【本編完結済】ホロライブ・オルタナティブ~If this is inevitable fate, I will call it a curse~ 作:らっくぅ
十分ほど飛行していると、野原にぽつんと巨大な施設が見えてきた。
着地し、辺りを見回す。ここがヘーミッシュが示した場所だが、襲ってくる気配はない。
スメラギはゆっくりと工場遺跡へ近づき入口を探る。
『マスター。お一人で彼を討伐するおつもりですか?』
「今やらなきゃ取り返しのつかないことになる。ゼノクロスと戦うことすらできなくなってしまうんだ」
『御言葉ですが、ここでヘーミッシュを完全に破壊しても、マスターに対する彼女たちの疑惑は晴れません。』
「これ以上彼女達を巻き込むわけにはいかないんだ。ゼノクロスさえ倒せればいい。そうしたら、後は……」
『マスターがその未来を許容しているとは考えられません。時間をかけてでも説得すべきです。』
「もう遅いよ。僕はこの道を選んだんだ。今さら引き返すことはできない…」
スメラギは静かに遺跡の扉を開け、数千年間放置されてきた暗闇の中へ足を踏み入れた。
*
ヘーミッシュに示されたポイントへ進んでいると、途中で遠くに人の姿が5つ見えた。それは少し前に出会ったものの既に見慣れた姿となった仲間たちであった。
「あれ、あやめちゃん達?」
「む、ノエル達か。ヘーミッシュを追っていたんじゃ?」
「あやめちゃん達こそ。マーシェを追ってる最中?」
ノエルが尋ねると、ちょこが答える。
「いえ、マーシェはさっき破壊したのだけれど、彼女が最期に残した座標が気になってね。そちらは?」
「うん。実は…」
と、ぼたんが先ほどまでのことを簡単にあやめ達に説明する。
「それにしてもスメラギのやつ、1人で行かなくてもいいぺこなのにっ。人間界で有事の際以外で飛行するの、禁止ぺこなんだよっ?」
ぷんぷんとぺこらは文句を言う。
が、あやめ達はぺこらと温度差のある別の反応をした。
「…やはり、何か隠している」
「ぺこ?」
「あやめちゃんも?」
「あたしとちょこ先もね。ヘーミッシュ達があれだけ慎重なのは、何か裏があるんでしょ?」
「…さっき、ヘーミッシュが本体のいる場所へ向かえば全てを明かすって言ってた」
「それがスメラギさんと無関係…ではあり得ないだろうな」
「ちょっとちょっと! 何の話っ? 私もしかして周回遅れ?」
と、メルが前のめりになって割り込む。当然と言えば当然だ。
それに、話についていけてないのはるしあやフレア達も同じであった。
「簡単に言うと、スメラギさんはグレーってことよ」
「な、何でスメラギさんを疑う感じになってるんですっ? ラミィ達、ヘーミッシュとかって奴を追ってるんですよねっ?」
「そうぺこだよ! 確かにスメラギは謎が多いけど…悪そうな奴ではないぺこだしっ」
ラミィとぺこらが抗議する。が、それはぼたんによって否定される。
「その謎が多いというのが怪しい。実は重大なことを隠していたら? 取り返しのつかないことかも」
「取り返しのつかないことって……ゼノクロスが世界を襲うこと以上に重大なことなのですかっ…?」
「……」
「そこへ行けば分かる。…今は進むしかないだろう」
*
一応ドアは開けたままにしているが、どこにも窓が見当たらず入口以外で光が射している場所はない。もしかしたら時間帯によってブラインドが自動で昇降するのかもしれないが、その機能は停止しているようだった。
スメラギはアーマーのライトで周囲を照らしながら、微弱なマイクロ波を放ち索敵する。
(地上は製造する場所ではないのか。機械やコンベアが見当たらない…)
スメラギのいる空間はやけに光沢のある黒い床だけが広がっている。ここは完成品の点検や保管をする場所なのかもしれない。
しかし、これだけだだっ広い空間であるにも関わらず、索敵に引っかかるものはない。カツン、カツン、とスメラギの足音だけが響く。
(ヘーミッシュはどこに…)
その瞬間。
ズガガガガガッッッッ!!!! と、スメラギが踏み出した足を下ろそうとしたまさにその床を突き破ってドリルが這い出てくる。
「ッッ!!?」
スメラギは瞬時に足のスラスターを噴かし寸前でドリルを避ける。
「ヘーミッシュか!」
スメラギは着地すると、奇襲の主が地上に上がる前に右腕に構築したプラズマキャノンを放つ。
「!」
だがそれは人型に当たる直前で何かに防がれる。
「やはり来たか。スメラギ」
「ここで終わらせる。絶対に」
「未だに『人間』にしがみ付いているお前では無理だ。お前こそ、死ぬ準備は出来ているのか?」
「そんなものッ!!」
スメラギはリパルサーレイでヘーミッシュの胸部を正確に狙い撃つ。しかし、彼の射撃は再び弾かれる。
それを見てヘーミッシュは薄く笑うと、ぐん! と加速してスメラギに突進する。
(また防がれた! 不可視のバリアか…⁉︎)
遠距離攻撃が通用しないことを悟ると、スメラギも駆け出しバタリングラムで迎撃を図る。
「ぐっっがッ……!!?」
だがヘーミッシュの方が一瞬早く、スメラギに勢いのままタックルする。
APRILが寸前で胴体にパワードアーマーを装着させていなければ、体が真っ二つになっていただろう。しかしパワードアーマーでも衝撃を吸収しきれず、スメラギは肺の空気を全て抜かれ一瞬呼吸ができなくなる。
着地する前に全身にパワードアーマーが装着されるも、まともに受け身も出来ず全身を打つ。
「…ッはぁっ! はぁっ…!」
ようやく呼吸ができるようになると、すぐさま起き上がってヘーミッシュを再び捉える。
スメラギは両腕にエナジーブレードを形成し、再度接近戦を図る。
が、
「ッ!?」
突如上から気配を感じ、咄嗟にブレードで防御する。
「あら、アクティブステルスで完全に隠し通したはずだったのに。さすが『エース第3位』と言うべきかしら? それとも…フフッ!」
「ほら、お返しだ。スメラギ!!」
「くっ…!」
ギィン! とマーシェを弾き飛ばし、スメラギと同じバタリングラムで突撃してくるヘーミッシュを、真横に転がって避ける。
(このままじゃ倒せない…ッ!)
スメラギはスラスターを噴かし空中へ飛び上がる。
「APRIL、センチュリオンの武装は⁉︎」
『1番から5番兵装まで使用可能です。』
「3番兵装をっ!」
『了解。』
APRILの声と共に多数の部品が電送されたかと思うと、ガチャガチャガチャッ!! とそれらがどんどん組み合わさっていき、1つの巨大な武装が完成する。
「ほう、まだ隠し玉を持っていたか!」
スメラギは対装甲散弾砲をヘーミッシュ達に向けて放つ。対機動兵器用であるこの武装ならば、バリアだろうと余りある火力で貫通する事ができるはずだ。
「さすがにこれくらいの小細工は看破してくるわね。けれど、こちらも負けるわけに行かないのよッ!」
マーシェはバリアの正体──ナノマシンを操作し、頭上に分厚い防壁を形成する。
それで高威力の散弾を防ぎ切ることはできなかったが、かなり減衰させることができた。
破壊の雨が止むと、ヘーミッシュは左腕に取り付けられたレーザーライフルでスメラギを撃ち落とそうとする。
それを避け地上へ降りると、スメラギは再度散弾砲を撃つ。
「ナノマシンの壁がなければ私たちに勝機がないとでも?」
2体のアンドロイドはその前に高く跳躍し散弾から逃れ、そのままスメラギへ襲いかかってくる。
「ッ!」
スメラギは対装甲散弾砲を還しリパルサーレイでマーシェを迎撃しつつ、後退してヘーミッシュの攻撃を避ける。しかし、
(決め切れない…‼︎これ以上戦ったら…!)
「そろそろ時間切れだ。スメラギ・カランコエ」
「ヅあッ…!!?」
直後、胸に強い衝撃が突き抜け、スメラギは吹き飛ばされる。いつの間にかアンドロイドをトラックに搬入するエリアに移動していたようで、シャッターを突き破り、工場遺跡の外へ追い出される。
ヘーミッシュはいとも簡単にシャッターをぶち破ると、彼らはゆっくりとスメラギに近づく。
(使うしか…ないのか…⁉︎)
しかし。
突然、雷の柱が空から2体のアンドロイドに降ってくる。
ある意味、想定外だったのはスメラギの方だったのかもしれない。
「なっ…⁉︎」
故に、スメラギは思わず声を上げ、振り返る。
そこには、この場に1番居て欲しくなかった人達が、立っていた。
*
「もーっ、1人で先走るから!」
「…少し、手間取っているだけだよ。問題ない」
ラミィの叱責に、スメラギはやや俯きがちに応じる。
「その割にはけっこう苦戦してるじゃん。さっさとコイツら倒してこの気持ち悪い状況から抜け出させてもらうよ」
そう言うと、ぼたんはスナイパーライフルを構えヘーミッシュに狙いを定める。
「とりあえず貴方のことは奴らを倒してからでも解決できるだろう?」
「なら皆で戦った方がいいっしょ」
あやめが刀を抜き、シオンが魔法陣を構築する。
「この戦いが終わったら、ちゃんと話して欲しいのです…。るしあが見た記憶のことも」
「それは……」
他のみんなも戦闘態勢に入った。
本来ならば心強いはずなのに。敵は一致していているはずなのに。スメラギの心中をどうしようもない絶望が満たしつつあった。
「漏れなく誘導できたようだな」
「えぇ。ここまで来ればどう転んでも同じ結果にはなると思うけれど」
「念の為だ。仕上げは任せたぞ」
「了解」
「先手必勝! 〈
シオンの照射魔法を左右に分かれて避けると、それぞれノエルとあやめに向かって走る。正面突破を図るつもりだ。
「舐められたものだ。余と」
「まともに戦って勝てるわけないでしょっ!!」
ヘーミッシュの突進を、
「鬼神刀阿修羅、秘奥が壱」
あやめはむしろ反撃をもって防ぐ。
「〈
「ッ!!!」
重みのある神速の一撃がヘーミッシュを襲う。
「ふッ…!」
マーシェが繰り出した突きを手甲で弾く。
が、これはブラフだ。もう片方の手刀がノエルの腹部を狙う。
「だから」
ガッッッ!!! とノエルは寸前で手首を握り締め、その攻撃を止める。
「同じ手は通用しないっての!!」
「動きが止まった。ほいっ、と!」
「はッ!」
ぼたんとフレアがそれぞれ、2体のアンドロイドに向かって射つ。
「チッ…!」
ヘーミッシュは寸前で身体を捻ることで致命傷を避けたが、マーシェは避ける事ができず、肩から胸へと横から貫かれる。
腕から力が失くなったのを感じると、ノエルはマーシェの腕を離し、横に避ける。
「じゃあね機械人形さん。〈
ノエルの背後では、既に魔法陣を構築し終えたラミィが立っていた。
ラミィは巨大な氷柱を高速で射出する。
「ッ!!!」
それはマーシェを捉え、機械の体に大きな風穴を開ける。
致命傷を2度も負ったマーシェは流石に稼働することができず、機能を停止させそのまま倒れていった。
「残るはお前だけだ、ヘーミッシュ」
「もう勝った気でいるらしい…!」
ヘーミッシュは飛び退くと同時にレーザーを放つ。
「させない! 〈
「〈
ちょこがそれを防ぐと、メルが雷で反撃する。
「それは対策済みだ!」
「けど、足は止まったねっ! るしあちゃん!」
「〈
〈
「…!」
ヘーミッシュはあまりの重さに立っていられず、膝をつき、頭を垂れるような姿勢になる。
「終わりだ」
「どうかな…!」
ぐぐぐ、と高重力の中腕を持ち上げると、
「ッ!」
ヘーミッシュの腕が小さな爆発と共にあやめに向かって射出された。
しかし、
「悪あがきだな」
神速の如き一太刀で飛んで来た腕を斬り伏せると、もう一方の刀でヘーミッシュの首を斬り落とす。
そして、ヘーミッシュは完全に動かなくなった。
*
あっさり、であった。
人数差はあったとは言え、ソフト・ハード双方で強化が施された彼らをこうも簡単に撃破してしまった彼女らに、少しの安心を感じると共に圧倒された、というより恐怖に似た感情が湧いた。
それは彼女らの力に対してだろうか。それとも。
何はともあれ。
脅威はひとまず去った。後は奴を倒すだけだ。その先は流れに任せればいい。
「お、終わったぺこ…?」
静かになったのを察知すると、物陰からひょこっとぺこらが顔を出す。
「まぁ一応」
「あーぺこらちゃん、アレちょうだい。『マナジュース』!」
「エーテルぺこでしょ⁉︎不味そうな名前付けるなぺこ!」
その時。
「ッ…!?」
誰もが反応できなかった。
頭部を破壊され完全に機能を停止していたはずのヘーミッシュが、残っていたやたらゴツい腕からレーザーを発射したのには。
「ぺこらッ!!」
突如として迫りくる脅威に、ぺこらは息を呑むことしかできない。
「まずい、避けてっ!!」
スメラギは反射的にスラスターを全力で開放し、ぺこらの元へ飛ぶ。
だが運の悪いことに、ぺこらとは距離が開いていた。どんなに速く走ったところでレーザーには追いつけないし、魔法陣を構築する時間だってなかった。
つまり。
(追いつけないっ⁉︎そんな、このままじゃ…!)
また自分のせいで要らない犠牲が生まれる。
あの光景がフラッシュバックする。そうならないように、戦ってきたのに。彼女から、みんなから託されたはずなのに。
(だったら使えばいい。俺の力を)
頭の中で声が響く。
(ダメだ! その力を使えば…!)
(おいおい、まだ日和ってんのか? テメェじゃ仲間は救えねぇって言ってんだよ‼︎俺なら救える。この力を使えばな)
(けど…それを使ったらっ、もう元には戻れない…全てが無駄になる…!)
(それがどうした⁉︎今更だろ! ハッ、自分が可愛くなったか? 自分の為に誰かを犠牲にするのは仕方ないと割り切れるのか!? お前が!)
(違う…! 僕は…っ)
(どうせ俺達は忌み嫌われる存在。それが運命だ。だったら、こそこそして他者にびくつく必要なんてねぇ。つまんねぇ縛りなんか捨てて、やりたいようにやるべきだろ‼︎なぁスメラギ!!!!)
(ぼ、僕は……っ!)
全てがスローモーションに見えてくる。俯瞰しているかのように、視界が遠のいていく。
(スメラギィィィィィィィィィィィ!!!!!!!!!!!)
(ぅああああああああああぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!!!!!)
ッッヴンッ!!! と。
まさにぺこらを灼かんとしていた光線が、アニメの作画ミスかのように突然消える。あるいは、存在ごと消されたかのように。
あるいは。
「ふぇ……?」
いつまで経っても何もやって来ないのに気づき、ぺこらは恐る恐る目を開ける。
ただ、ぺこらでは見ていたとしても気付かなかったかもしれない。
だが。
あやめやシオン、ノエル達の魔眼を誤魔化せるはずはなかった。
「ま、さか……」
「今の…、今のは」
「…やっぱり。そうだったんだ」
「君は、『スターク』だったんだね」
邪神の力。
彼女たちは今、まさにその波動を感知したのだ。
*
「そんな…スメラギさんが、『スターク』だなんて…」
「何で…何でだよっ! どうしてお前が…‼︎」
「……」
フレアの悲痛な叫びに、スメラギは沈黙で応えるしかない。
『その通り。奴は『スターク』だ』
突然、ヘーミッシュの声が聞こえる。それも全方位から。
「な…ヘーミッシュは倒したはずではッ?」
『ナノマシンに一部のデータをコピーすればこれくらいはできる。……さて、全てを明かしてやると言ったな。まずは
姿も形もなくなったヘーミッシュは、ゆっくり語り始める。勝利の余韻に浸るように。
『数ヶ月前、ゼノクロスは封印された世界で邪神の力の波動を感知した。彼は世界を破壊する因子を滅ぼす為、作られた兵器だ。故に封印から目覚め、『スターク』であるスメラギを攻撃する事にした』
しかし、それは世界にとっては想定外だった。存在すら曖昧で都市伝説化していた機動兵器が突然現れた上に、「罪のない住民」を攻撃し始めたのだ。明らかに異常事態だった。
『だが、世界はゼノクロスを迎撃した。事もあろうに、『スターク』を庇ったのだ。だから滅ぼした』
「あんた…! そんな理由で世界を2つも滅ぼしたの⁉︎」
『無論だ。危険因子を擁護するものも同様に危険因子とするのが自然だろう。少数を切り離し、大勢を救ったまでだ』
ノエルの怒りに、ヘーミッシュはあくまで淡々と返す。まるでその怒りの矛先が見当違いであると言うかのように。
『分からないか? そもそも、その地に『スターク』がいたから滅びることになったのだ。『スターク』さえいなければ我々は目覚めることなく、また世界を滅ぼす事もなかった』
そして。
「……」
『そして、我々がわざわざ街を襲い、お前たちをこうして集めたのも、全てこの世界にスメラギがやって来たからだ』
流れが変わる。
レールが、確実に切り替わっていく。
『スメラギがいれば、遠からずこの世界も先の2つと同じ結末を迎える』
敵意が、こちらへ移る。
『奴を殺せ』
「スメラギさん。何か言い残しておくことは?」
俯き、力無く立ち尽くしているスメラギにあやめは尋ねる。その声色は無機質だった。
「…何も、ないよ。最初から、こうしておけば良かったのかもしれない…僕は愚かだった」
「…貴方に『力』さえ宿らなければ、違った道を共に歩めたかも知れなかったが」
あやめはゆっくりと刀を抜く。
全ての元凶を断つ為に。
「さらばだ」
「あやめ先輩待っ…!」
(おい、早く避けねぇと死ぬぞ)
(それでいい…。これは、避けられない運命なんだ。僕が死ぬ事で全て解決するのなら、死んだって構わない…)
(ハッ、そうかい。なら)
声が遠ざかる。いや、自分が遠ざかっているのだ。
(引っ込んでな臆病者)
あやめの一撃はスメラギの首を綺麗に斬り落とし、それで全てが終わるはずだった。
「なっ…⁉︎」
俯き、無防備なスメラギの首に振り下ろされた刃先は薄皮一枚も斬る事なく、まな板を包丁で斬ろうとした時のような硬い感触だけがあやめに伝わってきた。
「ッ!!」
直後、轟ッ! と凄まじいオーラを感じとり、あやめは即座に飛び退く。
「あの、禍々しいまでの気は…⁉︎」
「おいおい痛えじゃねぇか。
明らかに先程までとは違った。何が、というとあらゆる点で。
だから。
「お前…一体何者だ…っ?」
思わずフレアは呟いていた。
「俺はオーガスト。スメラギが生み出したもう一つの人格さ。
「オーガスト…? それが…」
スメラギが頑なに使わなかった『力』を、臆する事なく露わにしている。
「そうさ。アイツは『スターク』である事に耐えきれず、俺を生み出し『力』を俺に押し付けた。だがお陰で俺は自在にコイツを使うことができる」
全身から
「テメェらは俺達を殺すつもりらしいな。だが俺はこんな所で死ぬつもりはねぇ」
「……だったら?」
ノエルは静かにメイスを構え直す。
「そりゃあ…テメェらを潰すに決まってんだろォが!!!」
ようやくここまで来れた…!
実は下書き時点では、『スターク』だとバレた後スメラギとホロメンが戦闘し、スメラギが追い詰められる、という予定でした。しかし書いていくうちに下書きから逸脱していって、スメラギ自身がホロメンと戦うシーンが削られ、今の感じになりました。