魔法先生ネギま! 同室のお兄さんズ 作:ひろやん(すぴ出身)
side パルジ
俺は自分のことをヘタレだと思っている。マンガの世界に転生して原作知識が有るのにそれを利用せずに原作キャラと呼ばれる人物の接触しようとしなかったからだ。正直に言おう、原作介入する度胸が俺には無かったのだ。
しかしそのお陰で俺は生き延びる事が出来たとも言える。何しろ原作介入を狙ってアスナや木乃香といった少女達に接触しようとした転生者たちは学園長の手によって粛清されたのだから。
学園長…関東魔法協会としては魔法の事を知っている一般人や知るはずの無い事を知っている魔法生徒は危険人物なのだろう。今学園にいる転生者は少数の動かなかった原作知識持ちと多数の知識を持たない者たちだ。きっと彼らの大多数はネギ達と深い関係になる事はないだろう。
一方で俺と同室のユウは原作知識を持たない転生者だ。ユウが転生者なのは木乃香と付き合っている以上、原作に登場しない人物で間違いないからだ。そして原作知識を持っていないと思えるのはこれまで行動で明らかだった。
ユウがこの麻帆良学園に転校してきたのは小学6年の時だった。転校してきたのは親の勤め先の都合で一緒にやってきた『妹』とその友達を見たとき度肝を抜かれた。何しろ『ネギま』とは関係の無い別のアニメの登場人物だったからだ。幸いというべきか彼女達にちょっかいを出しそうな転生者は学園長の手によって粛清された後だったのでユウ達は一般人として学園に溶け込んで行った。
それと同時にユウのカリスマ伝説が始まった。菓総研に入ったユウは作り出すお菓子の上手さからあっという間に有名になり。ユウのケーキは小学校を卒業する頃には学園長の口にまで入るようになっていた。
ユウが木乃香と知り合いになったのはその頃だ。ユウが作ったケーキを食べて作ったのが同じ歳の男の子だと知って興味を持ったのが切欠だった。けれどもユウは木乃香と知り合いに名っても特に何かをするわけでもなく、木乃香を特別扱いする事もなかった。
余裕があれば誰にでもケーキを配り、請われれば誰にでもケーキの作り方を教えた。ある時魔法とは関係の無い原作にも出てこなかった一般の教師が恋人にケーキを作ってあげたいから作り方を教えて欲しいと言われたとき、ユウは親切丁寧にケーキの作り方を教えていた。
そして半年前のあの事件、ユウが図書館島の地下で魔法を知ったあの事件。図書館島の大司書がユウの事を信用置けると太鼓判を押したこともありユウは魔法使いになった。
そしてそれからしばらくしてユウは木乃香と付き合うようになった。しかしそれは普通のお付き合いで学園長が動くことは無かった。
俺はそんなユウの姿を同室だったお陰で近くで見る事が出来た。そして羨ましいと思った。重要人物に関われたことではない、原作知識を持たないが故に自由に行動できることがだ。原作知識、つまり『未来』を知らないから好き勝手に動ける、原作を気にせずに動けることがどれだけ素晴らしいのかを俺は知ってしまったのだ。
…で、そうしてそんな事を今考えているのかと言うと、今まさに原作イベントに巻き込まれてしまったからだ。ネギの正体がアスナにばれてしまうイベント、それに俺も巻き込まれ魔法使いだとばれてしまった。さらに俺とネギと同室のユウも魔法使いだと芋ずる式にばれてしまった。
どう誤魔化せばいいのか、原作のシーンが頭の中でぐちゃぐちゃと周って上手く考えられない。だからこの場にはいないユウの事を考え、ユウならどうするのかトレースすることにしたのだ。
「あの神楽坂さん、俺の話を聞いてほしいのだけど」
「何よ?」
「魔法使いの正体がばれると罰を受けないといけないんだ。当然ユウも正体がばれたから罰を受けることになる」
「それで?」
「その罰っていうのがオコジョ刑といってオコジョにされてしまうものなんだ。もしユウがオコジョになったらもうケーキを作れなくなるんだけど、それは嫌だよね」
「確かに」
「だから、この事は秘密にして欲しいんだ。もし秘密を守ってくれるのなら報酬としてユウが持ち帰ってくるケーキを横流しする事を約束しよう」
「その話、乗ったわ!」
こうして俺はアスナの買収に成功した。そしてネギが尊敬の眼差しで見てくるのがこそばゆかった。しかしアスナの魔法バレした事をユウに秘密にしたために後々大変な目に合うことになるとは思わなかったのだった。
原作知識が必ずしも役に立つとは限らないという話。次回はネギの回です。