだよ。聞けば、腹に刺さっているらしい。内臓もやられたなコレ。
《確認しました。
(つーか、マジでうるさいな。せめて静かにしてくれよ、こちとらもう目が霞んで耳しか聞こえんのだわ)
《確認しました。エクストラスキル【
長い長い長い。誰かは知らないけどお疲れ様。色々ありがとう。さて、もうそろそろいいだろうよ。
死ぬ間際に色々獲得したところで、使い方も分かりゃしないのだから意味がない。まさに宝の持ち腐れ。そんなこんなに考えているうちに、目は完全に見えなくなり、耳もいつの間にか聞こえなくなっていた。なのに、心の声はまだ頭に響く。
(カッコ悪いなぁ。どうせ助けるなら微笑みながら『大丈夫?』ってヒーローっぽく助けたかった)
《・・・・・・確認しました。魂の移動先を変更・・・召喚者の意思により実行不能。予定通り──》
《告、ユニークスキル【大賢者】より“世界の言葉”へ請願。ユニークスキル【探求者】により、適性世界を発見。付属して、適切な移動回路、適切な個体の獲得も可能。よって魂の移動先を変更可能。召喚を
《了。魂の移動において、召喚者側の召喚術の欠陥を確認。“世界の言葉”による補正を中止。ユニークスキル【
最後の最後に何か大きなことをしたらしい。同じような無機質な声が会話をしていた。何かを申請して、受理されてた。今までのことから察するに、私の願望を何か叶えてくれたのだろう。最後の心の声は、『ヒーローっぽく助けたい』だったのだが、いったい何をしたんだろう。魂の移動とかオカルトチックな言葉はできる限り無視したい。
そう思ったのがフラグだったのかもしれない。また、あの無機質な声が脳裏で響いた。今度はより鮮明に、“死ぬ間際の私”ではなく“夢を見ている私”の頭に。
《告、適性個体への魂及び能力の定着を確認。“個性”を開花させます》
前世の記憶思い出しました。