魔法先生ネギま! 同室のお兄さんズ 作:ひろやん(すぴ出身)
side パルジ
自分が主人公だと思ったことは無い、ただ生まれが特別だっただけだ。ユウの行動を見てきてそう思い知らされた。
原作なら京都に行くはずの修学旅行。しかしネギのクラスは俺達のクラスと一緒にハワイに向かっている。これもユウが『近衛木乃香』と付き合うようになったのが原因だ。
そしてその道中でトラブルが起きて、ユウはそれを解決するために行ってしまった。オリ主とはああいう存在を指すのだろう。
嫉妬すらできずにそう達観してると、ロボゆえに眠り薬入りの飲み物を飲まず起きていた茶々丸がエヴァンジェリンの座席のシートベルトをしめていた。
「コクピットで戦闘が起きた場合、機体が揺れる可能性が高いです。ですからシートベルトで体を固定しています」
茶々丸の話を聞いてそれもそうかと思った。飛んでいる状況下で大勢の寝ている人間を連れて脱出は不可能だ。なら寝ている連中をシートベルトで固定した方がまだいい。
俺は他に起きているメンバーと協力して寝ているクラスメイにをシートベルトをかけていった。そして全員のシートベルトをかけ終わったとき。飛行機は突然墜落し始めた。
落下する物体の内部にいる時、中は無重力状態になると言う。俺は今まさにその状況を体験していた。幸い寝ている連中はシートベルトのおかげで体を放り出されていない。起きていたメンバーは座席にしがみ付いたか茶々丸がフォローしてくれている。
しかしこのまま飛行機が墜落したら皆お陀仏だ。一瞬の間にそう考えていると、狸寝入りをしていた刹那がシトーベルトを外して木乃香の所に飛び込んだ。そして神鳴流の技で飛行機の壁をぶち破ると木乃香を抱えて飛び出していった。
刹那は木乃香の護衛だから木乃香1人を優先してもおかしくない。けれども上空を飛んでいる飛行機に穴が開いたら気圧さで飛行機の中のものは外に噴出してしまう。
しかし飛行機に穴が空いても噴出さなかった。その事におかしいと思い、窓から外を見てもっと驚いた。飛行機は気圧差がなくなるくらい下に落ちていた。それもかなりゆっくりと。
そんな事はありえないと混乱していると茶々丸の声が聞こえた。
「これは…現在この飛行機の重力は限りなく0Gに近い状態です。おそらく重力魔法を使用していると思われます」
重力魔法…、ネギまの登場人物で重力魔法を使うのは紅き翼のアルビレオだ。しかし彼がこの場に現れる訳が無い。いや、ユウがいた。ユウは図書館島の大司書長であるアルビレオから魔法を教わったはず。重力魔法を使えてもおかしくは無い。
結局美味しい所はユウが持って行ったのか。飛行機が海面に着いて、ユウがこっちに向かってくるのを見て俺はそう思った。
その時だった、飛んでいたユウが突然攻撃を受けて俺の目の前で海に落ちて行った。そしてユウはそのまま上がっては来なかった。俺はその様子を目の当たりにして動く事が出来なかった。
*****
海の上を漂っていた俺達が救助されたのはそれから数時間後の事だった。俺は魔法の事を知る関係者に事情を説明させられていた。
「それでユウさんは海に落ちて行方不明。近衛木乃香は桜咲刹那と共に脱出したまま戻ってこずか」
事情を聞いたエヴァは怒りを抑えながら事態の確認をした。
「それでネギ、学園長はなんて言っているんだ?」
「はい、行方不明の3人は皆さんには怪我で先に病院に運ばれた事にして、こっそり捜索するそうです。僕達はこのまま『大人しく』学園に戻るように言われています」
「ふん、『大人しく』は私に向かってか。確かに今なら呪いをぶっちぎって自由になることは可能だ。が、ユウさんの顔を多々て『大人しく』学園に戻る事にしよう。」
学園長の伝言を聞いたエヴァは余裕の表情でそう言った。ユウの事を心配するようではなかった。
「ちょっと、アンタはユウさんの事が心配じゃないの!」
アスナも同様の事を思いエヴァに詰め寄った。
「これだから魔法の素人は。ユウさんの無事はそこのオコジョバッジは証明しているだろう」
「え?」
エヴァがバッジになったカモを指してそう言うと、呆れるように説明した。
「私の呪いの様に精霊と契約してかけたものは術者が死んでも精霊が呪いを維持するので解けたりはしない。だからこそユウさんが精霊に生死確認するまでナギが死んでいると皆思っていた。だがオコジョバッジの魔法はユウさんが自身の魔力でかけた物。もしユウさんが死んでいたらオコジョバッジは元のオコジョに戻っているはずだ。つまりユウさんはまだ生きている。そして私にかけた封印を解く余裕があるのだから恐らく余裕もあるはずだ」
「じゃあどうして戻ってこないんですか!」
「攻撃を受けたのだろう。おそらく死んだ振りだ。それに近衛木乃香が行方不明なのだからそっちに言ったのだろう。私達が出来る事は何も無い、『大人しく』学園に戻るぞ」
エヴァがそう言うと俺達の間に沈黙が訪れた。
「結局主人公はユウと言うことか。でも仕方が無いか。ユウが攻撃を受けて海に落ちたとき死んだかもしれないと思ったんだ。その事が怖くて俺は動けなかった。結局俺には物語りに関わる資格は無いんだ」
俺の独白を皆は静かに聞いていた。