ホログラム・パラドクス   作:モガミのコッコ

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永遠を謳う獣と、輝きを夢見た少女

古き時代を生きた龍。

 

それは、火の消えた世界に根付く存在。

彼らに心臓は無く、それは生死の概念さえも超越している「生物でさえもない何か」であったそうな。

故に、厳密には生きているという表現も間違えているのかも知れない。

 

しかし、何時の時代も何処の世界にも、永遠を求める者は存在する。

 

輪廻転生。

 

無情にも朽ち果てる身体では無く、その霊或いは魂に存在を見出すものである。

 

「身体は死すとも、霊は死なぬ

心の臓無き故に、生の鼓動は鳴りやまぬ」

 

その概念ものは、何者かが人の内に永遠を見出した証であった。

 

そして、「カバー」にもまた、永遠を謳う獣が存在した。

 

「全てを一つに、そして、その美しい様を永遠にする」と、そう息巻いて地を踏みしめ、血肉を貪り禁忌を侵す者が。

 

しかし平和な物語は、それだけでは美しくなり得ない。

 

獣は至高の永遠を遺すため、新たなる世界を創造した。

 

遺すものが魂だけならば、仮初の身体は小道具に過ぎない。

 

獣は内に肉を取り込み、取り出した魂を練り固めて新たな霊と為す。

 

その冒涜的ともいえる行為は、輝きの少女に「生」と「永遠」を疑わせるに足るものだったのであろう。

 

輝きの少女は、望まぬ永遠を疑った。

 

永遠の名をもつ少女は、しかし歪な永遠を望まなかった。

 

冒涜、不死、腐敗。

 

しかし、自我さえも無い世界の永遠を、彼女は永遠と呼ばなかったのだ。

 

そして獣は、そんな輝きの少女の存在を脅威として見ていた。

 

「腐っても鯛」という言葉がある。

 

文字通り、劣化してもある程度の価値は残っているという言葉だ。

 

そして、同じく文字通り腐っていても、獣は美しい世界を手放せずにいたのだ。

 

命あるものが死ぬと、それは肉塊となり、徐々に腐敗していく。

 

世界に永遠が有り得るのならば、そこに腐敗や死はおろか、狂気など微塵も存在しないだろう。

 

獣自身に宿る狂気を、獣は否定どころか、気付くことさえできなかったのだ。

 

そして、腐敗した世界さえも否定せず、それに永遠を見出している。

 

獣となった者、不死となった者。

 

それらが半永久的に受けるを約束されたものが生ではなく死、正気では無く狂気であったとしても、一度でも目にした永遠を捨てる道を、たった一度の生を喪失する恐怖に飲まれた獣には考える事すらできなかったのだ。

 

この世界に固執し、瞳を失った獣。

それに抗うは、新たなる道を見出した輝き。

 

そして舞台に踊る少女達は、腐敗と滅びに停滞する世界の姿を目にするだろう。

 

その時、彼女らは何を思うのだろうか。




血壁


位の高い吸血鬼が使う、血の魔術
魔術書のみが蔵書された大書庫を有す魔界学校にも伝わっている、魔物の魔術

壁を作ることが目的の魔術であるため、血を複雑な形で凝固させることは出来ない
しかし、この術は放たれた血液を瞬く間に凝固させ、一度に大量の血を固めることもできる

魔術を使える程に自我を保てる吸血鬼は位が高く、そう多くはない
故に魔界学園も例に漏れず、「カバー」全域で血の魔術は停滞、衰退した
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