魔法先生ネギま! 同室のお兄さんズ 作:ひろやん(すぴ出身)
side ネギ
墜落(?)した飛行機から救助された僕達は救助船に乗ってハワイに着いた。学園長からの連絡だと修学旅行は中止になった。そして今日は予約していたホテルに泊まり、明日飛行機で日本に帰る事になった。
ハワイのホテルに着いたのが夕方で晩ごはんまでの僅かな間ホテルの中のみの自由行動になった。でもユウさん達が行方不明だから皆割り振られた部屋で静かにしていた。
…一部の事情を知る人を除いて。
ホテルのロビーで僕はアスナさんとエヴァンジェリンさん(と後ろに茶々丸さん)と今後の事を話していた。
「それで、アンタはこのかを助けには行かないの?」
「はい、行きません。学園長は残りの生徒を無事に学園まで送り届けるのが僕の仕事だと言いました」
「アンタはそれでいいの!」
「でも学園長の言いつけですし」
興奮するアスナさんに対して僕は正論を盾に言い返しました。
「あきらめろ、神楽坂明日菜。どのみち近衛木乃香の居場所は分からないんだ」
「それはそうだけど。エヴァンジェリン、アンタの力でどうにかできないの。?封印は解けているんでしょ」
宥めるエヴァンジェリンさんにアスナさんはそう聞きました。
「何の媒介も無しには無理だ。それにむかつく事だが私は学園長の指示に従う事で呪いの影響から逃れている。もしホテルの外に出たら呪いが私の体を蝕むだろう」
「このか、無事だといいんだけど」
「連れ去ったのが桜咲刹那ならその心配は無いはずだ。むしろユウさんと桜咲刹那がぶつかった場合の方が心配だ」
エヴァンジェリンさんはそう言うと席を立ちました。
「これ以上は話をしても無駄だ。私は団体行動に戻らせて貰うよ」
エヴァンジェリンさんは部屋に戻ろうとしましたが立ち止まって辺りを見回しました。
「おかしいな、人気がまるで無い」
確かに魔法の事を話すので認識障害の魔法を使ったけれども、あれは人を遠ざける魔法ではないはず。
「あ、でもこっちに人が向かってきているわよ。偶然じゃない?」
アスナさんの言う通り。金髪の白人のお姉さんがこちらに向かって歩いてきました。そしてエヴァンジェリンさんの前に立つとエヴァンジェリンさんの事を凝視しました。
「貴様何者だ?堅気の者では無いだろ」
臨戦態勢をとるエヴァンジェリンさんをみても気にせずに女の人はエヴァンジェリンを抱きしめて頬ずりをしました。
「あなたがキティちゃんね。写真で見たとおり可愛いわ。ねえ私の妹にならない」
「何なんだ貴様は!やめろ放せ!」
暴れるエヴァンジェリンさんを力ずくで押さえ込み女の人は話を続けました。
「『西の連中』がキティちゃんを口実に戦争を始めようとしているからキティちゃんを隠せってユウから連絡が着たんだ。だから『私』が迎えに来たのよ。さあ、行きましょう」
女の人がそう言うとエヴァンジェリンさんは暴れるのをやめました。
「確かに私がここで自由にしていることが余所にばれると問題になるが…。だからと言って突然現れたお前を信用できるか!それにユウさんからお前みたいな知り合いがいる事を聞いたことも無いぞ」
エヴァンジェリンさんがそう言うと、女の人は写真を取り出してこう言いました。
「昔私がユウと付き合っていた時の写真よ。これで知り合いだと信じてくれる?」
「ユウさんの恋人…」
「ちょと、ユウさんはこのかと付き合っているのよ。変な事を言わないでよ」
写真を見せられたエヴァンジェリンさんは炭化してアスナさんは叫びました。
「昔って言ったでしょ。ユウが麻帆良学園に転校する前に別れたわよ」
女の人がそう言うと自己紹介をしました。
「始めまして私はアレッシア・ゼーゲブレヒト・テッサロッサ。ユウと同い年だから貴女とも同じ年齢のはずよ。アレッシアって呼んでね」
「ユウさんと同じ年?でもどう見ても高校生以上…。あ、でも僕のクラスにも中学生に見えない人は何人かいました」
アレッシアさんの見た目はどう見ても高校生以上に見えました。でも僕のクラスにも委員長さんや朝倉さんや龍宮さんや長瀬さんのような人がいましたので気にしない事にしました。
「とにかく、ここにいると面倒な事になるから私と一緒に行きましょう。大丈夫、退屈はさせないわ。修学旅行中に声をかけるつもりでいろいろと用意してあるから。ようやく見つけた私好みの女の子、たっぷり可愛がってあげるわ」
「こいつは、やばい。茶々丸!助けろ!」
「はい、マスター」
アレッシアさんの様子に恐怖したエヴァンジェリンさんは茶々丸さんに助けを求めました。
「邪魔しないでよ」
向かってくる茶々丸さんをアレッシアさんはエヴァンジェリンさんを抱きかかえたまま、片手一本で投げ飛ばしました。
「うそ」
「あの茶々丸さんを投げ飛ばした」
「何を驚いているの?この程度なら余裕でしょ」
「気をつけろ!さっきから全力で抜け出そうとしてもびくともしないんだ」
エヴァンジェリンさんは封印が解けて全力を出せるはずです。そのエヴァンジェリンさんが抜け出せないって、一体どれだけの力が有るのでしょうか?
「ネギ、お前も見ていないで助けろ!生徒がさらわれそうになっているんだぞ」
「あ、はい!行きます武装解除!」
エヴァンジェリンさんを助けるために僕は武装解除の魔法を使いました。けれども何も置きませんでした。
「ああ、AMF発生装置って言う魔法が使えなくなる機械を使っているから魔法は使えないわよ。ちなみにそのロボ子を投げとばしたのは合気の技ね」
「魔法で力を強化出来無かったから抜け出せないのか。今の私の力は見た目と同じ10歳の少女と言う訳か」
エヴァンジェリンさんがそう言うとアッレシアさんはエヴァンジェリンさんを見つめました。
「10歳?私と同じ歳だと思っていたのに本当は10歳だったの」
「ひぃ!誰でもいい助けてくれ!」
10歳と言う言葉に反応したアレッシアさんに見つけられてエヴァンジェリンさんは悲鳴を上げました。
「アニキ、600万ドルの賞金首の面影は跡形も無いッスね」
オコジョバッジと化して僕の服にくっ付いていたカモくんがそう言いました。
「さあ、お姉さんと行きましょう、悪い奴等から守ってあげる。ただその間私の妹になってくれれば言いだけよ」
「いやあああ!!!」
悲鳴を上げるエヴァンジェリンさんを連れて行こうとするアレッシアさん。そのとき絶対絶命のエヴァンジェリンさんに救いの手が現れました。
「いい加減にしなさい!」
突然メイドさんが現れてアレッシアさんの後頭部を叩いて気絶させたのです。
「ウチのプレデターが迷惑をかけました。私はボスの…高町ユウさまに忠誠を誓う者の一人ユキシロといいます」
白い肌と髪に赤い目をしたメイドさんはエヴァンジェリンさんを解放するとそう名乗りました。
「ユウさんに忠誠?」
「はい、とはいえ普段はこの変質者の所で侍女として働いていますが」
ユキシロさんは綺麗な動作でお辞儀をしました。
「さて、キティ様を保護するようにボスから正式な命令を受けたのは私です。私の仲間がこちらにやってくる西の刺客を返り討ちするまで念のため私が張った結界の中に隠れていてください」
「ねえ、ユウさんと連絡をとったって言う事はこのかの事を聞いていない?」
エヴァンジェリンさんを隠そうとするユキシロさんにアスナさんはこのかさんの事を聞きました。
「そうですね。ハワイ一帯は昔日本とアメリカの間で起きた戦争の戦場だった事は知っていますか。戦後この辺りで戦死した兵隊さんの霊を鎮めたり悪霊と化した者を払う為に西の対魔師がハワイまで出張ってきたことが有ったそうです。その時使っていた隠れ家に居るそうです」
「それは何処なの!」
「さあ?詳しい場所までは聞いていません。ですが『2人とも』つれて帰ると言っていましたので大丈夫でしょう。あ、今別働隊が西の刺客を撃退したみたいです。陸に上がる前に海上で迎撃したので簡単だったと言っています」
そう言うとユキシロさんはアレッシアさんを背負いました。
「どうやらただお騒がせをしただけでしたね。この通り謝罪します。それと今回の事は海外に出てきた西の対魔師が西とも東とも関係ない第3勢力にやられたという事にする予定です。ですのであなた達は知らぬ存ぜぬで通してください」
それだけ言うとユキシロさんはアレッシアさんを連れてホテルの外に出て行きました。
「なんか嵐のような人たちだったわね。所であの人たちが言っていた『西』ってなんなの?その連中がこのかを連れ去ったの?」
「『西』つまりは関西呪術協会の事だ。予想通り近衛木乃香の実家が黒幕か」
「ええ、このかの実家が黒幕!」
「詳しい話を聞いておくべきだったな」
エヴァンジェリンさんの説明にアスナさんは驚きました。
「空気の所に行くぞ。ユウさんと同室のあいつならあの連中の事を何か知っているかもしれない」
「空気ってパルジさんの事ですか?エヴァンジェリンさん酷いですよ」
そう言いながら僕達はパルジさんの所に向かいました。けれどもパルジさんは何も知らず、エヴァンジェリンさんの八つ当たりを受けただけで終わりました。
『親戚のお兄さん』のオリキャラ登場です。そしてネギの古菲への弟子入りフラグがたちました。