マシュのお兄ちゃん~ENTAKU最強~   作:静かなるモアイ

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ギャーさん、命の危機!?


ギャーさん聖杯珍道中
ギャラハッド。新たなる旅路


「おーい!ボール行ったよ!!」

「行くぞ!!てりゃあ!!」

 

ブリテンの喉かな農村。首都であるキャメロットから離れた場所に有る此処は後にロンドンと呼ばれる事になり、諸事情から未来ではキャメロットからブリテンの首都に変わる事になる未来の大都市である。

この農村だが、子供達が楽しそうに鞣した皮で出来た球体の玩具…ボールを蹴っては手を使わずに玉遊びを行っていた。子供達が遊んでいるボールはギャラハッドが開発し、周囲に広めた物だ。そこそこ厚みの有るゴムでボールを作り、空気を入れて膨らませる。そのゴムボールを鞣した皮でコーティングする事で産まれたこのボールは原初のサッカーボールとして後世に語られる事に成るのだった。ギャラハッドはボールの固さや重さが異なる3種類のボールも開発し、ブリテンに広めては専門の業者達が子供達の為に作ってくれている。1つは今、子供達が遊んでいるサッカーボール。もう1つはサッカーボールより少し大きく固めなバスケットボール。サッカーボールよりほんの少し柔らかめなバレーボール。小さくてかなり固い野球ボール(後の軟式野球ボール)。小さく弾んでは柔らかいテニスボール(後の軟式テニスボール)。等々だ。

 

ギャラハッドはこの世界に異世界転生し、子供達の遊びの少なさに嘆いた。球技なんて存在しないし、当たり前ながら文明の力であるゲーム機なんて無い。そこでギャラハッドは考えた。無いのならば作って広めてしまおうと。ギャラハッドはゴムを開発し、流れ作業で球技用のボールを開発。その後は前世の経験を活かして円卓や近所の子供達にサッカー等のスポーツを教え、子供達の遊びの幅を広げたのである。今ではサッカーやバスケットボールは子供達の娯楽であり、天気が良ければ子供達は皆で球技を楽しんでいる。

 

「もうブツブツの病気は怖くないもんね!」

 

1人の少女がボールを足で止めてそう言った。ブツブツの病気…それは毎日のように死者を、ヒドイ痘痕を残していく悪魔のような病である天然痘の事だ。だが、このブリテンではギャラハッドの懸命な活躍のお陰で根絶に向けて動いている。

 

天然痘は致死率30%を越える悪魔のような病であり、感染力も非常に高い。しかし、この天然痘…人間には猛威を振るうが、馬や牛等に感染するウマ痘ウイルスは人間に感染した場合は症状が出ないや1ヶ所だけ水膨れが起きる程度の超軽傷で済む上に型が同じ為か天然痘の抗体が出来るのだ。つまり、超弱毒(人間は)である牛痘やウマ痘に感染すれば天然痘にはかからなく成るのだ。これは人間が持つ抗体という特性であり、1度感染したウイルスや細菌…その近縁種に対して強くなるという事だ。

事前に弱くなったウイルス、或いは人間に対して弱毒なウイルスの近縁種を人間に打ち込んでは免疫を着けて、病気を予防する事は予防接種と呼ばれており、正史ではエドワード・ジェンナーが考案した。今、我々現代日本人が予防接種を受けて病気に備えられるのはジェンナーが予防接種とワクチンを考案し、天然痘と戦ってくれたお陰である。

 

「うん、あの騎士のお兄ちゃんは本当に凄いや!!」

 

ギャラハッドは医学で永久的に語り継がれるジェンナーの力を借り、天然痘のワクチンを1日で開発。ワクチンを開発してギャラハッドはブリテンを文字通りに飛び回り、キャメロットから遠い町から順番に予防接種でワクチンを打ち込んでは天然痘の根絶に動き出した。そのかいあってか、未来のロンドンでは既に予防接種が終わり子供達は今日も元気にサッカーをして遊んでいるのだ。

 

のだが、ギャラハッドが不眠不休で働いた為か、ワクチン接種を9割完了させた時だった。キャメロット近隣の町でワクチン接種を完了させたギャラハッドは次の現場に向かおうとした時、倒れてしまったそうだ。

 

「たっく…俺は何をしてるんだ」

 

ケイは愛馬に跨がり、護衛も連れずに馬を走らせていた。ギャラハッドが倒れたと連絡を聞けば、気が付けば馬に跨がって馬を走らせていた。自分らしくないと自分に言い聞かせるケイは自分で思っていた以上に、あの奇天烈でナニを仕出かすか分からない教え子の事を案じていたようだ。事実、ギャラハッドの実父であるランスロットより速く動く所を見ると相当入れ込んでいたようだ。最も、実父であるランスロットはガレスという新人騎士を見習いとして鍛えているそうで、未だギャラハッドが倒れた事が耳に入っていない可能性が高いが。

 

「俺らしく無いぞ…」

 

ギャラハッドが倒れたのはキャメロット近隣の町。半年前はキャメロット周辺とは言え、ブリテン自体が廃れた国だった為か寂しい町だった。だが、今はギャラハッドのお陰か農業の土地は肥えてきており、エールとウィスキーの製造などで町が普通に栄えていた。

 

町に到着し、ケイはギャラハッドが寝ている筈の町の診療所に駆け込んだ。ブリテン1である医者のギャラハッドが倒れた事も有ってか、そこの診療所には多くの町民が集まっていた。

 

「ちょっ!!退いてくれ」

「ケイ様!?」

 

ケイは町民の集まりを掻い潜り、病室に入る。病室に入ると、ベッドに寝転がり…上半身を起こしては窓から外を眺めるギャラハッドの姿が有ったのだ。

 

「ギャラハッド…もう、起きて大丈夫なのか?たっく、心配して損したぜ」

 

ケイはギャラハッドにそう問う。倒れたと聞いてヒヤヒヤしたが、窓から外を眺められる程には元気なようで少しは安心したケイ。だが、ギャラハッドがケイの方を見るとケイは唖然とし…言葉を詰まらせる。

 

「おっ………お前、左目どうした。右目と比べて輝いてないし、見えてるか?」

 

ギャラハッドの左目は光を喪い、輝きが消えていたのだ。そう、視力の著しい低下…或いは失明だ。

 

「白内障だよ、ケイ先生」

「白内障?なんじゃそりゃ」

 

白内障…それは目のレンズが濁り、視力が低下する病気である。だが、珍しい病気ではない。ありふれた病であり、老人ならばの話が着くが。

 

「マーリンの糞やろうの話と、自分なりの考えを纏めた結論だけどよ。俺の身体は普通の人の何十倍も老化が速いみたいだ。

外見はウェルナー症候群に近いのか、見た目では老化してないけどな。左目の進行が思ってたよりも速い、俺の命はあと1年有るか無いかと言った所だな」

 

ギャラハッドはケイに話す。勿論、マーリンが言っていた予言でのギャラハッド、それから考えうる短命の訳をだ。

 

「くっそ!!あのくそったれ魔術師…妹の人生を狂わせるだけじゃなく、俺から教え子を奪うのか!!」

「俺の老化とマーリンは関係ないと思うぞ?てか、何で俺がツッコミ!?」

 

だが、それでも未だ死ぬとは決まっていない。予言でのギャラハッドは聖杯を見付け、その願いにより自害した。ならば、その聖杯を寿命の尽きる前に見付け、聖杯の願で寿命を伸ばせば良いのだ。そうすれば、ギャラハッドは助かる。

 

「そういや、予言での俺は聖杯でスタイリッシュ自殺だよな?その聖杯を見付けて使えば、俺は助かると思う」

「確かにな。あのマーリンの事から考えると、聖杯はキリスト教関連だろう。だとすれば…童貞しか見付けられないな」

 

今、円卓で童貞なのはギャラハッド、パーシヴァル、ベディヴィエールの3人だけだ。因みにボールスは先日に女を買って脱童貞した(史実でも彼は童貞では有りません)。

 

「パーシヴァルとベディヴィエールには俺から話を通しておく」

 

すると、ケイは何かに気付く。それはギャラハッドのベッドの側に、何か黒い箱のような物が有ったのだ。

 

「ギャラハッド…それは?」

「カメラ。原理は人間の瞳と似ていてな。これでボタンを押せば…」

 

ギャラハッドはその箱を手に取り、構えてボタンを押す。すると、パジャっと音がして光がケイを一瞬照らした。

 

「原理は覚えてるから作ったんだよ。俺は専門家じゃないから…カラーじゃ出来なかったけどな」

 

そしてギャラハッドは医療道具が入った鞄を手に取り、その中から1枚の冊子を取り出してケイに手渡す。

 

「カメラで撮影した風景が此処に。天然痘のワクチンを他国に広めるために、経過観察として撮影した写真とプライベート。勿論、患者には許可は貰ってる」

 

ケイはその冊子を受け取り、冊子を開く。そこにはこれまで見たことがない程に精巧に画かれた絵画を越えたナニかが貼られていたのだ。そのナニかは絵画と言うより、瞳に写ったまんまと言える。色はなく、白黒だったが恐ろしい物だった。

 

「それが写真だよ」

「お前…マジで凄いな」

 

そのナニかは写真と呼ばれる物であり、ケイはペラリペラリとページを捲る。

 

ブリーフ一丁でポーズを決めるランスロット、騎士にようやく成れたガレスの笑顔、美味しそうに蜂蜜レモンソーダを飲むモードレッドとガウェイン、美味しそうにご飯を食べるアルトリア。円卓の何気ない1面が写っており、ケイは更にページを捲る。

 

「うっ!?」

 

だが、次のページには天然痘に感染し、ブツブツが身体中に出来て死を待つだけの状態の患者が写る。だが、ギャラハッドが懸命に治療し、その患者が徐々に良くなる過程が写真に納められており、最終的には完治していた。

 

更に次のページではギャラハッドが注射器で、子供達に天然痘のワクチンを射つ場面が移る。

 

そして次のページは未だ白紙だった。

 

「お前は絶対に聖杯を見付けろ。そんで、この冊子を写真とやらで埋め尽くせ」

 

ケイはギャラハッドに冊子を返し、ギャラハッドの頭を撫でて病室を出ていった。

 

「マーリン…お前は恐いんじゃないのか?ギャラハッドが。お前がわざわざアイツに言うってことは、お前はギャラハッドの未来が分からないだろう。お前のレールを外れ、ギャラハッドは誰も想像の出来ない男になる。

剣でも騎士道でもなく、アイツは今後の英雄として必要なスキルで英雄を越えた存在になるさ」

 

なお、先ほどギャラハッドが撮影したケイの写真。遠い未来で大英博物館に飾られる。




次回…ギャーさん旅に出る。

原作とは違う聖杯珍道中!?

ヒロインどうする?期限はブリテンオリンピック開催まで

  • ぐだ子
  • モーさん
  • ガレスちゃん
  • キャストリア
  • 正妻戦争勃発!!
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