【本編完結済】ホロライブ・オルタナティブ~If this is inevitable fate, I will call it a curse~ 作:らっくぅ
──ソフォレ市街地。
街中での戦闘にはあまり慣れていないノエル達であったが、シェラードやスメラギ達の活躍により案外少ない数のアンドロイドを次々に倒していきながら、市民の避難誘導を援護する。
「ふっ! …弱いのにすばしっこくって、やかましいなぁっ!」
「住民がほとんど避難してるってのが幸いだけどね」
メイスをアンドロイドの頭めがけて振り抜きながらそう話すノエルに、同じくアサルトライフルで正確に頭を撃ち抜くぼたんが応える。
彼女らは現在、市街地でも工場地帯に近い郊外にいる。いわゆる田園地帯であり住民が少なく土地も開けている為、比較的戦いやすくはあった。しかし、ヘーミッシュのデータが組み込まれているせいか回避性能は向上しているようで、彼女達は倒すのに苦戦していた。
と、
「ん? ねぇノエル、デバイス鳴ってない?」
「え? …あ、ほんとだ。もう、こんな時になに〜⁉︎」
憤慨しながら腰のポーチからデバイスを取り出し、通話に出る。
『団長! ようやく出た! さっきから何度も鳴らしてるじゃあないですか!』
「えっ? キースくん? うそっ…ホントだ⁉︎あーん、ごめんね〜」
『まったく……それはそうと、もうソフォレには着いたんですか? 団長』
「うん、今ぼたんちゃんと工場地帯方面の郊外で戦ってるよ」
『じゃあ俺たちの方へ来てもらえませんか? 座標送りますので』
「おっけー。ところで、市民の避難、どれくらい終わってるか分かる?」
ノエルは器用に、左手にデバイスを持って通話しながら、右手に持ったメイスでアンドロイドを倒していく。
『まだ少し時間がかかるようです。なのでこちらの援護もお願いします』
「すぐ向かうから、それまで待っててね。それじゃ!」
通話を終えるとすぐ、キースから向かうべきポイントが示された。
「ぼたんちゃん。ここはもう離れて、町の方へ向かうよ」
「団員さんから?」
「うん。避難誘導の応援に来てくれって!」
メイスでアンドロイドの胸部を貫くと、2人は踵を返し市街地の方へ向かう。
が、その時ぼたんは離れた家屋の塀の方に、不自然な
「おっと」
これまでのアンドロイドがステルス機能を使っていた記憶はない。もしかしたら、逃げ遅れた住民かもしれない。そう思いつつも、ぼたんは一応揺らぎに当たらないようにギリギリな所に弾丸を放つ。
「ひぃぃッッ!!?」
「お、やっぱ逃げ遅れか」
「どしたの? ぼたんちゃん」
「んーや、あっちの方に姿を消してるのがいたから確かめてみたんだけど、逃げ遅れた住民みたい」
ノエル達がそちらの方へ行ってみると、塀についた銃痕のすぐ近くから声が聞こえた。
「ふぇ…? ノエール…⁉︎」
「ん?」
その声の主はノエルを視認すると、自身にかけていた〈
「もしかしてぺこらっちょ!? うわぁ〜久しぶり〜!」
「久しぶり〜じゃないぺこだよ! あんたの連れに危うく殺されかけたぺこなんだけど!?」
「ノエル、知り合い?」
ぼたんがそう尋ねる。
「うん。ちょっと昔に会ったことがあるんだ。この子、兎田ぺこら。行商人だよ。…でも、何でこんなとこに?」
「ちょ、ちょぉーっとここに野暮用が…」
迂闊に本当のことを言ってしまえば、きっと呆れられるだろう。単にエルフから欲しいものがあるから寄っただけなどと…
「ぺこらっちょも運が悪いねぇ。じゃあ、ま、私たちと一緒に来てよ。ちょうど町の方へ避難誘導の応援に行くから。…あ、そうそう。こっち、獅白ぼたんちゃん。私と同じ傭兵だよ」
そういえば、とノエルはぺこらにぼたんの紹介をする。
「ぺこら、よろしくね。大きな耳に当たらなくて良かったよ」
ぼたんは何故か微笑みながらそう挨拶する。どうやら既に捕食対象と認識したようだ。
「ひっ……よ、よろしくぺこ…」
*
「あっ、いたいた。おーい、団長! こっちです!」
白銀騎士団の団員──エディソンはハンマーでアンドロイドを叩き潰すと、近づいてくるノエルに手を振る。
「む、ノエルにぼたんか」
「エディソンくん! ようやく合流できた! それにあやめちゃん達も」
団員達のいる所を見てみると、あやめ達も一緒にいた。どうやら途中で合流していたようだ。
「シェラードくんは?」
「奴は工場遺跡の近くで敵を引きつけてくれています」
「あちらの警官から話を聞いてきてください。何でも、こいつらをどうにかする術があるらしいですよ」
アルマハドにそう言われ、ノエルは避難誘導の指揮をしている警官の方へ向かおうとする。
と、ぺこらはおどおどしながらノエルに尋ねる。
「ノエールぅ…ぺこーらどこ行ったらいいぺこ…?」
「ぺこらっちょは警官に従って安全なところへ避難してて。しばらく会えそうにはないけど、落ち着いたらまた遊ぼうよ!」
「えぇっ…せっかくの再会ぺこなのに…また一人ぼっち…」
ノエルの言葉を聞いたぺこらは、目に見えて落ち込んだ表情を浮かべていた。
「大丈夫! ぱぱっと終わらせるから! あ、今度魔界のお友達紹介するよ! きっと仲良くなれるよ」
「ノエール…」
「早く行かないとホントに迷子になっちゃうよ?」
「…行ってくるぺこ」
弱々しくそう言うぺこらは、名残惜しそうにノエルを見つつも、警官が指示する方へ走っていった。
「…全部、終わったらすぐ会おうね」
ぺこらを見送ると、すぐにノエルは向き直り警官の方へ駆け寄る。
「白銀騎士団団長の白銀ノエルです。何か策があるんですか?」
「傭兵か! あぁそうだ。工場地帯には万が一の為に防護壁が囲むように設置されている。その壁のゲートを封鎖し、電磁パルスを中に発射してアンドロイドを機能停止にするんだ」
「まずは流れ出てくる元をどうにかするってことね」
横で話を聞いていたぼたんはそう納得する。
「そうだ。まぁ、町に出てしまったアンドロイドは人力で倒さねばならないのだが…。とにかく、今の目標はゲートを閉めることだ。ゲートの操作は私が知っているから、それは任せてくれ」
「私達はゲートの道の確保とあなたの護衛役ってことだね?」
「我々の戦力ではゲートまで辿り着けない。…君たち傭兵に、我々の命を預ける」
「おーけー! 任せんしゃい!」
警官の申し出にノエルは元気よく応え、その場を離れる。
「元気だねぇ」
「頼られてるんだもん、見栄張らないと不安になっちゃうでしょ?」
「なるほどねぇ。ノエルも考えてるんだね〜」
「なんか失礼っ!?」
「2人とも、作戦は聞いたな? 余たちが道を切り開く。その間に警官様がゲートを閉める。シンプルな作戦だ」
すっかり車酔いが覚めたあやめが確認をとる。
「あ、でもシオンちゃんとちょこ先と、それにスメラギさんもゲートの中だよね。3人に先に外に出てもらわないと」
「シェラード君もだ。連絡しとかなきゃ!」
「ああ。とはいえ、中で戦闘しているおかげで町へ流れるアンドロイドが少なく済んでいる。シオン達が退避したらすぐ、ゲートを閉めなければならないな」
「時間勝負ってことですね…頑張るのですっ」
「君たち、準備はいいか? ここの避難は完了した。こちらはいつでもいいぞ!」
先ほどの警官がノエル達に声をかける。
「こっちも大丈夫です! …さぁ、行きましょう!」
弱気で甘えたがりな長もかわいいって事ですよね、つまり。
図らずもノエル回になってしまった…
次回は3度目の再会です。再会はこれで最後ですね