とある姉達の心理感応(メンタルリンク) 作:絶対能力進化ver1.3
少し、時を遡る。
―――結局ミサキは、どういう存在なわけよ?
酷い頭痛に苛まれた後、彼女……ミサキ
「整理します。ミサキは……」
レベル5の第5位:食蜂操祈のクローンだ。
製造された目的は、『絶対能力進化計画ver1.2』のため。計画の推進者は、木原幻生だ。
全ての情報は、自分と同じ食蜂操祈のクローンたちが持つ精神操作系能力を応用した脳波ネットワーク……通称『ミサキネットワーク』で共有されている。
これにはミサカネットワークの理論と、それを発展させた
そして彼女たちが作られた本来の目的は、
良くも悪くも集中管理システムなので警備こそ厳重なものの、場所を特定されて警備を上回る攻撃を受ければ、ネットワーク全体が機能不全に陥る。
だが、複数のクローンによる分散型の脳波ネットワーク・システムであれば、話は別だ。
クローン数体程度の損害であれば運用に支障をきたすことはなく、クローンを世界中に分散させることでリスク分散をも図れる。
さらに処理能力の拡張という将来性においても、肥大化させるごとに容器や発電機に警備システムなどを全て拡張しなければならない
現在、生産と調整を終えてミサキネットワークに登録されている個体は7387体。順調に計画が進めば、2万体にまで増員される予定
ここで「
というのも、計画の推進者であった木原幻生が大覇星祭の後、行方不明となっていたからだ。
携わっていた研究者たちの間では、廃人になっただのエネルギー思念体になっただのと噂が飛び交っているが、昨日の今日の事なのでまだ正確な情報は掴めていない。
ゆえに3日前ならば、ミサキ1031号はフレンダの質問にも答えることが出来ただろう。計画は順調に動いており、自身はその一部となるという明確な存在意義があった。
では、当初の計画が凍結された今、自分は何のために存在しているのか?
―――沈黙―――
ネットワークに問いかけても、答えは返ってこなかった。
当然の帰結ではある。
彼女たちは計画を構成するパーツに過ぎず、計画の意思決定には関わっていない。ある日を境に突如として仮想敵国が崩壊したタイミングで、個々の兵士に「今後の戦略は?」とインタビューをしているようなものだ。
だが、ミサキ1031号の問いかけはネットワークを通じて瞬時にクローン全員に波及した。
誰もが戸惑い、あらゆるデータから推測された仮説を提示しては検証し、やがてそれは1つの答えに収束されていく。
どんなに複雑な意思決定であっても、細かく分解すれば幾つもの単純な意思決定に落とし込めるように。延々と二者択一を繰り返すことで、ミサキネットワークはその存在意義を確立しようとした。
――熱い所よりは涼しい所。
――寒い場所よりは暖かい場所。
――脆い防具より頑丈な防具。
ミサキネットワークは数千数万の単純な二者択一の質疑応答を繰り返し、最終的に1つの意思決定に辿り着く。
すなわち創造主である、木原幻生の実験を継続するか?否か?
木原幻生がミサキネットワークを生み出したのは、計画それ自体が目的ではない。あくまで別の計画をサポートするために、ミサキネットワークを生み出したのだ。
であれば、当初の予定通りに、その別の計画をサポートするのが自分たちの役割ではないのか。
―――ならば。
結論はすぐに出た。
『―――ミサキ00001号より、
そう結論づけたのは、クローン達の上位個体であるミサキ00001号、通称『
彼女は
敢えてミサカネットワークと逆の配置とする点に計画者のちょっとしたプライドが込められているような気がしないでもないが、いずれにせよラストオーダーのミサキネットワーク版という理解で間違いはない。
その上位個体たる彼女の決定により、ミサキネットワークには瞬時に命令が下された。
――『
こうして7000体を超えるのクローンたちは、一斉に動き出した。
ミサキネットワーク
・ミサカネットワークの食蜂版。『精神感応』や『念和能力』といったテレパス系の能力と、レベルアッパーの技術を応用して、ミサカネットワークと同等のものを作るのが狙い。
姉達(エルダーズ)
妹達(シスターズ)の食蜂版。平均的に、クローンの肉体年齢はオリジナルの食蜂より高め。
優先信号(ファースト・オーダー)
ラストオーダーの食蜂クローン版。銀河帝国軍の残党ではない。