【本編完結済】ホロライブ・オルタナティブ~If this is inevitable fate, I will call it a curse~   作:らっくぅ

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実質こっから本編みたいなものです


2話 新たな旅の幕開け

 デバイスからけたたましい音が鳴り響く。

 

『……スター。マスター。起きてください。起床予定時刻を6分超過しています。』

 

「ぅっ…。え、APRIL…?」

 

 目を覚ますと、澄み渡る青空──ではなく、白色の天井が目に入ってきた。

 

「APRIL、無事だったのか…!」

 

 スメラギは身体をベッドから起こしながら、デバイスに話しかける。周りを見渡すと、そもそも自分が外ではなく、どこか建物の中にいることに気づいた。

 

『否定します。残念ながら無事ではありません。ミーレ・センチュリオンは先の戦いで消失しました。人工知能(わたし)の方はマスターのデバイスに移ったので無事でしたが。』

 

 APRILは淡々と自身の状況を伝える。

 

「ここは…?誰かが運んでくれたのか?」

 

 それについて、APRILは直接答えることはせずとある人物を呼ぶ。

 

『報告します。マスターが起床しました。』

 

 すると、奥からバニーガールのような奇抜なファッションをしたうさ耳少女が顔を出した。

 

「おぉ!起きたぺこか!いや〜、あんなに血だらけだったのに。人間って強靭ぺこなぁ」

 

「っ……⁉︎えっと、君は?」

 

()()()()()()に、思わずスメラギは息を呑む。悟られぬよう平静を保つ。

 

「ぺこーらは兎田ぺこらぺこ!あんたは?」

 

「僕はスメラギ・カランコエだ。…助けてくれてありがとう、ぺこら。ところで、ここは…?」

 

 スメラギはベッドの近くの窓を覗く。気を失う前に見たのと似た光景が見える。

 

「ここはぺこーらの移動式マイハウス!の中ぺこ。あんたが倒れてたとこからそう離れてないぺこよ」

 

「君の家だったのか。なんだか悪いな…」

 

「まー正直あんたを家に上げるかどうかほんの一瞬だけ迷ったけど、困った時はお互い様ぺこだからね。気にする事ないぺこ!」

 

 世界が変わっても、相変わらずなんだかんだ思いやりのあるぺこらを見て、スメラギは懐かしさを感じたが、すぐにそれを引っ込める。自分の目の前にいるぺこらは、自分の知らないぺこらだ。記憶の中にある人物とは違う。

 

 気を取り直して、スメラギは話を変える。

 

「でも、よく僕を見つけたね。人が来るような場所ではなかったと思うけど…」

 

「まあねー。ぺこーら、行商人でさ。ちょうど品物を仕入れてきて、街に行く所だったぺこよ。あんたのAIの声が聞こえなかったら、ぺこーらも通り過ぎてたかもぺこだねぇ」

 

『肯定します。私とぺこら様のお陰で、マスターを助ける事ができました。』

 

「あ、あぁ…!APRILもありがとう…!」

 

 なんだか言葉に圧を感じたので、スメラギは慌ててAPRILに礼を言う。彼女はAIのくせに、妙に自己主張をしてくるタイプなのだ。こういう時、そっけなく振る舞うとしばらく拗ねてしまうというのもセットで。

 

「まぁ、何であそこで倒れてたかなんて野暮なことは聞かないぺこ。それよりあんた、これからどうするぺこ?」

 

「そうだね…。とりあえず、街に行くつもりだよ。少し野暮用があってね」

 

 次の目的地を聞かれ、そう答えると、ぺこらは目をキラキラさせて身を乗り出してきた。

 

「おぉ〜!ってことはギエルデルタぺこか⁉︎」

 

「あ、あぁ…分からないけど多分そうなるかな…」

 

「いやぁ〜、ぺこーらもちょうどギエルデルタに行く途中でさぁ。でも、こーんなか弱い美少女が1人で辺境を歩くのも危ないぺこでしょ?だからさぁー…?ね?」

 

 あえて皆まで言わずに、にっこりこちらを微笑んでくる。また圧を感じた気がした。

 

「うっ…。まぁその、ギエルデルタ?までなら同行しようかな…。僕も道案内をして欲しかったからね」

 

 ここまで1人で来たんじゃないのか?などとは絶対に言わないスメラギであった。何故なら紳士だから。女心は分からないが、空気を読む事は上手いのだ。

 

「じゃあ決まり!早速向かうとしよう〜!」

 

 

 

 

 

 

 ぺこらの移動式住居は、〈物体縮小(ミニマム)〉によりキャリーケース程度にまで縮小していた。行商人とはいえ歩く以外の移動手段を使っても良さそうだが、あえて徒歩を選ぶのがぺこらのこだわりでもあった。

 

「楽をしてたらつまんないぺこでしょ?旅は歩いてなんぼよ!あと運動しないと、兎なのに足遅いって言われちゃうでしょ」

 

 なんだか体面を気にしているらしい。うさ耳あるのに人間と同じ耳もある時点でおかしいだろうが。

 

「ところで、スメラギは普段何してるぺこ?旅人には見えないぺこだけど」

 

「僕は傭兵だよ。アルヴィアスの」

 

「アルヴィアスって、傭兵組織の最大手ぺこじゃん!あんたよく入れたぺこだねぇ」

 

「あはは……。運が良かったんだよ」

 

 なんかディスられた気がする、というのは忘れておこう。

 

 アルヴィアスは、傭兵業界の中でも、名実共にトップの組織である。様々な世界に進出しており、このターミナル02 ha-01にも支部が置かれていた。

 

「ん…?アルヴィアス……スメラギ……。なんか聞いたことあるような」

「え゛っ。き、気のせいだよ!聞き間違えとか、人違いとかだと思うな…⁉︎」

 

 スメラギは慌ててごまかす。別に大した隠し事ではない。ただ単に気恥ずかしいだけだ。知人に似た赤の他人とは言え、この事はあまり知られて欲しくないのだ。

 

「ふ〜ん…?」

 

『ご歓談のところ申し訳ないのですが、報告します。調べたところギエルデルタにアルヴィアスの支部はありません。しかし、そこから北へ行ったアイゼオンという街には存在します。』

 

 APRILはデバイスでアイゼオンの位置を表示する。

 

「なるほど…。途中で一泊しないといけないから、どちらにせよギエルデルタには寄る必要があるね」

 

「アイゼオンかぁ。ギエルデルタの方が海に面してて、交通の便も良さそうぺこなのに」

 

 疑問に思うぺこらに、スメラギは説明する。

 

「多分、「回廊」があるんじゃないかな。アルヴィアスには異世界の傭兵も来るし、何かと都合が良いんだよ」

 

「回廊」とは、世界と世界をつなぐ文字通り回廊だ。異世界の窓口以外にも、新現代では、「回廊」を通じたネットワークも形成されている。時差や時間の流れが世界ごとに違うため、伝達速度にばらつきはあるものの、場所の制限からは逃れることができていた。

 

「なるほどねぇ。というか、あんたはアルヴィアスの支部に用があるぺこなんだ?」

 

「ああ。この世界に来るのは初めてだからね。色々と知っておかなきゃと思って」

 

 これは嘘ではないが、隠していることがある。アルヴィアスの支部で、とあるものについて調べることが、スメラギの本当の目的であった。しかし、これをぺこらに言うことはない。言いたくはなかった。

 

 そんな思いをよそに、ぺこらは(何故か)自慢げに応じる。

 

「へぇ〜、あんた別世界の人間だったぺこなんだね!じゃあ、しょうがないから道すがらちょっと教えてやるぺこっ!この世界はねー…

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