【本編完結済】ホロライブ・オルタナティブ~If this is inevitable fate, I will call it a curse~ 作:らっくぅ
日が昇って間もなく、スメラギとぺこらは出発する事にした。
スメラギは手早く身支度を済ませ、森の入り口でぺこらを待っていると、
「ぺこら、一体何が…??」
ぱんぱんになったリュックを背負った、明らかに体調の悪そうなぺこらがやってきた。その横に、彼女を支えるようにラミィが歩いている。
「うぅ…お土産をたくさん貰おうと思って調子に乗りすぎたぺこ…」
「ぺこらさんお酒弱いのに無理するから〜」
「あんたが強すぎるぺこだよ…」
不平を言うぺこらが背負うリュックには、きっとこの森にしかない貴重な品々がたくさん詰め込まれているのだろう。よく手に入れたものだとぺこらを感心すると同時に、そんなに多くのものを持ち、酒の勢いでそれをぽんぽんとあげてしまったラミィは一体…? とスメラギは思わず考え込んでしまった。
「よっ。俺たちも見送りに来たぜ」
「私は門番だから来たのだがな」
そこへラルクとレゴラスもやって来た。
「2人共、わざわざありがとう」
「あまり派手な事は出来ないがな。ほら、これやるよ」
ラルクはスメラギに小さな葉でできた包みを渡す。
「これは?」
「レンバスだよ。一枚食べたら一日中歩いても疲れないっていうやつ」
レンバスの薄焼き菓子と言えば、昔は王妃のみが貯蓄し、また与える事が許された貴重な食糧であった。
「そんな貴重なものを僕たちに…」
「外に流通してないだけで、ここじゃそれほど珍しくないのさ。使い所がないからな。それほど長くない旅だろうが、役に立ててくれ」
「ありがとう、助かるよ。でも、僕たちは調べ物しに来ただけなのに、見送りしてくれるなんて悪いな」
スメラギが申し訳なさそうに言うと、
「なに、久しぶりの客人ではしゃいでいるだけさ。そうだろ? レゴラス」
「それは貴様だけだ」
「…空気読めないなぁ〜」
「何か困った事があったら連絡してくださいね。すぐ駆けつけますから!」
「あ、ありがとうぺこ…。とりあえずこの酔いをどうにかして欲しいぺこ…」
「〈
「急に冷たくなるぺこじゃんこわっ!」
そんなやり取りをしていると、
「…まだ行かんのか貴様ら」
横でレゴラスか腕組みしながら指をトントンしている。イライラしてるのが見てとれる。
「また来いよ。今度はもう少しちゃんともてなすよ」
「またお酒飲みましょうね!」
「そう何度も来てくれるな。入り浸れると迷惑極まりない」
来るな、とは言わない辺りレゴラスも少なからず再会を望んでいるのだろう。
(ツンデレぺこだな…)
「じゃあ、もう行くよ。3人共、ありがとう」
そう言い、森を出ようとすると、
「待って」
ラルク達の背後から声がした。
「…フレア」
「みんなに謝りたいんだ…。私の身勝手で迷惑かけてしまって悪かった…特にラミィとスメラギ」
「い、いえ…私こそ、ついかっとなってすみません…」
突然のことで呆然としながらもラミィは謝罪する。
「フレア、もう…」
「まだ受け入れるのは難しいかも知れない…でも、進むよ」
「…そっか」
それを聞き、スメラギは少し安堵した。
「引き止めて悪かった…じゃあな、スメラギ」
「うん、いつかまた」
フレアに別れを告げ、スメラギとぺこらはレゴラスの案内と共に森を去った。
「フレアさん、スメラギさんと何か話してたんですか?」
「まぁ…ちょっとね」
「何だよ〜何話してたんだ〜? お兄さんちょっと気になっちゃうなぁ??」
「…あんたは少し配慮ってのを知った方がいいと思う」
*
〈
「ふぅ…じゃ、しゅっぱ〜つ!」
エルフの森を出てからギエルデルタまでの道のりは平穏そのもので、以前出た魔物も全く姿を表さなかった。
「そもそも、こんな街道に魔物が現れる事自体おかしい事ぺこよ」
昔ならいざ知らず、魔法や科学が当たり前となったこの時代では、ディンゴ程度の魔物なら一般人にとってさえ脅威になり得ない。
もちろん、突然の魔物にも恐れず戦う事ができる事が前提だが。
とはいえ、今では魔物の方が人間を恐れ、人気のあるところで姿を見せる事はまずなかった。
だから、先の魔物の出現は明らかにおかしかった。ただの偶然なのか。それとも仕組まれたものか。それが判明するのに、そう時間はかからなかった。