終末のワルキューレ Servant of Ragnarok   作:マイスイートザナディウム

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はいどうも~マイスイートザナディウムです!

遅くなってしまいましたが書き上げました!

今回はオリジナル要素を結構盛り込みました!

ほぼfateのジャックとは違ったキャラに成っていると思いますので悪しからず。

それではどうぞ!


名も無き少女と真の神器錬成

 

「アァァァァァァァァァァァァァァァァ!!」

 

オォォォ

 

ジャックの泣き叫ぶ声と同調して怨念達が唸り声を上げる。

 

「……」

 

ヘラクレスはその光景をただ見ていることしか出来なかった。

 

「一体何が起きているのか? 泣き喚くジャック・ザ・リッパーの周りを無数の怨念が唸り声を上げながら徘徊している!?」

 

ヘイムダルは困惑しながらも実況を続けた。

 

「嫌だ…うぅぅあああああ…静かにして…うぅぅ…お願いだからぁ!

 

ジャックが叫ぶと徘徊していた怨念達がジャックの中に吸収された。

 

「はぁ…はぁ…はぁ」

 

先程まで泣き喚いていたジャックは荒い呼吸をしながら自身の中の怨念達を抑え込んだ。

 

「はぁ…はぁ…危なかった……もうちょっとで()が持っていかれる所だった」

 

「…お前は…何だ?」

 

ヘラクレスがジャックに問い掛ける。

 

「……何だって…良いじゃない…どうせ殺し合うんだから」

 

ジャックはヘラクレスの問い掛けを無視し、包丁を構えた。

 

 

「……」

 

ヘラクレスは哀しそうな目でジャックを見つめていた。

 

「…何なのさお兄さん…その目…同情のつもり?…なら要らないよ…さっさと続きを殺ろうよ…」

 

「……お前は本当に…ジャック・ザ・リッパーなのか?」

 

ヘラクレスは先程から感じていた疑問をジャックにぶつけた。

 

「…言った筈だよ…()真名()はジャック・ザ・リッパーだって…」

 

「先程から呼称がぶれている…最初は()()()と言っているのに今は()になっている…それにお前の中に入った怨念…お前はまともな英霊ではないな…お前は何だ?…何故殺人鬼の名を名乗っている?」

 

ヘラクレスはジャックに問い掛ける。

 

対するジャックは沈黙した。

 

 

「………」

 

 

そしてーーー

 

 

「……好きで名乗ってる訳じゃないよ」

 

「何?」

 

ジャックは泣きそうな顔で語りだした。

 

()だってこんな殺し合いしたくない…でも殺るしかない…だって()()()の真名はジャック・ザ・リッパーなんだもん…殺して殺して殺し尽くさなきゃ…ジャック・ザ・リッパーに()()()()はそうしなきゃ英霊として存在を保てない…()は…()()()にはそれしか無いんだもん」

 

 

 

ロンドン(イギリス)

19世紀末

 

 

後に英霊ジャック・ザ・リッパーの依り代に選ばれた少女の人生は最悪だった。

 

 

パチン

 

ドゴッ

 

「痛い!止めて!痛いよお母さん!」

 

 

少女は運良くも悪くも8年の生涯だった。

 

 

当時のロンドンでは産まれてくることすら出来ずに水子となった数えきれない程の生命(いのち)が散っていく中、この少女は8年間も生きることが出来た。

 

だが彼女は赤ん坊の時以外の時間は地獄でしかなかった。

 

 

貧民街で産まれた彼女は日常的に実の母親に殴り蹴りの暴行を受けていた。

 

 

常日頃から暴行を受ける彼女の精神は磨り減っていた。

 

 

「…………」

 

 

彼女はずっと無言だったーーー

 

口を開けば何をされるか分からない恐怖に支配されていた。

 

 

彼女にとって母親とは恐怖の象徴だった。

 

だがそれと同時に愛しい存在でもある。

 

母親は売娼婦であり、父親は知らない。

 

産まれた時から母親しか知らない彼女にとって、母親は唯一の存在だったのだ。

 

 

暴行を受け続ける彼女にとってはそれが普通だと思っていた。

 

 

自分が良い子にしていれば母は褒めてくれる…そう信じ続けた。

 

 

西暦1888年ーーージャック・ザ・リッパーが起こしたとされるホワイトチャペル殺人事件が新聞メディアに報道された頃。

 

遂に最悪な出来事が起きてしまう。

 

 

「アッ…ガッ…」

 

少女は世間が報道するジャック・ザ・リッパー(殺人鬼)の手ではなく、自身が愛おしく思っていた母の手で絞め殺されてしまうのだった。

 

(どうして……私が…悪い子だから?……分からない…分からないよ…どうしてなの…お母さん……)

 

 

そうして人生の幕を閉じた彼女の不運は死後にも続いた。

 

名も無き少女にどういう訳か数千数万といった水子の怨念が集結し、世間を震撼させた殺人鬼ジャック・ザ・リッパーの真名を与えられた。

 

彼女はジャック・ザ・リッパーとして英霊の座に登録され、後に行われる聖杯戦争や神VS人類最終闘争(ラグナロク)に召喚されることとなったのだ。

 

 

 

 

()()()は愛情を知らない…()は何でこんな目に合うのか分からない……でも殺らなきゃ…殺らなきゃいけない…今の()は切り裂きジャックなんだから…」

 

「………」

 

ジャックの過去を知ったヘラクレスは考え込んでいた。

 

(俺は…どうすれば良い…英霊ジャック・ザ・リッパー…俺が憎むべき悪の象徴……だがこの子はジャック・ザ・リッパーじゃない…むしろ被害者じゃないか…俺は…この子を殺さなくてはいけないのか?…俺は…)

 

「…何を考え込んでいるのか知らないけど…さっきも言ったよ…同情なら要らないよ…私たちはジャック・ザ・リッパー…それに変わり無いんだから!」

 

 

ジャックがヘラクレスに向けて走り出す。

 

「あぁっと!ジャック・ザ・リッパーがヘラクレスに仕掛ける!二本の包丁を構えヘラクレスに突っ込んでいく!?」

 

「ッ!」

 

ヘイムダルの実況でヘラクレスは考えるのを止め、棍棒を構える。

 

 

「後ろから刺すけど怒らないでね!暗黒霧都(ザ・ミスト)!」

 

 

ジャックの身体から再び霧が吹き出した。

 

 

「クッ」

 

ヘラクレスは霧に包まれた辺りを見渡す。

 

 

霧の都にようこそ!

 

切り裂いて上げるからねぇ!

 

 

「何故まだ続けようとする!?お前はジャック・ザ・リッパーではない!俺と戦う理由は無い筈だ!」

 

 

ヘラクレスは必死に訴えた。

 

ヘラクレス自身はもうジャックと戦うことを躊躇っていた。

 

 

甘いよお兄さん!

 

私はもう英霊ジャック・ザ・リッパーなんだよ!

 

 

ザシュ

 

プシャア!

 

「ッ!」

 

ジャックの包丁がヘラクレスの背中に突き刺さる。

 

「後ろから刺すって言ったよね!」

 

ジャックはそう言い放つとまた霧の中に消える。

 

「止めろ!こんな闘いは無意味だ!」

 

 

だから甘いんだよ!

 

さっさと構えなよ!

 

でなきゃ死ぬよ!

 

 

 

「お前…これ以上殺したくないんだろ!先程からそう言う風に聞こえるぞ!」

 

 

ヘラクレスの言うようにジャックの言葉はまるで殺したくない様に聞こえた。

 

 

うぅぅああああ!

 

ジャックが霧の中から飛び出して来た。

 

「何も知らないくせに!!」

 

ジャックが手を翳すと腕に巻かれていた包帯がヘラクレス目掛けて伸びてきた。

 

「ッ!?」

 

伸びた包帯はヘラクレスの右腕に巻き付いた。

 

お前に何が分かるんだよ!戦えよ!同情するな!!

 

ジャックは包帯で巻き付いたヘラクレスを引っ張り上げ後方に投げた。

 

ジャックの筋力はCとそこまで高くは無いが呆気にとられたヘラクレスを投げ飛ばすには十分だった。

 

ドスン!

 

ヘラクレスはジャックの後方に聳え立つ時計塔に叩き付けられた。

 

 

 

「ッ!ヘラクレス兄様!」

 

ゲルはその光景に思わず叫んだ。

 

「……」

 

ネロは静かにその光景を見つめる。

 

「…ッ」

 

ブリュンヒルデは手を握り締めていた。

 

心の奥底ではブリュンヒルデはヘラクレスに死んで欲しくなかった。

 

だが人類を背負う以上、それは免れないが故に本当の気持ちを圧し殺しているのだ。

 

 

 

「はぁ…はぁ…はぁ…」

 

ジャックは荒く息を吐きながら崩れた時計塔を見つめる。

 

ドンッ!

 

瓦礫からヘラクレスが立ち上がる。

 

「………」

 

「…しぶといなぁ」

 

ヘラクレスは傷だらけだった。

 

「なっ!?傷だらけ!?神器以外の攻撃で神が傷付いた!?どういう事だぁ!?」

 

ヘイムダルを含めた神々がその光景に驚愕する。

 

「…それがお前の神器か」

 

「……そうだよ」

 

シュルル

 

ジャックは両腕の包帯を鞭のように降り始めた。

 

 

バシン!

 

バシン!

 

包帯が当たった地面は抉れた。

 

「これが私の神器だよ…」

 

 

 

「あ~…な~るほど…やられたねぇ…」

 

ロキは笑いながら悟った。

 

「な…何が起きたぁ!?」

 

アレスは分からずにいた。

 

「まだ分かってないの?」

 

「あ?」

 

ロキは語りだした。

 

「要するにジャックちゃんの本当の神器錬成(ヴェルンド)はあの両腕に巻かれてる包帯だったんだよ」

 

「!!!」

 

「……」

 

「恐らくあの包帯自体も武器になるし、触れたものも〝神器〟に成る」

 

「神器に…成るだと?」

 

ロキの仮説は正しかった。

 

ジャックが巻き付けている包帯で触れたものは何であれ神器と化す。

 

更に言えば包帯自体も武器に成るため、巻き取られ叩き付けられたヘラクレスが傷だらけに成るのは当然なのだ。

 

(これ全部…君の計画通りなのかな…?性悪女(ブリュンヒルデ)ちゃん)

 

 

ロキはこう思っていたが実は違った。

 

 

何故ならば()()()()()()()()()()()()()()()()からだ。

 

 

「お…お姉様は知ってたんスね…ジャックの神器も…こうなる事も!!」

 

「…いや…ブリュンヒルデ(マスター)は知らぬよ」

 

「えっ?」

 

ゲルの問い掛けにネロが答えた。

 

カラン

 

カラン

 

そこにとある足音が聞こえて来た。

 

「……何故此処に来たのです」

 

ブリュンヒルデがその足音の主に問い掛けた。

 

 

「それは…種明かしというやつですよブリュンヒルデ殿」

 

その者は黒髪に露出度の高い鎧兜と白装束を纏った、凛とした美貌の女剣士だった。

 

「やはり貴様か…源義経

 

ネロが現れた女剣士を睨み付けながら言い放った。

 

この女剣士こそ、神VS人類最終闘争(ラグナロク)で人類代表として召喚されたサーヴァントの一騎ーーー

 

 

ライダー 牛若丸であった。

 

 

「そんなに睨まないで下さいネロ殿…これはこの闘いに勝つためです…後私の事は源義経ではなく牛若丸とお呼びください」

 

「種明かしとは…どういう事です?」

 

ブリュンヒルデは牛若丸に問い掛けた。

 

「いえ…ヘラクレス殿の相手はジャック殿…それは最初から決めていた…そして神器錬成(ヴェルンド)の相手は()()()()殿と見越した故、僭越ながらこの牛若 あらかじめジャック殿と共にフレック殿を尋ねた次第です」

 

 

試合前ーーー

 

闘技場内

第11控え室

 

 

「フレック殿ぉ!お邪魔しますね!」

 

牛若丸はフレックの了承を得ずに部屋に入る。

 

「…何だ義経かぁ…勝手に入ってくるんじゃないわよ!」

 

戦乙女(ワルキューレ) 十一女

フレック

 

「それで何か用なの?」

 

「次の試合はフレック殿ですので呼びに参った次第です!」

 

牛若丸は笑いながら答えた。

 

「もうフレックちゃんの出番なの?…で?誰と?義経?」

 

「いえ牛若ではありません!ジャック殿とです!」

 

「………バッカじゃないのぉ?

 

フレックは言い放った。

 

「なんでこのフレックちゃんがあんな殺人鬼と神器錬成(ヴェルンド)しなきゃいけないのよ?いくらブリュ姉の頼みでも嫌よ」

 

「いえこの事はブリュンヒルデ殿は知りませんよ」

 

「……は?」

 

()()()()殿と牛若で考えた結果です!今回ジャック殿と神器錬成(ヴェルンド)するのはフレック殿以外あり得ません!」

 

牛若丸は笑いながら言った。

 

「はぁ!?なんでシグルド(あいつ)と勝手に決めてる訳!?絶対無理やらないからーーー」

 

ゾワ…

 

「!?」

 

フレックは背筋が凍り付いた。

 

既に後ろに殺人鬼が居たからだ。

 

「お姉さんが私たちの相手?宜しくねお姉さん…」

 

「は…?」

 

フレックは困惑した。

 

(何この子供…もしかしてこいつがジャック・ザ・リッパー?…嘘でしょ?)

 

「エヘヘ」

 

ジャックは笑いながら手を出した。

 

「え…?」

 

フレックは戸惑っていた。

 

「だ…誰があんたなんかと…ーーー」

 

その先の言葉は出なかった。

 

ガシィッ

 

何故ならジャックに首を絞められながら押し倒されたからである。

 

「がッ うげ…!?」

 

「大丈夫だよお姉さん…心を1つにするだけでしょ?だったら簡単だよ!」

 

ジャックは笑いながら絞める手の力を強めた。

 

「ひ……ッ…や………ッ…よ…義経…た…助け…」

 

「安心してくださいフレック殿…直ぐに終わりますので…」

 

牛若丸は笑った顔から真面目な顔になり言い放った。

 

「…いや…い…や…」

 

「アハハハ良いよお姉さん!私たちと心を1つにしよ!」

 

カッ

 

神器強制(ヴェルンド)!!」

 

「イヤァァァァァァァァァ!!」

 

バラ…

 

フレックの体は分解され、ジャックの両腕に包帯として巻かれた。

 

 

「アハハハ」

 

 

 

 

「そんな…ひ…酷い!無理矢理神器錬成(ヴェルンド)するなんて…それじゃあ…フレック姉様は…望まずに戦場(あそこ)に連れ出されているんスか!?」

 

「戦とは常に非情に成らなくてはなりません…それにこの戦にはフレック殿が必要だった…ブリュンヒルデ殿もそうお思いでしょ?」

 

「……確かにこの闘いにはあの子の力が必要」

 

「……」

 

ブリュンヒルデが語り出す。

 

戦乙女(ワルキューレ)13姉妹 第十一女フレック…その(ルーン)に秘められし能力(ちから)はーーー」

 

 

武器をガチャつかせる者(フレック)

 

 

 

ジャックが小石を拾う。

 

「常に巻いてる包帯だから騙せると思ったんだけど…そうもいかなかったね…この包帯は武器としても使えるし、何より…」

 

ビッ

 

ビュッ

 

ゴキョオオオ

 

 

「……」

 

ヘラクレスが後ろを見ると、建物が抉れていた。

 

「ただの小石だって壁がめり込んじゃうんだよ?…勘の良いお兄さんなら分かるんじゃない?…この意味」

 

 

 

ジャックの言葉で皆が意味を知った。

 

「そんな…!!まさかーーー!!奴の触れるもの全て!!ロンドンシティ全体が凶器ということか!?」

 

流石のアレスも気づいた。

 

 

 

「分かったらさぁ…さっさと構えてよ…殺し合おうよ…お兄さん(ヘラクレス)

 

 

 

 




はい今回は此処までです!

妄想ジャックちゃん如何でしたでしょうか?

気に入ってくれたら嬉しいです。

さて、次回いよいよ決着です!

果たしてどう転ぶか第四回戦!

今回から新しくアンケートを行います!

期限は第五回戦終了までです!

宜しければお答えしてもらえると嬉しいです!

次回もお楽しみに!

それでは!

第六回戦釈迦VS零副の試合をどうするか?

  • 釈迦VS零副の試合を描きつつ別の話を書く
  • 試合自体を無き物とし、全く別の試合にする
  • どっちでも良い
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