マシュのお兄ちゃん~ENTAKU最強~   作:静かなるモアイ

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ギャラハッド…カルチャーショック


ローマと言えばテルマエ…えっ?衰退した!?

ギャラハッド達が旅に出てから早3日。一行は新たに魔法使いと名乗るゼルレッチ、そしてゼルレッチが連れていたアーサー王そっくりの魔術師の少女アルトリア・キャスターを加えて聖杯を探す旅を続けていた。

 

「あー…やっぱり、風呂は入るべきだな。ローマ市内に入ったら、テルマエの設計図とか誰かくれないかな?ブリテンにも火山は多いし、天然露天風呂や温室栽培とかやっちゃうぞ」

「ケイ…貴方の気持ちが段々と分かってきましたよ」

 

今、彼等が居るのはローマ帝国の中にある町ですらない草原の原っぱ。ローマ帝国も嘗ての栄華と比べると廃れたかも知れないが、それでも世界最大の国家。多くの属州や領土を抱えており、ギャラハッドが魔改造させたブリテン以上の文明を誇っている。

ブリテンは元々医療が専門分野だったギャラハッドのお陰で、世界で唯一天然痘の根絶(ブリテン限定)を成し遂げ、世界で唯一ワクチンの開発や抗生物質ペニシリンの製造開発が出来る国家だ。食文化も未来知識の有るギャラハッドのお陰で、咀嚼するだけだった料理も美味しく楽しめる物に変化しており、多くの人々が日々の食事を楽しんでいる。

 

「アルちゃん。お風呂入る?1番風呂譲るぞ」

 

テルマエはローマの生活の一部。今ではどうだか知らないが、ギャラハッドは前世で見た歴史バラエティー漫画のお陰かそう思っている。嘗て、ギャラハッドの前世で一世を風靡した風呂漫画テルマエ・ロマエ。テルマエ・ロマエは古代ローマ人であるルシウス・モデストゥスという建築家が現代日本と古代ローマを風呂で往き来し、ローマのお風呂を現代日本技術で進化させるお話だ。早い話、ギャラハッドと似たような事を行う漫画である。

 

風呂は良い。いや、風呂以外でもローマは優れた水洗都市とも言えるだろう。ローマンコンクリート、頑丈なレンガを用いた下水道や上水道というライフラインが完備された街並み。お陰で汚水を処理する場合も町を汚さず、非常に綺麗なのだ。そんな聖杯探索の序でにローマンコンクリート等の素材の作り方を修得し、ギャラハッドには壮大な計画があるのだ。

 

「お風呂ですか!?」

「大丈夫。女性用の水着のサンプルも持ってきたから、もし有れならこれを着てくれ。更衣室も有るぞ」

 

更衣室である簡易的な小屋、嘗てギャラハッドが製造し更に改良を加えた簡易的移動露天風呂、四次元ポケットに入ってるそれらを取り出したギャラハッドは1日の疲れを癒す為かお風呂の準備を行っていた。

 

「ケイ卿…貴方はこんなカルチャーショックな日々を毎日過ごしていたのですね」

「いや、マジで凄い。ですが、ギャラハッドのお陰で今の日常が有りますから」

 

お風呂の準備を行うギャラハッドを見ながら、ギャラハッドが四次元空間から出してくれた椅子に腰掛けパーシヴァルとベディヴィエールは唖然としている。彼等の視線の先にはギャラハッドが長旅の為に用意した水を煮沸消毒させる為の大鍋、ギャラハッドが製作した水の濾過装置が有ったのだ。

濾過装置や簡易的移動露天風呂は勿論のこと、食事は斬新な料理。保存食もギャラハッドが製作した缶詰という長期保存食、パスタを加工した即席麺等々、3日足らずで2人はケイが日頃から受けている日常の一片を体験してしまったのだ。

 

「凄いです!!魔術も何も使ってないのに…この濾過装置を通るだけで水が綺麗に成ってます!?いや、本当にどうなってるんですか!?」

 

アルトリア・キャスターことキャストリアが興奮しながらギャラハッドの製作した濾過装置を触りながらそう言った。

仕組みはこうだ。出来るだけ大きな入れ物を使い、1度に多くの水を濾過する為かギャラハッドは以前製作した露天風呂と同じ構造であるアーチ構造を用いて…エール樽程の大きさの樽を製作。その樽の下に蛇口を製作し、捻れば濾過された水が出るように設計。肝心の中身は1番下層が濾過された水が溜まる貯水槽、その上に二重の布→粉々に砕いた炭→砕いた炭→やや砕いた炭→大きな炭→大きな石(消毒済み)と重なっている。石から大きさがどんどん小さくなる炭を通ることで汚い水が濾過されて綺麗な水に成るのである。

 

「1人違うだけでデジャヴるが停まるし。しかし、時代先取りしすぎじゃろ」

「アルちゃん。濾過されても念のため煮沸消毒した方が良いぞ。飲めない事は無いけどな」

 

ギャラハッドはキャストリアの事をアルちゃんと呼んでいる。と言うのもこれには訳があるのだ。御存知、我等がアーサー王の本名はアルトリア。アルトリアと呼べば、我等が王様と被るためだ。それにキャストリアはアルトリアと違って、女性として生きており自分を殺していない。日本では女性に向けてちゃんと呼ぶのは多々あり、ならばアルちゃんと呼ぼうと決めたギャラハッドであった。

 

「しかし、レディ・アルトリアが本当に王と同一存在でしたら…我が王は女性という事ですよね」

「ええ、だが…それでも私の忠義が揺らぐ事は絶対に無いことですが」

 

アーサー王 アルトリア・ペンドラゴン、並行世界の魔術師 アルトリア・キャスターは同一存在の別人。同一存在では有るが、全くの別人というややこしい事だ。

と言うのも、アーサー王は先代王ウーサーとマーリンが作り出した龍の因子を持つ人間、言わばドラゴンと人間の混血とも言える。だが…ゼルレッチ曰くキャストリアは龍の因子を持っていない。キャストリアは龍ではなく、妖精の因子を持った人間なのだ。

しかし、同一存在であるのでどちらも各々の世界のアルトリアという事には変わりはない。なので、ベディヴィエールとパーシヴァルはキャストリアからアーサー王の本当の性別を知ってしまったのだ。アーサー王に仕えて長いが、漸く間接的にとは知ってしまったアーサー王の性別。だが…それでも2人の王への忠義は揺らぐ事は絶対に無い。

 

「えっ?アルちゃんのお陰でやっと気付いたの?

俺、速攻で気付いたけど。ちょっと鈍すぎじゃない先輩達」

「「速攻で気付いたの!?」」

 

なお、ギャラハッドがアーサー王の性別を速攻で見破った事も序でに知ってしまう。

 

「そうそう、ギャラハッドよ。今のローマ帝国はローマが首都ではないぞ」

「えっ?ローマじゃないの?」

 

ゼルレッチがギャラハッドに言う。ゼルレッチは未だ30代しか生きていない青年。しかし、魔法に至り、並行世界の自分から流れてくる並行世界とは言え未来の知識の為か物事全てに即視感が有ったのだ。その即視…デジャヴを無くすために魔法の力を得た彼は滅び行く並行世界からキャストリアを招いたりしたがデジャヴは無くならず、デジャヴが止まる理由と成ったギャラハッド達と共に行動している。

しかし、並行世界のゼルレッチのお陰か並行世界の知識が流れてくるのだ。お陰か時代を越えた一般常識と魔術関連の知識だけならこの中でもトップと言えるだろう。

 

「ローマ帝国はローマ正教からキリスト教に鞍替えしてな。今の首都はコンスタンティノープルだ」

 

ギャラハッドは様々な知識を持っている。だが…その中でも持っていない知識があるそれは歴史だ。

ギャラハッドは前世から趣味勉強(正確には知識拡大)な医学生だった。医学を学ぶ内に医療に関係有ると言うことで食文化を学び、食文化の為に農業を学び、農業の為には効率的に施設を良くするために建築関係も齧る。こうして枝分かれ式に知識を拡大した結果、ギャラハッドは知識人に成ってしまったのだ。だが…歴史や宗教は疎く、最低限(医療に関する歴史は学んだ)しかない。その為にこの時代でローマ帝国の首都が変わった事も知らなかったのだ。

 

「コンスタンティノープル?」

 

コンスタンティノープル。それが今のローマの首都であり、元の首都だったローマから遠方にある所だ。

何でも今のローマはキリスト教を信仰する国らしく、それまでローマで信仰されていたローマ正教は廃れてしまったらしい。キリスト教は一神教であり、神は唯一神だけ。多くの神々が居る多神教は御法度なのだろう。

 

「ああ、温泉目当てならがっかりするかも知れんぞ?」

 

翌日、ギャラハッドはその言葉の意味を知ってしまう。

 

 

 

 

ローマ市内。

 

「くさ!?えっ!?えっ!?なんの臭いかは言いたく無いけど、臭いな…」

「うっ…これはヒドイですな」

 

ローマ市内にやって来たギャラハッド達。とは言え、此処は度々ブリテンを侵略した大国ローマの元首都。武器を持って入るのは流石に敵対行為と思われるためか、ギャラハッド達は剣や槍等のあからさまに見て武器と判断できる物は大楯の四次元空間にしまってはナイフ等の携行しても怪しまれない武器だけを持っている。

 

「俺の夢見た…温泉大国ローマは何処へ…」

 

ギャラハッドは膝から崩れ落ちてしまった。

 

「贅沢は敵だからな」

 

「ああ、湯に入れば欲が沸く。身体が穢れてるしな」

 

「風呂に入らなくても信仰で心が綺麗ならば良いしな」

 

なんという事でしょう。嘗ての温泉大国の面影は何処へやら。彼等は温泉に入る事をよしとせず、風呂に入れば欲望が沸いて穢れると判断してか温泉に入らないようだ。無論、温泉に入って身体を綺麗にしなかったらデメリットは沢山ある。先ず、太りやすくなる。お風呂に入らなかったら発汗作用が低く毛穴も詰まり、汗と一緒に老廃物が出ない。その結果、老廃物が溜まって太りやすくなるのだ。他にもニキビが出来たり、痒みが出たりデメリットが沢山だ。

 

「それにしても下着が沢山干されてますね。流石に干しすぎではないでしょうか」

 

ベディヴィエールがローマの家屋を見回してそう言った。確かに干されている下着の数が余りにも多い気がするのだ。少し前までブリテンでも使われていた紐パンツがロープに通され、干されていた。いくらなんでも多い気がするのは気のせいではない。

 

「お前、下着変えた?」

 

「1日3回履き替えるのは当たり前だよな。俺は清潔だから8回履き替えるけど」

 

ギャラハッドは知らない事だが、この頃から中世ヨーロッパでのキリスト教では清潔さを保つ為に下着を何度も履き替えたりしているのだ。清潔さアピールの為に下着を何度も履き替える必要があり、彼等は沢山の下着を持っているのである。最低でも2日に1度はお風呂に入りたい…出来れば毎日お風呂に入りたいギャラハッドが卒倒しかけてしまうのも無理は無いだろう。

 

「はぁ~聞き込みはワシとパーシヴァルで行ってくる。お前さんはベディヴィエールとアルトリアと共に、どっかで休憩しておれ」

 

しかし、聖杯の情報は掴まなければ成らない。そこでギャラハッド程の専門知識は無いが、並行世界から情報を得てしまうデジャヴる現象を何度も経験しているゼルレッチ、そして最年長のパーシヴァルが情報収集に出向いてくれる事にしてくれた。

 

「ベディヴィエール。2人を頼む。私達は少し調べてくるから…あそこの大きな建物の前を集合としよう」

「ええ、お願いします。ゼルレッチ殿、パーシヴァル卿」

 

パーシヴァルが指定した大きな建物。それはギャラハッド達の現在地から歩いて数分程の所に有った。大きく、立派な建造物でありギリシャの建築デザインも取り入れた立派な物であったが、どういう訳か人は少ない。と言うかこの立派な建造物に現地のローマ人は寄り付かないと言った方が正しいだろう。

 

「なんで人居ないんだ?」

「不思議ですね」

 

ギャラハッドとキャストリアは建造物の前に腰掛け、ベディヴィエールは柱に凭れて各々のが購入した軽食を食べる。

ギャラハッドが買ったのは焼き鳥数本、キャストリアが購入したのは焼の串焼き、ベディヴィエールがカタツムリである。

 

「てかベディヴィエール。アンタ、それどうなの?」

「私でも流石にカタツムリは無理です…いや、本当に虫料理は無理です!!」

 

ベディヴィエールが選んだのはカタツムリ、そう雨が降れば元気に動く陸地で活動する貝であるカタツムリだ。このカタツムリ、ローマでは非常にポピュラーな食材であり、多くの人々に食べられていたのだ。ベディヴィエールは爪楊枝のような物でカタツムリの身を貝から取り出し、美味しそうに食べる。

 

「うん、美味!!オリーブ油がカタツムリの味を際立てますね。ギャラハッド、ブリテンにもカタツムリを!!」

「えっ、やだ。ローマの食用は安全だと思うけど、野生化のカタツムリは寄生虫やバイ菌が多いから」

「私も断固拒否です!!」

 

ベディヴィエール、カタツムリの養殖計画をギャラハッドに打診するが見事に断られてしまう。

 

「アンタら、随分と物好きだね。何処の属州から来たんだい?」

 

ふと、そんな声が後ろから聞こえてきた。何事かと思い、ギャラハッド達が後ろを振り向くとそこには1人のローマ人が立っていた。だが、他のローマ人と違ってそこまで臭わない。もしかしたら定期的に風呂に入っているのだろうか。

 

「まあ、良いだろ。魔法使わないと行けないような彼方からやって来たのさ」

(えっ?嘘じゃなくて本当!?)

「はは、兄ちゃん。面白いこと言えね!」

 

ギャラハッドは誤魔化す為に適当に言い訳…もとい表情にも出ないように前世を含めて、魔法を使わないと行けない所と言った。案の定、ローマ人は誤魔化せた。しかし、例外が1人いた。それはキャストリアだ。

キャストリアは人間であり、妖精としての性質も持つ。その為に彼女は妖精の力で言葉の嘘真を見抜く事が出来る。それ故か、ギャラハッドが言った事が事実だと分かってしまったのだ。

 

「此処はトライアヌスが皇帝になる際に、アポロドロス技師が設計した浴槽さ。俺は此処の管理をしてるけど、今じゃ誰もテルマエに入らない。良かったら、見学するかい?」

「喜んで!!」

 

ギャラハッド。念願のテルマエを見学する。

 

此処はなんと、嘗てのローマ皇帝 トライアヌスが健在だった頃に、アパロドロスが建造したテルマエだったのだ。

 

「設計図は有りますか?風呂文化は根絶やしにしてはいけない!!あと、ローマンコンクリートの作り方も!!」

「ああ!!テルマエを後世に伝えてくれ!!」

 

 

 

 

トライアヌスのテルマエにマーキングを施し、ギャラハッドは一行を連れて一時キャメロットに帰還する。

 

「王様。此方、宮廷魔術師候補のゼルレッチ、アルトリア・キャスターことアルちゃんです」

「そっそうですが」

 

ギャラハッドは戻るなり、アルトリアにゼルレッチとキャストリアを紹介。

 

「ケイ先生、アグラヴェイン。こんな物を考えたんだけど…どうよ!!」

 

そして次にギャラハッドはアグラヴェインとケイの元に向かい、ローマンコンクリートの作成図、そしてブリテン全土を目安とした上水道と下水道を完備させた水処理計画である。

耐久力、年間耐久性に優れたローマンコンクリートを下水道の水道管に使用。上水道はコストパフォーマンスも兼ねてローマンコンクリートの他に竹を使う事も書かれてはいる。

先ず、貯水庫から上水道を通る際は炭の濾過装置を通る仕組みにし、殺菌も完璧。念のため、健康に問題ない程度に貯水庫には塩素を投入し殺菌消毒。上水道を通り、ブリテン全土に新鮮な水が行き渡るように設計し、使われた水は汚水として下水道を通っていく。下水道は耐久性の高いローマンコンクリートで作り、下水道を通って汚水は汚水処理場に向かう。汚水処理場は微生物の働きで汚水を分解し、分解された汚水は養分を乗せて更に進み炭や石の入ったローマンコンクリート製の水道管を通って濾過されていき下流に放流される仕組みである。

 

「俺の持てる様々な知識を応用して設計した下水道と上水道の設計図。これをブリテンに五ヶ所作る予定で、此方がローマンコンクリートの作り方と海水から塩素の作り方の方法」

 

分厚い冊子に纏めた下水道と上水道、汚水処理場の設計図をケイに手渡す。ローマンコンクリートの作り方と塩素の作り方をアグラヴェインに手渡すギャラハッド。

 

その設計図は聡明なアグラヴェインが見ても完璧な物だった。

 

「だっ…誰が此処までやれと言った!?」

「アグラヴェイン…俺の気持ち分かった?」

「それじゃお願い。聖杯探索が終えたら俺も手伝うから!!」

 

ブリテン…完全にローマを越えるまでもう少し。




あっくんの胃痛も段々始まる(笑)

次回…ギャラハッドは今度は中東に飛ぶ。

ヒロインどうする?期限はブリテンオリンピック開催まで

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