【本編完結済】ホロライブ・オルタナティブ~If this is inevitable fate, I will call it a curse~   作:らっくぅ

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20話 錯誤

「君がわざわざ僕の前に現れたのは、彼女たちと僕を会わせるためか!」

 

「なに、単なる宣戦布告さ。小細工を弄すよりもシンプルに動いた方が効果的というのは時としてある。お陰で、お前は俺のところへ一直線に向かって来てくれた!」

 

「その割には暗躍するのが得意なようだが…!」

 

 

 

 スメラギ、ノエル、ぼたんはベルナバイド襲撃の実行犯であるヘーミッシュと戦闘している。

 

 スメラギやノエルが攻撃を仕掛け、避けた隙にぼたんが狙撃する。ぼたんの銃弾は確実にそのプラスチックの体を貫いているのだが、その度にナノマシンによって傷が塞がれている。それどころか、金属製のナノマシンによって外装が強化すらされており、次第に弾は弾かれるようになっていく。

 

「いくら持久戦に持ち込んでも3人相手に勝てるわけっ!」

 

 ノエルが顔面めがけてメイスを突き出すが、ヘーミッシュはそれを受け流す。カウンターでヘーミッシュは手刀をノエルの腹に叩き込もうとする。

 

「そんなもので」

 

 ガッ‼︎と直前で手刀を掴んで防御する。

 

「私に届くかっての!」

 

 ノエルはそのまま、有り余る握力でヘーミッシュの手を千切るように握り潰す。

 

 と、横からリパルサーキャノンが発射され、身動きの取れないヘーミッシュはもろに食らい吹き飛ばされる。

 

「さて、あとどれくらい回復(ナノマシン)残してるの? まぁどちらにせよ、あんたに勝ち目はないけど」

 

 ノエルは地に伏したヘーミッシュを見下ろしながら近づく。

 

「まだだ…まだ早い。奴らが役目を終えるまではな!」

 

 突然、ヘーミッシュは倒れたままの姿勢から大きく飛び上がる。

 

 直後、

 

 バヂィッッッッッ!!!!!!!!! と。

 

 青白い閃光が先程までヘーミッシュの居たところまで振り下ろされ、軸線上のノエルにも襲いかかる。

 

「ッ!?」

 

「危ない!!」

 

 即座に反応したぼたんが衝撃弾でノエルを吹き飛ばしていなければ、ノエルは雷光の刃に焼かれていただろう。

 

「敵が前だけにいると思い込むから、こうなる‼︎」

 

「くぅー! あんたには言われたくない!!」

 

 一瞬早くライトニングブレードを避けたヘーミッシュは握り潰された手を修復し、吹き飛ばされたノエルに襲いかかる。

 

「させない!」

 

 ノエルの首を狙ったヘーミッシュの手刀は、しかしスメラギのシールドで防がれる。スメラギはもう片方の腕にプラズマキャノンを形成し反撃する。

 

「スメラギ・カランコエ…! 腐っても『エース第3位』か!!」

 

 強力な電磁波は金属製のナノマシンを狂わせる。それを知ってのスメラギの攻撃を、ヘーミッシュは避けきれず何発か食らう。傷をナノマシンで回復した分、プラズマキャノンの電磁波がよく効いているようで、身体の各所が機能不全になっていた。

 

「隙ありっ!!」

 

 ぼたんはその隙を見逃さず、正確無比な狙いでヘーミッシュの胸部──バッテリーの内蔵箇所を撃ち抜く。

 

「ぐぅっ…!!」

 

 痛みを感じないはずのヘーミッシュは顔を歪め、そのまま仰向けに倒れる。

 

 直後、後方から真昼間の太陽のような光が溢れたかと思うと、凄まじい音が衝撃となって彼らを襲った。

 

「うわっ!?」

 

「ちょ、あぶなっ」

 

 後方にいたぼたんは身の危険を感じ、振り返らずにノエル達の所へ避難する。

 

 やがて光と衝撃が収まった。3人が振り返ると、魔物の姿などはもうなく、キノコの傘のように捲れ上がった大地と5人の少女の姿があった。

 

「これ、君たちが…?」

 

「あっはは、まぁね〜」

 

「シオン先輩、笑い事じゃないのです…」

 

 少女たちはスメラギたちの方へと近づく。

 

「そちらも片付いたか」

 

「なんて事はなかったね!」

 

「その割にはけっこう苦戦してたけど?」

 

「素早い相手には相性悪いんですー! 仕方ないの!」

 

 何にせよ。

 

 魔物を片づけ、当のヘーミッシュも行動不能になった。あとはコイツを捕縛し尋問するだけだ。

 

「さて…聞かせてもらおうか。愚かなテロ行為をしたワケを」

 

 

 

 

 

 ちょうどその時、ちょこの下に破滅派の捕縛の報が届いた。

 

「あやめ様、警察の方も破滅派を捕まえたようよ」

 

 遠くを見ると、人間界へ続く空を阻むようにして張られている結界の壁が、まさに開かれようとしていた。テロリストが逮捕され、厳戒態勢が解かれているのだ。

 

「そうか。…しかし、作戦開始から1時間程度で捕まるとは、随分と早いものだな」

 

()()()()()()()()()()()()()()()()()()() ()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()() ()()()()()()()()()()()()()

 

 あやめの疑問に、ヘーミッシュは不可解な応答をする。

 

「…なに? どういうことだ」

 

「フフッ…あれはザザザ! ()()独断ということよ。ザ…破滅派は囮に過ぎない。()()()()、ザザ、計画のためのね」

 

「待って…あんたは、もしや」

 

()()()()()()()()()()()()調()に、ぼたんは心当たりがあった。

 

 疑念を抱いていたのはスメラギも同様だった。

 

「以前戦った時、君はナノマシンを使わなかった。戦闘スタイルが前とあまりに違いすぎるんだ」

 

 疑惑はさらに強まり。

 

「君は()()()()()()()()()()()?」

 

「……」

 

 確信に変わる。

 

 ぼたんはある名前を口にする。

 

()()()()()()()()…?」

 

 

 

 

 

「えっと…こいつ、ヘーミッシュじゃないの?」

 

 事情を知らない魔界学校組に、ぼたんは簡単に説明する。

 

 マーシェは、廃ビルにヘーミッシュと共にいたアンドロイドだ。これの存在は、この中ではノエルとぼたんしか知らない。

 

「どういうこと…? マーシェはシェラードくん達が追ってるはずじゃ…」

 

 何より、マーシェは人間界にいたはずだ。それが何故、魔界にいるのか。にもかかわらず、何故自分達はシェラード達と合流していないのか。

 

「私たちが、ザー! 、アンドロイドだということを忘れたかしら? ザザ、データがあれば複製することくらい、ザ、訳ないわ」

 

 確かにそう言われればそうなのだが。だとすると、その真意はどこにあるのか。

 

「じゃあ、私たちがすり替わったと思ってた2体目のヘーミッシュは、あんただったってこと?」

 

 湧き上がる数々の疑問を抑えつつも、ノエルは壊れかけのアンドロイド──マーシェに尋ねる。

 

「えぇ、そうよ。ザザ、スメラギが破壊したヘーミッシュはただの囮。本命は、ザザザ! 私だった」

 

 だった、という言葉。それはつまり、もう本命ではなくなったということだ。

 

 そもそも、分身を作ったという事は本命が別にあるか、もしくは複数の本命であるが故に注意を分散させる目的があったはずだ。

 

「あぁ、そうそう。私たちは互いに、ザザ…データを共有しているのよ。どちらかが破壊された場合に備えてね。ザ、何故こんなことを教えるのかって? フフッ、そりゃあザザザ! アンタ達を呼び戻す為に決まってるだろうが! 実際のところ、魔界にはもう用はない! ザザザザ!! こうも簡単に目的を達成してしまったからなぁ!」

 

 その目的のうち片方が達せられたということは。

 

 

 

 スメラギだけでなく、ノエルやぼたんも気づいた。魔界での目的を達成したというのが本当ならば、次は再び人間界。オリジナルのマーシェがいる所だ。人間界には魔界ほど強力な魔物は殆どいないから、魔界と同じようにマーシェが魔物で街を襲ったとしても、シェラード達や他の傭兵で守り切れるだろう。

 

 だが、()()()()()()()()()1()()()()。もし、マーシェが境界を開けるために()()()負けたのだとしたら。()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()使()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()

 

「いけないっ! 君の、いや君たちの狙いは…!」

 

「急ごう!」

 

「ちょっと! 全然状況が呑み込まないんですけど!?」

 

 スメラギ達の話についていけないシオンはそう叫ぶ。

 

()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()

 

 すると、あやめはスメラギの方へゆっくりと近づき、こう尋ねる。

 

「つまり、余達は人間界に行けばいいという事だな?」

 

「そうだけど…もうあなた達はこの事件の首謀者を捕らえたんだし、無理に付き合わなくても…」

 

 ノエルの言う事には一理ある。奴らの目的はスメラギのかつての仲間を集めること。あやめ達をここに残しておけば、奴らの目的をいくらか阻止できるかもしれない。

 

「そう言うわけにもいかないわよ。首謀者がアンドロイドで、しかも複製してたっていうなら、それも捕まえなきゃいけないだろうし。私たちだって、魔界だけが平和であってほしいなんて思っていないもの。ね?」

 

「ちょこの言う通りだ。余達も付き合うぞ」

 

「正直これで帰りたかったけど…あんな不気味な奴の仲間を残してたら後味悪いし。ぱぱっとやっつけちゃお!」

 

「やるかぁ〜。ま、なんとかなるっしょ」

 

「るしあも、まだ知りたいことが山ほどあるのです。その為なら…頑張ります!」

 

 と、生徒たちも口々に賛同する。

 

 スメラギとしては、彼女達とはここで別れておきたかった。だが、5人全員が行くと言ってしまっていては、流石に止める事は難しい。彼女達が中途半端に事を終わらせる性格ではないという事を把握していたのだろうか、マーシェはあえて情報を与える事で彼女達を誘導したようにも見えた。

 

(マーシェにヘーミッシュ…君たちの真意は何だ…?)

 

 

 

 

 

「フフ…せいぜい頑張りなさい。ザ…私たちだって、世界を滅ぼす気はないのだから…」




書き直し前につけてた特殊エフェクトはやっぱりガジャガジャしてて気持ちが悪かったので無くしましたw

ノエルのような脳筋キャラは書いてて気持ちがいいですね。力こそパワー!力こそ正義!
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