ホログラム・パラドクス   作:モガミのコッコ

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廃城へ

~福音の廃城~

 

雪花ラミィ、桃鈴ねね、獅白ぼたん、尾丸ポルカ、猫又おかゆ、そして魂を抜き取られたころねの肉体。

 

少女達は遂に死者の谷を越え、福音の廃城へと辿り着いた。

 

「ここが亡者達の巣窟かぁ……」

 

銀獅子族唯一の生き残りである獅白ぼたんは、銃を片手に先陣を切る。

 

亡者を蹴散らし門をこじ開け、先へ先へ。

 

その後を追うのは桃鈴ねねと猫又おかゆ。

 

「道を開けてもらうよ。……【逆殯(さかあがり)】」

 

「【バグ・パイプ】!!そこのけそこのけ、イナゴが通る!みんな、どかないと食べられちゃうよー!」

 

近接戦闘を得意とするころねとねねは斥候であるぼたんの後ろを駆け、彼女が縦に切り拓いた道を横に開く。

 

「【空を斬る氷撃(ザ・ホルス)】!それと……氷を、それっ!!」

 

「惑え惑えー!!何も無い世界を、見せてあげようっ!」

 

そして、殿(しんがり)を務めるはポルカとラミィ。

 

氷で道を塞ぎ、さらに光の屈折を利用した幻術で亡者達の目を欺く。

 

正門を開け、庭園へ。

 

全員が門を通ったことを確認して、ラミィは巨大な氷塊を生成。

 

これで、道を塞がれた亡者達が後方から畳み掛けてくることは無くなった。

 

その間にぼたんは庭園を抜け、内部へと繋がる扉の鍵を破壊し、城の内部へと続く道を開いた。

 

「お待たせ!開いたよ、皆!」

 

「ししろん、ナイス!」

 

ねねはぼたんを追い越し、内部へ。

 

「ねねち!その扉、破って!」

 

「それっ!【コマンド90・ピクセルコフィン】!」

 

見慣れない「四角」で構成された剣を片手に、回転しながら大扉を斬りつける。

 

棺を縛り付ける鎖のように、ドアノブ周りに斬撃を与えることで攻撃。

 

威力を大扉の中心に集めることで、衝撃を鍵穴とドアノブに集中させる。

 

「おおー!ねねち流石!それっ、開いた穴から失礼っ!」

 

廊下へと続く扉の鍵は破壊され、そのねねがそれを開けるよりも先に、穴からポルカが扉の向こう側へ幻術を発生させる機器を付けた小型ドローンを送り、そして部屋の向こう側を索敵しつつ、もし敵がいたかもしれない際に備え、幻の狐がいる世界を演出する。

 

「おまるん!向こう側はどう!?」

 

「大丈夫!何もいない!」

 

ラミィは構えていた杖を背のホルダーに納め、皆と同じく全力で走り出す。

 

一行は廊下を突き進み、先へ先へ。

 

此よりは地獄、死の世界。

 

亡者の王が巣くう城、その最深部。

 

生に対する死、光に対する影、有に対する無の支配する場、その最たるもの。

 

亡者の王。

 

死に至った少女を殺さんとする者達。

 

彼女達は奥へと向かう。

 

首なき首を斬るように、王なき王を射るように。

 

そして最奥の一歩手前、亡者の王が待つ間へ向かう者達を止める、最後の砦となる部屋。

 

鍵がかかっていない扉の奥には、さらに柱を囲うように左右へ分かれた階段がある。

 

その階段を上り、奥の扉を開ければ、そこはおそらく亡者の王が玉座に座る間であろう。

 

しかし、その前に立ちはだかる影が三つ。

 

一つは栗鼠の獣人に似た影、一つは宇宙の力を持つ影、そして一つは色を操る影。

 

亡者の王へ至る者を一人でも多く減らすためか、或いは迷える魂が黄泉へと誘っているだけか。

 

彼女らが人間としての正気を保っていない以上、城へ攻め入った彼女らがその理由を理解することは不可能であろう。

 

故にこれら三つの影は今、己の正義を以て道を塞ぐものでも、抱いた恨みを晴らすために居座っている者達でもなく、少女達の前へ立ちはだかった「敵」、ただそれだけであったのだ。




バグ・パイプ


魔力を介して己と他を結ぶ縁を強く結びつけ、その中から虫を召喚する時は「バグ・パイプ」の名で詠む

ねねの知る限りの虫を呼び寄せて簡単な指示を刷り込むことができる
かつて虫は弱き王の元に集い、そして王となるまでを見守った

桃鈴ねねは妖精に非ず
しかし、欺瞞に満ちた世界を救うのだ
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