タツマキの弟子は頂点に行きたい   作:さよならフレンズ

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僕と忍天党の忍者たち

 僕とクロビカリはジェノスという新戦力を加えて順調に進化の家に向かって歩いていた。

住宅街を通り過ぎて、人気の少ない山道に入った僕たちは山をするすると登っていく。このあたりは木々や茂みがあちこちにあるから忍者のテリトリーで襲撃するにはもってこいの場所だろう。クロビカリは警戒する必要がないからのっしのっしと大胆に大股で歩いていたけれど、僕とジェノスは神経を尖らせている。そんな僕の様子を見かねて、とうとう呆れたクロビカリが声をかけてきた。

 

「ヒーローではないジェノスはともかくギアスパー、お前はそんなありさまで本当にS級ヒーローになれると思っているのか?小鹿のほうがまだ勇敢だ」

「……」

 

 僕はクロビカリになにも言い返すことができなかった。先程から苛立っている理由がよく分かった気がする。それはクロビカリにじゃない、自分自身へのふがいなさだ。

確かにタツマキ師匠やブラストならば、間違いなくもっと大胆に動いていただろう。

あの2人は自分の実力に絶対的な自信があるはずだからだ。

ジェノス頼りになっているように、他人の生体反応に頼らなくても忍者に負ける所が想像つかないし。

 

「今のお前はS級ヒーローには相応しくない、アマイマスクにもそう伝える必要がありそうだ」

「好き勝手言ってくれますね。進化の家の場所は分かっているようですし1人で先に行って頂いてもかまいませんよ。僕の見極めは済んだでしょう?」

「そうされてもらうとしよう」

 

 とはいえカチンとくるのも事実なので思わず言い返したら、クロビカリは本当に僕を置いて行ってしまった。大きな溜息をついた僕にジェノスが問いかけてくる。

 

「戦力を分散させていいのか?」

「クロビカリさんが本当に無傷で進化の家を制圧できるのでしたら、構いませんから」

「その口ぶりから、そうなるとはお前も思っていないようだな」

「ええ。敵戦力は得体が知れませんからね。かなりデンジャラスです」

 

 そこで言葉を区切った僕とジェノスは、先行したクロビカリに構わずぺースを崩さず慎重に進んでいく。

 

「アア……!」

「クロビカリさんが危険みたいですね……!」

 

 進化の家に残り十数キロとなったところで、遠くからクロビカリの悲鳴が聞こえてきた。

すごく情けない声だった気がする。どうやら自慢の筋肉の鎧というものも、大したものじゃないみたいだ。

……吹っ切れてから段々タツマキ師匠に僕の性格が似てきたかもしれない。

 

「急ぎましょうか。高速で接近する反応があれば教えてください!」

「了解だ!」

 

 ともかくクロビカリが危ない。僕とジェノスはある程度大胆に小走りで進化の家へ向かう。

ある程度進んだところで、ジェノスが声を上げた。

 

 

「来るぞ、複数だ!」

 

 とうとう敵襲だ!

僕がバリア―を貼ったと同時に、ガキンとなにかが突き刺さる音がした。手裏剣が僕のバリア―に突き刺さっている!

 

「防御が間に合いましたね……!」

 

 僕は慎重に進んでよかったと安堵した。この攻撃速度を見極めることは今の僕にはとても厳しい。やっぱり殺気に自動反応して超能力を発動できるように訓練する必要がありそうだと僕は再び感じていた。

 

「数は何人ですか!?」

「21人居て、俺たちの周りを高速で動き回っているようだ!」

 

 僕は覚悟を決めた。超能力で動きを止めようとしたところで、忍者相手には無駄だろう。

閃光弾や催涙弾を放たれたりして、搦め手でバリア―を突破される可能性も十分ある。

 

「ジェノスさん、その場から動かないで下さい!」

 

 忍者と戦うとなった時から僕には考えがあった。そもそも忍者相手に正攻法で真正面から戦う必要は全くない。

大規模な超能力による天災のような力の行使、それが僕の戦いのスタイルなのだから!

 

「頂点土石波!」

 

 僕がバリア―越しに両手を伸ばしたけれど、忍者たちの近くでなにかが起こった様子はない。

忍者たちは不発か、と嘲るような笑いを浮かべて僕たちに襲い掛かろうとしたけれど、その時には手遅れだった。もちろん彼らの命がだ。

忍者たちは確かに殺しのプロかもしれないけれど、人としてできる程度のことしかできない。

大規模の戦略的な災害めいた攻撃に対して、彼らは抗うすべを持たないんだ。

 

「なんだあれは……!」

 

 忍者軍団の1人が暗くなった空を見上げて、恐怖におののく。

いくら数の有利があったところで、避けようのない攻撃というものはある。

 

「高さ100メートルの土石の津波を他の山から持ってきました。この迫りくる波からは貴方たちは逃げられません!」

「戦いのスケールが何段階も違う……!」

 

 僕はバリア―で身を守っている。ジェノスにも今はった。

クロビカリさんがどうなっているかは分からないけれど、この攻撃で死ぬとは考えられない、そして周囲の人は忍者が殺しているため他の人間に危害が加わる必要はない!

 

 僕はにやりと忍者たちに微笑みかけた。

 

「僕たちは死にませんが貴方たちは無事ではすまないでしょう。僕が対応できない人数でいらっしゃった貴方たちが悪いんです」

「狂っている……!」

「そう貴方たちが思うのなら、それは誉め言葉ですよ」

 

 僕の笑みはどこか歪だったことだろう。そう、S級は人格も力も人を外れて狂っているものだ。

今までの戦いの経験から、僕はそれを既に学んでいる。

 

「バカな……!こんなことで我ら忍天党が全滅するなど認められるか……!?」

 

 押し寄せる大災害に匹敵する脅威に忍者はどうにもできなかった。

僕も、ジェノスも、忍者たちも轟音とともに僕が巻き起こした土の波に飲み込まれていき、こうして忍天党は首領を残して壊滅する。

 

 土石の波が木や草など全てをなぎ倒してから2分後。

僕とジェノスはバリア―に囲まれて埋まった地中から地上に飛び出ていた。

まだ先程起こった惨劇が理解できないのか、唖然としているジェノスに僕は声をかける。

 

「ジェノスさん無事ですか?逃げた生体反応はありましたか?」

 

 ジェノスは数秒ほどの間と共に、硬い声色で僕に返事を返した。

 

「……なかった。全員お前の攻撃に巻き込まれたと見ていいだろう」

「忍者を超能力で直接捕えることは困難でした。広範囲の攻撃で滅殺するしかなかったので助かりました」

「お前は、人に超能力を使うことに躊躇いがあると思っていたのだが」

「これしかありませんでしたので……クロビカリさんのところに急ぎましょう。巻き込まれていなければいいのですが」

「……そうか、分かった」

 

 始めて人を殺したことになるけれど、こうしなければ僕は死んでいたし本当に仕方がなかった。割り切るしかないだろう、死ぬ訳にはいかないのだから。

さっき悲鳴をあげていたクロビカリさんにあまりこれ以上恨まれたくはないから、僕とジェノスは改めて土砂まみれの道なき道を進み始めた。

 

 再度の襲撃は、ジェノスと僕が再び歩き出してすぐだった。

 

「……高速で動く生体反応!」

「また忍者ですか!」

 

 僕が再びバリア―を張ったけれど、先程までより手応えが明らかに重い!

襲撃者は僕の防御を割れないと悟ったのか、一度僕と離れて停止する。

 

「え……!?」

「硬えな……!」

 

 敵の姿が停止して、全貌がはっきり分かったことで僕は驚きに目を見開いた。人よりも2周りほど大きなカブトムシ……!?人間じゃない、怪人だ。怪人が忍者並みの速度で動いてる!

 

「だがな、パワーアップした超阿修羅カブト様には誰もかなわねえんだよ!」

「超阿修羅カブト……!?」

「おうとも、進化の家ナンバー1だぜ!」

 

 超阿修羅カブトと名乗った怪人の剛腕がうねりをあげる。進化の家産の最強の怪人。忍者に匹敵する速度を持ち、クロビカリの筋肉の鎧すら破壊する程に強化された純粋な力の暴力が進化の家に向かおうとする僕たちの絶対的な障壁となって立ちはだかった!

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