ホログラム・パラドクス   作:モガミのコッコ

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オーバードライブ

~ムラサキ村郊外~

 

「【血のハンマー】」

 

メルは血で生成した槌を手に天高く飛び上がり、自由落下に合わせて振り下ろす。

 

「……!」

 

ナキリは太刀でそれを回避し、メルの背後へと回り込む。

 

「【叫びの内側へ(ダイブ・イン・トゥ・ザ・スクリーム)】」

 

そこへ右腕に虚空、とある世界では暗黒空間と呼ばれたそれを纏わせたトワが迫る。

 

ナキリは間一髪で回避、しかしその身体は削り取られた空間に引きずられる。

 

「そーーーれっ!」

 

そこへ振り下ろされる血のハンマー。

 

ナキリの身体は肉体は跡形も無くなった。

 

「グゥゥ!」

 

……しかし潰される直前にハンマーの内側を斬り裂いて潜り込んだのか、ナキリは内側からハンマーを砕き、姿を現す。

 

「これでもダメなんだ……なら……!【ブラッディ・ファング】!」

 

メルは血で生成した短剣に自身の肉片を埋め込んでナキリへ向けて飛ばし、疑似的な誘導兵器として使う。

 

「フンッ!」

 

ナキリは太刀を振り回して血の短剣を粉砕。

 

肉片はメル自身がそれを操作する権限を失うまで細切れにされてしまった。

 

そして、怯むことなくメルへ刃を向けるナキリ。

 

「このままじゃラチが明かないよ……」

 

「……トワに任せて」

 

刀を構え直し、メルの眼前まで迫るナキリ。

 

トワは右手に魔弾を構えて発射しながらナキリへ接近し、そのままメルを押しのけてナキリの大太刀へ蹴りを入れる。

 

「トワちゃん、何を……」

 

「【魔人化】」

 

「……!」

 

「ウオオオオオオオオオオオオオアアアア!!!」

 

押し出されたナキリの前に現れたるは、変わり果てた姿のトワ。

 

全身は黒く染まり、二本の捻じ曲がった角が生え、紫色の筋のようなものが全身に張り巡らされている。

 

もはや彼女は小悪魔ではなく、本物の―。

 

「【瞬火……!」

 

「【魔剣トワ】」

 

ナキリが刀に炎を纏わせる間も無く、トワは生成した大剣でナキリの左腕を斬りつける。

 

「ヴ、ヴ、ガァァァァァァァァ!!!?」

 

「やっ!はっ!ぐぉああっ!!」

 

トワの連撃は止まらず、防戦を強いられるナキリ。

 

「グア、アアアアア……!?」

 

「押し切るッッ!!【ソードマスター……!」

 

ナキリの眼前に迫るは、トワの名を冠する大剣。

 

しかし、それがナキリに接触する直前。

 

「グ……!」

 

「あ……」

 

効率を考えずに使っていたトワの魔力が切れ、魔人化が解けてしまった。

 

「【一文字】」

 

「っ!!?」

 

右腕ごと弾き飛ばされる大剣。

 

そして、

 

「【旋風斬り】」

 

渦を巻くナキリの太刀。

 

「う……ぇあ……?」

 

「トワちゃああああああああああああん!!」

 

瞬く間にトワの全身斬り裂かれる。

 

メルの悲鳴が響き渡る中、力を失った小悪魔は跡形も無く灰と化した。




血のハンマー


何処かの世界、「血の悪魔」として知られた少女の記憶から見出した戦技

少女は悪魔を狩る悪魔として生き、そして死んでいった

尤も、悪魔の末路がろくなものである筈が無いのだが
しかし英雄に似た結末と思えば気休めには、或いは手向けにはなろうか
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