【本編完結済】ホロライブ・オルタナティブ~If this is inevitable fate, I will call it a curse~   作:らっくぅ

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私らっくぅ、重大なミスを犯してしまいました。ロボ子さんは記憶喪失だという設定を、すっかり忘れていました。
しかし、僕の頭の中では既にロボ子さんは記憶喪失ではない設定でお話し進めちゃってるので、今更変えることはしません。
改訂版では公式設定通りになっているかと思います。←直しませんでした(2022/12/13現在)

それでは、ゆっくりしていってね(便乗)


32話 世界の命運は託された

 翌朝。

 

 

 雲一つない快晴にも関わらず、彼女たちの心中は暗雲に覆われたままであった。

 

 ただし、ただ1人を除いては。

 

「さて、彼はどこへ向かったか…」

 

「もしまだゼノクロスを倒すのを諦めてないんだとしたら、遺跡の多いゼボイムへ行ったのかも」

 

「私もノエルと同意見。彼がゼノクロスを目覚めさせる前に叩こう」

 

「ちょっと待って欲しいのです」

 

 そこへ、るしあが声を上げる。

 

 

 

「るしあ?」

 

「本当にスメラギさんを殺すつもりなのですか? いくら『スターク』だからって、るしあ達の仲間を手に掛けるなんておかしいのです」

 

「…るしあちゃん、『スターク』はそんな軽々しい存在じゃないよ。『スターク』がいれば、世界に災厄が訪れる。ゼノクロスみたいに、『スターク』を滅ぼす為に強大な力が集まってきちゃうんだよ。そんなのが放置されてたら、いつか世界が滅びちゃう」

 

 シオンは優しく、しかし冷酷な事実を突きつける。シオンのいう事は、世間の『スターク』に対する意見そのままだ。それ故に、誰もそれを否定することなく、当たり前と受け入れている。

 

 るしあだってそれは同じだ。ずっとそう教わってきた。

 

「でも…! 『スターク』であることが、そんなに悪いことなのですか⁉︎どれだけ善い事をしても、『スターク』だからってだけで滅ぼすに値するのですかっ⁉︎」

 

 だが、そんな常識に従って仲間と敵対するのは絶対に嫌だ。こればかりは理屈じゃない。

 

「それは…」

 

 シオンは言い淀む。やはり、頭では倒すべきと分かっていても、心のどこかでそれを躊躇っている。

 

 それを引き出してみせる。1人で闇雲に動くのではなく、仲間を説得する事が、るしあにできる最善だった。

 

「るしあ。どうしてそこまでスメラギに肩入れするの?」

 

 ノエルは怒るのでもなく、非難するでもなく、静かにそう尋ねる。

 

「実はるしあ、前にスメラギさんの記憶を少し見てしまったんです」

 

「記憶を見る魔法ってこと?」

 

「スメラギさんに、ネクロマンサーの力が発動したんだよね?」

 

 と、昨夜事情を聞いたメルが補足する。

 

「えっと、つまりスメラギさんはもう死んでる…ってことですかっ?」

 

「それは分からないのです…。今まで黙っててごめんなさい…るしあも、何で力が発動したのか、よく分からなくて…」

 

「大丈夫。今更責めたりはしないよ、るしあちゃん。それで? 何を見たんだ?」

 

「…スメラギさんは、過去にここの並行世界でゼノクロスと戦った事があるのです。そして敗北し、仲間達…るしあ達もろとも世界は滅びた。スメラギさんはそこで生き残って、この世界へやって来たのです」

 

「ゼノクロスと戦っていた、というのは彼自身の口から聞いたわね。…でも、並行世界の私たちも一緒だったというのは初耳だわ。彼は私たちを知っていたということ?」

 

「…なるほど。じゃああのリストはスメラギの過去の仲間たちを挙げていたのか…」

 

 ぼたんは納得する。とすると、何故ヘーミッシュがかつての仲間を集めて対スメラギの戦力としていたのかも分かってきた。

 

「つまり、仲間を使えば反撃できずに確実にスメラギを仕留められるって訳ね。…流石に悪趣味だな」

 

「そうまでして、スメラギさんを殺さなきゃいけないのですか…? 『スターク』なんて関係ない。()()()()()()が、それだけの目に遭わなきゃ救えないほど、この世界は残酷なのですか…っ⁉︎」

 

 投げかける。

 

 救いたいという、純粋な思いを、るしあは訴える。

 

「……」

 

 それは確かに、あやめ達の心に突き刺さる。

 

 そして。

 

 

 

 彼を救おうとしているのは1人ではなかった。

 

 

 

「…ぺ、ぺこーらは…」

 

 と、それまで黙り込んでいたぺこらが口を開く。

 

 正直、今回の件においてぺこらは外野も外野。何せ、ここにいる動機は全く希薄なのだ。

 

「スメラギに何度も助けられた。この前だって、ヘーミッシュの攻撃を、防いでくれた。ぺこーらがいなければ、『力』を使う事もなく、みんなと戦う事なんてなかったのに」

 

「ぺこら…」

 

 自分のせいでスメラギがあんな目に遭ってしまった。ぺこらは後悔していた。

 

 だからこそ。このまま外野であり続けてはダメだ。

 

「個人的な贖罪なんかじゃない。ぺこーらは、自分を犠牲にしてまでぺこーらのこと守ってくれたスメラギを見殺しにはしたくない!」

 

 

 

「…フレアさんは、どうなんです?」

 

「……」

 

「フレアさんはこのままでいいんですか? 決まった事だから、運命だからってあの人を殺すんですか?」

 

 ラミィは硬い表情でフレアに尋ねる。

 

 以前だったら、そうしてた。決まりに忠実である事が、周りに溶け込む唯一の方法だったから。そうする事で、自分がその共同体の一員であると実感できたから。

 

 だが、それは本当の仲間とは言えない。仲間を恐れず、信頼する事をスメラギから教わった。

 

「…ラミィ、言い方に偏りがあるぞ」

 

「フレアさん」

 

「あいつのもう1つの人格…オーガストの言葉は真実じゃないと思う。お節介なあいつは、ゼノクロスから私達を遠ざけようとしている。この世界を、仲間を守るために戦おうとしている。私は、その思いを無碍にはできない。『スターク』は誰かれ構わず殺す、なんてのが世界の掟だとしたら、そんな掟、否定してやる。そんなの無くたって、世界は幸せになる。いや、してみせる!」

 

 

 

「3人とも…」

 

「意見、割れちゃったな」

 

 結末は変わらないかもしれない。

 

 だが、流れは変えられた。

 

「…あとはスメラギさん次第だ。彼が世界の守護者なのか、破壊者なのか。それは会ってみれば分かる。結果次第では、余達は彼を容赦なく斬り伏せるぞ?」

 

「大丈夫です。るしあは信じてます。スメラギさんは、きっと立ち上がる」




この回はホロメンがスメラギを殺すか否かを検討する回である訳なんですけど、けっこう書くのが難しかったですね…。
というのも世界を守るという観点で言えば、スメラギを殺すのが最適解なんですよ。ゼノクロスを目覚めさせず、かつ『スターク』という脅威も無くす事ができるので。スメラギを生かしてしまえば、後者は達成されないことになり、世界滅亡を完全に防いだとは言えない訳です。
そんな状況で、それでもスメラギを生かす流れに向かわせるにはどうしたらいいかなーと、悩みましたねー。
そのキーパーソンとしてるしあ、ぺこら、フレアを配置したのですが、感情論で他のホロメンを説得させるにも、説得力が足りないかなぁうーん……
で結局あんな感じになりました。感情論は弱いなどと考えていましたが、割と上手くいったのかなぁと我ながら思っております。先取りになってしまいますが、ここで完全に説得してしまうと後に繋がらないので、いい塩梅に抑えられたという意味で。

次回はスメラギルートとホロメンルートが合流…するかな?したいです
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