ホログラム・パラドクス   作:モガミのコッコ

113 / 123
彼方に見ゆる夢の海

これは、私の知らなかった話。

 

否、思い出せなかった、ただそれだけ。

 

でも、私にはきっと……。

 

やるべきことが、あったような、無かったような。

 

~サーバ海・果て~

 

「ルーナたんまで……!折角、『果て』から帰ってきたのに……!」

 

瞬く間にあくあを飲み込み、ノインを粉砕することでルーナを完全なる赤子の状態に戻してしまった白い獣。

 

「アトハ……貴方ト『花火』ダケ……デスネ……。ソチラノ赤子ハ……モウ、タダノ情報ノ塊トシテ考エテイイデスカネ」

 

「何者なんですか……貴方は……!」

 

「私ハ……何デショウネ。デモ、コノ世界ヲ終ワラセタク無イッテ想イハ有リマスヨ?」

 

「どういう意味ですか……!船長の仲間をこんなにしといて、『果て』から帰ってきて、この世界の全てを知ってる筈のルーナたんもこんなんにして……!この世界を終わらせたくない?あくたんを噛み潰しておいて、それを言いますかぁ……!?」

 

「人ヲ殺シテデモ、守ルベキ秘密ハアルンデスヨ。サア、オ喋リハココマデデス。始メマショウカ」

 

「ルーナたんは成長してから話を聞けば良いとして、今取るべきはあくたんの仇……!絶対、逃がしてはおきませんよッ!!」

 

獣は大きく吠え、マリンへと飛びかかる。

 

「【ミラクル船長キャノン】、撃てェェェェェェッー!!!」

 

「【重力拡散】」

 

それに合わせて主砲の向きを調整し、迎撃するマリンであったが、獣はさらにその一枚上手を行く。

 

全身から船に大きな重力がかかり、小さくなってしまったルーナは苦しみ始め、俯いたまま息を切らしているまつりはとうとう血を吐き始めた。

 

「うおおおおおおおおッ!こんな、こんな真似をオオオオオオオッ!バケモノめ、船長は……また、船員を失って……!あくたんも、ノインさんも……お前に殺されて……!これ以上、船員を失うのは御免ですッ!!!今こそ、船長……いや、マリンの切り札……!!!見せてやりましょうッッッ!!!」

 

「グオオオ……何ヲサレヨウトモ、私ヲ阻ムコトハデキマセンヨ……!!!」

 

マリンは被っていた帽子を脱ぎ、赤ん坊になってもなお手を伸ばし続けていたルーナに預ける。

 

そして、

 

「これは、あたしにしか出来ない事……世界を包む、幻想の世界……」

 

手を宙に向けて大きく広げ、辺りを光で包み込む。

 

「ナ、何デスカ、コレハ……!?」

 

混乱する白い狐。

 

その間に、空間は形を成し、結界となって辺り一面へ。

 

「啓け、聞け、満たせ!たとえ、形と成らずとも!!!これがあたしの切り札、かつて、生み出した幻想にして、己の視た景色の影!!!【彼方に見ゆる夢の海(ライ・ライム・セカンドワールド)】!!!」」

 

そして次から次へと人影が現れ、一瞬にして白い獣から影を奪う。

 

そして、無理矢理にその身体を霊体と化し、束の間ではあるが、獣の意識を強制的に分断したのであった。




彼方に見ゆる夢の海


宝鐘マリンが描いた、夢の話

遥かの日に描いた幻想の夢、きっと訪れる世界の噺
その一説を語るもの

幻想に別の幻想をぶつけることで混沌を生み出し、夢のように混じり合うそれは、いつしか宝鐘マリンの切り札となった
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。