【本編完結済】ホロライブ・オルタナティブ~If this is inevitable fate, I will call it a curse~   作:らっくぅ

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そういえばすっかり忘れてたけど、やっぱりヘーミッシュとマーシェは噛ませ犬だった…()

大丈夫!安心して!ちゃんと君達が強い世界線作ってあげるから!


29話 それでも歯車は回り続ける

「ッ!!」

 

 右腕に収束させた『力』を、オーガストは一気に放出する。それはある種の光線となってあやめ達に襲い掛かる。

 

「スメラギさん…いや、オーガスト! ここで貴様を滅ぼすッ!」

 

 滅びの光線を避けると、あやめは刀を構えオーガストに迫る。

 

「鬼神刀阿修羅、秘奥が弍……<涅槃西風(ねはんにし)>ッ!」

 

 刀身が揺らめいて見えるほどの緩急をつけた一撃が、あやめから放たれる。対してオーガストは、しかしそれを前にして避ける事もしない。

 

「やかましいんだよ!!」

 

 この秘奥は緩急をつける事で受けのテンポをずらし、予測不可能な一撃を加えるといったものであって、そもそもが「人」に対して作られた技だ。だから、

 

「ハッ! 捉えたぜぇッ!!」

 

 邪悪なオーラを腕に纏ったオーガストは、相手の意表を突くタイミングずらしなどお構いなしに刀身を掴む。

 

「チッ…!」

 

 あやめはもう一振りの刀を抜き、突きを繰り出そうとする。

 

「おせぇ!」

 

 オーガストは阿修羅を放すと、その手から衝撃波を放ちあやめを吹き飛ばす。

 

「あやめちゃんっ!!」

 

 すると、吹き飛ばされたあやめをカバーするように、今度はノエルが前に出る。

 

 

 

「愚かだな! 最初から俺を殺していりゃ被害が増えることはなかったのによォ!!」

 

「…そうだね、私の判断ミスだった。だからせめて、ここであんたを滅ぼす!!」

 

「ハッ、やってみな! テメェの馬鹿力で俺を圧倒できるもんならな!」

 

 その挑発に乗るように、ノエルは渾身の力を込め秘奥を放つ。

 

「破砕鎚、秘奥が弍……<衝流撃破(しょうりゅうげきは)>ッッ!!」

 

 ノエルはメイスを振り下ろす。

 

 打撃の際に衝撃を対象に流し込む事で、内側から粉砕する技。しかし、

 

「効いてない…!?」

 

 その衝撃波はオーガストに届くことなく、周りの地面を粉砕していった。

 

「内から壊すんなら、そもそも衝撃波を通さなきゃいい話だろうが!!」

 

 言うは易しだ。規格外の膂力から生み出されるエネルギーを前に、そのような手段で対抗するのがどれだけ困難な事かは、ノエル自身がよく知っている。

 

 

 

 突然、オーガストは空を薙ぐ。その手に掴んでいたのは1発の銃弾だった。

 

「ちょっ…意識外の狙撃を掴んで防ぐとか、化け物か…」

 

「ぼたんちゃんっ、助かる!」

 

 攻撃自体は防がれたが、注意は逸れた。

 

 ノエルは一旦距離を取ると、メイスを両手に持ち直し再びオーガストに攻撃を仕掛ける。

 

「おいおい、さっきよりも浅ぇなぁ!! 殺す気あんのかよ⁉︎」

 

「そりゃあさっきよりも衝撃を調整してあるからね。あんたを抑え込めるようにさッ!!」

 

 ッッッグンッ!!!! と。

 

 防がれたメイスに、ノエルはありったけの力を込める。

 

 あまりのパワーに地面が耐えきれず、大きくへこむ。

 

「なるほど。ちょっとはやるじゃねぇか。だが俺にはどうってことねぇなぁ!」

 

「ッ⁉︎」

 

 瞬間、オーガストの姿が消える。

 

 ハッと気付いた時には、既にノエルの背後、正確にはフレア達の方へと向かっていた。

 

 オーガストは『力』を纏った腕で薙ぎ払う。それは滅紫の斬撃となって彼女達に襲い掛かる。

 

「ッ!!」

 

 魔界学校組は<四属結界壁(デ・イジェロン)>を展開し、斬撃を相殺させる一方で、フレアとラミィは跳躍して避ける。

 

「待てよっ! スメラギなんだろ、お前!」

 

「フレアさん、今は戦いましょう…! あの人はもうスメラギさんじゃないっ!」

 

 ラミィは前面に冷気を広げ、魔力を込める。

 

「<聖寒冷結縛界(シェルヘイダル)>!」

 

 魔法陣から極低音の冷風が吹き出てオーガストを氷漬けにする。

 

「ああそうだ。俺はスメラギであってスメラギじゃねぇ。勘違いしてもらっちゃ…」

 

 しかし、氷結はオーガストの身体そのものまでは届いていなかった。

 

「困るぜ女エルフッ!!」

 

 全身から『力』を噴出させ氷の結界を砕くと、そのままフレアへと迫る。

 

「…っ!!」

 

「テメェの目の前にいるのは世界の厄災『スターク』だぞ‼︎躊躇なんかしてんじゃねぇよ‼︎」

 

「…ッ、けどお前はあの時っ…!」

 

()()()()()()()()()()()()()()()()使()()()()()()()。こう言ったら俺と戦う理由ができるか? 不知火フレアァッ!!!」

 

「お前ッ…!?」

 

 だが攻撃が加えられる事はなかった。

 

 その前にシオンが<魔黒雷鉄槌(ジラズ・ノア)>を放ち、オーガストを止めたからだ。

 

「アンタが邪神の力を持ってるってこと? だったらアンタを倒せばスメラギさんは『スターク』じゃなくなるのっ⁉︎」

 

「俺はあくまで『スメラギ』の一人格に過ぎねぇ。俺が消えたら今度はスメラギが『力』を持つだけだ。それこそ、テメェらの恐れる世界の滅亡に近づくと思うがな!!」

 

「結局、スメラギさんを殺さなきゃいけないってことね…!」

 

 シオンにちょこ、メルが続けて魔法を叩き込むが、

 

「え…⁉︎」

 

「消えた⁉︎」

 

 否、いつの間にかオーガストの手元に浮いていた。

 

「おらぁぁッ!!」

 

 それをオーガストは思い切りぶん投げる。

 

「ッ!」

 

「秘奥が壱…<薊蓮華(あざみれんげ)>!」

 

 迫り来る黒い太陽に対し、るしあはシオン達の前に立ち聖なる結界で防御する。

 

「るしあちゃん危ないよっ!」

 

 メルの制止も振り切って、るしあは光り輝く聖剣──聖霊天蝶剣(ファルファリア)で迎え撃つ。

 

「ぅぐっ……! スメラギさんやめて! るしあ達が戦うことなんて…!」

 

「間抜けがッ! 過去の記憶とやらに惑わされて『スターク』を見逃すやつなんかいるかよ!」

 

「でも…スメラギさんは世界を守るためにずっと戦ってたじゃないですか⁉︎だったら…!」

 

「世界のために? ハッ! あんな記憶、嘘に決まってんだろ! テメェを同情させる為にかましたハッタリに過ぎねぇ! ここにいるのは正真正銘、世界の脅威なんだよッッ!」

 

「スメラギさん…‼︎」

 

「るしあちゃん!」

 

「るしあ下がって!」

 

 そこへ左右から挟み込むようにあやめとノエルがオーガストに迫る。

 

 2人の一撃を、オーガストは両手で受け止める。

 

「フン」

 

 軽く鼻で笑う。

 

 まるで相手になっていなかった。あやめ達は魔界の中でも実力派。ノエルやぼたんだって只の傭兵じゃない。フレアとラミィは言うに及ばず。

 

 だというのに。それら全てを相手だってなお、『スターク』は本気すら出していなかった。

 

「話にならねぇな。テメェらじゃ俺を殺す事はできねぇ」

 

「……」

 

「だが安心しろ。俺はテメェらに興味はねぇ。もう殺そうとも思わねぇ」

 

 オーガストは勝負はついたと言わんばかりに、振り返り去ろうとする。

 

「待てっ! お前の目的は何だ!」

 

「決まってんだろ。俺を狙うゼノクロスをぶっ壊すんだよ」

 

 オーガストの身体から再び闇のオーラが発せられる。

 

「いい準備運動になったよ。じゃあな…永遠に」

 

 ぼたんはライフルから銃弾を放つが、命中する直前でオーガストの姿が消え、弾丸は虚空へと飛んでいった。

 

 

 

「逃げられたか…」

 

「オーガスト…。アレが真の敵か」

 

「敵って…! あやめ先輩、あれはスメラギさんじゃないですかっ! るしあ達と一緒に戦ってくれた…!」

 

 るしあはなおも、否定しようとする。それはただ単に、自分だけが知っている真実を追求したかったからではない。

 

「だが、彼がこの事件の元凶だったんだ。彼を滅ぼさなければ被害が増え続けてしまう」

 

「そもそも『スターク』の時点で、スメラギは生きていちゃいけないんだよ。私たちが倒すしかない。それがあの人の運命なんだから」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 着いた先は、人間が住む事を放棄し、ただ風化していくのみのビルやマンションといった構造物が乱立している──都市ゼボイムの郊外だった。

 

「どうして彼女達と戦ったんだ……。僕が死ねばそれで全部解決する。それで、良かったのに…」

 

「全部? ふざけた事言ってんじゃねぇ。ゼノクロスが残ってんだろうが」

 

「だが彼は『スターク』を滅ぼす為に戦っていた! 世界を守ろうとしていたんだ!! ……本当の黒幕は僕だ」

 

 スメラギは力なく叫ぶ。受け入れたくない事実は、しかし真実でもあった。

 

「知った事じゃねぇ。奴は俺達にケンカを売った。だから潰す。シンプルな話だろうが。それに、テメェは死にてぇかもしれねぇが、俺は生きていたいんでな。あんなデカブツはもちろん、あの女どもに殺されるなんて真っ平御免だね」

 

 とは言え、自滅することで全ての責任を取るという未来は、他ならぬもう1人の自分によって潰されてしまった。

 

「僕は……進むしか、ないのか…」

 

「あぁその通りだ。その為にアイツらと焚き付けたのもあるからな」

 

「……」

 

「これでアイツらはこの件に関わることはなくなる。テメェの望み通りにしてやったんだ。感謝してほしいもんだな」

 

「……そうだ、これで良かったんだ……。もう誰も犠牲にさせない、そう誓ったんだっ…」

 

 相当な痛みは伴ったが、望んだ状況にはなった。

 

 ならば。

 

「ハッ、少しはやる気になったみたいだな。楽しくなってきたぜ…」

 

 前へ踏み出せ。正不正も、善悪も、今はどうだっていい。

 

 ただ、目の前の道を歩いて行かねば。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 だが、それでも運命の歯車は外れてはいない。それは、()()()()()()()()()()()

 

 

 

うっ……た、たすけて……」

 

 小さく、弱々しかったが、確かに声が聞こえた。

 

「……」

 

 こんな状況に置かれても、スメラギはなおそちらへ向かっていくことを選んだ。

 

 それは、ある意味では悪手であるように思えたし、また別の意味では救いの一手であったのかもしれない。

 

 少なくとも、転機ではあった。

 

 助けを求めていたのは、どう見ても普通のゆるふわ系な短髪の少女、

 

「なっ……ろ、ロボ子、先輩……っ」

 

()()()()()()()()()




ロボ子さんの登場シーンは、ホロライブ・オルタナティブの公式PVから着想を得ました。ゼボイムは西にあると言ってしまったばかりに、雨を降らす事はできませんでしたが( ´・ω・`)

とは言え久しぶりの新メンバーですね。あともう数人増える予定です。
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