~???~
どこでもない空間。
フブキは、神社の境内を模した空間で座禅を組み、精神を統一することで体内の魔力を循環させ、身体の治療を進めていた。
しかし、眠っているナキリの存在を恐れているのだろうか。
その手足は、小刻みに震えているように見えた。
「フブキー!!」
そこへ駆けつけるミオ。
「どしたの、ミオ?」
「あの鬼の子が起きたんだよ!」
「あの子が!?」
ナキリが、目を覚ましたのだという。
しかし、寝室からは刀の音も狂ったように暴れ回る足音も聞こえない。
「……ってわけだから、洗濯してた鬼の子の服……あの子に返しちゃうよ?」
ミオはナキリの衣服を物干し竿から取って、寝室へと持って行こうとした。
「ふぁぁ……服は……?あれ?もう一人いたんだ……?」
すると、そんなミオの動きを察してか、「あやめ」が目を擦りながら寝室から姿を現す。
「ちょ、ちょっと!?今から服持って行こうと思ってたのに!そのままじゃ寒いよ!?」
「あ、ありがとう。えっと…何で余はここにいるの?二人は……誰?」
裸のまま姿を現したあやめを前に慌てるミオだが、当のあやめは、そんなことよりも二人の獣人が何者なのかが気になって仕方ないようである。
「えーっと……色々と見せたいものはあるんですけど……先に自己紹介しちゃいましょうか。私は白上フブキで、こっちは相棒のミオ」
「ウチとフブキ、二人でカミサマやってるんだ~」
フブキは、ナキリとの戦闘を映像として記録した水晶玉を背後から取り出そうとしたが……あやめの表情を見て、先に自己紹介を済ませる。
それに続けて、ミオも自らの立場を明かす。
「へ~。カミサマかぁ~」
そしてフブキとミオは、あやめが今置かれている状況の説明をする。
ここがどこなのか、どうしてあやめはこの空間を訪れることになったのか、その概ねを伝えた。
しかし、無邪気なナキリの振る舞いを見て、「ナキリ」として振舞っていた時のこと「だけ」は話さないでおこうと思ったのか。
フブキは戦いの映像が保存されている水晶を、そっと背後に隠した。
一方のあやめ。
……寝起きだからだろうか。
ミオから返された服を着るなり、上の空である。
天を仰ぐような視線と、ぽっかり開かれた口。
「「……聞いてる?」」
「あ、ごめん、なんも聞いとらんかった」
「「ズコー」」
百鬼あやめは、なんも聞いとらんかった。
「そうだ!名前聞いたんだから、余も自己紹介しないとだ余ね。余の名前は百鬼あやめ!魔界学校初代生徒会長で、鬼の戦士だ余!」
そしてフブキとミオの話を他所に、あやめも自己紹介を始める。
「あやめちゃんか……和風でいい名前だな……」
フブキは妙に格好つけたような口調で、紅葉が散る外の空間を眺めながら茶を啜る。
「ねぇ、フブキ。それと……あやめ。ちょっと早いけど……ひとまず一件落着を祝って、宴にしない?」
そしてミオは、あやめと手を繋ぎフブキに手招きをした。
「おおっ、いいですなー!よーし!そうと決まったら、早く町まで行こっ!」
座布団から飛び上がり、大はしゃぎで準備を始めるフブキ。
あやめも宴と聞いて、目を輝かせながらミオに抱きついた。
「ちょ、あやめ?」
「えへへ、あったかい……」
「もう……ほら、いくよ」
「はーい」
「ミオとあやめちゃん、親子みたい」
フブキは、ミオに甘えるあやめと、まんざらでもなさそうなミオをからかう。
「……そんなのも、いいかも知れないねぇ」
ミオは微笑み、フブキも連れて境内の階段を降りて町へ向かっていった。
~???~
「「「かんぱーーい!!」」」
三人は大量の料理を前に、コップをかち合わせて同時に飲み物を口にする。
そしてしばらくの間、三人は美味な料理に舌鼓を打ち、束の間の休息を楽しんだ。
……しかし、その笑顔は計らずとも、いずれ訪れる日を暗示させるものとなってしまったのだろうか。
獣は物陰にてほくそ笑み、その宴会を覗いていた。
超阿修羅功・粒子剣舞
何処かの世界にて、機械人形を操る青年が得意とした剣術
阿修羅をも超えた気迫を込め、朱き粒子を放出しながら目にも止まらぬ速さで回り込みと斬撃を繰り返す
後に青年は異星より訪れた侵略者達と剣を交え、英雄となった
管理者、即ち神なる青年のよき友
そして好敵手として