ホログラム・パラドクス   作:モガミのコッコ

1 / 123
ゲーマーズの遣い

〜???〜

 

「フブキ〜。ちょっと相談があるんだけど〜」

 

黒の狼は、手招きをする。

 

「何〜?どうしたのミオ〜?」

 

フブキと呼ばれた白の狐は、ミオと呼ばれた黒の狼に呼ばれ、側に立つ。

黒の狼は手元のキューブから映像を流す。

 

「これ、観てて」

 

骨が、歩いている。白骨化した人間達が、歩いている。

そして、それらに囲まれて玉座に腰を置くのは、緑色の髪に胸元が空いた藍色のドレスを着た少女。

 

「……うわぁー、なにこれ。今の『カバー』には、こんなのがいるの?」

 

「うん。この子達のせいで今、あの世界から少しずつ命が失われてきてる。……『生物』が、絶滅しちゃうかもしれないんだよ」

 

骨の軍隊が小さな村を蹂躙する様子を、ただ遠くから覗くことしかできないもどかしさに、黒の狼は拳を震わせる。

 

「じゃあ、噂のあの娘に頼めば良いんじゃない?」

 

二人の後ろで、紫の猫が提案した。

 

「そだよ〜。せっかくてい……あん……?の人がいるんだから!」

 

続けて、茶色の犬は言葉を詰まらせながらもその提案に乗る。

 

「それは『テイサツ』って読むんだよ、ころさん」

 

「そうなの?さすがおかゆ〜!物知り〜!」

 

赤色を基調に装飾された社で互いに話し合う、「ころさん」と呼ばれた茶色の犬と、「おかゆ」と呼ばれた紫の猫。

そして、白の狐「フブキ」と黒の狼「ミオ」。

 

彼女達は、この世界……「カバー」の秩序を守る監視者。「白上フブキ」、「大神ミオ」、「戌神ころね」、「猫又おかゆ」である。

 

人々の前に姿を表さない守り人である彼女達を、民は「ゲーマーズ」と呼んでいた。

 

そんなゲーマーズの前に、一人の少女が駆け足で参上。

 

「お待たせしましたーっ!フブキ先輩、ミオ先輩、ころね先輩、おかゆ先輩!」

 

胸元が開いた、魔法少女のようなオレンジ色の服に身を包んだ少女。彼女の名は「桃鈴ねね」。

 

「というわけで、ねねちゃん……頑張ってきてっ!」

 

フブキは、もどかしそうに視線を地に向けながら、エールを送った。

 

「危なくなったら、いつでも戻ってきてね!」

 

ミオは、まるで幼い我が子を遠い地へ送り出す母親のように、声をかける。

 

「「いってらっしゃ〜い」」

 

そして、ころねとおかゆは、二人で手を振りながら見送った。

 

「いってきまーす!」

 

ねねの足元に描かれた魔法陣が発光し、一瞬にして、ねねの身体は光となって、遥か彼方へと飛んで行く。

 

心配そうに、その光が見えなくなるまで目で追い続けるフブキとミオ。

 

ねねの行く末について、有る事無い事を話しながらも、その身を案じるころねとおかゆ。

 

四人の心配や興味をよそに、ねねは。

 

「おなか……減った……」

 

路地裏で一人、空腹に悶えるのだった。




カバー


どこかに「あったかもしれない」世界の可能性、その一つ

動物が人間の姿を模したり、感情が実態を持ったりすることがある。存在に対しての概念が固定されていないのだろう

他世界との境界線も曖昧であり、異世界からの転移者が訪れることは珍しくない
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。