【本編完結済】ホロライブ・オルタナティブ~If this is inevitable fate, I will call it a curse~   作:らっくぅ

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この作品を書く前の考案メモを見ていたら、マリン回は6話に書くとありました。メモが早すぎるのか、こっちが遅いのか。


11話 海獣退治

 マリンはスメラギを艦橋に案内すると、ホログラムで投影された地図を見せた。

 

「アイゼオンに寄るとは言ったけど、そのまま向かうわけじゃないんだ。途中で依頼をこなしてから行く予定なの」

 

「依頼?」

 

「そう。傭兵(キミ)が普段やってる依頼とほぼ同じやつだよ」

 

「ウチは略奪しない分ビンボーでさぁ! 道中で依頼とか請けていかないと冒険も満足に出来ないのさぁ」

 

 と、艦橋にいた船員がスメラギに説明してくれる。

 

「おい! ウチの経済事情をバラすなってのぉ! ……まぁ、そういうこと。フリーの依頼で貰える金なんてたかが知れてるから、いつまで経っても金欠なのは変わらないんだけどねぇ」

 

「そうなんだ…苦労しているんだね」

 

「ま、そんなのはもう慣れたけどっ! それより、依頼の内容は海獣退治! 早速だけど協力してくれる?」

 

「あれ、コイツ怪我してなかったっけ。もう使っちゃっていいんスか?」

 

「砲手くらいならできるでしょ。やってくれるよね? ねっ?」

 

「もちろん。砲手と言わず前線で戦うさ」

 

 傷を治してくれるだけでなく、目的地であるアイゼオンにまで寄ってくれるのだ。やれることは最大限やらねば。スメラギはそう考えていた。

 

「お、そうこなくっちゃ! じゃあ、目的地まで向かうから、着くまでゆっくりしててよ」

 

 

 

 そう言われたが、別に部屋を用意された訳ではなく、スメラギは医務室にあるベッドで休む事になった。

 

 スメラギは先程のことを思い出す。ノエル達、白銀騎士団が自分を襲ったこと、「何か隠し持っている」というノエルの言葉。

 

「あの言葉が指すもの……多分、僕の想像している通りだと思う。けど、アレはこの世界で一度も使ったことがないから、ノエル達は知らないはずなんだ。とすると、誰かが彼女達に教えたんだ」

 

『それがゼノクロスだと?』

 

 ヴヴッ、とデバイスにいるAPRILが応答する。

 

「そう決めつけるのは早とちりかも知れない。けど、その可能性は十分にある」

 

『それを確かめる為にも、もう一度彼女達に接触する必要がありますね。』

 

「うん。まぁ、また戦う事になるかもしれないけど…」

 

 スメラギは苦笑いしながらそう応える。

 

 何にしても、やるべき事が決まったというのは良い事だ。後はマリンの手伝いをし、アイゼオンまで送り届けてもらうだけだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 数時間医務室で休んだのち、スメラギの元に目的の場所へ着いたとの連絡が届いた。

 

「ここに海獣が?」

 

 艦橋に着いたスメラギはマリンに訊ねる。

 

「そ。依頼主によると〜……どうやら海竜種らしいね」

 

 マリンはデバイスを操作しながら答える。

 

 海竜種というと、海の生態系の中でも上位に位置する存在だ。

 

「数日前からこの近辺に現れてて、漁に出れなくて困っているんだって」

 

「なるほど…それは早く退治しなきゃだね」

 

「そういえば前線で戦うとか言ってたけど、パワードアーマーは使えないんでしょ? 大丈夫なの?」

 

「全部の機能が壊れた訳じゃないんだ。武器とかなら何とか使えるよ」

 

「なるほどね。でも防御はできないって事でしょ? あんまり無理しちゃダメだぞ〜?」

 

「気遣ってくれてありがとう、マリン。まぁ、上手くやってみせるさ」

 

 

 

 そして、しばらく目的の海域周辺を航行している時だった。

 

「う、うわ…⁉︎」

 

「うおぉぉぉっ…! 何だこの揺れは⁉︎」

 

 まるで地震のような強い揺れが船を襲い、直後竜の咆哮が海中から響き渡る。

 

「この声…“海竜"だ‼︎君たち気をつけて!」

 

 マリンが言い終わるや否や、船の前方から水飛沫を夥しいほどに上げ、巨大な怪物"海竜"が姿を現した。

 

 

 

 "海竜"ラギアクルス。種の名前を冠するこの魔物は、海竜種の中でも最上位に位置する存在だ。

 

「おいおいおい…よりによってコイツかよ…⁉︎」

 

「出鼻を挫くッ!」

 

 スメラギは素早く四肢にアーマーを纏わせると、瞬間的に脚部のスラスターを噴かし海竜の右側方に跳躍する。

 

 

 

 対して、ラギアクルスは空へ飛び出しキャノンを放つスメラギを捉え、雷のブレスを吐く。

 

「ッ!」

 

 飛行することができないスメラギは身体を捻って何とかブレスを避け、続けて左腕に構築していたワイヤーアンカーをラギアクルスに向けて射出する。

 

「こう近づけばブレスは吐けないだろ…!」

 

 ワイヤーを回収しラギアクルスに密着したスメラギはそのままプラズマキャノンを放つ。

 

「ゴアァァァァ!!!!!」

 

 そうしてスメラギに注目が集まっている間に、

 

「各砲門、開け! 照準が合い次第撃ちまくれ!」

 

 マリンの号令と共に、船に搭載された武装が次々とラギアクルスに照準を合わせられ、レーザーや砲弾を放っていく。

 

「俺たちもやるぞぉぉ!!」

 

「一味の魂見せてやる!!!」

 

 そして、甲板にいる船員たちも魔法や火器でラギアクルスにダメージを与える。

 

「グアァァァァァァァァァァ!!!!!!!」

 

 ラギアクルスは耳をつんざくような咆哮を上げると、背中の甲殻に蓄積された電撃を放出した。瞬間、背中に蒼い光が煌めく。

 

「ッ!!!!」

 

 

 

 ズバヂィィィィィィッッッッ‼︎‼︎!! 

 

 強烈な電撃が船に襲いかかり、甲板にいる船員たちはおろか、艦橋にいるマリンたちをも貫く──

 

 が、その直前に、

 

「〈耐電撃(バサンダ)〉ッ!」

 

 船員達が放った魔法は船の全面を覆い、ラギアクルスの放電を防御する。

 

「マリン! 船のエネルギーバリアは使えないのか!?」

 

 放電の直前、ラギアクルスの身体を蹴って攻撃を回避したスメラギは甲板に着地し、マリンにそう叫んだ。

 

「オンボロ船にそんなの期待すんなっての! もうとっくに機能停止(オフライン)!」

 

「仕方ない…! まずはこの放電を何とかしなければッ!」

 

「後ろだ! 背中の甲殻! そこが蓄電する器官になってる!」

 

 船員の1人がスメラギに向かってそう叫ぶ。

 

 しかし、ラギアルクスはちょうど船の正面にいる。船からでは背面を攻撃できない。

 

 スメラギは後方へ回り、武器を変える。プラズマキャノンからアームハンマーへ。そして上空から急降下して()()をつけ、思い切りハンマーを背中の出っ張っている部分へ振り下ろす。

 

「グォォォォォォォォォォォ!!!?!!」

 

 背中にあるいくつかの突起物の内の1つが砕け、ラギアクルスは叫び声をあげる。

 

 

 

「効いているみたいだ!」

 

 相手が怯んだのを見てマリンは叫ぶ。

 

「これで大放電は使えない! みんな畳みかけるよっ!!」

 

 スメラギは再び甲板に戻ると、両腕に大型の武器──フォトンブラスターを構築する。それは大型故に接地していないとまともに使えない一方で、パワードアーマーに記憶されている武装の中でも特段火力の高いものだ。

 

『エネルギーチャージ、開始』

 

 大きな攻撃が来ることを予期し、ラギアクルスは海中へ逃げようとする。が、

 

「逃すかっての!」

 

 船員たちは複数人で魔法陣を構築し、〈束猟捕縛網(デ・ギアギズ)〉を発動する。大勢で作られた魔法の網はラギアクルスに覆い被さり、絡め取る。

 

「う、おおおおおおおぉぉ!!!?? 引きずり込まれる…ッ!!!」

 

「船長、傭兵! 早くしてくれ!!」

 

「分かってる!」

 

 マリンは十門の〈獄炎殲滅砲(ジオ・グレイズ)〉を宙に描くと、それらを束ね一つの大きな魔法陣を構築する。

 

『チャージ完了、撃てます』

 

「「いっけえええぇぇぇぇぇぇ!!!!!」」

 

 APRILが発射可能を報せるとほぼ同時に、スメラギはフォトンブラスターを、マリンは〈獄炎殲滅十砲(ジオ・グレイツェン)〉を放つ。

 

 共に自分の持てる最大火力。

 

 それがラギアクルスの頭部に直撃する。

 

 

 

 ズッッッガァァァァァァン!!!!!!!!! 

 

 

 

 海が荒れるほどの轟音が響き、水飛沫と黒煙が辺りに撒き散らされる。

 

 

 

「……っ?」

 

 やがて視界が開けると、ラギアクルスは力無く網に絡まったままだった。船員達が恐る恐る〈束猟捕縛網(デ・ギアギズ)〉を解除すると、ラギアクルスはそのまま海中へ沈んでいった。

 

「お、おおおぉぉぉ……やったのか、俺たち…! やっちまったのかァァァ!!! ハァーッハッハッハッハ!!!!!」

 

 

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