【本編完結済】ホロライブ・オルタナティブ~If this is inevitable fate, I will call it a curse~ 作:らっくぅ
同時刻。
ソフォレに運悪く滞在していた獣人が1人。
「またお願いしたら入らせてくれるぺこかなぁー」
先日はつい、入手した品全て売り切ってしまったが、実を言うと個人用にいくつか欲しいものがあったのだ。
もう一度エルフの森に行く為、その手前のソフォレで休息を取っていたうさ耳少女──ぺこらであったが、
ドォォォォォン……!!!
と、遠くから爆発音が響いた。
「ぴっ!? こんな感じの、なんか前にもあったような…⁉︎」
音のした方に黒煙が立っているのが見えると、周りの住民もぺこらと同じ不安と恐怖を感じた。
「あそこ…アンドロイドの工場じゃないか!?」
「まさか、AIが暴走したの!?」
「おい! 機械が襲ってくるぞ! 逃げろぉぉ!!」
本当かどうかも分からない情報──だが確実に民衆の恐怖を煽るものであった──が流れると、それはたちまち町中に伝播し、すぐ後にパニックが起きた。
悲鳴と怒号が飛び交う中、ぺこらは完全に出遅れてしまう。
皆が皆、てんでバラバラの方向に逃げ出すため、土地勘のないぺこらはどこに避難していいか分からない。
(とりあえず町の外に出れば安全ぺこ…⁉︎)
一応、町の外への道は分かっている。ぺこらは人混みをかき分けつつ、町の外へと向かう。
道自体は知っているとはいえ、外までは少し距離がある。
(うぅ…人が多すぎて、ちゃんと道が合ってるのか分からないぺこ…)
道を進んでいる途中、遠くから銃撃音が鳴る。それがさらに、住民たちの恐怖を煽る。同時に、信憑性の低かった情報が正しいことが裏付けされてしまった。
(ひっ…! やっぱり、アンドロイドが暴走してるぺこ…? よりによってぺこーらがいる時に、もう…!)
と、ふいに人混みが途切れる。突然のことであったため、ぺこらは前のめりになりこけそうになる。
「わっわっ!? ……あれ、ここどこ…?」
いつの間にか、違う道に来ていたようだ。ぺこらはさっきまでの道を振り返る。が、土地勘のない彼女にはどこも同じ景色に見える。戻るにしても、人混みの中では道が分からない。
死を悟ったぺこらは思わず呟いた。
「お…終わったぺこ…」
*
一方、ソフォレの入り口に、一台のジープが到着した。
「町の方、パニックになってる!」
「もう始まっていたのか…!? 行こう、みんな!」
「あやめちゃん、行ける?」
「も、もちろんだ…。モンスターじゃないなら酔ってても幾分かやれるはず…うぷっ」
「キツそうねぇ…あんまり無理しないでよ?」
「的が小さい分、倒しづらそうだなぁ。弱そうだし、アサルト使おうかな」
「みんな、散開したほうがいいかも。住民の避難は地元の警察に任せて、私たちはヘーミッシュ達を」
「分かったのです!」
*
「こ、こいつら、速い…! ぐぁっ…‼︎」
「邪魔さえしなければ殺すこともなかったのだがな。しかし」
銃弾を弾きながらヘーミッシュは目にも止まらぬ速さで警官に迫り、手刀で心臓を貫く。
「がはっ…」
「もう遅い。皆殺しだ」
ジャックしたアンドロイドには、どれもヘーミッシュの戦闘データが反映されている。並の人間では対処できないだろう。
警官はアンドロイド用の高威力の銃を使ってはいるのだが、実際のところその功績は少ない。ほぼ一方的に警官が虐殺されている。
「さて、もういくつか工場を奪い、戦力を増やすとするか。ついでにマーシェも作り直すとしよう。
警官の対処をコピー達に任せ、ヘーミッシュはゆっくりと歩き出した。
*
「アンドロイドが工場からわんさか出て来てるのです。みんな、町に向かってるのです!」
死霊──ふぁんでっどに上空を偵察してもらい、るしあは現状を報告する。
「工場に向かった警察は…やられたかもしれないね。僕は工場に向かう。出来るだけ引き付けておくよ」
「あたしも行く。市街地じゃ満足に魔法使えないからね」
「もう、シオン1人じゃ地形変えちゃいそうだし、私も行くわ」
スメラギはスラスターを構築し、シオンとちょこは〈
「私たちは町にいるアンドロイドの破壊と警察の援護を!」
「軽く運動したほうが酔いが覚めていいかもな…メル先輩、るーしー、行こう!」
「じゃ、私はノエルと行こうかね〜」
そう言い、あやめ、メル、るしあとノエル、ぼたんはそれぞれ別々の方向へと駆けていった。
*
「ヘーミッシュ! マーシェ!」
リパルサーレイでこちらに飛びかかってくるアンドロイドを撃ち落としながら、スメラギは2体のアンドロイドを探す。
「そう大声で呼ばなくても」
ガヅンッ!! と、脚にワイヤーが巻き付き、スメラギを地面に叩き落とす。
「ここにいるぜ、スメラギ・カランコエ。忌むべき男よ」
「ヘーミッシュ…! マーシェはどうしたんだ!」
スメラギはエナジーブレードでワイヤーを切断し、ヘーミッシュへと駆け出す。
「とんだ邪魔が入ったせいで破壊されてしまった。お陰で戦力を増やす際に人間をいくらか犠牲にしてしまったよ!」
ヘーミッシュは左半身を引き、突き出されたブレードを回避すると、右の手刀を顔面めがけて突き出す。
スメラギは瞬時にそれを避けるが、間髪入れずヘーミッシュは膝蹴りを食らわせようとする。
「甘い!!」
「そっちが!!」
スメラギは蹴りが腹に当たる寸前で片方の手からリパルサーレイを放ち、ヘーミッシュを吹き飛ばす。
「君たちはエルフの森が狙いのはずだ。なのに何故、この町を襲う⁉︎」
「襲ってるんじゃあない、襲われたから守ってるだけさ。私は単に戦力を増やそうとしていただけだよ」
「屁理屈を…! 僕が狙いなら最初から僕だけを狙えばいいじゃないか!」
「それは」
ギュン!!! とヘーミッシュが加速し、右手に形成した鋭利な爪を薙ぎ払った。
「確実に返り討ちできるという自信からか? それとも、
エナジーブレードを戻し、シールドを形成してその攻撃を防ぐ。しかし、その言葉にスメラギは動揺させられる。
「っ…!! 切り札は自分が持っていると言いたいのか…! そんな事は…絶対させない! その前に君を破壊するッ!」
「ハハハ! もう遅い! 最後の瞬間で逆転できると思っているのか⁉︎不可能だ!
「…っ!!」
スメラギは唇を噛みながら、眼前に雷撃の槍を生み出し、放つ。至近距離のヘーミッシュは避ける事ができず、超高電圧の槍が胸部を貫いた。
「ぐっ……他人の能力のくせに、自分のもののように使いやがって…」
それだけ言うと、ヘーミッシュは焦げた匂いを胸から発しながら、機能を停止し倒れる。
が、直後。
今さっきまで戦っていたヘーミッシュと全く同じ姿形のアンドロイドがスメラギに襲いかかって来た。
「なっ…!?」
「工場を占拠したということはな、
「くっ…!」
スメラギは飛び退き、振り下ろされた爪を避ける。右腕にはエナジーブレード、左腕にはソードブレイカーを形成し、スメラギはヘーミッシュへと駆けた。
「ちょっと! 数多ないかこれ!?」
「しかもすばしっこいから魔法がなかなか当たらないわね…めんどくさい!」
シオンは〈
「幸いなのはこれが全部町に雪崩れ込んでないことだけど…」
と、空を飛んでいたシオンに反撃とばかりに大量のエネルギーカノンが発射される。
「うわわ!」
その隙を狙い、ちょこはシオンを狙うアンドロイドに向けて〈
「ちょこ先、助かる!」
「どういたしまして! …にしても、ジリ貧よこれじゃ…」
しかし、不意に。
「お呼びでしょうか、
轟ッッッ!!!! と数十体のアンドロイドが細切れにされて吹き飛ばされたかと思うと、1人の男がその間隙を縫ってちょこ達の元へ向かってきた。
「貴女達が白銀ノエルの言っていた魔界のお仲間、ですね? 私は白銀騎士団副団長、シェラードです。応援に参りました…いえ、この場合は感謝を述べるべきでしょうか」
そう言われて、ちょこはノエルの仲間たちが先行していたことを思い出す。
「ノエル様の…じゃあ、貴方がコイツらを抑えていたの?」
「ええまぁ。数だけは優っているようで、なかなか手こずっていますが」
「ほかの方々は?」
「団員は町の方で住民の護衛についています。早めに団長と合流してくれれば良いのですが」
そんな会話をしながら、シェラードは軽い調子で襲い掛かってきた数体のアンドロイドを一瞬にしてバラバラに斬り刻む。
「ちょこせーん! 何この人!」
と、空中から魔法の砲撃でアンドロイドを倒していたシオンがシェラードの存在に気付く。
「あー、この人はノエル様のお仲間よ! ちょこたちの味方!」
「そういえばノエルちゃん言ってたかも。ま、よろしく!」
「とりあえず、我々の
シェラードは冷静にちょこに確認する。
「ええ、そうね。固まって戦いましょう。シオンは遊撃頼むわよ」
「おっけ。メル先輩の真似事くらいならやってみせる!」
「では。持久戦と参りましょう」
前々回辺りから場面転換に苦しんでます。
シェラードといい、お嬢といい、らっくぅは剣士キャラを強キャラにしがちですね…