( 厂˙ω˙ )厂うぇーい
「うわぁぁぁああ!!」
叫び声。
方向と響き方から、二時の方角。
最短距離は、二個先の角曲がって二つビル飛ぶ直線60m。
角を曲がった瞬間、目の前はビルだった。脳内マップ通りだ。
直ぐに五元素操作を発動して、風を下から上に吹き上げる。と、同時に重力操作で体を持ち上げた。兄貴の個性だから、少し使い慣れてる。
ビルの上まで上がったら、風の方向を上から前に変更する。
“重力操作”は、あくまでも重力の操作。後ろを重くして前を軽くするとかを器用に操作できれば前後もできるけど、そこまで
二つビルを越えると、大きな道路が見えてきた。バラバラにされたロボットが散乱しており、残ったロボットに苦戦している奴が多い。
1Pや2Pのロボットは壊れていて機能停止している。が、3Pは元気に受験生を襲っていた。誰かが、効率重視で攻略簡単な1Pと2Pを狩ったんだろう。
全くもって迷惑だ。
とりあえず、動けなさそうな奴らを回収しないと。
重力操作と風の操作を切り、地面に着地する。これ痛覚無効無かったら絶対痛いヤツ。サンキュー耐性。着地したのは暗い路地の方。堂々と道路に着地したら直ぐに標的にロックオンされるからね。邪魔。
次に五元素操作の水を使う。この場に行動不能の奴は二人。人を抱えれるくらいの水を“放出”して、二つに分けてそれぞれ飛ばした。一人は個性のキャパを超えて、もう一人は足を怪我して動けないらしい。ので、後者は水で足を固定して運ばなければならない。
「・・・っし。んで?あとは・・・」
残っている奴らはどうするかな。余裕なさそうな奴、結構いるんだけど。肩で息して逃げながら、どうにかこうにか攻撃しようと頑張っている奴とかいるんですけど。
「えぇ・・・と」
助けたい。手伝いたいのだが、それで私が行動不能にしたんだと判断されたら、それはそれで心が痛い。かと言って、このまま放っておく訳にもいかんし。
これ、どこまでなら手を出してもセーフなんだろう?
《解。仮想敵の下半身部分のみを固定するだけなら、行動不能と判断されない可能性が高いです》
あぁ、なるほど。理解理解。
このロボットたちの主な攻撃は、移動する部分とは別の部分。だから、移動する足を固定しても、攻撃をしてくるにはしてくる。それは行動不能にしたとは判断されにくい。
さすが大賢者。
というわけで、さっそく“足”止めしてこうか。
ちょうど水に乗せた二人がこちらに着いたので、水の操作を切る。もちろん丁寧に置いてから。そんなに私鬼畜じゃない。
二人のうち一人は気絶して、もう一人は混乱してる。私を驚いたように見ていた。そりゃそうだよな、急に水に運ばれたんだから。もしかして気絶した方、私が原因?そうだったらマジでごめん。
そういやコイツら、片方は個性のキャパ超えてるから動けないだろうけど、もう片方は足捻っただけで手は動くはず。
「ねぇ、君」
「・・・・え、ウチ?」
「そうそう君。どうする?まだやるならサポートするよ?」
どうせここにいる奴ら全員の手助けしなきゃだし、一人増えても問題ない。やること少し増えるだけだし、足使わせないくらいなら簡単だし。
「いいの?」
「え?別に。私もう結構稼いだし、ボーっとしてて減点なんてヤだしね。で、どうする?」
正直向こうで走ってる奴らの方が限界そうだから、早く決めてあげて欲しいんだけど。何かもう涙流してそうなんだけど。
「・・・お、お願い!」
「はいよ、頼まれた」
一度切った水の操作を、もう一度発動。水で足全体を覆って、捻った部分を固定して、体を少し持ち上げてやる。そして、亜空間に閉まっておいた合金竹刀を出して、それを手渡す。
「えっと、コレ使っていいの?」
「というか、使って欲しい。それ、私しか使ったことないからさ。あとで感想ちょうだいよ」
首を傾げていたけど、縦に首を振ってくれたので良しとする。嘘は言ってないけど、君の個性“音”関係でしょ。耳朶見た私のあくまでもの偏見だけど。
耳のプラグで何かするんだろうけど、決定打が足りない可能性もなくはなさそうだから、念の為。
「んじゃ、やりますか」
五分経ってから約三分。つまり、残り約二分。さっさと済まそう。
五元素操作の地を発動。地面から太い蔓を出して移動機能部分を完全固定する。
「はい、いってらっしゃい」
軽く手を振りながら、一番近いロボットへプラグ女子(名前聞くの忘れた)を送り出した。ひと段落ついたところで、分身一人作ってキャパ超えた方を結界まで運ばせた。
万能感知によれば、他の区域も分身の方が着実に運んでいるらしい。
「と、そろそろかな」
プラグ女子の個性、思っていたより遥かに強かった。どんな音流してるか知らんけど、直ぐにロボット止まるし、合金竹刀盾にしかなっとらんし。
あらかた倒し終えたところで、力尽きた奴の回収に出る。ついでに何個かロボットを蔓でぶっ壊した。ロボットの数と動ける受験生の数が、ロボットの方に傾き始めていたからね。
「はい、君もご苦労さん。安全なとこに運ぶから、ジッとしててね。そっちの男子。そうそう君、足の関節部分にもう一回個性使ってみな、止まると思うよ。君はもう限界そうだね。支えててあげるから、最後にアレに向かって個性ぶっぱなしちゃいな」
個性を駆使して、その場の受験生たちをサポートしていく。倒れる五秒前の奴、もう少しなのに手が止まってる奴、キャパギリギリのくせにやりきれない顔の奴。よっぽどヒーローに憧れてるのか、凄いなヒーロー科は。
と、ここでどデカい音が体を揺らした。周りの建物も地面も大きく揺れる。
体力の限界を迎えた奴は立ってるのもままならなかった。足はもちろんフラフラで、衝撃にトドメを刺された奴が2、3人。水を出して何とかギリギリ支えてやれた。危ない危ない。
プラグ女子は空中にいたので、フラつくこともなかった。セーフ。
「・・・・あぁ、忘れてた」
感知に頼るまでもなく、なんとなく察せた。
ここまで私が倒してきたのは1P~3Pのロボット。0Pのロボットなんて一度も見ていないのだ。
おじゃま虫要因として置かれているはずのロボットを、
「なんだなんだ!!」
「ちょ、アレ!」
周りも気づき始めたらしい。
それもそうだ。大きさが異常だもの。そこらのビルくらいあるもの。
さっきの轟音は、0Pが現れた時に崩れてしまったビルの音。出てくるだけで、あの被害。
何考えてんだよ雄英。どこに金かけてんだ雄英。
思わずヒッソリ設置されている監視カメラを睨んだ。
0Pが出たのは、試験会場の中心部に近いとこ。私が作った避難場所からそう遠くはないとこだ。何より、
邪魔専用なだけあって、あの大きさのくせに結構動きやがるし。マジで邪魔。
この場はギリ片づいた。全員避難場所に連れてってやれる暇はない。動けなさそうな奴は分身に避難場所まで連れてってもらおう。他は自力で逃げろ、私は知らん。
用が無くなった遠くの分身を何個か解いて、新しく分身をいくつか作る。受験生を届けたら、私のとこに来るようソウセイへ伝言を頼んだ。もちろん、一体残して分身たちも来るように。私だけじゃ全員は捌けん。あとは
重力操作と風の操作で、猛スピードで飛んだ。顔に当たる風は空気圧を調整してるから平気。痛くはないけど、目がカッサカサになるから嫌なんだよね。我慢できないほどじゃないんだけどさ。
ものの数秒で着いた0P。
想像を裏切らずに逃げ惑う受験生。
それを空から見下ろす私。
この図、私が悪者みたいだな。やめよやめよ。考えんのやめよ。
大賢者、コイツぶっ飛ばした時の被害範囲は?
《解。力加減で誤差はありますが、一度の広範囲攻撃で全機能完全停止を想定した場合の最低被害規模は、ビル12棟、道路193m、その他の公共物約76個が破壊されます。
エクストラスキル【五元素操作】の複合技にて実行可能です。以上の条件で個性を使用しますか?
YES/NO》
NOです。ごめんなさい。それを実行する勇気は私にはありません。
そんな損害出してまで破壊する必要は無い。それに、あくまで私が
じゃあ、一番被害小さくして0Pを止めるには?
《解。エクストラスキル【五元素操作】の地を使用し、地面を隆起させて貫くのが最も効果的です。爆発が起きる可能性がある為、同時に結界を張ることを推奨します》
あ、そう?じゃあそうしよう。
0Pのとこに着いてから、約一秒でこの思考。思考加速さまさまです。
「主様」
下の方から聞きなれた声。猫なだけあって、移動も素早い。というか、分身の方も移動早くない?私がここ来てから8秒くらいしか経ってないんだけど。
ちなみに、ソウセイは私が思ったよりも近い位置にいて驚いたのは秘密である。私が宙に浮いていたので、一番近くて高いビルに登ったようだ。思考も判断も素早い。さすがだ。
近いといっても話すには少し遠いので、ソウセイのいるビルに降りた。頭を撫でてやりたいのだが、時間が無いので我慢だ。
「ちょうどいいとこに来たね。ソウセイ、私アレ壊すからさ、近くの人間逃がしてくれる?」
「アレとは、あそこの大きな機械でしょうか」
ソウセイは目線を私から0Pに移す。僅かに目を細めているので、警戒し始めたようだ。
「そ。逃がすというか、近づけなければ何でもいいから」
「承りました」
「頼んだよ」
軽く手を振って、ビルを飛び降りるソウセイを見送った。感知してる中で、攻撃範囲に入りそうな受験生は十人と少し。位置もバラバラなのでソウセイだけじゃ無理だな。
既に避難と運搬に着いている分身とは別に、二体分身を作って送り出した。
範囲内の受験生の分布は大きくわけて三つ。0Pの前か後ろかその周り。それを分担させて前後を分身に任せる。0Pの周りはソウセイだ。
「良さげかな」
0Pから大体の人間が離れた。残ってる奴いるけど、ソウセイが何とかするでしょ。結界張るし、問題ない。
ビルの淵をトンと軽く蹴って飛び降りる。地面に着地して、ほとんど人がいなくなった道路を0P目掛けて走った。
スピード勝負だ。
ロボットの周り約6mを透明な結界が覆う。
「おい!」
ロボットの後ろのアスファルトが音を立てて剥がれ飛んだ。
「待て!」
結界が一瞬白く色付いて、すぐに元の透明に戻る。 0Pは
「近づくな!!」
少し移動部分が動きかけたので、地面から蔓を出して下半身部分を固定した。
「主様!」
ピタリと動きが止まる。目を見開いて、狙うは攻撃部と頭部。