タツマキの弟子は頂点に行きたい   作:さよならフレンズ

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僕とZ市の危機とぷりぷりプリズナー

 プリズナーと互角以上に戦う災害レベル鬼のムカデ先輩とムカデ後輩、そしてブラストでさえも仕留めきれなかったと噂されている災害レベル竜のムカデ長老。加えてムカデ長老が出現した原因であろう謎の地震の悪化。さらに蚊の大軍まで向かってきている。Z市はいまだかつてない壊滅の危機を迎えようとしていた。

 

「ここはデビルに魅入られた街ですか!?」

「じゃあお前も地獄に送ってやるよ!」

 

 泣き言を言ってはいられない。僕は突進してくるムカデ後輩をバリヤーで弾き返した。大きなムカデは純粋に気持ち悪いし、怪人以前にあまり近寄ってほしくない。

鈍い音と共にムカデ後輩が跳ね返されて地面に落ちる。マルゴリと張り合えたこともあってこの程度の相手なら防御力の心配をする必要はなさそうだし、強力な超能力を使う必要もない。十分戦える!

 

「てめえ、ヒーローの分際でかわいい後輩をよくも傷つけてくれたな!」

「早く死にたいとみえる」

 

 ムカデ先輩とムカデ長老が地面を這いながら僕に襲い掛かろうとしている。

とはいえ迫力はかなり違う。ムカデ先輩は小さな家1つぐらいのサイズだがムカデ長老は小さな雪山1つ分ぐらいの全長1000メートルだ。横幅も大きくテレビ番組の怪獣よりよほど大きい。山ほどの質量が地面を這いまわるだけでZ市の被害は大きくなっている。

 

早く止めないと!

 

 僕はファイティングポーズを取り続けているプリズナーに呼び掛けた。

 

「プリズナーさん。僕がムカデ長老と戦うので、なんとかムカデ先輩と後輩を倒せませんか!?」

 

 一見S級のプリズナーとC級の僕の会話じゃないようだけれど、プリズナーが先輩と後輩2匹相手に互角だったことを考えるとこちらのほうがいいと思う。

案の定納得してくれたみたいで、プリズナーも大きく頷いてくれた。

 

「分かった、ギアスパーちゃんを信じるぞ」

 

 プリズナーが突進してくるムカデ先輩をがっちり両手で抑え込んで、僕はバリア―を張ってムカデ長老に立ち向かう。僕を包み込むように張られた薄い膜をムカデ長老は体重をかけて押しつぶし、粉々にしようとした。周囲のコンクリートが陥没していく中僕は副作用の頭痛に襲われながら全力でムカデ長老に抗っていた。

 

 一方のプリズナーは、なにやらムカデ2匹と戦いながらぶつぶつと独り言を口走りだした。

 

「くそう、俺の拳じゃ威力が足りない……ムカデの装甲を破壊することができない。俺の拳から血が出てしまっている」

 

 僕はS級ヒーローのふがいなさに失望しそうになっていたけれど、プリズナーの変態性と狂気が発揮されるのはここからだった。流れ出たプリズナーの血が指先に集まって伸び始めたんだ。赤い血が大きくプリズナーの両手から飛び出していき、そして僕が見守る中で固まっていく。

長さ5センチほどはあるだろう。赤黒くて気持ち悪い。どんな体の仕組みをしているんだろうか……。

 

「俺の天使の拳に爪が!?」

「単なるプリズナーさんの拳から流れた血ですよ!」

 

 驚くプリズナーに、僕はバリア―を張りながらツッコミを入れざるを得なかった。

プリズナーは僕のツッコミを華麗にスルーして、引いているムカデ先輩と後輩に向かって血でできた赤い爪を向けた。いや、聞けよ!というか怪人すら気持ち悪いと思うってどうなんだよ!

だめだ、まともにプリズナーと接していると僕のキャラまで壊れ始めてしまう。

S級が壊れていると噂されている意味がよく分かった。

 

「このエンジェル☆ネイルで俺の破壊力が上がった。もうお前たちに勝ち目はない」

「後輩、こけおどしだ!俺達の装甲は貫けない」

「ああ、突進だ先輩!」

 

 ムカデ先輩とムカデ後輩が再びプリズナーに向かっていくが、そこでプリズナーの拳がうねりをあげた!

 

「ネイル☆エンジェル☆ラッシュ!」

 

 赤い爪を生やしたプリズナーの拳の連打は先程までと違ってあっさり2匹の装甲を貫いていく。

一瞬でムカデ2匹を倒してしまったプリズナーに僕は唖然としつつも、こう言わざるをえなかった。確かに攻撃力は上がっているみたいだけれど、爪だけじゃなくて拳がそのまま装甲を丸ごと貫通している。これって……。

 

「その攻撃、爪関係ないのではないですか!?」

「無事ムカデ2匹は倒したぞギアスパーちゃん!」

 

 プリズナーの表情はキラキラしている。目をつけている僕にいい恰好でも見せたかったんだろうか?またもや僕のツッコミは無視されてしまったし最早考えるだけ無駄なのかもしれない。僕はムカデ長老の巨体をバリア―で支えながら、超能力とは別の意味で精神力がガリガリ削れていくような気がした。

 

「おのれ、よくも!」

 

 仲間を倒されて怒ったムカデ長老が、しぶとい僕を無視してプリズナーを狙う。

プリズナーはこの巨体から身を守る術がない。どうすれば……!

しかし僕が行動を起こす前に、プリズナーの体が地面に潜り込んでいった。

 

「エンジェル☆ネイル☆クロール!」

 

プリズナーは地面を水面のようにクロールで斬り裂いて高速移動をして猛スピードでムカデ長老の巨体を避けていた。完全に水泳選手を彷彿とさせる滑らかな動きでコンクリートの地面を泳いでいる。こいつはいったいなんなんだろう。

 

「これもエンジェル☆ネイルで貫通力が上がったおかげだ」

「へえそうですか、アンビリーバボーです」

 

はっきり分かる程僕の声色は棒読みだっただろう。爪は最早関係ないけれど、プリズナーが強大な力を手にしたことだけは僕にも分かった。

そういえば先程から地震が止んでいるし蚊も消えた。どうしたんだろう?他のヒーローが活躍したのだろうか、とにかく。

 

「これでムカデ長老に集中できますね!」

「増援もきている。強敵相手だが俺とギアスパーちゃんなら勝てるはずだ!」

 

ファイティングポーズを取り続けるプリズナーに、頭痛に襲われながら超能力を十全に使おうとする僕。Z市の運命をかけた僕とプリズナー対ムカデ長老の戦いは、もうすぐ終わりを迎えようとしていることだけは間違いなかった。

僕たちはこの強敵との戦いを乗り越えなければならない。それは僕がこれから頂点を目指す上でも重要なことでもある。

 

ムカデ長老の装甲は他2匹とは強度が違う。プリズナーのエンジェルネイルでも倒せるかはかなり怪しいだろう。しかしやるしかない。僕たちにZ市の命運がかかっている!

 

僕は必死の形相をしながら勇敢にムカデ長老に立ち向かっていった。

地底人VS駆動騎士、モスキート娘VSジェノス、フラッシュが見たい?

  • 見たい(番外編で執筆)
  • テンポ重視で起こったことだけ知りたい
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