【本編完結済】ホロライブ・オルタナティブ~If this is inevitable fate, I will call it a curse~   作:らっくぅ

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長い春休みが終わり、ようやく大学が始まったので倦怠期から抜け出せそうです。


26話 死刑執行猶予

 早朝、一行は町の入り口に集まった。

 

 のだが。

 

「みなさん、おはようございます!」

 

「あ、昨日の! 助けてくれてありがとね〜」

 

 そこには、2人のエルフがいた。何やら後ろに誰かいるようだが…

 

「えっと…君たち、帰ったんじゃ…」

 

「あー……よく考えたら、ウチの近くで騒ぎが起きるなんて物騒だし、再発防止みたいな…元凶を絶っておきたいなって」

 

 フレアは照れ臭そうにしどろもどろに話す。

 

「要はスメラギさんにちゃんと恩返しがしたいなぁってことです!」

 

「余計なこと言うなって!!」

 

(ツンデレだ…)

 

 そう思ったのは多分この場にいる全員だろう。

 

「…あぁそれと」

 

 フレアは背後にある誰かを前に出す。

 

「こいつも一緒に行きたいって」

 

「きみ、は…ぺこらかい? どうして、ここに」

 

「えーと…ま、まぁ野暮用で…」

 

「スメラギ君、ぺこらっちょと知り合いだったの?」

 

 と、ノエルは尋ねる。

 

「あぁ…。この世界に来て初めて会ったのがぺこらだったんだ」

 

「ちょっとしか一緒にいなかったぺこだけどね……そ、それよりっ! ぺこーらも一緒に連れてって欲しいぺこっ…!」

 

 ノエルは一瞬、困ったような表情を浮かべたが、すぐにそれを引っ込め、

 

「ぺこら、すぐ終わらせるから大丈夫だよ。大体、ぺこらは戦えないでしょ?」

 

 穏やかに、しかしどこか冷たく諭す。それは紛れもなく、ノエルの優しさだった。

 

「……」

 

 スメラギも、止めたい気持ちはあった。フレアやラミィ、それにぺこらに、君たちを巻き込みたくはないと。

 

 だが、それは既に遅いような気もした。誰とも関らず1人でどうにかするのなら、いくらでも方法はあった。それを実行せず、流されてしまったのは他でもない自分だ。今さら関わるなと言うのは身勝手なように思えた。

 

「でもでも! 友達が命懸けで守ってくれたのに、何もしてやれないなんて悲しいぺこっ! ぺこーら、戦えはしないけど、役に立つものいっぱい持ってるぺこ! だから…お願いっ!」

 

「ぺこら…」

 

 弱々しいながらも確かな意志をもって懇願するぺこらに、ノエルは戸惑ってしまう。

 

「いいんじゃない? バックアップ要員はいてくれた方がいいし。…それに、友達を大切に思うのは良いことだけど、意志も尊重してあげなきゃダメだよ、ノエル」

 

 と、横にいたぼたんがポンとノエルの肩を叩く。

 

「〜〜〜っ………分かったっ! 危ない時はちゃんと隠れててね?」

 

 少しの葛藤があったが、ノエルは根負けした。

 

「ノ、ノエルぅ!! ありがとうぺこぉ!! ぼたんちゃんも!!」

 

 嬉しさのあまり、ぺこらはノエルに抱きつく。胸当てに頬が若干刺さっており微妙に痛そうではある。

 

「かわいいうさぎちゃん! よろしくね!」

 

「うさぎじゃなくて! 兎田ぺこらぺこ!」

 

「うさぎってことは、やっぱり年中発情期だったりするのかしら?」

 

「ちょ、おま⁉︎初対面で聞くことじゃねぇぺこだろ‼︎つかあんた色んな意味でやべぇぺこだよ‼︎」

 

 早速メルやちょこにいじられている。このメンバーに溶け込むのも時間の問題だろう。

 

 と、るしあがぺこらに近づく。

 

「ぺこら…ちゃん?」

 

「ちゃん付けはちょっとこそばゆいぺこ…フツーにぺこらって呼んで欲しいぺこ」

 

「そ、そっか……ぺこら…」

 

「…? な、なんか顔についてるぺこか?」

 

「あ…いや、なんでも…よろしくね、ぺこら」

 

(兎田ぺこら…。るしあ、()()()()()()()()。るしあと同級生だった…。これは偶然なの? それとも…)

 

 

 

「メンバーも増えたことだし、もう一度これからの動きを説明しよう」

 

 あやめはデバイスから画像を投映しようとする。が、

 

「あれ、こうじゃないな。こうだっけ?」

 

「あ、これだよこれ」

 

「…締まらないなぁ〜」

 

「そこ! うるさいぞ! …コホン。とりあえず、現段階ではメンバーを2つに分ける。1つはこの事件を引き起こした2体のアンドロイドの内の1体、マーシェを追う。もう1つは残りの方のヘーミッシュの追跡だ」

 

 ぼたんの協力で、昨日手に入れた地図にそれぞれの想定ルートや2つのグループの構成などが載せられたスライドが投映される。

 

「奴らの狙いは?」

 

「最終的にはスメラギさんの殺害だ。その方法については不明だが…。しかし、マーシェの方はどうやら異世界大戦期に使用されていた工場や格納庫を探し回っているようだ」

 

「じゃあじゃあ、ヘーミッシュって人の方はどうやって追うんです?」

 

「多分、ヘーミッシュも遺跡を目指してるんじゃないかな」

 

 と、ラミィの質問にノエルが答える。

 

「なんで?」

 

「詳しくはおいおい話すけど、ヘーミッシュは今までスメラギ君を殺す準備をしてきた。それが今最終段階に入ってる。ヘーミッシュは、万全を期す為に遺跡を使って戦力を増強するんじゃないかな」

 

「それは余も同意見だ。奴らとの決着も、おそらく近いだろうな」

 

 そしてスメラギは予感している。真実が明かされるのを。

 

 

 

「マーシェの方は余達だけで何とかなる。新メンバーの3人はヘーミッシュ追跡のグループに参加して欲しい」

 

「おけぺこ!」

 

「分かった」

 

「りょーかいです!」

 

 ぺこら、フレア、ラミィに指示を出すと、あやめは町の外へ向かう。

 

「では余達は一足先に発つぞ」

 

「いってら〜」

 

「またねぇー!」

 

「行ってきまーす!」

 

「……あれ、あたし達もしや徒歩? 嘘でしょ?」

 

「そりゃあ車も魔法も使えないんじゃそうなるわよ。ほら、こんな入口で立ち尽くしてないで行って行って」

 

「わ、わぁ〜鬼畜ぅ〜…」

 

 

 

「…さて、シェラード君達もあやめちゃん達より先に行っちゃったし、後は私達だけだね」

 

「で、どこに向かえばいいの?」

 

 フレアがノエルに尋ねる。

 

「ソフォレから南西のところに、アンドロイド生産工場の遺跡があるの。とりあえずそこに行こう」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 スメラギは道すがらこれまでのことをぺこら、フレア、ラミィに話した。

 

「ふーん、そんな事があったぺこなんだ。じゃあスメラギが血だらけで倒れてたのは、二つ目の世界が破壊された直後だったってことぺこね」

 

「あぁ、そうなるね」

 

「でも、その世界の住人もただ手をこまねいていた訳じゃなかったんだろ?」

 

「もちろん。大勢の人達がゼノクロスを倒そうと戦ったよ。…でも、ダメだった」

 

「そんな相手と、戦うんですか…」

 

 ラミィは少し怯えたように呟く。

 

「…君たちにそんな重荷を背負わせるわけにはいかないよ。君たちはヘーミッシュとマーシェを倒すまでで大丈夫だ。あとは僕が」

 

 倒す、とは言えなかった。

 

「スメラギ」だけでは到底勝ち目がないのは明らかだ。だが、「もう1人」に頼るのは、それだけはできなかった。

 

(そうするくらいなら…)

 

 戦わずに解決する選択肢も用意しておいた方がいい。

 

「そんなの無責任だろ。ここまで知っておいて肝心の黒幕をお前1人に押し付けることはしないよ」

 

「そうぺこ! もっと大勢の人を呼べば、きっと倒せるはず!」

 

「…そうだね、戦力さえ整えば…」

 

 そうして、大勢の仲間を死なせてしまった。

 

 もう、同じ過ちは繰り返すつもりはない。

 

「ね、これ見て」

 

 と、先を歩いていたぼたんが後ろに声をかける。

 

「ブルーブラッド。シリウムの跡がある」

 

 ぼたんは地面のほうを指差す…が、そこには何もない。

 

「何もないですよ?」

 

「いや…APRIL」

 

『解析します。……ぼたん様の指す方向には、確かにシリウムの痕跡が見られます。』

 

 スメラギがそこにデバイスから発せられるライトをかざすと、血の跡のようなものが見えた。

 

「わ、ほんとだ」

 

「ぼたん、すごいな。私でも全然気づかなかったよ」

 

「まぁ目はいいからねー。ヘーミッシュがさっきの戦いで負傷してくれててよかった。さ、行こう」

 

 

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