〜???〜
「フブキ〜。ちょっと相談があるんだけど〜」
黒の狼は、手招きをする。
「何〜?どうしたのミオ〜?」
フブキと呼ばれた白の狐は、ミオと呼ばれた黒の狼に呼ばれ、側に立つ。
黒の狼は手元のキューブから映像を流す。
「これ、観てて」
骨が、歩いている。白骨化した人間達が、歩いている。
そして、それらに囲まれて玉座に腰を置くのは、緑色の髪に胸元が空いた藍色のドレスを着た少女。
「……うわぁー、なにこれ。今の『カバー』には、こんなのがいるの?」
「うん。この子達のせいで今、あの世界から少しずつ命が失われてきてる。……『生物』が、絶滅しちゃうかもしれないんだよ」
骨の軍隊が小さな村を蹂躙する様子を、ただ遠くから覗くことしかできないもどかしさに、黒の狼は拳を震わせる。
「じゃあ、噂のあの娘に頼めば良いんじゃない?」
二人の後ろで、紫の猫が提案した。
「そだよ〜。せっかくてい……あん……?の人がいるんだから!」
続けて、茶色の犬は言葉を詰まらせながらもその提案に乗る。
「それは『テイサツ』って読むんだよ、ころさん」
「そうなの?さすがおかゆ〜!物知り〜!」
赤色を基調に装飾された社で互いに話し合う、「ころさん」と呼ばれた茶色の犬と、「おかゆ」と呼ばれた紫の猫。
そして、白の狐「フブキ」と黒の狼「ミオ」。
彼女達は、この世界……「カバー」の秩序を守る監視者。「白上フブキ」、「大神ミオ」、「戌神ころね」、「猫又おかゆ」である。
人々の前に姿を表さない守り人である彼女達を、民は「ゲーマーズ」と呼んでいた。
そんなゲーマーズの前に、一人の少女が駆け足で参上。
「お待たせしましたーっ!フブキ先輩、ミオ先輩、ころね先輩、おかゆ先輩!」
胸元が開いた、魔法少女のようなオレンジ色の服に身を包んだ少女。彼女の名は「桃鈴ねね」。
「というわけで、ねねちゃん……頑張ってきてっ!」
フブキは、もどかしそうに視線を地に向けながら、エールを送った。
「危なくなったら、いつでも戻ってきてね!」
ミオは、まるで幼い我が子を遠い地へ送り出す母親のように、声をかける。
「「いってらっしゃ〜い」」
そして、ころねとおかゆは、二人で手を振りながら見送った。
「いってきまーす!」
ねねの足元に描かれた魔法陣が発光し、一瞬にして、ねねの身体は光となって、遥か彼方へと飛んで行く。
心配そうに、その光が見えなくなるまで目で追い続けるフブキとミオ。
ねねの行く末について、有る事無い事を話しながらも、その身を案じるころねとおかゆ。
四人の心配や興味をよそに、ねねは。
「おなか……減った……」
路地裏で一人、空腹に悶えるのだった。
カバー
どこかに「あったかもしれない」世界の可能性、その一つ
動物が人間の姿を模したり、感情が実態を持ったりすることがある。存在に対しての概念が固定されていないのだろう
他世界との境界線も曖昧であり、異世界からの転移者が訪れることは珍しくない