幸福な死に向かって   作:凪@なぎ

3 / 10
感想、お気に入り、ありがとうございます。
拙作ですが、これからもよろしくお願いします!





幼女、望まざる邂逅

 

迷子になったうえ、熱でぶっ倒れ、しかも遠征中の六車さんに拾われるという失態を犯しつつ迎えた朝。結局まだ熱は下がらずじまいだった。苦しいよぉ。泣ける…。

涙目で鼻水だらっだらのわたしはゲホゲホいいながらおかゆを食べさせてもらって鼻をかんでもらっておくすりを飲ませてもらった。

…隊長になにさせてんだ、わたしは。というか、他に人いないんですか。

ちなみに隊長羽織はわたしに掛けてあった。だからすぐ誰だか気づかなかったのか。なるほど。

 

「ほら、もっと食え」

 

「…もう、いいです」

 

「なにいってんだ、食わなきゃ治んねぇぞ」

 

「ゲホッ、うぇ、……もうやだぁ」

 

「しゃあねえなあ。…おい、その兄貴の特徴教えろ。探してきてやる」

 

「…えっと」

 

なんて会話をしたこともありました。

 

 

 

 

 

 

 

わたしは今、一番台の流魂街の小さな食堂で皿洗いをしています。

どうしてこんなことに…。

 

あれなんですよ。

兄さんの特徴を教えろっていわれて素直に答えたら速攻で兄さん見つかったわけですよ。まあ、わかりやすい外見してるもんね、兄さん。

そしたらそのまま兄さんは霊術院に入学するって言いだして、わたしはおばあさんが営む小さな食堂で丁稚奉公ですよ!?どんな話し合いをしたんですかあ!わたしこっち来てから兄さんと姉さん以外の人と話したことほとんどないのに食堂の看板娘とか難易度高すぎですってえ!!元々コミュ障なんですよお!!おばあさんがいい人なことだけが救いですぅ!!でも時々話しかけてくるおっさんたち怖いよお!!

 

「すずちゃん、お皿洗い終わったかい?」

 

「うん、おわったよ、おばあさん!」

 

「そうかいそうかい、じゃあ今日は早いけどもう店じまいだよ」

 

「…いいんですか」

 

「もちろんさ。ほら、銀髪のおにいさん来てるから一緒にお団子食べておいで」

 

「ゴマ団子!…ありがとうおばあさん。いってきまぁす」

 

「いってらっしゃい。ゆっくりでいいからね。はいお茶も持っていきなさい」

 

…なぜかあれからちょくちょく現れる六車さんはもはや常連一歩手前で、兄さんより顔を出してる気がする。いいのかな、こんなに隊長が流魂街にいて。

 

「むぎゅるまさーん、お団子です」

 

「お団子です、じゃねえだろ!挨拶ぐらいしろ!」

 

「こんにちはー!お団子です!」

 

「団子はもういい!さっさと食え」

 

「…はぁい」

 

甘いもの苦手なのに一緒にゴマ団子食べてくれる六車さんはいい人。そして絶対苦労人。

あとわたしは幼女のままなので六車っていえません。舌っ足らずってやつですね。

 

「…むぎゅるまさーん」

 

「六車だ。…なんだ」

 

「しにがみになりたいでーす」

 

「…駄目だ」

 

「…なんでですか」

 

「…おまえがチビすぎるからだ。せめてその舌っ足らずを直してからじゃねえと鬼道なんて使えねえぞ」

 

「きどうがつかえなくてもなぐればいいもん」

 

「もんじゃねえ。駄目なもんは駄目だ」

 

嘘です。本当は鬼道で戦いたいです。痛いの嫌なので遠距離で安全なところから攻撃したいです。あと高位鬼道の詠唱破棄とかやってみたいよ。かっこいいもん。

 

それにしても取り付く島もないな。

…正直、仕方ない気はする。わたしはまだまだチビだ。どういうわけか全然背が伸びないし舌っ足らずも治らない。昔は平均的な身長だったはずなのに未だに百センチいかない。…これ、幼稚園児どころか保育園児くらいなのでは?

 

でも、あきらめるわけにはいかないのだ。

ゲス灘&藍染遭遇をまさかの迷子&発熱で不参加になってしまった以上、兄さんが勧誘を受けたかは不明なまま。所属陣営がわからないままならなにがあってもいいようにせめて強くならなければ。

 

せめてゆっくりとした変化が欲しかった。

不変なんて不自然は望めないことは知っていたけれど。

せめて幼女から少女になっていたかった。

 

「…そんな顔すんな。急いで強くなる必要なんざねえ。おまえはまだガキなんだからゆっくりでいいんだ」

 

いい奴ぅ。

あと頭ガシガシ撫でるのは癖ですか。嬉しいです。

 

これ、実は兄さんとも仲良くなってるのかな。これでもし藍染陣営だったらダメージデカそう。

 

とりあえず、食べて寝て兄さんに会いに行ってやる!

兄さん不足で死んじゃうよぅ…。

 

 

 

 

 

 

 

なんて思っていたこともありました。なにこれデジャヴ?

 

わたしの前にはもっふもふの巨体が気絶している。

そう、彼こそ将来の七番隊隊長にして東仙要(兄さん)のもうひとりの親友になる予定の狛村わんわんである。

 

つい、そうついね。久しぶりの兄さんに興奮と嬉しさのあまり、練習中の瞬歩で突撃してしまったのだ。…隣にいたらしい狛村さんに向けて。

ごめんなさい。お腹に激突してしまいました。すいません。

 

「…わんわん、大丈夫かな」

 

「…わからない、けど、医者に連れて行くのは嫌がりそうだからね」

 

せめてもと日陰に移動させて様子見してるけど起きないねえ。幼女の全力瞬歩頭突きはなかなかの威力だったらしい。

 

そんなこんなで起きた狛村さんに謝って、もふらせてもらって、肩車してもらって、怒られててんこ盛りな一日でした。

この日からちょくちょく狛村さんと休みの日に会うようになりました。もっふもふは正義!

狛村さんの膝に乗せてもらいながら三人で食べる兄さんのお弁当は最高なんじゃあ…。この幸せのためなら頑張れる気がする。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

帰りが遅くなったせいでおばあさんに怒られたけど、兄さんのとりなしと、兄さんに会いたかったって泣いたら頭を撫でてもらったよ!幼女ってこういうとき楽でいいね!

 

…でももう楽はできないのだ。

なんたってみんなに内緒で真央霊術院の入学願書だしちゃったからね!

これで来年からわたしも院生だ!

 

 

 

 

 

 

 

 

…って思ってたら落ちた。しかも二回落ちた。でも三回目で合格した。そして背は伸びなかった。舌っ足らずも治らなかった。

 

兄さんはもう死神になっている。原作と同じで五番隊らしい。

…本当に藍染陣営なのか?

 

 

わたしもまずは死神にならなければ。

知り合いはいないけど大丈夫。というか友達ひとりもいないんだよなあ。ほしい気もするけどやることあるしなあ。もう教室の隅で生きていこうそうしよう。

 

「おい、そこのチビ!迷子か!どっから入ってきた」

 

「…いんせいです」

 

振り向いたわたしは凍りついた。

うっそ、なんでこの人がここにいる。

 

「院生だぁ?…確かに女子制服だけどよ、おまえチビすぎるだろ」

 

「…そのうちおおきくなります」

 

「…なんだ、怒らせちまったか。ワリィな。詫びに団子でもおごってやるよ!」

 

「…けっこうです」

 

「そういうなって!…そうだ、おまえ名前は?俺は」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「志波海燕だ」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ふっざけんなよ、この主人公顔がぁ…!

これ以上、原作の方々との交流はいらないし、なにより陽キャはお断りなんだよお!!!





次回から院生編になります。同期は海燕さんです。
魂魄消失事件に間に合うように死神になる、かつ原作キャラを出すとなると彼か七々緒ちゃんが選択肢になりますがここは海燕さんでいきます。下手に仲良くなると京楽隊長に目を付けられる気がするので。

狛村隊長はあれです。東仙要といえば狛村隊長ですから。あともふりたい。


護廷編に向けて加筆修正したいのですが、どこまでなら許せますか?

  • 誤字脱字、行間を詰めるくらい
  • 表現を変えるくらいならok
  • 数行くらいなら付け足しても、まぁ、いいよ
  • 大筋変わらないなら好きにどうぞ
  • ガッツリやれ!話数が変わっても構わん!!
  • 今のままでいいから更新はよ
  • 黒歴史だろうと残しとけ
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。