白銀聖騎士団。
古より、「カバー」を厄災から守ってきたというその騎士団は、狂気と腐敗によって文明が滅亡するその時まで栄華を極めていた。
中でも、最後の団長である「白銀ノエル」は、世界の誰よりも強く、容易く人間を消し炭と化す殺戮兵器でさえも圧倒せしめる程の力を持つ、特異体質の少女であったという。
そして「Radical-buster-crusade-Type3O」、後に「ロボ子さん」と呼ばれる、絡繰の少女。
彼女は白銀聖騎士団の虎の子として誕生し、そして一度も「正しい目的」で使われることなく、眠りについた。
ロボ子さんとノエルが生きた旧文明。
「カバー」には、古代兵器「ラディス」をはじめとして高度な技術をもつ文明が存在していた。
尤も、今やそれは滅びて久しい。
しかし、「カプセル」と呼ばれた結界が張られている筒の中で永く眠りについていたロボ子さんは、朽ち果てずに文明を越えることができた。
……彼女が生きた文明は、厄災と戦火によって滅び果てた。
寿命を迎えた世界は腐敗を始め、運は敵に回り、草は枯れ果て、陽は陰り続けた。
そして、終末を先送りにした代償は人の心をも蝕んだ。
街に火が放たれ、血に飢えた人々は、人の肉を食らった。
死を拒んだ世界では、乱れた街に硫黄が落ちることも無かった。
人による、人のための、人の乱れた世界が「完成」してしまったのである。
その中で終末を望んだ、ただ二人の少女。
「白銀ノエル」と「ロボ子さん」。
二人は、それぞれ圧倒的なまでの力をもって、「破壊」による世界の書き換えを図ったのである。
しかし。
二人は、「カバー」の世界が「オリジナル」であるということを前提に生きていた。
「外なる者」、「深淵」。
終末を望むには、彼女らはあまりにも無知であった。
ロボ子さんは、力を使い果たしたことにより休眠状態へと移行。
そして、白銀ノエルは世界に拒まれた力が逆流し、大いなる力そのものと化し、暴走。
それは真なる終末ではなく、世界は人なる者による「洪水の再現」としての、疑似的な終末を迎えた。
やがて浄化されぬ世界は、腐敗を残したまま、新たなる文明の芽を生やした。
いずれ迎える終末の準備を、やがて解放され、戻るべき場所へと還る足掛かりを見出すための足場となる世界を、知らずの内に築いていった世界。
それが今、まさに終末を迎えようとしている、現代文明なのである。
何処かの世界にて語り継がれる黙示録。
完全な世界を完成させ、そして完全に世界を終えるための、最後の工程。
彼女らは今、神へ至ろうとしていた。
終末
何処かの世界
世界を支配する神は、終末にて審判を以て世界を完成に導く
終末は世の終わりに非ず、ただ清浄なる世界の始まり、滅びをもたぬ箱舟の再来なのだ