【本編完結済】ホロライブ・オルタナティブ~If this is inevitable fate, I will call it a curse~ 作:らっくぅ
彼もまた、その1人であるだろうから。
パリィィィン!!!!! と、空間がガラスのように割れる。
割れた空間から、巨大なロボットの腕が生えたかと思うと、そこから這い出るようにその全身が明らかとなる。
「…ッッ!!!」
「こ、これが…ゼノクロス…」
全く悪役には見えない。いっそヒロイックに見えるこのロボットは、しかし世界を滅ぼすことにもはや何の躊躇いもないだろう。
「…ハッ、ずっと待ってたぜ。テメェと戦えるのをよ…ッ!」
「見て! 片腕が…!」
見ると、ゼノクロスの右腕が、正確には右肘から先が、何かに抉られたかのように欠損していた。
「かつての仲間が残した傷痕だ。…ようやく、戻ってきたよ。みんな…」
「感傷に浸ってる暇はねぇぞスメラギ。奴は俺たちの脅威を十分に把握している。余計な戦いなんかせずに一撃で世界を滅ぼすかもしれねぇ」
「……」
「い、一撃で…⁉︎じゃあ、どうやって戦うのさっ⁉︎」
シオンは驚愕する。魔法に長けている彼女ですら、それだけの威力を持った攻撃を防ぐのは不可能だ。その上、撃つ前に倒すといった戦法も、ゼノクロスには通用しない。
ならばどうするか。
「こうするんだよッ!」
突如。
ズッッッガァァァァァァァン!!!!!! と。
オーガスト達のすぐ横に巨大な機械の球が現れ、地面に激突した。
「うわぁっ⁉︎」
「動力部を『奪った』。これで斉射できる余力は無くなったはずだ」
「いや心臓奪っちゃったらまずいでしょっ! ゼノクロス動かなくなっちゃうじゃん⁉︎」
突然ジェネレーターを抉り取られ、ゼノクロスは機能を停止する。
「大丈夫だよラミィ。彼はそんなことじゃやられない」
が、それも数秒間だけだ。ロボ子の言葉通り、ゼノクロスの目──センサーがすぐに点灯し、息を吹き返す。
『サブ電源かと思われます。動力部の位置は特定できません。』
つまりは。
ここからが本番だ。
ゼノクロスは主動力を奪ったオーガストを睨みつけるように捕捉すると、両肩部の拡散ビーム砲を発射する。
「ッ!!!」
オーガストは空間を『奪い』、瞬時にそれを避ける。
シオンとちょこは魔法障壁を張りそれを防御しようとするが、
「…っ耐え切れない‼︎」
シオンがそう叫ぶと、あやめ達はすぐにビームの着弾地点から離れる。
そして数秒の抵抗ののち、障壁が破られ先程までいた場所にビームの雨が降りしきる。
「ひぃーっ! 怖すぎ!!」
しかし、直後ゼノクロスからホーミングレーザーが放たれる。
「もう…っ! 落ち着かないっての!」
彼女達は一息つく時間をも与えない連続攻撃に辟易しながらも、
が、その全てがオーガストの放った『力』の波動によって打ち消される。
「僕が囮になる!! 君達はバリアを剥がしてくれっ!!」
スメラギがスラスターを駆使してゼノクロスから放たれるビームを避けつつ、オーガストが攻撃を加える。が、それは強固なバリアによって全て弾かれてしまっている。しかし、それでもゼノクロスは最大の脅威であるスメラギに標的を絞る。
「剥がせったって…!」
「とにかく攻撃しまくるしかないっしょ!!」
「そんなんで行けるのですかっ!?」
『問題ありません。バリアには
「意外と脳筋で何とかなりそうっ⁉︎」
「そうとなったら…!」
ノエルの提案に乗り、それぞれが攻撃を始める。
「──!」
バリアを破ろうとしていることに気がついたゼノクロスは、目の前の脅威を一旦放置し、ノエル達に照準を向ける。
「バレたぁっ!!?」
ゼノクロスは腕に巨大なビームソードを形成し、彼女たちに向けてそれを薙ぎ払う。
「チッ!!」
オーガストは瞬時に距離を『奪い』、ノエル達を自分の方へ引き寄せる。
「囮機能してないじゃんっ!」
「前にも増して警戒が強くなっている! 迂闊に行動してはダメだっ!」
「どうやって気付かれずにバリアを突破しろっていうんだよ⁉︎」
「一撃で破るしかなかろう。みんなの火力を一点に集中させるんだ!」
「僕がもう一度隙を作る。そうしたら後は任せたよ!」
そう言うとスメラギはスラスターを噴かし、再びゼノクロスへ攻撃を始めた。
「オラァァッッッ!!!」
ゼノクロスの拡散ビームに対し、オーガストはワイドレンジに『力』を放ちこれを相殺する。
が、そこでスメラギの足が止まったところを、ゼノクロスは両腕のビームソードで追い討ちをかける。
「ぐっ…⁉︎こ、コイツ…‼︎」
左右から迫り来るビームソードをオーガストは『力』で抑えるが、徐々に押されていく。このままソードで挟み込むつもりだ。
「スメラギさんがっ!?」
「いや今だ! みんなやるぞッ!」
その声とともに、あやめにノエル、フレア、るしあ、ぼたん、ロボ子、APRILは各々の武器を構える。
そしてシオン、メル、ちょこ、ラミィ、かなたは魔法陣を構築し、
「〈神立〉ッ!」
「〈轟崩打連〉!!」
「〈光陰一矢〉ッ!」
「〈死竜赫雷〉」
「〈
「〈
「〈
「〈
「〈
各々の最大火力が、一点に向かって放たれる。
バヂィィィッッッッ!!!!!!!! と、放たれた攻撃とバリアが激しく拮抗する音が鳴り響き、そして数秒後。
片方が打ち破れた。
「バリアが消えた…! スメラギくん、やったよ!!」
ノエルの声を聞くや否や、オーガストはワープし、ビームソードの挟撃から逃れる。そしてゼノクロスの頭上へ跳躍すると、
「少し眠ってなァ! ゼノクロスさんよォォッッ!!!」
オーガストは頭部に向けて『力』を放つ。
その攻撃は直撃し、装甲をまるで紙のように引っ剥がした。
が、ゼノクロスがダメージを負うことはなかった。むしろ。
「ぐあぁぁぁッッ!!!?」
「や、やろォ…! 俺の攻撃も反射しやがるのかッ…!!!?」
「スメラギさんっ!!」
その隙を逃さず、ゼノクロスはホーミングレーザーを放つ。スメラギはダメージを受け、すぐに飛び立って回避することができない。しかし、この位置からでは、自分と彼女たちを狙うレーザーを全て消すのは不可能だった。
「レーザー使いすぎ…‼︎オーバーキルでしょこれ…っ!」
シオンやちょこ達の魔法障壁のおかげで何発かは防御できていたが、それも心許ない。すぐに限界が来るはずだ。
「くっ…! せめてみんなだけでもっ…!!」
「勝手にテメェの命を諦めてんじゃねぇ! さっさと回避するぞッ!」
オーガストはワープし迫り来るレーザーを回避すると、全身が痛むのをこらえ、ノエル達に迫っていたレーザーをかき消す。
しかし、その一瞬の隙に、彼らへ新たな光線が迫っていた。
「しまっ……⁉︎」
その光線は、だがスメラギを灼くことはなかった。
「…っ!!」
その直前で、
「シュテッフェン…! 間に合ってくれたのか!」
「スメラギ・カランコエの防衛に成功! 領主、次はっ」
「敵の胴体部に集中攻撃。先ほど見たように奴の内部装甲は攻撃を反射するらしい。近接信管式の砲弾か爆発属性の魔法で攻撃せよ!」
「了解ッ!」
シュテッフェンの命を受け、彼の私兵達は障壁を張りつつ一斉に魔法や榴弾砲で砲撃を始める。
その中に、豪快にもロケットランチャーをぶっ放しているあくあの姿もあった。
「へへ…っ、間に合ったよ、ロボ子ちゃん…!」
「あくたん! 来てくれたんだね…!」
そして。
加勢にやって来たのは彼らだけではない。
「ルーナイトのみんなー! ゼノクロスに一斉攻撃なのらーっ!!」
「
「ルーナも…!」
「急に味方が増えた!!」
「よく分からないけど、これなら行けそうかもっ!」
増援がやって来た事で、遅れを取るものかとノエル達も奮起する。
「ちょ、ちょっと! ノエル様達は近接タイプなんだから迂闊に攻撃しちゃダメよっ⁉︎中身が露出してる右腕を狙ってちょうだい!」
「合点ちょこ先!」
だが、流石のゼノクロスも露出している箇所を攻撃されるのは危険だと判断したのか、空へ飛びノエル達から距離を取る。
「ゼノクロスが逃げた…っ!」
「それだけ追い詰めているという事だ! 攻撃の手を緩めるなっ!」
だが、それは何も消極的なだけの行動ではなかった。
『胸部に高エネルギー反応。』
狙った先はシオン達。1人1人の火力は高いものの、数自体は少数である為、防御力は低いと判断したのだろう。
直後、ゼノクロスの胸から鉄槌の如き白いビームが照射された。
「やっ…ば⁉︎避け…‼︎」
「ダメ! 間に合わないっ! 防御魔法を…!!」
シオン達は七重の結界を張り、それに対抗する。
が、瞬時に5枚の壁が破られ、少しの抵抗の後に1枚が砕け散った。
「ちょっ…! 流石の僕でもこれはきついっちゅーの…っ‼︎」
「くっ…!」
さすがのオーガストも、照射ビームを『力』でかき消すのは無理がある。
「かなたちゃんっ‼︎」
「ッやばいっ!! 割られそう…っ!!!」
最後の防壁が、
「っ」
ガラスのように砕けた。
その間、
「大気よ、大地よ。打ち震えよ! 我が旋律は彼の者らを
刹那、だった。
空気を、大地を、否、世界を震わし発動された結界は、まさにシオン達へ迫っていた強大なビームを完全に防ぎ切る。
「こ、これ…旋律魔法っ⁉︎一体誰が…⁉︎」
その正体は、羊のような角と服装の少女だった。
1人では、小型の魔物にすら立ち向かうことのできないか弱い女の子のはずだった。
だが、その面影はもうない。恩人を助ける為に立ち上がった少女は、彼にこう言い放った。
「スメラギさんっ! わため、恩返ししに来ました!!」
「わため…! 本当にありがとう…!」
『ぼたん様。
「お、なにそれ。もちろんいるよ」
さらっと重大な事を話すAPRILに、ぼたんもいつもの調子で応え、E-ロッカーステーションから大型のライフルを電送する。
「たった数センチの穴だけど……その一点が瓦解の一手になる」
ぼたんはライフルに弾丸を装填する。ただし、普通の弾ではない。
入力されたデータを基に与える衝撃の角度や強さを変える特別製。
APRILから貰ったデータとぼたんの射撃精度ならば、この弾丸はゼノクロスにとってかなりの脅威になりうる。
「さ〜て、どこ狙おうかな。ま、お返しという事で、胸のど真ん中ぶち開けるか」
現在シャッターで閉まっている胸部。そこには先ほどぼたん達を灼こうとしていた大型のビーム砲が内蔵されていた。そして都合の良いことに、そこだけは二重装甲になっておらず、内部装甲のみが奥の殺戮兵器を守っていた。
バリアの再充電に時間がかかっているゼノクロスは、一点集中により装甲が破られるのを警戒して、前よりも動きが活発になっている。体格差から、シュテッフェン達の砲撃を完全に避け切れてはいないが、微妙に着弾地点をずらし集中攻撃を阻止していた。
「その程度のレレレじゃ私の照準から逃れられないよ。……じゃ、行ってらっしゃいっ!」
スコープの照準に胸部が合い、瞬間ぼたんは引き金を引く。
ッッダァァンッッッッ!!!!!! と大砲にも似た轟音が響き、対人用と比べて明らかにサイズの違う弾丸が空を裂く。
それは確かに狙い通り、胸のど真ん中に直撃した。
ギャリギャリギャリギャリギャリ!!!!!!! と、ドリルが金属を掘削するように、回転エネルギーを加えて弾丸が鉄壁の装甲を削っていく。
が、
「ッ弾速足りなかったか…⁉︎」
計算に誤差があったのか、弾の先端から先が埋まらない。このままでは装甲を突破することなく、弾丸の運動力が尽きてしまう。
「んじゃぁ……ポルカさんにお任せあれいキィィィィィィッッッック!!!!!!!」
と、上空から素っ頓狂な声が響いてきたかと思うと、ソニックブームを引き起こすほどの勢いで人──厳密には異様にカラフルな衣装を見に纏った少女が降ってきた。
「ポルカ⁉︎」
「あの子…どっかで見たことあるような」
ポルカは胸部に食い込んでいる弾丸ごと、ゼノクロスにキックをお見舞いする。
「とおおおおおりゃああああああああああッッッッ!!!!!!!」
凄まじいスピードで放たれたキックに後押しされた弾丸は、しかし想像以上の衝撃が加わり、半ば強引に
「ここで華麗にターンっ!」
弾丸が完全にめり込んだのを確認すると、ポルカは宙返りしながら綺麗に着地する。
「どう⁉︎見よう見まねのイナズマキックは! カッコよかったっしょ‼︎」
「あー、そういえばこの子、前に護衛の依頼請けたことあったっけ。ポルカだっけ、助かったよ」
「おうよ! どっかで見たことあるホワイトライオンちゃん!」
「穴が出来たっ! あれを広げることができれば…!」
「任せてっ!」
メルは目にも止まらぬスピードで飛翔し、空へ逃げたゼノクロスの足元へ追いつく。メルほどの飛行技術ならば、動き回っているゼノクロスに追従することなど朝飯前だ。
「ちょこ先! 準備は!?」
「ええ、いつでも!」
よく見ると、メルから半透明の魔法線がちょこへと繋がっている。
「「〈
ちょこのすぐ前の地面に描かれた魔法陣から漆黒の錨が飛び出し、魔法線を伝ってメルの方──より正確に言うと、メルが追従している右足へと巻き付く。
直後。
「──!!!?」
ッッズンッッッ!!!! と、強力な重力に引かれゼノクロスは地面に縫い付けられる。
「あとよろしく!」
「任せてもろて!!」
と、間断なくかなたがそこへ飛んで来る。ゼノクロスは拡散ビームで迎撃しようとするが、それより早くかなたは懐へ飛び込んでいた。
「──ッッ〈
有り余る力を人差し指に集中させ、それを思い切り弾く。
「──!!!!!!!」
その一撃はめり込んだ弾丸を再び加速させ、奥のビーム砲なんかいとも簡単に突き破り、ゼノクロスを完全に貫通した。
それどころか。
その衝撃は弾丸周辺の装甲にまで広がり、大きな亀裂を生む。こうなれば、
「よし! あの亀裂へ攻撃を集中せよ!」
未だ重力の縛りから抜け出すことができていないゼノクロスはシュテッフェン達の砲撃を避けられず、片腕で砲撃をガードしつつ、ビーム砲やホーミングレーザーで反撃している。
「うわっと…! これどうやって攻撃する⁉︎」
それはゼノクロス側が劣勢に立っているかにも見えたが、こちらもこちらで有効打を与えられていない。
「あまり無茶するなシオン! …とは言え、余も近づかねば斬ることはできんが…!」
潜り込もうにも、弾幕が厚く突破するのは困難だ。こうなるとこちら側は不利になる。ゼノクロスの攻撃はいちいち火力が高く、防御するにも一苦労だ。このまま攻めあぐねていれば、あちらがエネルギー不足に陥る前に、こちらの損耗が激しくなる。
「うおっ! 船長、もう始めてますぜ!!」
「野郎! ここの1番乗りを先取りしやがって!! …ってセリフ、一回言ってみたかったんですよね〜」
「そんなことより俺たちはどうすれば?」
「全速前進! どうせローエングリンの火力じゃアレの装甲は抜けないだろうから、無駄なエネルギーは使わないように! …やれやれ、知らない貴族のおっさんに船を直してもらったかと思ったら、こんなに早く借りを返さなきゃならないとはね……」
そこへ、小型の巡洋艦が空から現れる。が、砲撃を浴びせることなく、ゼノクロスへ真っ直ぐ向かっているようだ。
「ローエングリン…マリンか‼︎特攻をするつもりなのか…⁉︎」
「ピンポイントバリアを先端に集中させて!!!」
「
ローエングリンの船首に不可視のバリアが形成される。それは向かってくるビームを歪曲させ、軌道を逸らしていく。
「ッ空間歪曲式のバリア…! あれなら!!」
無敵に見える
そして、ローエングリンに張られたピンポイントバリアもまた、空間を歪曲させて攻撃を逸らす(本来は防御用の)兵装だ。
それを知ってか知らずか、マリンはバリアによる特攻が有効であると信じ切って、ゼノクロスへと突っ込む。
グッッッシャァァァァァッッッッッ!!!!!!!!!!
轟音を鳴り響かせ、ローエングリンはゼノクロスに激突した。巨大な機動兵器とはいえ、流石に巡洋艦にはサイズも質量も劣る。更にバリアによって
「な…なんて無茶苦茶な戦い方だ…⁉︎」
「いくらバリアを展開しても、あんな風に突撃したら艦が…」
ロボ子の言う通り、特攻したローエングリンの方もタダでは済まなかった。バリアを船首のみに限定した為に他の箇所の被弾は免れず、さらにバリア自体も十分ではなかったようで、船首が完全に潰れてしまっている。
「君たちー! こんなとこで死ぬなよー! さっさと脱出して!!」
「おいさ! …ったく、愛艦をこんな風に使っちゃってまぁ…!」
「それは言いっこなしだ! 命あってこその海賊だからな…!」
事前に準備は完了していたようで、マリン始め船員達は速やかに艦から脱出した。
「うわっ…! 何あの人? まぁとにかくありがとう!! コスプレの人ーっ!!」
シオンはそのマリンの姿に少し驚きながらも、手を振って感謝を伝える。
そして。
両腕が大破したことで防御手段は無くなった。これで目一杯魔法を浴びせることができる。
「はぁ…!!? 何だあのクソガキは…! これが終わったら分からせてやるからなぁっ!」
「いやでも露骨すぎますって、その服装は。一周回ってコスプレですよ」
「うるせー!! いいからさっさとあのデカブツを攻撃しやがれこのバカ一味ぃっ!!」
「──!!!!!!」
いよいよ追い詰められたゼノクロスは、肩のビーム砲を収束させ、楔が打ち込まれた右足を破壊し、本体から切り離す。
そして拘束から自由になると、再び空へ飛び上がる。
「ゼノクロスが…!」
だがここまで力を失えば、『アレ』を使うことができる。
何故、どうやって彼女達はここへ来たのか。
そんな事は、最早どうでもいい事だった。自分達を助けてくれた。それだけで十分だった。
その恩に報いる為に。
誰かを犠牲にしないと平和でいられないような、そんな世界を否定する為に。
勝負するなら今だと、スメラギは決心した。
「みんなっ!!! 僕に力を貸してくれッ!!」
ちなみにわための魔法「森羅万唱守護聖歌」は単なる旋律魔法ではなく、呪文を唱えて発動する「詠唱魔法」と特定の旋律を奏でて発動する「旋律魔法」の複合となっております。
裏設定として、この詠唱魔法と旋律魔法は共に使い勝手が悪く、新現代では廃れて術式魔法が主流ということになっているので、わためは珍しいタイプの魔法使いなのです。シオンが驚いていたのはこの為。