キャストリアが見つけ、パーシヴァルが開けた棺桶。その棺桶はハドリアヌス帝の時代から少しした…恐らくは1世紀程の年代から出てきた物だった。材質としては木製であり保存状態が非常に良い。だが、問題は年代でも材質でもない。何故なら中に若い女性が入っており、しかもその女性は生きていたのだ。見た感じ、健康には問題がなく女性は何事もなかったように起き上がる。その手にはアーサー王が持つエクスカリバーに匹敵するΩ級武装と思われる槍が握られていたのだ。
「……うそーん」
「こんな事が有るんですね」
想像して欲しい。今からざっと数百年前の地層から棺桶が見付かり、その棺桶から若い女性がΩ級武装を持って出てくるのだ。これにはギャラハッド達は勿論、並行世界からのデジャブるを何度も経験しているゼルレッチも唖然としてしまう。
「私の封印を解くとなると、皆様はお父様の残した聖杯と聖槍を手にする資格が有るのですね。つまり、童貞及び処女と言うことですね」
女性はそう告げ、棺桶から出てくる。大事そうにΩ級武装と思われる槍を抱えてだ。だが、彼女は聞き捨てならない言葉を言った。それは今、正にギャラハッド達が探している聖杯の事である。
「聖杯を知ってるのか!?」
「ええ、私には分かります。何故なら私にはお父様の血が着いた物の場所が分かります。申し遅れました、私はサラ。ナザレのイエスとマグダラのマリアとの間に産まれた娘です。
此方は聖槍ロンギヌスと同一視される槍 聖槍カシウスです。ヨハネ兄さんから資格の有る者に手渡すようにと言われてますものです」
若い女性はサラと名乗った。いや、それだけではない。彼女はイエス・キリスト…ナザレのイエスとマグダラのマリアとの間に産まれた女性だと言ったのだ。伝承に曰く、イエス・キリストは穢れていない=童貞だと言われており娘は居ない。だが、彼女の事が本当ならイエス・キリストには娘が居る事に成るのだ。
(この世界…ダ・ヴィンチコードかい!!)
心の声でギャラハッドが叫んだ。
ダ・ヴィンチコード。それはギャラハッドが前世で歴史&ミステリーオタクだった山田くんに誘われて、見た映画の事である。このダ・ヴィンチコードはざっくり言うとイエス・キリストの聖杯を巡る物語だが、この聖杯だがイエスの性(子種)を受けた杯(子宮)という解釈であり、そのイエスの子を儲けたのがマグダラのマリアという事なのだ。つまり、この世界もダ・ヴィンチコードと同じくイエス・キリストとマグダラのマリアには子供がおり、その子供が目の前のサラと言うことだ。
しかし、ダ・ヴィンチコードの流れだと聖杯=マグダラのマリアの子宮となる。だが、サラは聖杯は別に有るとでも言いたげな事を言っていた。
「聖杯とロンギヌスは何処に?」
ベディヴィエールが問う。
「聖杯とロンギヌスは同じ場所に有ります。ただ、ロンギヌスは永い年月の影響と資格のない人間が1度使った影響なのか、強大な呪物と成っており触らない方が良いかと思います」
ベディヴィエールの問いに対してサラはそう言った。どうやらロンギヌスと聖杯は同じ場所に有るようだ。だが、ロンギヌスは永い年月と資格のない人間が使った影響なのか誰の手にも負えない程の呪物と成ってしまったようなのだ。
「もし…そのロンギヌスに触れると?」
「魂が汚染されて死ぬでしょう。触っても平気なのはありとあらゆる呪いに耐性を持つ人以外居ません。例え、真祖や朱い月でも蝕む呪いです」
なんという事でしょう。ロンギヌスは触る事も出来ない程の危険な代物に変わってしまったようだ。触れるだけで魂が汚染されてしまい、使うことは愚か握る事さえも出来ないだろう。もし、ロンギヌスが使える人間が居るとすればありとあらゆる呪いに耐性を持つ人以外は有り得ない。
「お前さん、使えるんじゃね」
「この身体に感謝する時が来たとはな。俺は様々な呪いと毒が効かないし、試してみる価値は有るな」
だが、ギャラハッドは可能性がある。ギャラハッドは全ての呪いと毒に対して耐性を持っており、可能性があるならばギャラハッドだけがロンギヌスを触ることが出来るだろう。
「サラさんでしたか。聖杯は何処に有りますか?我々には時間が少ないんです」
ベディヴィエールがそう問う。確かにギャラハッド達には時間が足りない。何時、ギャラハッドの寿命が尽きてしまうのか分からない為だ。ギャラハッドの時間は刻々と少なくなってきており、既に片目は白内障の影響か僅かな光しか見ることが出来なくなってきている。内臓の機能も何時弱くなるか分からないし、力も何時かは入らなくなってしまう。ギャラハッドは外見上は老化はしてないが、中身は既に老人程に老化が進んでいる。何時、その時が来ても可笑しくは無いのだ。
「あっちです!!彼方からお父様の匂いがします」
サラはとある方向を指差し、棺桶から立ち上がる。だが、彼女が本当にイエス・キリストの娘ならば500年以上は棺桶の中で眠っていた事になる。その為か、立ち上がった彼女は上手く立つ事が出来なかったのか、ぐらついてしまい危うく倒れそうに成ってしまう。
「大丈夫ですか?」
だが、此処には頼れる最年長パーシヴァルが居る。パーシヴァルは倒れそうになったサラを受け止め、彼女を支えた。そして、サラが持っていた槍を預り、一先ず地面にその槍を置いたのだ。だが、その一連の行動を確認したサラは驚く。それは彼女が男性慣れしていないという事ではなく、槍に有ったのだ。
「今…槍に触りましたよね」
「ええ。ですが、それが?」
「なんともないですか?」
「なんともないが?」
「その槍はカシウス。もう1つのロンギヌスであり、カシウスに認められた人以外は触ることが出来ない槍です」
なんという事でしょう。サラが持っていた槍はカシウス、もう1つのロンギヌスの槍と言えるものであり、その槍は槍に認められた人以外が触ろうとしても弾かれるように触れない特別な物だったのだ。
もう1つのロンギヌスであるカシウス。恐らく、その力はエクスカリバーに匹敵…或いはそれを上回る可能性が高いだろう。
「貴方が認められたなら、貴方がカシウスを使って下さい。戦えない私が持っていても、意味が無いですから」
そんなΩ級武装であるカシウス。そのカシウスを使って欲しいとサラから言われたパーシヴァル。確かにカシウスは認められた人物しか触ることが出来ないだろう、そしてそれが認めた人物は現状ではパーシヴァル1人。パーシヴァルは少し考えた末に、答えを出した。
「分かりました。私で宜しければ、その槍を使いましょう」
こうしてパーシヴァルはΩ級武装である聖槍カシウスをゲットしたのだった。
その後、サラを旅のメンバーに加えてギャラハッド達はサラが示した方角を進む。やがて歩き続けること暫くし、夜に成った頃だ。彼等は1つの大きな城に辿り着いた。だが、その城は嘗ての栄華はない。城は半分崩れており、城の周りには隕石でも堕ちたのかそこそこ大きなクレーターが有ったのだ。
「此処に聖杯が?」
その城の辺りには川が有り、その川では1人の老人が釣りを行っていた。老人の吊籠を見ていると、魚はそこそこしか入っておらず、老人は何処か寂しげな表情をしている。だが、老人は元より優れた戦士か騎士なのだろう。その衣類の下からは鍛えられた肉体を持っており、腰には1本の剣を提げている。
「ふう…釣れんの。これもあのベイリンという流れ者がロンギヌスを使い、嘆きの一撃の天罰で土地が変わった為だな」
老人は嘆くようにそう言った。この老人こそは漁夫王、イエス・キリストの遺産等の管理を行う人物であり、彼の御先祖は救世主の亡骸を保護した人物の末裔だ。彼が漁夫王と呼ばれる所以は城の近くの川で魚を釣り、その魚で生計を立てているためだ。
この漁夫王の城とその周辺は今は寂しい土地と、半分倒壊した城に変わってしまった。これには訳がある。嘗て、色々有ってキャメロットを追放されたベイリンという騎士が此処に流れ着いた。ベイリンはこの城に保管されていた聖遺物 聖槍ロンギヌスを忠告を聞かずに使ってしまった。その結果、ロンギヌスの呪いが暴発…嘆きの一撃が降り注ぎ、城は半壊しベイリンは生き埋めに成ってしまい、更には周辺の土地は寂しい物に成ってしまった。その上、聖槍ロンギヌスは完全な呪物に成ってしまい…武器としては使えない物に成ったのだ。
「おい、爺さんや。アンタ、此処の人か?」
ギャラハッドが漁夫王に話し掛ける。すると、漁夫王はギャラハッド達を見る。だが、ギャラハッド達を見た漁夫王は驚く。無理もない、と言うのも漁夫王の城は特別な手段を使うか…誘われた人しか入ることが出来ないのだから。ギャラハッド達が特別な手段を使ったのか、誘われたのか分からない。だが、漁夫王の所に客がやって来るのは久し振りだ。
「そうだ。私は漁夫王と呼ばれている。なに、釣り好きの老人だよ。折角だ、我が城に案内しよう。とは言え、見ての通り半分崩れてるがね」
久し振りの来客。その為か漁夫王はギャラハッド達を城に案内した。
「昔に色々有っての…寂しい有り様だ」
僅かに残った城の居住スペース。そこに案内されたギャラハッド達。居住スペースの壁には不自然に柄が短くなり赤い生き血を垂れ流し続ける槍、優勝カップのような金色の盃が飾られていた。
「この槍、どうなってるんだ?柄が不自然に短いな…なんで生き血が流れてる?どんな原理だ?」
その生き血を垂れ流し続ける槍が気になったのか、ギャラハッドはその槍を手に取り、興味深そうに眺める。
「何しとるか!!死にたいのか!!」
だが、その様子を見た漁夫王が叫んだ。
「どうしたの?」
「その槍はロンギヌスだ!!主を貫いた槍で、今は呪物と成っている!!………てか、なんでお前…平気なの!?」
そう、ギャラハッドが手にした槍はロンギヌス。日本でも最強の槍として語られるΩ級武装の槍である。だが、今ではベイリンが使った影響で呪物に成ってしまい、柄も短くなって槍としては使えない。
だが、ギャラハッドはそのロンギヌスをマジマジと見詰める。
「……ちょっと、試したい事がある」
と、ギャラハッドに何やら考えが有るようだが、その考えを実行する前に大きな衝撃が城を襲った。只でさえ半壊してボロボロの城だ。ガラガラと何かが崩れ去る音が響く。
「なっ何事ですか!?」
「レディ・アルトリア。恐らく襲撃でしょう」
その時だった、今…ギャラハッド達が居る部屋の壁が崩れ去り、数多の軍勢が襲ってきた。その軍勢は多国籍なのか、フランク王国やモンゴル、ローマ帝国と言った今では先進国と言える国々の兵士達で構成されていた。だが、1つ言えるのは肌の色に生気がなく牙が鋭く生えていた。
「ゾンビ!?」
「ゾンビではない。死徒だ!!」
ゼルレッチが叫ぶ。死徒と言うのは分からないが、どうやら相手は人間では無いようだ。
「数が多いですよ!!」
「仕方ない、アルトリア嬢とサラさんは下がってください。私とベディヴィエール、ギャラハッドで迎え撃ちます!!」
パーシヴァルがカシウスを構え、キャストリアとサラを後ろに下がらせる。
だが、それでも次々と死徒と呼ばれるゾンビのような軍勢が襲ってくる。その時、ギャラハッドは咄嗟に選定の剣を抜刀し、左手で構える。そして渾身の魔力を刀身に乗せて斬撃を放つ。
「よしなさい!!ギャラハッド!!」
放たれた斬撃は爆光となり、射線上の死徒を全て破壊した。だが、嘗てケイは言っていた。ギャラハッド自身の力に選定の剣の刀身が耐えられず、ギャラハッドが渾身の魔力を注ぎ込んで選定の剣を使えば刀身は砕け散ると。
ケイが言っていた忠告通り、選定の剣は砕け散り…ギャラハッドは柄だけとなった選定の剣を四次元空間に仕舞った。
「ほう、我が眷属を此処まで。面白い、だが聖杯は真祖である私が貰う」
死徒が消え、遠くまで見渡せるように成った視界。ギャラハッドの視線の先には貴族風の衣類を纏った黒い髪の男が立っていたのだ。
「ギャラハッド…奴は真祖。言うならば死徒の親玉で星の精霊のような存在だ」
「大丈夫…ちょっと妙案がある」
ギャラハッドはゼルレッチの言葉を受け、あろうことか自分の腹部にロンギヌスを突き刺した。だが、血は出ない。ギャラハッドは概念礼装としてロンギヌスを取り込んでいるのだ。
「ロンギヌスを取り込むだと!?」
漁夫王はギャラハッドの行動に驚き、叫ぶ。だが、ギャラハッドはロンギヌスを完全に取り込む。そして左手を上に上げたギャラハッドの左手に…瞬時に紅い十文字槍のような武装が展開されてギャラハッドはその槍を握る。
「有り得ん…ロンギヌスを概念礼装として取り込み…武器として実体化させた!?呪いで不可能な筈だぞ!!間違いなく、死ぬ!!」
漁夫王が叫ぶがギャラハッドは無視して、キャストリアの方を向いた。
「アルちゃん。お刺身って知ってる?」
「お刺身?」
「アイツを倒したら作ってやる」
ギャラハッドはそう告げ、外に飛び出す。すると、左手に持っているロンギヌスが瞬時に剣に変形し、真祖に斬りかかった。
次回!!ギャーさんVS真祖!!
果たして…妖精騎士と不倫仮面は間に合うか!?
ヒロインどうする?期限はブリテンオリンピック開催まで
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ぐだ子
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モーさん
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ガレスちゃん
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キャストリア
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正妻戦争勃発!!
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その他