オールマイトの隠し子なんだけど、オールマイトに隠し子が居るってマジ?   作:米国主将

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個性把握テスト

国立雄英高校ヒーロー科とは、日本最大にして最高峰のヒーロー養成校である。

人々の自由と平和を守るため、プロヒーローの指導の下

正義と友情と、それから結構な名誉とそれなりの金銭を愛する心清き青少年達が

最高のヒーローを目指して日々切磋琢磨する勉学の場である。

その筈である。

 

(なんだこれ地獄かな)

 

「机に足をかけるな!雄英の先輩方や机の制作者方に申し訳ないと思わないか!?」

「思わねーよ!テメー何処中だよ端役が!」

 

自身の通う事になる教室、1-Aに向かうと

いきなりヴィラン予備軍みたいな不良少年と、いかにも委員長を目指して居そうな眼鏡君が喧嘩していた。

そして入り口では、それを見たあんまりヒーローっぽくない地味目の少年がドン引きしている。

 

「ごめん君、これ一体どういう状況?」

「えっ…!いや、これは、えと、あの、見ての通りの状況・・・?」

 

美久子が話しかけると、地味目の少年は顔を赤くして、ドモりながら説明になってない説明を・・・といっても本当にその通りでしかないのだが。

どうやら女子に免疫がないのか、突然女子に話かけられた事で緊張しているらしい。

話かけてしまった事で、騒ぎを無視して席に座る空気でも無くなってしまい、どうした物かと悩んでいたら

入口に居る二人に気づいた眼鏡君が不良少年への注意を切り上げて、二人に近づいてきた。

 

「ボ…俺は私立聡明中学出身、飯田天哉だ」

「私は八木美久子、出身中学は麻鈴だよ」

「あ…っと、僕緑谷、よろしく、飯田くん、八木さん」

「よろしく…緑谷くん」

 

挨拶もそこそこに、飯田は緑谷の目をじっとみながら緑谷に語りかけた

 

「緑谷君はあの実技試験の構造に気づいていたのだな」

「構造?なにそれ?」

「えっと、レスキューポイントの事かな?審査員があの巨大敵にどう対応するか見てたって」

「俺は気づけなかった…!!悔しいが緑谷君の方が上手だったようだ!」

「あれってそんな意図があったんだ?凄いな、私、何も考えないでとりあえずぶっ飛ばしてたよ」

「君もあれを倒したのか!しかも何の打算もなく!?くっ、俺は力だけでなく心まで負けたというのか・・・!」

 

美久子が緑谷の洞察力に関心している横で、飯田は勝手に敗北感を感じて頽れていた。

なお緑谷も別に試験の意図に気づいていなかったため、自身に感心する二人の反応に戸惑っていた。

何気に話を聞いていた不良少年も、思う所があるのか何か言いたげな視線を緑谷に送り、形容しがたい沈黙が教室に訪れる。

話題が途切れたため、美久子は二人に適当に挨拶し、教室の一番奥にある自身の席へと向かうと

ちょうど入れ違いのようなタイミングで入口から現れた女子が緑谷に話しかけた。

三人は同じ試験会場に居たらしく、チャイムが鳴っている事にも気づかず、入学試験の内容で盛り上がっていた。

 

(入口を塞いでるのって不味いんじゃないかな、っていうか先生が来る前に着席しないと・・・)

 

不良少年もいつの間にか足を降ろして居住まいを正しているし、注意してあげるべきか・・・と声をかけようとしたところで

 

「お友達ごっこがしたいなら他所へ行け」

 

寝袋にくるまった不審者が現れた。

 

「ここは…ヒーロー科だぞ」

 

ここはヒーロー科なんですけど!?

世界一不審者が居てはいけない場所、居たら速攻でお縄になるプロヒーローの巣窟である。

まだ互いの名前も知らないクラスメイト達の心は、間違いなく一つになっていた。

 

「はい静かになるまで8秒かかりました、時間は有限、君たちは合理性に欠くね」

 

不審者が何やら言っているが、大半の生徒の頭には内容が入ってこなかった。

 

「担任の相澤消太だ、よろしくね…早速だが、体操服着てグラウンドに出ろ」

 

※ ※ ※

 

(個性把握テストかぁ、出来れば力が漲ってる時にやりたかったな)

 

「八木、中学の時ソフトボール投げ何mだった?」

「59mです」

 

唐突にグラウンドに連れ出され、入学式もガイダンスもすっ飛ばして、いきなりの体力測定。

その見本として、美久子がクラスメイト達の前に立つ事になった。

 

「じゃあ個性を使ってやってみろ、思いっきりな」

「・・・はい」

 

美久子は個性を発動し、体内のエネルギーが全身に巡るのをイメージする。

ボールを持った右腕を振りかぶると、蓄積されたエネルギーが放出され前髪が僅かに逆立つ

 

「すまっしゅ・・・!」

 

実技試験の時よりも幾分力のない掛け声と共に、右腕が振り下ろされる。

大気を貫き・・・と形容するには些か貧弱だが、それでも通常の投擲よりは遥かに勝る勢いでボールが飛んで行った。

 

「208,3mか…思いっきりやれと言ったはずだが?」

「あれが今、私が出せる全力です。試験の時みたいなパワーを出すには、必要な条件がありますから・・・」

「そうか、まぁちゃんと理由があるならいい」

 

実技試験の際に見せたパワーが出せれば、この程度の飛距離では無いはずだと不満顔の相澤だが

個性の常用に慣れておらず、素の力による投擲の記録しか知らない新入生からすれば、空前絶後の大記録である。

 

 

「なんだこれ!!すげー面白そう」「208mってマジかよ」「個性思いっきり使えるんだ!流石ヒーロー科!」

 

今までに体験したことの無い行事に盛り上がる生徒たち、それを見た相澤は・・・

 

「・・・面白そう、かヒーローになるための三年間、そんな腹積もりで過ごす気でいるのなら・・・」

 

「トータル成績最下位の者は見込みなしと判断し除籍処分としよう」

 

遊び気分の生徒たちを地獄に落とす宣告をした。

 

『はああああ!?』

 

―――雄英は常に生徒に試練を課してくる。お前の未来のためにも、これからは私のために力を無駄遣いするんじゃない

 

父の言葉が胸をよぎるが、美久子はそれを即座に振り払った。

 

(あれは無駄遣い何かじゃない・・・!それに、ヒーローは常にベストな状態で戦える訳じゃないんだ。

このくらいの試練、必ず乗り越えて見せる!)

 

※ ※ ※

 

そんな美久子の決意とは裏腹に、個性把握テストは割と順調に進んでいった。

別に不調な中でも優秀な成績を叩きだした、という訳ではない。

自身の最下位を心配する必要がない程、ぶっちぎりのドベが居ただけである。

 

「ねねね、飯田くん、緑谷くんって入試で巨大ロボットをぶっ飛ばしたんだよね?」

「そりゃ人違いだろ、無個性のザコがんなこと出来るかよ」

 

美久子はぶっちぎりのドベ―――緑谷の個性を聞きだすために、同じ試験会場に居たらしい飯田に声をかけるが

不良少年、爆豪が割って入ってきた。

 

「無個性!?彼が入試時に何を成したか知らんのか!?」

「おう、俺も見てたぜ!オールマイトみたいなすっげえパンチでデカブツをぶっ飛ばしてたよな」

「は!?」

 

飯田が爆豪の主張を否定し、近くにいた赤髪の少年、切島もそれに追従する。

その内容に驚く爆豪を他所に、美久子は更に困惑していた。

 

「単純な増強系?体力テストに向いていない個性なのかと思ったけど、何で使わないんだろう…パンチ力だけが上がるタイプ?でもそれだって応用は…」

「何で、はお前も同じだろう、八木。」

「ん?」

 

前評判と結びつかない緑谷の低成績に頭を悩ませていると、カラスのような頭をした異形系の少年が話しかけてきた。

 

「えっと…」

「常闇踏陰だ。…俺は実技試験の時にお前と同じ会場にいたが、その時のお前は嵐のように空を駆け、素手で鉄を引き裂くほどの戦いぶりだった。

その姿は正に無双。恐らく単純な力では、このクラスにお前を上回る者は居ないだろう…なのに何故今はその力を発揮しない?」

「あ゛ぁ?なんだそりゃ、てめえまさか舐めプしてんのか?」

「そうなのか!?…そういえば、君は先ほどからチラチラとスマホを覗いてるように見えたが、やるきがあるのか!?待機中も授業の一環だろう!」

 

男子たちの責めるような言葉に、美久子は慌てて弁明した

 

「試験の時はロボ相手に無双したというか、用意されたロボが優秀だったから無双できたというか…もしロボがハリボテだったら、あそこまで派手にはやれなかったよ

スマホに関しては、むしろやる気があるから気にしてて…」

「相手が強いほど、自分も強くなる個性って事か?相手がいねーから、記録もそれなりと」

「もしやスマホも個性と関係があるのか?ならすまない、俺こそ失礼な事を言ったようだ。だが、そういう個性ならスマホと何の関係が・・・」

「うん、当たらずとも遠からずって所かな、私の個性は…」

 

そう言いかけた所で、突風のような衝撃波が美久子たちを襲った。

 

「うお!何だ!?」

「どうやら緑谷くんが個性を使ったようだな…指がはれ上がっているぞ、入試の時も腕が負傷していたようだが」

「デク・・・!?どういうことだゴラァ!!!」

「己の身を犠牲にした上で出せる力という事か、指の力だけで705m…凄まじいな」

「指、うわ痛たたた、いや痛いよあれ、めっちゃ痛った!うわー痛った」

 

美久子は個性の反動で壊れた緑谷の指を見ると、自分の指を押さえながら身を震わせた

 

「いや何で八木が痛がってるんだよ」

「いやー、私も昔、同じような個性事故で指をやっちゃった事があってさ…ほんとヤバイよあれ、指が死ぬかと思ったもん」

「思い出し痛み、という奴か」

「うん、そんなとこ…てか私よりも爆豪くんでしょ、何にキレてるの彼?忙しい人だね…」

 

※ ※ ※

 

「んじゃパパっと結果発表」

 

相澤が順位を投影すると、美久子は総合7位、最下位はやはり緑谷だった。

 

「ちなみに除籍はウソな、君らの最大限を引き出す合理的虚偽。」

『はーーーーーーーーーーーーー!!!!???』

 

あまりの理不尽にキレる生徒たちを無視して、淡々と連絡事項を伝えて解散を告げる相澤。

 

「緑谷、リカバリーガールのとこ行って治してもらえ、それと八木」

「はい」

「緑谷と同じ目にあった事があると言っていたが、本当か?」

「はい、個性に目覚めたての頃に何回か」

「なら悪いが、時間がある時で構わないから、緑谷を見てやれ。お前の学業に支障がでるようなら、別に無視してくれても構わんが」

「や、そこは全然大丈ぶふぉっ!?」

「どうし・・・っ!?」

 

相澤の後方を見て、突然噴出す美久子。

相澤が振り返ると、そこには校舎の陰からコッソリと顔を出すオールマイトの姿があった。

 

「ちょ…パ、じゃない、ゲフン。オールマイト先生、何やって・・・」

「オールマイトさん…あの親ばか、暇なのか?」

 

呆れ顔でオールマイトの顔を見る二人だが、娘の姿を見に来た割には、彼と目が合わない。

疑問に思ってその視線を追ってみると、その先には保健室に向かう緑谷の姿があった。

 

(緑谷くん?・・・そういえば、確か朝も確かみどりやって)

 

もしかして二人の間に何か接点があるのだろうか?

相澤が早足にオールマイトへ向かうのを見送ると

美久子も首を捻りながら、教室へと戻っていった。




7位は原作での尾白君の順位
尾白や切島などの、個性関係なく単純にフィジカルが高い奴と
障子のような、基礎能力が常人を超えてる異形系や
能力がストレートに記録に反映される常闇等との境目となります。
轟は氷だけでどうやって2位になったんだ・・・?


ちなみに条件付きパワー増強系で個性が被る事と
筆者が部屋王以外での彼の活躍を思い出す事が出来なかったため
砂籐くんが不在になります。
賑やかしとしては地味に出番が多いのですが、SSには背景の絵とかないですし。
なお彼の原作の順位は12位
砂糖を持っていなかったせいで個性が使えなかったのか
体力測定に有利な個性を使ってなおこの順位なのか
どっちにしても不遇だと思う
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