「マシュ…デミ・サーヴァントって一体?」
デミ・サーヴァントと呼ばれる存在に変質したマシュ。そんなマシュの圧倒的と言うべき力で、周囲のエネミーは粉々に砕け散った。藤丸は立香と違って3ヶ月程早くカルデアに来ていたので、魔術やサーヴァントと呼ばれる存在には詳しい。だが、彼はデミ・サーヴァントと呼ばれる物に関しては初めて聞いたのだ。
「デミ・サーヴァントはざっくりと言えば、サーヴァントと融合した人間です。人間でありながらサーヴァントの力を行使できます」
マシュは武装である大楯を消して、藤丸の隣に腰掛けながらそう言った。そう、デミ・サーヴァントとはサーヴァント…英霊と融合した人間であり、そのサーヴァントの力を使うことが出来る人材なのだ。しかし、本来は不可能であり、それが出来たのは此処に居るマシュただ1人である。
「私の力のベースと成った英霊はこの姿、楯からしてあのギャラハッドだと思います。ですが、どうして今、それが成功したのかは分かりません」
デミ・サーヴァントを作り出す研究はオルガマリーの父親の時代から盛んに行われていた。と言うかサーヴァントも人であり、完全に言うことを聞くかどうかは別なのだ。何故なら令呪と呼ばれる物がその証明と言えるだろう。
令呪は聖杯戦争の御三家である間桐の長が開発した使い捨ての刻印。令呪は基本的にサーヴァントへの絶対的な命令権利やバフによるパワーアップが行えるのだ。だが、同時にサーヴァントがマスターへ反逆した際の安全装置だとも言えるだろう。
「そうか、俺には分からない話だな」
「はい。ですが、カルデアが私のベースにギャラハッドを選んだ理由は大体想像できます」
「強いから?」
「いえ、先輩は御存知ではないと思いますが……ギャラハッドは令呪を無効化する可能性が非常に高いのです。そんなギャラハッドの力を使うために、デミ・サーヴァントの研究は始められたのだと思います」
御存知、ギャラハッドは魔術の知識も豊富だ。そんなギャラハッドだから令呪という安全装置を無力化してしまう事は魔術師も思っており、今まで行われた冬木の聖杯戦争、そしてたまに世界各地で行われる亜種聖杯戦争ではギャラハッドの召喚はタブーとされているのだ。強いが一瞬で真名が明らかになり、安全装置の令呪が意味を為さない。
デミ・サーヴァントの技術はそんなギャラハッドの力を魔術師連中が使うために、研究が進められていた存在なのだ。そして、その事がイギリス政府にこっそりと漏れてしまい…シエルが派遣されたのは言うまでもない。
だが、考えて欲しい。我らがギャーさんの力を手に入れた魔術師の軍勢。もし、それが実現したら世界その物が一気に変わってしまう。言わば、とんでもない研究でもあったのだ。
「ですが私はギャラハッドの魔術は使えません。デミ・サーヴァントとして使えるようになったのはシールダーとしての力だけです。
なので、ロンギヌスやアロンダイトと言ったギャラハッドの代名詞と言うべき宝具も受け継ぐ事が出来ませんでした」
だが、ギャラハッドというイレギュラーにも程がある存在を人間と融合させるには無理が有ったのだろう。成功者とも言えるマシュ・キリエライトでさえ、受け継げたのは楯としての側面だけ。
四次元空間と繋がってる大楯しか持っておらず、代名詞と言えるアロンダイトやロンギヌスは受け継ぐ事は出来なかったのだ。
「そうか(あれ!?ギャラハッドってロンギヌスはともかく、アロンダイトは持ってないだろ!!)」
なにやら藤丸が心の中でぼやいてるが気にしてはいけない。
「一応…大楯の四次元空間も確認したのですが…」
マシュは大楯の四次元空間の入り口に手を入れて色々と探る。だが、出てきたのは医療グッズ、ガンブレード、ボルトアクション式ライフル、フライパン、お玉、まな板、等々しか出てこない。
「こういうのしか有りませんでした」
「なんでフライパン?」
藤丸はマシュの大楯から出てきた物を見て首を傾げるが、マシュはそれらを大楯に仕舞っていく。
「それより、先輩。状況ですが…レイシフト出来たのは私達だけみたいです」
「そう…みたいだな」
周囲のエネミーは片付けた。一先ず、状況を整理する藤丸とマシュ。
レイシフト出来たのは恐らくは自分達だけ。その証拠に自分達の周囲には誰も居ない。だとすれば…
「コフィンに入ってなかった俺達がレイシフトできた?」
「そうだと思います。数合わせのシエルさんに関しては気になることが多々有りますが…私達の他にレイシフトしてるとすれば、コフィンの外に居た衛宮立香さん、所長位ですか」
コフィンに入っていた者はレイシフト出来ていない。だとすればコフィンの外に出ていたマシュ、藤丸、所長、立香がその対象だろう。シエル?彼女はコフィンを脱出して管制室を出ていったので例外だ。
「そうだな、急ごう!!マシュ!!もしかしたら生きてる人が居るかも知れない!!」
「はい!!ですが…私と先輩ですら、直ぐにエネミーに襲われました。凄腕の魔術師である所長は兎も角、民間人の立香さんは…考えたく有りませんが…」
マシュはAチームとして訓練を受けてきた。それ故に過酷な現場の事も多少は知っており、厳しさも知っている。藤丸はデミ・サーヴァントと成ったマシュが居たから何とかなったが、他の人はどうだろうか?オルガマリーは凄腕の魔術師だから何とかなるかもしれない。だが、民間人である衛宮立香はどうだ?エネミーに襲われれば抵抗する術がなく、間違いなく殺されてしまう。
「そうか…そうだよな」
「はい。ですが、状況をカルデアに伝えましょう。通信が繋がればの話ですが」
レイシフトに成功したのは成功したが、管制室は爆発に巻き込まれてる。カルデアがどうなってるのか、2人は心配なのだ。マシュはカルデアと交信しようとする…すると
『ふぁ!?やっと繋がった!!藤丸君、マシュ!!えっ!?マシュ!!なんでそんなギャラハッドの鎧をハレンチなビキニアーマーにしたような服装をしてるんだい!?』
『ドクター、立香さんが居ないんですけど』
『一先ず、生存者発見ですね』
『お姉ちゃんは!?お姉ちゃんは何処なの!?』
『立香さんにはお守りを渡してるので無事だと思いますが…まさか生身でレイシフトするなんて…うかつでした』
ホログラム状の立体映像では有るが、カルデアの医師であるロマニ・アーキマン、無傷だった為に普通のやり方でコフィンから出てきた秋葉、翡翠、琥珀、白野、コフィンから自力で脱出したシエル、シエルに保護されたイリヤ、そして中学生のカリンとエリセが映し出された。
『君たちお腹空いてない?麻婆食べる?』
なお、白野はこの極限状態でも麻婆豆腐を作り…食べていた。恐るべし、この女子高生。
『『いや、結構です!!』』
あんまり、秋葉達と絡んでなかった為か、ギャルっぽいJCのカリンと黒髪の将来巨乳だと思われるJCのエリセは麻婆を断っていた。
「ドクター。私と先輩…藤丸太郎はレイシフトに成功しました。それと、私の霊基を見てください。私はデミ・サーヴァントに成っています」
『うん…ソダネ…後ろのイギリス王室御抱えの人が怖いからソダネとしかいえないね』
ロマニの後ろでは「コイツら…マジで人体実験繰り返していたんだな…」と殺意の籠った視線を送るシエルが立っており、シエルは大剣を手に持っていた。
『責任者を…ギャラハッド先生がタタール族のモリンホール(馬の骨や毛で作る楽器)や文化のインスピレーションを受けて作った、第七聖典の大剣で錆びにしてやろうか』
『まって!!まって!!シエルさん!!僕とオルガマリー所長は人体実験に無関係だし、反対してたからまって!!』
『パイルバンカーと大剣、アサルトライフル、好きな方を選んでください。死後に第七聖典になって、ギャラハッド先生を支え続けたオグリインパクトも許してくれますよね』
『それ、サーヴァントも死んじゃう奴!!』
ロマニは必死で弁明し、シエルは大剣を収納した。
『まあ、マシュがデミ・サーヴァントに成ったのは置いといて…これ、イギリス王室がシエルの他にも送り込んでこないよね?ギャラハッドを侮辱したのと捉えられないよね?アルクェイド・ブリュンスタッド女王と第二魔法の魔法使い、妖精騎士が乗り込んで来ないよね?
恨むよ…前所長……』
そんなロマニは頭をおさえて大きな溜め息を吐き出した。
『あっ、こっちの被害だったね。ご覧の通りコフィンに入ってたマスター達はレイシフトに失敗したよ。まあ、此処に出てきてるマスター達はシエルさんがバリアーを張ってくれた為か無傷だし、コフィンにまだ入ってるマスター達もシエルさんのお陰か命に別状はない。
ただ…僕以上の上官は全員死亡。オルガマリー所長も…』
だが、ロマニは今後の展開は兎も角してカルデアの今の状況をマシュと藤丸に伝える。
コフィンに入っていたマスター達はシエルが守りきれた無傷の秋葉、琥珀、翡翠、白野、カリン、エリセを除きまだコフィンの中に囚われている。だがシエルが爆発寸前に簡易的なバリアーを張れた為か…命に別状は無いそうだ。だが、戦線復帰は未々先に成るとの見込みのようである。
「そうですか…分かりました」
『ありがとう。まってくれ、これはサーヴァントの反応だ!!速いなんて物じゃない!!それも…この霊器反応は…まさか!?』
ロマニがそう告げた瞬間…藤丸とマシュの側に何かが降り立った。それは立香を片手で担ぎ、魔力放出の飛行で此処に飛んできたギャラハッドであった。
『うそ!?ギャラハッド!?本物!?マジで!?』
『本物のギャラハッド!?』
『写真通りの顔だ!!』
『お姉ちゃん!!良かったよ~』
マシュ達の側に降り立ったギャラハッドは優しく立香を下ろすと、ホログラム状のロマニ達を見る。すると、シエルに気付き…
「エレイシア。なんで此処に居るんだ?」
『仕事ですよ先生。ゼルレッチさんとアルクェイドにカルデアがちょっと怪しいから調べて来いって言われたんですよ』
「『『エレイシア!?』』」
エレイシアという名前でシエルを呼んだギャラハッド。と言うのもこれには訳がある。何故なら、シエルの本名は…
「お前、本名言ってなかったのか?」
『はは…申し訳ないです』
エレイシアという名前だったのだから。
だが、ギャラハッドはロマニの顔を見て首を傾げだした。
「あの…ギャラハッド?どうかしたの?」
「ソロモン?お前、もしかしてソロモンか?グラ友忘年会で連続欠席連絡を送り続けてきたソロモンじゃないか。肌の色変えて整形したのか?マイケル・ジャクソンに憧れたのか?」
『イエ、ヒトチガイデス』
「初めましてギャラハッドさんですよね?私はマシュ・キリエライト。此方は藤丸先輩です」
「藤丸太郎だ(あれ!?原作と明らかに違う流れに!?)」
だが、立香が生きていてグランド・セイバーを召喚できたのは有難い。マスター同士の連携も取れるし、なにより御互いのサーヴァントとしての連携も取れる。戦術の幅が広がると言えるだろう。
「うっうん…衛宮立香です」
「ギャラハッドだ宜しくな」
だが、その時…ギャラハッドの脳内に存在しない記憶が流れ出す。
「兄さん!!今日のご飯は何ですか?」
「今日か?喜べ、お前の好きなミートパイだぞ!!」
自分の力を持つ少女 マシュ・キリエライトと兄妹として過ごした存在しない記憶。
「クリスマスには七面鳥のターキー、大晦日には昔ながらの味噌焼きでのすき焼き、元旦はコタツに温もりながら雑煮か」
「へ?」
「お兄ちゃんって呼んでくれて良いぞ」
「兄を名乗る不審者が居ます!!」
「ツッコミはケイ先生と筋肉バカで間に合っている!!」
ギャラハッド…マシュから不審者扱いされるのであった。
だが、その時だった。
「ギャァァァ!!なんなのよ!!このエネミー!!こっち来ないでよ!!」
「この声は?知り合いか?」
なにやら若い女性の悲鳴が響いた。しかし、ギャラハッドは声の主が分からず、立香やマシュに問う。
「この悲鳴は…所長です!!生きてたんですね!!」
マシュはこの声を知っている。間違いない、カルデアの所長オルガマリーだ。オルガマリーは生きている、間違いない、今なら未だ間に合うのだ。
「ギャラハッドさん!!あの声は私達の所長です!!助けて下さい!!」
「OK、あとお兄ちゃんと呼んでくれ」
「私は一人っ子です!!」
だが、見捨てる訳にはいかない。ギャラハッド達は悲鳴の方に向かうと、そこには…
「ひっ!!来ないでよ!!こっちに来ないでよ!!助けてよ!!レフ!!助けてよ!!」
スケルトンの大軍から逃げていたオルガマリー所長が居たのだった。
だが、考えて欲しい。オルガマリー所長は爆破事件で魔術刻印が有った頭部を残して肉体が消滅しており、生きてはいない筈。彼女の亡骸はロマニもシエルも真横に居た立香も確認しているから事実だ。と言うことは、オルガマリーは魂だけでレイシフトしたと言うことである。
『『「所長!!生きとったんかわれぇぇ!?」』』
そんなオルガマリーの元気に逃げ回る姿を見た立香、シエル、ロマニは大声で叫んでしまった。
その後、オルガマリーはギャラハッドの手で無事に救出されたのだった。
次回!!オルガマリーを仲間に加えたギャーさん達。そしてシャドウ・サーヴァントを近代兵器でフルボッコ!!
そしてツッコミ係ことケイ先生が合流する。
オリ鯖どうしようか?
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人外も鯖、無機物も鯖になる時代だ
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出来れば戦闘に関した方々が良いかな?
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ネタも無機物も何でもこい!思いが英霊に!