【本編完結済】ホロライブ・オルタナティブ~If this is inevitable fate, I will call it a curse~   作:らっくぅ

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小説書くモチベだけは高くて困る。困るけど助かる。


31話 月姫とマリンメイド

「それで、君はこれからどうするの?」

 

「そうだね…まずは仲間に会って、話さなきゃ」

 

「おっけー。友達と仲直りから、だね!」

 

(テメェは相変わらず、他人の為に戦うんだな)

 

 オーガストのその言葉に、思わずスメラギは小さく笑う。

 

「あはは……そうだね。僕は結局のところ、誰かが必要なんだ。僕は弱くて、小さくて…だから他人と繋がっていたい。僕を支えてくれる誰かのために戦いたいと思えるんだ」

 

「えーと…今誰と話してたの?」

 

 と、ロボ子は一見独り言に見える会話を見てきょとんとする。

 

「あぁ、今のはもう1人の僕……そういえば、まだ自己紹介すらしていなかったね」

 

「あ、そうだった!」

 

 スメラギとロボ子は共に苦笑する。まだ出会って間もないはずなのに、不思議と打ち解けていた。

 

「僕はスメラギ。アルヴィアスで傭兵をしているんだ。さっき話していたのは…」

 

「オーガストだ。邪神の力を持つ、正真正銘の『スターク』さ」

 

 オーガストは自嘲気味に自己紹介する。

 

「なるほど、二重人格だったんだね。それに『スターク』かぁ…でも話に聞いてた印象と全然違うね。僕はロボ子って言うんだ! よろしくスメラギ! オーガスト!」

 

 と、スメラギのポケットからヴヴッと抗議の声が聞こえる。

 

『マスター。私のことを忘れていないでしょうか。』

 

「えっ? い、いやそんな事ないよ⁉︎」

 

『そうでしたか。…私はAPRIL。マスターことスメラギ様の相棒です。会えて光栄です、ロボ子様。』

 

「? 僕も仲間に会えて嬉しいよ。よろしくねAPRIL!」

 

「…チッ。何だこの機械女、俺たちが怖くねぇのか? 機械なら『スターク』がどれだけ世界の脅威なのかインプットされてるはずだろ」

 

 ロボ子のあっけらかんとした様子に、オーガストは調子を狂わされたと言わんばかりだ。

 

「そりゃあ僕だって『スターク』のことは知ってるけど。君は…何だろうな、悪意が感じられないというか。君みたいな人が世界の災厄だなんて信じられなかったんだよ」

 

「そうかよ」

 

 オーガストは不貞腐れたように裏に引っ込んでしまう。

 

「とりあえずは…街に向かってもいいかな? 少し休息を取りたいんだ」

 

「いいよ〜。ゼボイムの居住区はすぐそこだよ」

 

 ロボ子にそう言われ、初めて気づく。

 

「そうか、ここはゼボイムだったのか…」

 

(ここならゼノクロス(ヤツ)の手がかりも探しやすいだろうからな)

 

『ゼボイムにはアルヴィアスのハンガーが設置されております。センチュリオンの受領も兼ねて、アーマーの改修をしに立ち寄ってみては?』

 

「あぁ、そうだね。彼らと戦うかは分からないけど、準備を整えておかなきゃね」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 パワードアーマーの改修などを終え、しばし仮眠を取ると、既に夜が明け輝ける太陽が人々を眠りから覚ます準備をしていた。

 

「もう起きたんだ。早いねぇ」

 

「あまりゆっくりしてもいられないからね」

 

「そっか。じゃあ、どこに向かう?」

 

「仲間とは、エルフの森から北西に行ったところで別れたんだ。だから、東の方へ行けば彼女たちと会えると思う」

 

「おっけー! ここから東に行ったところにトエイクって町があるんだ。そこで情報収集するのも良いかもね」

 

 そうして話が進み、いざ出発しようというところで。

 

あ、あのぉ…

 

「?」

 

 何か聞こえた気がする。

 

「えぇと…ロボ子さん。何か言った?」

 

「んーん? というか、さん付けやめてよー。まだぎこちないなぁ、君」

 

「ご、ごめん…慣れなくて…そりゃあ大先輩だし…

 

あ、あのぅ…! ……うぅ、やっぱり無理だよぅ。ルーナちゃんが言ってよぉ〜」

 

「ちょっとぉ、ルーナは姫なのらよっ! メイドであるあくあちゃんが頑張るのら!」

 

 どうも後ろが騒がしい。不審に思いスメラギが振り返ると、

 

「ひっ…!」

 

「あ、こら! …もぉ〜っ。そこの傭兵さんとロボットさんっ! あなた達に頼みたいことがあるのらけど!」

 

 そこには、淡いピンクの可愛らしいドレスを着たいかにもなお姫様と、その後ろに隠れる(ただしピンクと水色のツインテールがはみ出ている)メイド服姿の少女がいた。

 

 

 

 

 

「……えぇと、何を頼みたいのかな」

 

 まさかここで、この2人と会うとは思ってもいなかったので、スメラギは少々混乱しつつも、そう尋ねる。

 

「実はルーナ達、マイスフィールド卿のところに大事な用があって、そこまで行きたいのらけど、ルーナ達だけじゃ魔物に襲われるかもしれないのら」

 

 マイスフィールド卿。それは、かつて共にゼノクロスと戦ったシュテッフェン・フォン・マイスフィールドのことなのだろうか。

 

「なるほど。目的地まで護衛して欲しいってこと?」

 

「そうなのら! 話が早くて助かるのら!」

 

「うーん、スメラギ、どうする? マイスフィールドはここから西の方だから、トエイクとは真逆の方向だよ?」

 

 しかしこうも立て続けに顔見知りと会う事になろうとは…

 

「…失礼だが、マイスフィールド卿には何の用事で?」

 

「んー…あんまり人に言える事じゃないのらけど…とにかく大事な用事なのら! もしかしたら世界全体に関わる事かも」

 

「っ」

 

 その言葉を出されては、断ることはできなかった。

 

「世界に関わることって…?」

 

「大きな声じゃ言えないのらけど、()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()

 

「ッゼノクロス、だって…⁉︎」

 

(おいおいこいつは…)

 

 驚愕するスメラギとは裏腹に、オーガストは興味深そうに笑う。

 

「そう。だから一刻も早くシュテッフェンのおっちゃんと話し合いたいのらっ! まだ中は開かないけど、ゼノクロスが実在するのが知れたら、厄介な事になるのら…‼︎」

 

「セト……彼が目覚めようとしている…?」

 

(…?)

 

 ロボ子の呟きにスメラギは少し引っかかったが、それよりもルーナに返答する必要があった。

 

「分かった。そういう事なら、君達に同行するよ。ただ、一つ聞かせて欲しい。どうして君はゼノクロスを知っているんだい? アレは都市伝説だと周知されているはずだけど…」

 

「それはルーナのご先祖様がゼノクロスの開発に携わっていたからなのら。色々あって、知れることはもう少ないけど、ゼノクロスがめちゃくちゃ強力な兵器だってのは理解してるのら」

 

 それはスメラギもよく理解している。だからこそ、引き受ける以外の選択肢はなかった。

 

「いいの? お友達は…」

 

「大丈夫。自分で言うのも変だけど、今の彼女たちが僕のことを放っておくわけはないからね…」

 

 

 

「んじゃ、交渉成立なのらっ! ルーナは姫森ルーナ! 見ての通り王国の姫なのら! …ほら、あくあちゃんもっ!」

 

 いい加減後ろに隠れているメイドを引っ剥がし、ルーナは自己紹介を求める。

 

「うぅっ……み、湊あくあで…。よ、よろしく…」

 

 伏し目がちに、もじもじしながらメイド──あくあは自己紹介する。

 

 この人は相変わらずだなぁ、と苦笑いを浮かべつつ、スメラギも名乗り返す。

 

「僕はスメラギ。制服でわかるかもしれないけど、アルヴィアスで傭兵をやっているよ。よろしく、ルーナにあくあ」

 

「僕はロボ子だよー。よろしくねぇ〜」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「本来、ゼノクロスは強力ではあっても危険な兵器じゃないのら」

 

 道中、ルーナはゼノクロスについて説明する。流石にゼノクロスの開発者の末裔ということで、持っている知識は一般人の知れるそれではなかった。

 

「ゼノクロスは異世界大戦末期に開発された科学世界側の決戦兵器。強力無比な武装を有しているが故に、AIによる無人操縦ではなく有人による操作で稼働するようになってるのら。一応、サポート用としてAIは搭載されているのらけどね」

 

「第10世代量子コンピュータ搭載型人工知能『セト』、だね」

 

 自分でも知らない知識をロボ子の口から発せられたのを耳にし、ルーナは驚きを隠せなかった。

 

「え…ロボ子ちゃん、何でそれをっ?」

 

「まぁ…昔、ちょっとね」

 

 あまり思い出したくない内容のようだ。ルーナはそれ以上追及しないことにした。

 

 

 

「だが、ゼノクロスは封印されたんだろう? 有人式でリスクを回避したにも関わらず」

 

「そう。詳細は分からないのらけど、ある日突然ゼノクロスが起動しなくなったらしいのら。外部からエネルギーを与えても、うんともすんとも動かなくなった。その後、ゼノクロスは地下深くに封印されたらしいのらよ」

 

 明らかに不可思議な現象だ。機械の不調というわけではなかったのだろう。まるで()()()()()()()()()()()()()()()突然起動できなくなった。

 

「…しかしゼノクロスはどういう訳か目覚めた。そして、脅威を滅ぼす為に世界ごと僕を抹殺しようとした…」

 

 それが時間経過によるものか、人為的なものだったのかは分からない。だが、ゼノクロスは確かに起動に成功し、世界を2つ滅ぼした。

 

「君が、『スターク』だから?」

 

「…あぁ」

 

 否定する気はない。それは紛れもなく真実だ。

 

 しかし、だからと言って自分が死ねば万事解決などとはもう考えない。

 

 

 

「えっ? さらっと言ったけど、スメラギさん、『スターク』なのら…⁉︎」

 

「す…、えぇと……ルーナちゃん、すたーくってなに? 

 

「もうっ、引きこもりメイドは黙ってるのらっ!」

 

「ひぃん…」

 

 1人話に置いてかれるあくあはさておき。

 

 

 

「あぁ…実は、僕は『スターク』なんだ。…あんまり口外して欲しくはないんだけどね」

 

「えっと…取って食ったりしないのら…?」

 

「あはは…そんな事はしないよ。理由もなく誰かを傷つけたり、自分のエゴで世界を滅ぼせるほど、僕は大それた人間じゃあないさ…」

 

 おっかなびっくり尋ねるルーナに、スメラギは苦笑を交えて応える。

 

「それについては僕が保証するよっ! ねっ、ルーナちゃん」

 

「…う、うん。まぁ、2人がそう言うのなら……というかっ! ゼノクロスが目覚めてたのらっ⁉︎もうっ、知ってるなら早く言ってよっ! 『スターク』とか言ってる場合じゃないのら!」

 

「ごめん、展開が急すぎて話すタイミングが…」

 

「ちなみに僕も初耳だったよスメラギ?」

 

「うっ……すみません…」

 

 成長したとは言え、流されてしまうのは直らなかったらしい。人はそんなにすぐ成長しないのだ。

 

「ほら、急ぐのらよ3人ともっ!」




あく虐はいいぞ…^^
スメラギはシリアスなシーンが多くて、日常パートでの使い道があまり分からなかったのですが、見つけました。こいつはポンコツです。

そういえば、シュテッフェンて誰や?と思ってる方がいるかと思いますが、1話に登場してた人です。まぁメインキャラかと言われればそうでもないので覚えてなくても多分大丈夫だと思います。
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