【本編完結済】ホロライブ・オルタナティブ~If this is inevitable fate, I will call it a curse~ 作:らっくぅ
まぁどこかしら成長した所はあるでしょうということで、プラマイゼロとしておきます。
「こいつら…! 前に戦ったのよりも強くなってやがるッ!」
「遺跡に入り込もうとしてるぞ⁉︎中にいる2人を狙ってるんだ!」
傭兵の中でも決して弱くはない彼ら──白銀騎士団だったが、数が多い上に一つ一つの個体は戦闘用にカスタマイズされた特化モデルだ。
「こうなってくると、奴らが魔法を使えない有り難さが身に染みるぜ…!」
既に彼らは攻撃を回避する事を頭から投げ出していた。迫り来る斬撃やらビームなんかは全て魔法障壁で防ぎ、自分達はとにかく数を減らし奴らを遺跡に入らないことにのみ専念していた。
だがもちろん。
「ぐぉっ……‼︎まずい、そろそろ障壁が…⁉︎」
そんなギリギリの戦い方はいつしか崩壊する。いくら魔法障壁に対する有効手段がないとはいえ、物量で攻めれば壁は破れるものだ。
「団長達は頑なに拒否するだろうが、ここは死んでも遺跡を守れ! 使い潰す命は俺達からだッ!」
しかし無機質な機械人形はそれすら許さない。
「ぶっ…ばはッ…⁉︎」
「うおぉあぁッ!!? 呑み込ま、れる…‼︎」
切羽詰まった人間の悪あがきすら圧倒的な物量の前では無力であると。
外野に物語の流れを変えることなど不可能だと。
無慈悲な宣告を下すかのように、ヘーミッシュ達は団員達を封殺し、遺跡へと迫った──
*
複数個体での同時攻撃を図るマーシェに、シェラードは臆する様子もない。それどころか、
「甘い」
彼の所有する魔剣──断絶剣デルトロズで襲いかかるブレードを全てバラバラにし、さらにその持ち主達を返り討ちにする。
そのまま一息で百もの連撃を繰り出す。攻撃の隙すら与えず、シェラードは次々にアンドロイドを撃破していく。
「……っ」
しかしやはり、敵が多すぎた。
連撃の速度が徐々に落ちているが分かると、1体のマーシェは薄く笑う。
「もうお疲れ? 長旅の影響かしら? それとも、その剣のせい?」
「あなた程度のアンドロイドなら、指一本しか動かなくとも破壊できますよ。それより、増産はしなくてよろしいのですか?」
デルトロズは触れれば断ち斬られる鋭い刃を持つ代わりに、使い手の魔力を食らう呪いが宿っている。シェラードのような卓越した剣士ほど、その呪いの効果は爆発的に上昇する。
その為、長期戦でこの魔剣を用いれば不利になるのは必至であり、このまま戦い続ければ、それこそ指一本たりとも動かせなくなってしまう恐れがあった。
「いつまでその減らず口を叩けるかしらっ!! 脇役ごときが!」
*
同じ顔の機械人形達が仲間を吐き出し続ける遺跡へ、壁をぶち抜く勢いで突入しようとした、その時であった。
ゴアァァァァァッッッッッ!!!!!!???? と。
吹き荒れる暴風、というよりはいっそ壁のような、分厚い魔力の嵐が大量のヘーミッシュ達を押し潰した。
「な…んだぁっ!!?」
「この魔力、見たことがあるぞ⁉︎」
その余波で彼らを拘束していたアンドロイドも吹き飛ばされ、自由になった団員達は、呆然としながら立ち上がった。
「よお、なんか最近よく会うな。人間」
そこに立っていたのは、2人のエルフだった。
「全く…2度も3度も人助けなど、そうそうあると思うなよ?」
彼らを助けたのは、人間を、科学を忌み嫌い外界から身を閉ざした、上位存在であった。
猫のような印象を与える細身なエルフは、あくまで飄々とした様子でこう語りかけた。
「まぁあまり気に負うな。少しばかり、世界を救いに来ただけさ」
*
窮地に陥ってなお、シェラードはもう一振りの魔剣──護神剣ローロストアルマを使おうとはしない。それはその名の通り、防御に特化した魔剣であり攻撃力が低い為であったが、それでも一応剣としては問題なく使える代物ではあった。
にも関わらず、リスクの高いデルトロズを使い戦っているのは。
「
直後。
ドゴォォォォン……!!!!!! と、鈍い爆発音がマーシェの足元から聞こえてきた。
「ッ!? 爆発⁉︎一体どうして…ッ!」
「虎の子が私であると、いつから勘違いしていたのですか? 窮地を打開するのはいつだって、無力で勇気ある人間なのですよ。機械人形」
シェラードは囮だったのだ。火力の低いローロストアルマで戦っていては、時間を稼いでいるのが露骨すぎる。故に、ハイリスクなデルトロズで戦い、あたかもこれ以上手がないように見せかけたのだ。
こうしている間にも、地下のアンドロイド生産ラインから爆発音が連鎖する。振動が、マーシェ達のいる地上にまで伝わってくる。
『シェラード! 大体破壊し終えたぺこっ! 囮サンキュー!』
ぺこらからの〈
「こちらこそありがとうございます。しかし、〈
『ひぇっ…⁉︎それ早く言って欲しかったぺこっ…! すっげぇ肝冷やしたんだけど⁉︎』
逆に言えば、そのような違和感にも気づかせないほど、シェラードは本気で戦っていたということだ。
「取るに足らない脇役どもが…っ! 何故こうも私たちの邪魔をするっ!!」
いよいよ策が尽きたか、マーシェは全力をもってシェラードに襲いかかる。
「そんなものは明白です」
対するシェラードは魔力を無にし、デルトロズを構える。
「我らが団長に危害を及ぼすもの。それが私達白銀騎士団の敵です」
この愚か者を倒す為に。
ありったけの力を振り絞り、
「断絶剣、秘奥が肆」
放つ。
「──〈万死〉」
*
「みんなっ! 増援が止まった!!」
上空から敵を攻撃しつつ、遺跡の方を監視していたメルが〈
「ぺこらちゃん…!」
「グッジョブだよ
「チィッ…‼︎マーシェめ、しくじったか!」
「ハッ! どうやら隠し玉はもう尽きたみてぇだなッ!!」
増援をし続けたことで、ヘーミッシュはスメラギ達を追い詰めることができていた。
それが途絶えた今、彼は戦力的に勝っているスメラギ達によって逆に追い詰められていた。
「終わりが見えてきた…! じゃあ、もうちょっとだけ頑張っちゃおうかなっ!!」
「うむ! みんなでこやつらを倒すぞッ!!」
勝利の兆しが見えてきたところで、ノエル達に活気が戻る。ヘーミッシュ側の戦力の消耗は、一層早くなっていた。
「まだだ…っ! まだ終わらんよッ!!」
多方向から放たれたビームを、スメラギは針に糸を通すような精密さで回避し、オーガストの『力』で一気に敵を破壊していく。
「いいや、もう終わりだね‼︎さっさとテメェを全滅させて、親玉に会わせてもらうぜッ!!」
そうして、あらかた片付いたのはぺこらが遺跡を爆破してから1時間足らずだった。
残されたのはたった1体、それも片手片足のもがれた、もはや戦闘能力を持たない個体だけだ。
「…何故とどめを刺さない」
スメラギは生き残ったヘーミッシュの前に立つ。だが、攻撃する様子はない。
それは情けではない。もしヘーミッシュがゼノクロスから生み出されたものなら、彼の思いもまたゼノクロスから生み出されたものだ。だとしたら。
「君が世界を滅ぼしたくないと本気で思っているのなら、僕達の戦いを見ているといい」
「ゼノクロスが目覚めれば、世界は滅びる。スメラギとゼノクロス、どちらかが滅びぬ限り、世界は犠牲になり続けるんだぞ」
生きる為にスメラギはゼノクロスと戦い続け、ゼノクロスは己に埋め込まれたプログラムに従ってスメラギと戦い続ける。そんな無限に続く殺し合いこそ、スメラギとゼノクロスに仕組まれた
「そんな悲劇はもう終わらせる。誰も犠牲にすることなく、僕たちは全てを救ってみせる」
その為に戦ってきた。その為に、これから戦うのだ。
「そんなものは夢物語だ。俺は…世界が滅びるのを見たくはない」
「僕だってそれは同じさ。だが守るというのは逃げる事じゃない。立ち向かわなきゃいけなかったんだ」
「……」
スメラギは相手の返答を待たなかった。
空を見上げる。
「来る」
奴が来る!シャ...
というわけで、次回が本当のラスボス、ゼノクロスとの戦いです。絶対に誰も死なせません。頑張ります。
追記:すっかり忘れていたラルクとレゴラスを登場させておきました。すまん2人とも…最終話まで気づかなくて