ウマ娘と過ごす日常   作:アドミラルΔ

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ウオッカとダイワスカーレット

──────

 

 

「おいバカそっち行くんじゃねぇ。俺の読みならこの道なんだよ」

 

「あぁ?いいだろ俺の勘がこっちって言ってんだ」

 

「ウオッカ。てめぇさっきそれで毒沼落ちたよな?」

 

「トレーナーもその後初見殺しにハマったじゃねぇか」

 

その一言で切って落とされた火花。デコとデコがぶつかり合って睨み合いに発展する。まあこんなことは日常茶飯事でこれをやる度に他のトレーナーやウマ娘に引き剥がされるのだが今はトレーナー室なので止めてくれる娘はいない。唯一止めてくれそうなスカーレットは勉強に集中してるみたいだし

 

「まあ譲ってやるよ。俺は大人だし寛大だからな」

 

「まるで俺が器小さいみたいじゃねぇか。逆に譲ってやるよ。器がお猪口のトレーナー」

 

「てめぇふざけんな!今度こそ許さん」

 

ウオッカの脇腹に手を滑り込ませてくすぐりまくってやる。撫でると擦るの中間くらいの力加減がコツだ

 

「うははははっやめろ!くすぐったいって!」

 

「お前が脇腹弱いのは知ってんだ。腹筋が攣るまでやってやる」

 

「うわはははっやめっひぃ」

 

「ふっこれに懲りたら……痛ってぇ!」

 

「何が懲りたらだ!好き勝手乙女の身体をまさぐりやがって」

 

逆エビ固めをくらい背中がしゃちほこみたいに折れ曲がる。イテテテヤバいこのままじゃ名古屋城の天辺に飾られちまう

 

「乙女ってのはもう少し品があるもんだぞ」

 

「あ?」

 

「まあお化け屋敷にチビりそうになってたから確かに乙女(笑)かもな」

 

「ち、違ぇよ。あれはその実体が無いから不気味だっただけだ!」

 

あの時のウオッカといったらもうビビりまくって俺を引き摺って腕を捻りあげ、最後には肋骨が折れるくらい抱きついてきたからな

 

「というかトレーナー」

 

「何だ」

 

「ここらでセーブして宿題見てくれよ。アンタに教えてもらった方が早く終わるし」

 

「いいぞ」

 

カッコつけるのは玉に瑕だが素直なのはウオッカのいい所だ。勉強嫌いだけど教えれば学習は早いし、乾いたスポンジみたいに吸収するから教えがいもある。理想の生徒かこいつは

 

 

いつまで乳繰りあってんのよ!

 

「おいおいどうしたスカーレット。優等生を演じすぎてフラストレーションが溜まってたのか?」

 

「まあ指摘してやるなよトレーナー。こいつも大変なんだって」

 

「うっさい!兄妹かって言おうとしたけどそれ超えて熟年のカップルみたいなことしてんじゃないわよ!」

 

まあ俺とウオッカはマブ超えてBFFだから仲良く見えてもしょうがない。将来は全ての峠をタンデムしようと誓い合った仲だからな

 

「いやぁ俺とウオッカがそんなカップルみたいに仲良いなんて照れるじゃねぇか。なぁウオッカ?」

 

ト、トレーナーと俺がカップルとか……悪くはねぇけど

 

「あれ?ウオッカさん?」

 

「ウオッカ!」

 

 

「うわぁ何だよ。別に照れてるわけじゃねぇぞ!」

 

「顔真っ赤だけどな」

 

「アンタも初心(ウブ)ね。まあ恋愛経験ないからそんな事になるんでしょうけど」

 

おほほっと笑うスカーレットだがいつもの優等生モードならともかくあの負けん気ガチンコモードの時のスカーレットは……ちょっとね

 

「お前も無いだろスカーレット!」

 

「アタシはラブレターを貰ったこととかあるし?」

 

「どーせ猫かぶりモードの時のまやかしで貰ったんだろ。お前の素は怖ぇからな」

 

「誰のすっぴんが怖いですって!?」

 

「言ってねぇよ!」

 

「まあ俺はモテるからその辺の話とは無縁だな」

 

「へぇ」

 

「どういうことか聞かせてもらおうかしら」

 

 

 

 

「冗談です。ちっこい子にしかモテません」

 

でも皆目元とかくりっとしてて将来美人になるだろうなって子ばかりだったから本格化迎えた頃くらいにはモテ期第二シーズンが来てるはずなんだよ。“とれーなーしゃん!”って寄ってくるからついつい遊んじゃうし甘やかしちゃう辺りがロリっ子に好かれんだろうな。罪な男になっちまったもんだ

 

「そ、そうだよな」

 

「精神年齢が同じだから好かれるんじゃない?」

 

「誰の精神年齢が五歳児だって?」

 

「レースを見てる時とトレーニングメニューを見てる時以外は割とそう見えるわよ。さっきだって子供みたいな顔してたわ」

 

「スカーレット」

 

「何よ」

 

「てっきり勉強してると思ってたんだけどよく見てるんだな」

 

「な!?べ、別に食い入るようには見てないし偶々(たまたま)だから!」

 

「食い入るように見てたら逆に怖ぇよ」

 

そこからウオッカの宿題を見る時間になった。根が真面目なだけにやり始めると大人しく勉強をしている。というかウオッカ唇ぷるぷるだしまつ毛長

 

「うん。そこは式を代入してだな」

 

「へぇ〜意外と簡単に解けるもんだな」

 

「こういうのは手を抜いてなんぼだしな。公式をいっぱい覚えておくといざという時に楽が出来るんだ」

 

「なるほどなぁ」

 

 

 

だからカップルか!

 

「今日はどうしたスカーレット。落ち着きがないぞ」

 

「今日は俺が先着したから掛かってるんだよ」

 

確かに今日の模擬レースはウオッカの先着だった。もう1回もう1回と烈火のごとく喚いてたがそんなことをしては無限に勝負が続くのでやめさせたのだ

 

「誰が永遠の二番手よ!」

 

「言ってねぇよ!」

 

 

 

「あ!理解(わか)ったぜ。トレーナーの“一番”の理解者であるこの俺に嫉妬してるのか。俺はトレーナーのバイクにも乗せてもらったし最高の相棒だからな!」

 

「一番……相棒……?ふふっふふふふふふ」

 

「あれ?壊れちまったぞ」

 

「顔良し性格良しプロポーション良しオールステータス百億満点のアタシがウオッカに負けるわけないでしょ!」

 

顔は可愛いし性格も勝気なところに目をつぶれば全然良いし中等部でもなかなかの恵体だし言ってることは間違ってはいない。ティアラ路線から有マ記念勝てそうって思ったくらいのウマ娘だし

 

「どんだけ自分に自信あんだこいつ」

 

「オマケに料理上手だし!」

 

「それは俺もだよ!」

 

「「どっちが一番!?」」

 

ずいっとこちらににじりよってくるウオッカとスカーレット。目をガン開きにしてこちらを見るのであまりに怖い。こいつらこうなるから割と離してるんだけどね

 

「いやどっちとか言われてもな」

 

「当然アタシよね?」

 

「俺だよな?」

 

「アタシの方が胸大きいし」

 

「俺の方が脚長いしな」

 

「スカーレットは優しい子だなって言ったわよね!」

 

「ウオッカと居ると気が楽だわって言ってたよな!」

 

「なんでお前らそんなに張り合ってんの……」

 

「スカーレットにだけは負けられねぇ」

 

「ウオッカには負けたくないの!だから……」

 

柔らかい感触に右腕が包まれる。餅みたいに弾力があっていい匂いがめちゃくちゃするんですが。なにここ桃源郷?

 

「スカーレットずりぃぞ!だったら俺も……」

 

肋骨から胸骨にかけての硬さが左腕を圧迫する。え?痛い。ウオッカの匂いはするけど血が止まってそれどころじゃない。俺の手が青から紫に変色してるからやめてくれ

 

「離れなさいよウオッカ!」

 

「お前こそ離れろよスカーレット!」

 

「だぁぁぁ!暑苦しいわ!」

 

即座に腕を抜き二人を引き剥がす。全く俺の腕が使い物にならなくなったらどうすんだ。ライスを撫でられないしターボを抱っこできないしテイオーを肩車も出来ないだろ!

 

「何よ」

 

「んだよトレーナー」

 

「お前らにはお淑やかさが足りねぇ。フラワーを見習え」

 

「前に膝枕されてたものね」

 

「餌付けもされてたな」

 

「言い方ァ」

 

フラワーこそ淑女が目指す理想像といえる。あの朗らかな笑みとちっちゃなおててがあまりにも可愛い。こんなこと言ってるからロリコントレーナーとか言われるんだろうね

 

「まあいいけどお前らの力で引っ張られたら俺ちぎりパンみたいにちぎれるからもっと穏やかに勝負してくれ」

 

「例えばどういうのなのよ」

 

「料理勝負とかゲームで勝負するとかじゃないのか」

 

「こいつとは勝負しすぎてやるモンねぇんだよ」

 

「まあ俺がお前ら比べてどっちが良いか言ったらいいんだろ。さっき言った以外になんかアピールポイントとかねぇの」

 

「可愛い」

 

「カッコイイ」

 

「それはさっき聞いた」

 

「料理が出来る」

 

「俺も」

 

「それも聞いた」

 

「脚が速い」

 

「私はウオッカより速いわよ」

 

「うっせぇよスカーレット。今日は俺が勝っただろ」

 

「昨日は私が二回勝ったから私の勝ちよ」

 

「はぁ?累計ならこっちが一上回ってんだろ」

 

「今年だけで見れば私の方が多いわよ」

 

「「ぐぬぬぬぬぬ」」

 

もうこいつら一周まわって仲良いだろ

 

「あ!バイクに乗っけてもらったのは俺だけだろ?」

 

「そういやスカーレットを乗せたことは無かったな」

 

「私は二人で観覧車にのったことあるし」

 

「あぁ確かに……ってそれ自慢になるか?」

 

「ずりぃぞスカーレット!」

 

「私がやっぱりトレーナーの一番ってことでいいわよね?」

 

 

 

「じゃあスカー「毎朝味噌汁作ってやるから!」

 

「!?」

 

「は?」

 

「前に言ってたろ。手作りの味噌汁が飲みたいって」

 

「言ってたけど」

 

「俺が毎朝作ってやるからよ……いいだろ」

 

「えー勝者ウオッ「じゃあ私は朝昼晩全部作って上げるわよ!」

 

「!?」

 

「マジで言ってんのスカーレット」

 

「大マジよ。ウオッカに勝つためなら何でもするわ」

 

「じゃあ俺はマッサージ毎日するし」

 

「他の家事も全部やるわ!」

 

「ぐぬぬ分かった!俺をやる!」

 

「は?」

 

「え?」

 

「俺をやるよトレーナー。だから俺の勝ちにしてくれ」

 

「ちょっ……ちょっとずるいわよウオッカ!」

 

このままじゃ収拾がつかないな……しょうがない

 

「ゴールドシップ召喚」

 

「呼ばれて飛び出て颯爽登場!天才美少女ゴルシちゃん!」

 

「この場面を上手く収めてくれ。報酬は次のトレーニングをオフにしてやる」

 

「……ったく二秒で読めたぜこの状況。美少女にあらぬ事をしようとしてる事案だな。じゃこいつ回収するから」

 

「は?ちょっと待て何で俺が引きずられてんの?おい!止まれって!」

 

「おーいお前ら。トロフィーは追うだけじゃ捕まらないぜ?」

 

 

 

 

「スカーレット」

 

「ウオッカ」

 

 

「どうやら最後のライバル対決が決まったみてぇだな」

 

「上等よ。絶対に私が勝つわ」

 

「チューした写真を乙名史さんに渡せばそれで終わりよ」

 

「うわぁそんなえっちな事しようとしてんじゃねぇよ。もっと正々堂々勝負だろ」

 

 

……

 

 

あの野郎は絶対に許さん。併走中のプラカード掲げて俺の事市中引き回しにしやがって……トレーナーってのはウマ娘と相対する以上多少頑丈には出来てるけどウマ娘のサンドバッグになれるわけじゃないからな?タイヤトレーニングみたいに引きずっていいわけないぞ

 

 

腹立つから今度のオフは無しにして俺の買い物に付き合わせてやろう。くくくっあいつ面倒臭がりだから嫌がるだろうなぁ。まあたまには痛い目みせないといけないし俺も心を鬼にしてやってやろう

 

 

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