ホログラム・パラドクス   作:モガミのコッコ

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舞台装置

〜???〜

 

「博士。……アレ、本当にやるんですね」

 

白衣に身を包み、椅子に座って機械いじりをしていた二人の少女は、巨大なコンピューターを前に腰を上げる。

 

白髪の少女とブロンド髪の少女。

 

まだ幼さの残る少女達には似合わないが、それでも彼女達には確かな技術と目的があった。

 

「うん。私の悲願ですから」

 

「何故、そこまでして?……とか言ってる私も、そんな貴方を手伝うために、こうして自分のすべきことをしているわけなんですけど」

 

「人は、常に幻想を求めてきた。自分の身体をゲーム機のコントローラーにすることを、異世界に生まれ変わることを、そして遂には人間の身体を捨て去り、自らの思い描く姿で動き回ることを、皆が求めていた。……こうなってしまったなら、かつて人々が描いた幻想を現実にするべきじゃあないですか?どうせ、懐古の情に囚われた人も残っていないんですから」

 

「それもそうですね。……ねぇ、博士。私がいなくなっても、寂しがっちゃダメですよ?」

 

ブロンド紙の少女は、白髪の少女に抱き着いて囁く。

 

「うん、大丈夫ですよ。私一人でも、悲願を果たしてみせます」

 

そして彼女を抱きしめ返した白髪の少女は、カプセル内へと足を踏み入れるブロンドの少女を名残惜しそうに見送った。

 

「……ありがとう。それでは、私はもう行きます」

 

「……じゃあね。また、いつか」

 

「ええ。さようなら」

 

カプセルの扉は閉まり、これから少女の身体は生体ユニットとしてコンピューターへと取り込まれることとなる。

 

「……これで、良かったんですよね」

 

そして白髪の少女は、それを止めなかった。

 

「さあ。私も、準備を始めないとダメですね。まずは……頼みますよ、『KIARA』」

 

「『KIARA』!!ヴォッボァッボァッボァッボァッボァッボァッボァッ!!」

 

白髪の少女は、淡々と「KIARAシステム」と名のつく分厚い記憶媒体及び演算装置などの機器を、巨大なコンピューターと繋ぎ合わせた。

 

「これをこうして……よし、と。これで、運命をまた一つ変えられるはずですね。……皆には申し訳ないですけど……。ごめんなさい」

 

「(……ねぇ。本当に、それがあなたの望んだことなの?)」

 

「静かにしてください。私は決めたんです。それに、あなたは元の世界に囚われ過ぎているんですよ。【雑音】さん。……あんな地獄の、どこが良いんですか」

 

少女はフラッシュバックするいつかの記憶を振り払い、再び監視用モニターへと目を向けた。

 

「もう、思い出させないでくださいよっ……!美空さん……!」

 

彼女の瞳は涙に濡れ、ぼやける視界の中で、それでも自身の涙に気づかないフリをしながら、モニターを見つめる白髪の少女。

 

「いいなぁ……みんな、青春って感じだなぁ……!幻想は、これだから素晴らしい……!!」

 

そして少女が見つめる先には、二つと在るはずのない自身の姿があった。




KIARAシステム


とある異世界
研究者達は宙を舞う機人、その極を求めるべく叡智に狂い果てた

その果てに生み出された一つの完成形となるはずだったものを稲荷博士が転用し手を加えた、緻密なプログラムにして情報の塊

鋼鉄の巨人を操る者の脳に殺人的な反応速度で戦闘シミュレーションデータを送り込み、戦闘に活かす
その演算技術は、幻想を取り込んだ未来を描く足掛かりとなった

不死なる遺灰こそが御霊を祝福し、そして大いなる理想を体現する鳥とするのだ
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