幸福な死に向かって   作:凪@なぎ

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お久しぶりです。
本当にお久しぶりです…。

9/8に保存してからやる気がおきず放置のままいつの間にか9月が終わりそうになってる…。こわ。

お気に入り登録が120超えてる…?ゆめかな?


幼女、見習隊士となる

寮の自室でおそるおそる封筒を開ける。

これはわたしの六年の努力の結果。

努力は報われる。

報われない努力は努力ではなく徒労というのだといったのははたして誰だったか。

よし。まずは合格。

配属される隊は……。

 

 

 

 

 

九 番 隊 で す !!!

 

 

 

 

 

やったぜ!

兄さん、待っててね!!!

 

 

走る走る廊下を走る!

教員に怒られようが気にしない!!

目標発見!!突撃!!!

抱きしめろ!!

 

 

「ぎんちゃん!!うかった!!にゅうたいしけん!!」

 

「……ぎんちゃんやあらへんって。で、何番隊に受かったん」

 

「きゅうばんたい!ぎんちゃんは!?」

 

「……五番隊や」

 

「ごばんかあ…。とおいね。じかんができたらあいにいくね!」

 

原作通り、原作通り。

気合入れて腹黒メガネの相手をしてね!

 

「来んでええよ。……なあ、諸星センパイ」

 

「なぁに」

 

「諸星センパイはなんでボクを構うん?」

 

それはかわいいからさ!!!

 

「だからかわいないって」

 

やば、声にでてたわ。

 

「んんぅ。……ぎんちゃん、まつもとさんがすきでしょ?いちばんだいじでしょ?」

 

「……別に。ただの幼馴染や」

 

顔に出てるよ、ギンちゃん。

まだ感情のコントロールができてないね。

 

「いちばんだいじがゆるがないひとがすきなの。あんしんできるから」

 

「安心?」

 

「だってそういうひとはゆれてもつらぬけるでしょ」

 

貫きたいんだ。

根性なしのわたしでも兄さんの心を守るって決めたから。

 

ギンちゃん、尊敬してるよ。

百年以上、松本さんだけを愛しているなんてその執念、好物です。

純愛?家族愛?依存愛?

いいよね、そういうの。

 

「ぎんちゃんはだいじがひとつしかない、とおもうからそれをぜったいまもる。だからあんしん」

 

「……なんやの。それ」

 

「ぎんちゃんのいちばんはゆるがない。でもね、あたらしいだいじ、つくってもいいよ」

 

「ハァ?……ひとつしかないから安心なんやないの」

 

「あー…、いちばんとそのたにこえられないかべがあるから、あんしんだとおもう。……たぶん」

 

「ホンマ、わけわからんわ」

 

そのすねたような顔、好物です。

かわいいのうかわいいのう。

 

「ぎんちゃん、わたしたよりないけど、ちょっとだけたよってね。あ、ちょっとだけだよ。いっぱいはだめ。そんなにがんばれないから」

 

「それ、最初から頼らん方がマシなんやないの?」

 

「かわいいぎんちゃんがかわいいままでいられるようにせんぱいちゃっとだけがんばっちゃうぞ!」

 

「もしもーし、聞こえとりますかー?」

 

 

 

 

 

 

 

==

 

 

 

 

 

 

 

 

「鈴、この書類は三番隊、こちらが八番隊で最後に十三番隊だ。届けられるかい?」

 

「はい、とうせんはっせき」

 

 

ついにわたしは護廷十三隊に入隊した。

尸魂界にきてから早十数年。

九番隊預かりの死神見習いになったのだ。

 

まあ、今やってるのは書類を他隊に回して判子をもらってくることなんだけどね。

 

 

「この鞄に書類を入れておくからなくさないようにね。ゆっくりでいいから今日中に判子をもらってくること」

 

「はい、いってまいりますっ」

 

「いってらっしゃい」

 

 

兄さんはいまだ八席でまだ五席じゃないけど、どうやら時間の問題らしい。

実際兄さんはすっごい優秀で異例の速さで八席まで上り詰めたらしく、実力でいうならもう五席でもいいらしい。

それでも年功序列とか体裁、隊士歴とかいろいろあってまだ昇進できないみたい。

無理にこれ以上出世させるとやっかみがひどくて後々大変なんだって。

死神社会も大変だ。

 

 

「おい、鈴!水もってけ!」

 

「水じゃあんまりです、隊長。茶にしましょう」

 

「鈴、菓子は持ったか」

 

「スズちゃんスズちゃんはい帽子ぃ~!かわいいぃっ。こっちにしよっか。あっちも捨てがたいなあっ」

 

「……副隊長、いつまでやってるつもりですか。麦わら帽子でいいでしょう」

 

 

原作の百十年前ですが、九番隊は平和です。

平和を通りすぎてのんきです。

 

 

「い、いってまいりますっ!!」

 

「隊長!鈴が逃げましたァ!!」

 

「おい帽子忘れてるぞ!!」

 

 

走る走る付き合ってられないから走る。

付き合ってたら日が暮れるぞ。

地図を見ながら走るのだ。

 

「えっとぉ、ここがよんばんたいだからさんばんたいはこっち……だよね?」

 

一番隊、四番隊はわかりやすいけど他はどこも同じに見えるのがいけない。

個性出せ。

 

「きゅうばんたいみならいたいしもろぼしですっしょるいをおとどけにまいりました!」

 

「おや、拳西のところの子だね。ちょっと待っていてくれるかい?」

 

「……お、おおとりばしたいちょう、おつかれさまですっ」

 

「うん、いい挨拶だ。お疲れ様。……はい、できたよ。どうだい僕のフライングVを聴いていかないか」

 

「け、けっこうです。しょるいありがとうございましたっ」

 

あー、三白眼の金髪ロン毛大男とか怖っ。

死神って大柄な人多すぎでは?

 

……次は八番隊。

もっと大柄で怖い人だよ。

京楽隊長、漫画で見る分にはかっこいいけど現実で会うとめっちゃ怖いと思う。

まだ会ったことないけど。

留守でありますように。

 

「きゅうばんたいみならいたいしもろぼしですっしょるいをおとどけにまいりました!」

 

「おやあ、ずいぶん可愛らしいレディだね」

 

いるぅ。

いつも通りサボっててくれませんかね。

 

「初めまして八番隊隊長の京楽春水だよ。キミが六車クンのところの噂の新人サンだね」

 

「……あ、あの、その、こんきよりきゅうばんたいににゅうたいいたしゅましゅたもろぼしすじゅでしゅっっ」

 

……噛みすぎだぁ。

もうダメだぁ。

第一印象絶対変な子だよぉ…。

助けて兄さん。

 

「アハハ…そんなに緊張しなくていいよ。鈴ちゃん。どうだい一緒にお茶でもしていかない?」

 

「は、はんこ」

 

「うんうん、お茶の後で判子してあげるよ」

 

「お、おしごとちゅう」

 

「ちょっとくらい遅れたって怒られないさ」

 

お、お助けっ。

 

「なにをしてるんだ京楽っ。涙目じゃないか!」

 

この声は……

 

「なんだい浮竹。ちょっとお茶のお誘いをしているだけだよ」

 

護廷の良心、浮竹隊長!!

 

で、デカい…!

みんな身長高すぎではありませんか。

 

「君が鈴ちゃんだね。君のことは海燕から聞いてるよ。俺は浮竹十四郎。十三番隊の隊長をしてるんだ。よろしく」

 

「も、もろぼしぃ……すずです。よろろしくおねがいしましゅっ」

 

もうダメだぁ…。

おしまいだぁ…。

たすけてにいさん…。

 

「ハハハっ、よろしくな。十三番隊宛の書類はあるかい?」

 

「あ、あります」

 

「そうかそうか、なら一緒に行こうか。そうだ書類が出来上がるまでの間お菓子でも食べないか?」

 

「おいおいボクが先に誘ってるんだけど。第一まだこっちの書類が終わってないよ」

 

「なら終わったら十三番隊まで届けてくれ」

 

「そりゃないよ浮竹ェ」

 

浮竹隊長……、強い。

強かだなあ。

流石に長年隊長やってるだけあるわ。

 

「な?いいだろ鈴ちゃん。ゴマ団子もあるんだ」

 

「お、おだんごたべる!」

 

「なんだい、団子が好きなのかい」

 

「ああ、海燕がいうにはゴマ団子とこし餡の大福が好物だとか」

 

志波さん、何話した。

あとで聞きにいかねば。

 

「さ、行こうか」

 

さりげなく手をつながないでください…。

これ、もはや連行では?

 

そんなことを考えていたら雨乾堂についた。

途中で会った隊士たちはちょっと驚いていたけどすぐに微笑ましいものを見たようにで微笑んで声をかけてくる。

それに浮竹隊長は快活な笑顔で答えて、わたしは慌てて頭を下げ続けた。

 

「じゃあ、その書類をもらってもいいかい?」

 

「はい、おねがいします」

 

「ありがとう。お茶は玉露でいいかな?団子と大福どっちがいい?」

 

書類を机に置き、沸かしたお湯でお茶を淹れた浮竹隊長は問う。

 

「い、いえ、しょるいをもらったらすぐでていきますので、あの……おかまいなく」

 

「なんだ、そんなに畏まらなくていいんだぞ」

 

「いえ、その、まだ……、まだしごとちゅうですので」

 

「ははは、なんだそんなことか。子どもなんだからそんなこと気にするな」

 

気にします。

こっちは子どもだろうと新人なので真面目に行きます。

第一印象大事です。

 

「お、諸星っ。来てたのか」

 

「……しばさん、おじゃましています」

 

「おお、くつろいでいってくれ!」

 

「いえ、すぐかえりますよ」

 

「そんなこといわないで団子でも食べていくといい」

 

「そうだそうだ好きだろ団子」

 

「……しばさん、じゅうさんばんたいになじむのはやくないですかぁ」

 

たしかこのまえまで五番隊にいたはずなのに。

このコミュ力お化けが。

 

「だろう?流石俺だなっ!」

 

「ああ流石海燕だ。この調子で副隊長になってほしいんだが…」

 

「ちょっ浮竹隊長!!」

 

あー…。

もうそろそろ副隊長になるんだっけか。

 

「ふくたいちょうになるの?すごいです」

 

「すごいだろうそうだろう。でもそんなすごい副隊長になりたがらないんだ。なんでだろうな?」

 

「なんででしょう?」

 

「なんでだろうなあ?」

 

「……隊長、アンタな」

 

ニコニコとわたしと顔を見合わせる浮竹隊長は本当に楽しそうで。

呆れた顔の志波さんは浮竹隊長が淹れたやたら甘い玉露をひどく苦そうな顔で飲み干した。

 

 

 

 

 

 

==

 

 

 

 

 

今日もせっせと書類をお届けし、お菓子をもらい、隊舎に帰ってお茶を汲む。

迷子は相変わらずでまだまだ迷うけどこれはわかりづらすぎる護廷が悪い!

 

 

「しばさんしばさん」

 

「なんだ諸星」

 

「うきたけたいちょうがえづけしてくる」

 

「あー…。子ども好きなんだよ。付き合ってやってくれ」

 

「おーい、鈴ちゃん。水飴いるかい?」

 

「い、いっとかん」

 

「……うわぁ。……隊長、それはさすがにないっス」

 

いろんな隊でお菓子をもらうけど浮竹隊長はいろいろ規格外。

団子や大福、饅頭は九番隊のみんなやギンちゃんと食べれるからまだいい。

今回みたいに一斗缶の水飴とか七五三でもらうような金太郎飴とか大きな瓶詰めの金平糖とか処理に困るものが結構ある。

 

こっちは見習い隊士ぞ?

割り振られた部屋は小さいのだぞ?

 

このまえなんて大量の干し芋くれた。

毎日食べても一か月はかかるからあ!!

 

 

 

 

と い う わ け で

 

 

 

 

「おりょうりきょうしつぅ~」

 

 

処理に困る大量の水飴とこれまた大量の干し芋をみんなで処理しちゃおうねっ。

会場は九番隊の簡易台所。

簡易なはずなのにちょっと広いんだよね、ここ。

 

参加者はぁ……

 

 

「…………なあ、諸星センパイ。なんでボク、巻き込まれとるん」

 

「あまいものはこどものみかたぁ~」

 

「子どもやないし、甘いんもあんま好きやない」

 

 

ギンちゃんと…

 

 

「…………なんで俺まで巻き込まれとんねん」

 

「ひらめたいちょうおひまだってあいぜんふくたいちょうがいってたあ~」

 

「……惣右介ェ。あとヒラメやないヒラコや。他隊の隊長の名前間違えたらアカンで」

 

 

平子隊長と…

 

 

「はぁい。……で、なんでいるのしばさん」

 

「……居ちゃ悪いか」

 

「もう、こんかいはざいこしょぶんとぎんちゃんをひらめたいちょうにうりこむかいなのにい」

 

「……鈴、おまえせめて俺の前でいうなや」

 

 

毎度おなじみ志波さんです!

 

 

志波さん出番多くない?

なんで毎回いるのかな?

ほぼ毎日会ってる気がするけど暇なの?

志波さんだってまだ新米だよね?

いいのか、それで。

 

「で、何作るんだ」

 

「だいがくいもとひとくちかんてんぜりー」

 

「ダイガクイモォ?干し芋しかないやん」

 

「ほしいもでちゅくります」

 

この頃よくしゃべるからかよく噛むなあ…。

 

「……なあ、ぜりーってなに?」

 

「あまいやつ」

 

「………ホンマに大丈夫なん?」

 

「………アカンやろ」

 

「………ダメかもしれねぇ」

 

 

失礼な男どもだ。

これでも転生前()は一人暮らしだったから時々料理もしてたんだぞ。

クッ●パッ●でいくつかレシピ調べて家にあるやつで代用しながらだいたいこれ使ってたなって味見しつつ作ればなんかよさげなものは作れるんだよ。

 

一応、本で作り方は見たし、たぶん干し芋でも水で戻せば大学芋は作れる作れる。

金平糖で砂糖の代用はできるはずだし、りんごでゼリーの味付けもできるって。

 

「じゃあぜりーからつくるのぉっ!」

 

「だからぜりーって何なん」

 

「お、おう」

 

「……ハラァ壊さへんやろな」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

無事、一口寒天ゼリーも大学芋も完成した。

男どもがあんまりおそるおそる食べるからムカついた。

美味しかろう?

そんなに驚くなよ。

 

ゼリーはあっさりりんご味だから万人向けする。

ちゃんと簡素なラッピングもしたし、松本さんに差し入れしても大丈夫だと思うよギンちゃん。

いやぁ、わたしの味覚だとゲロ甘にしそうで危なかった…。

 

さて、今回の目的なのだが、実はギンちゃんと平子隊長を仲良くしたいってのは本当。

ギンちゃんが藍染陣営だってわかっても気にかけてくれるかなって。

できれば生き残ってほしいよね、後輩には。

そしたら減刑してほしいからさ、味方を作っておかないと。

 

……そのせいでギンちゃんをより苦しめるかもってことはわかってるけど。

それでも、松本さんと生きてほしいんだ。

 

兄さんと生きられないわたしにはふたりが眩しい。

 

わたしが松本さんの立場だったらきっと追いかけられなかったし、ギンちゃんの立場でもあんなに頑張れなかった。

 

ふたりの間にあるのは刷り込みのような絆。

ふたりきりだったからこそ築けた世界。

 

ふたりの世界が壊れても信じられる強さに基づくもの。

……わたしにはない美しいもの。

 

ギンちゃん。

わたしにうつくしいものをみせて。

 

あなたたちの壊したくなるようなうつくしいものを。

みせてね。

 

そして、壊したくないと思わせて。

 

 

 

 

 

 

 

 




完全に日常回でした。
餌付け対象に思われているすずちゃん。
ずっとびびってるから余計構われるのだ。

アンケートご協力ありがとうございました。
okも出てところで以前のペースで更新できるかわかりませんが、ここから少しずつ加筆修正していきます。

過去編や東仙VS狛村&檜佐木のアニメ見たら私の認識違いが発覚したしちょっと修正しないと…。
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