結城友奈は勇者である 〜運命に導かれたカリス〜   作:プロトタイプ・ゼロ

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第一話「5人の勇者」

先程の少女――犬吠埼風が言っていた樹海化警報の音がなくなり、少しずつ瞼を上げていくとまるで海のように広がる無数の樹木があった。

 

「なるほど。だから樹海か」

 

俺は樹海の上を歩きながら考える。少しだけだが、この場所の事は聞いたある。なんでも外から攻めてきたバーテックスを倒すために戦うフィールドのようなものだと。

 

本来勇者しか入れないはずのこの場所に、何故俺は入ることができた?俺は勇者どころか純粋な女の子でもないし、ましてや世界の敵とも呼べるジョーカーアンデットだ。ここにいること自体がおかしい。

 

色々と疑問となることは多いが、今はそのバーテックスだとか勇者だとかの戦いでも見に行こうか。

 

もしかしたらなにか情報を得られるかもしれない。

 

さて、行動をするべきだな。

 

妙な感覚を感じながら、俺は気配のする場所に向かっていった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

〜数分後〜

 

なるほど…… 俺が昔出会った少女達が戦っていた存在と似ているな。名前も姿も。いや、もしかしたら同じ存在なのかもしれない。 

 

なるほど。バーテックス……頂点を意味するその名を受けておきながら、格下である人間に消滅させられてんじゃねーかよ。

 

どう言った原理かは知らないが、あの五人の服装も髪も変わっているから、恐らくあの五人が噂で聞いた勇者なのだろうな。

 

仕方ないな。

 

「始さん……貴方の力、お借りします」

 

ハートのエースが描かれたカードを持ち、腰にカリスラウザーを出現させる。そしてスラッシュ・リーダーにカテゴリーAをスライドさせる。

 

「変身」

 

たちまち俺の姿は異形の、ハートとカマキリをモチーフにした仮面ライダーであるカリスに変身した俺は、バーテックス達の群れと戦っている勇者達の方に向かって走っていく。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

〜結城友奈〜

 

 

 

 

 

 

 

 

 

今までの経験から樹海化が突然始まるのはいつもの事だった。私達が天の神との戦いを終わらせたのにも関わらず、相変わらずバーテックス達は四国にある神樹様を襲いかかってくる。

 

せっかく人助けのために困っていたと思いたい潤くんの街案内が出来ると思ったのに、本当にバーテックスには空気読んでほしい。

 

バーテックスには知能があるって大赦から聞いたことがあるけど、その知能は悪魔で私達や神樹様を効率良く殺すためだけのものであり、こちらの都合なんか関係ないとばかりに侵攻してくる。

 

そうなってくると私も力で対抗するしかない。バーテックスに対抗できるのは私達勇者と防人と呼ばれる人達だけ。防人より対抗出来る私達だけど、私達だって人間だから疲れてくる。現に立て続けにバーテックスと戦っているから皆の疲労も目に見えるぐらいだもん。だからこそ今日は皆でしっかり休もうと話してたのに(勝手に街案内引き受けたことを棚に上げていることに気づいていない)。本当に最悪の気分だよ。

 

私は暴力が嫌い。殴る側も殴られる側も両方が痛い思いをするから。だから私は戦うのは嫌い。でも私は勇者だから、私達の住む四国を守る為にも戦わなくちゃいけない。

 

胸が苦しい。私達はまだ子供なのに、世界の為に戦わないといけない。そんなの理不尽だよ。バーテックスは絶対に許さない。

 

「大丈夫、友奈?」

 

そんな私を見て夏凛ちゃんが心配そうに見てくる。やっぱり優しいなぁ夏凛ちゃんは。

 

「うん!大丈夫だよ夏凛ちゃん!」

 

仲間に心配かけたくない。だから私は笑う。そうすれば皆は分かってくれる。私が辛いって思ってるとは思わなくなる。

 

東郷さんも言ってたもん。私は笑顔が似合うって。だから私は笑う。

 

「さっさと倒して皆でうどん食べに行くわよ!」

 

「わーい!私うどん大好き!」

 

それを最後にそれぞれ武器を構える。

 

今回のバーテックスはどうやら人型が多いみたい。私達が倒してきたタイプのバーテックスは少ないけど、それでも油断しては行けないのがバーテックス。 

 

私は深呼吸して心を落ち着かせる。大丈夫、上手くやれるはずだよね!

 

「よぉし、勇者部ファイトー!」

 

掛け声を上げた風先輩がバーテックスに向かって走る。大剣を振り回してバーテックスの群れを蹴散らしていく。

 

夏凛ちゃんも両手に持った剣を振ってバーテックスを斬り倒していく。東郷さんがその援護にまわり樹ちゃんがワイヤーを使って風先輩のフォローをする。

 

私もバーテックスに拳を放って攻撃する。人型バーテックスは吹き飛ぶけど消滅する気配もない。普通のバーテックスには攻撃が効いた様子があるのに、あの人型バーテックスにだけは効いていない気がする。

 

「なんなのよ、コイツ!?」

 

全く私達の攻撃が効かない人型バーテックスに風先輩が愚痴を言いました。でも、その気持ちは私もわかりますよ!

 

東郷さんも夏凛ちゃんも攻撃が効かない事に苛立っている様子があるし、どうしたらいいんだろう?

 

「……アァ、勇者、滅スル。滅シナケレバナラナイ」

 

えぇ!?バ、バーテックスが喋った!?さすがの私も驚くよ!?

 

樹ちゃん、なんで目を輝かせているの?

 

「バーテックスって喋るんですね」

 

「いや普通喋んないわよ!?」

 

あ、そういうこと……?

 

樹ちゃんの的外れな言葉に風先輩がすかさずツッコミを入れた。いつもならこういう時のツッコミって夏凛ちゃんが入れてたからちょっと新鮮だなぁ。

 

風先輩もたまにツッコミ役になるけど。あ、夏凛ちゃんがツッコム場面とられてシュンってなってる。なんか可愛い。 

 

「勇者……滅スル」

 

人型バーテックスが最初に目につけたのは、私の大親友東郷さんだった。人型バーテックスは手に持った少し大きめの剣を持って東郷さんに突進していく。

 

今更だけど人型バーテックスの顔がヘラクレスオオカブトに見えるのは私の気のせいかな?

 

って、そんな事言ってる場合じゃなかった!

 

「くっ!」

 

「友奈ちゃん!?」

 

思わず東郷さんに向かって飛ぶ。その最に東郷さんを抱きかかえて、人型バーテックスの剣に斬られそうになっていた東郷さんを間一髪で助けることが出来た。

 

ちょっと右肩を斬られちゃったけどこれぐらい勇者なら大丈夫だよね!

 

私は地味に痛い右肩を押さえつつ、油断しないように拳を構える。東郷さん達がなにか叫んでいるけど、今の私には何も聞こえない。私の目には敵を倒すということだけが頭を支配する。

 

ダメ、心を闇に支配されちゃダメ!私は闇には負けない。

 

どうやら先程人型バーテックスの剣には闇がエンチャントされていたのか、肩を少し斬られた時に闇が体の中に侵入したみたい。内側から私を支配しようと広がっていこうとするのがわかるけど、私は気力だけで抑え込む。

 

でも抑え込もうとしたのが仇となったのか、人型バーテックスの接近に気づかなかった。私が気づいた時にはもう人型バーテックスは剣を振り下げようとしていた。

 

「友奈ちゃん危ない!!」

 

「っ!?」

 

私は思わず瞼を瞑ってしまう。あーあ、もう私死んじゃうのかな。まだ死にたくないよぉ。みんなと一緒にいたいよう。

 

そう思っていたけど、

 

【ドラゴンフライ】

 

【シェル】

 

【ホーク】

 

《スピニングダンス》

 

突然聞こえた音声に訳が分からず瞼を開けると、まるで竜巻のように回転しながら風を纏った何者かが人型バーテックスに蹴りを入れていた。

 

「……えっ?」

 

その何者かは人型バーテックス人間蹴りを入れたあと、私の目の前に着地する。なんだろう?

 

全体的に黒い体にハート型の赤い目をしている。なんでか分からないけど、第一人称としてカマキリが頭に浮かんだ。

 

右手に弓のような武器を持ったその人は私の方を一瞥すると、直ぐに人型バーテックスの方に向かっていく。結局の所なんだったんだろう?

 

見てみれば予想外の登場にみんな固まっていた。夏凛ちゃんなんて両手の剣を落としちゃってるし、それぐらいみんな動揺したんだと思う。

 

一番早く我に返ってのは東郷さん。どんな時でも冷静に物事を分析して対処できる東郷さんは勇者部にとって策士に近い。実際勇者部ではパソコンを使って依頼とかの管理をしているもん。東郷さんだから出来ることなのです!

 

「みんな、さっき友奈ちゃんを助けてくれたあの人の援護を!」

 

「ちょ、待って東郷。あんな奴見た目から信じられないんだけど!?」

 

「そんなことを今入っている場合ではありませんよ風先輩!友奈ちゃんを助けてくれた、それだけでも信じるに値するんです!」

 

「アンタの友奈LOVEは今は置いとけ!」

 

凄い。東郷さんの天然過ぎる言葉を夏凛ちゃんが一言で終わらせた。やっぱり夏凛ちゃんは勇者部のツッコミ係だよね。

 

「友奈……後で覚えておきなさいよ」

 

夏凛ちゃんは実はエスパーだった!?

 

って、そんな呑気なこと言ってる場合じゃなかった!

 

「結城友奈!敵にツッコミます!」

 

「敵に何をツッコむのよ!」

 

「間違えました!結城友奈!敵に突っ込みます!」

 

なんとなくお笑い感じになっちゃったけど、気にすることなく人型バーテックスに向かって走る。

 

「勇者……パアアアアァァァァァァァンチ!」

 

私の渾身の勇者パンチを繰り出すけど予想通りダメージが入っている気がしない!一体どうして?

 

『無闇に突っ込んでくるな!』

 

ほら、さっきの助けてくれた人にも怒られちゃったよ。ん?怒られた?

 

「あなた喋れるの!?」

 

『……』

 

あ、黙り込んだ。仮面の上だからわかんないけど、多分やかしたって感じだと思う。

 

それ以降はただ無言でバーテックスを切り倒していく戦士さん(名前がわからないため勝手に命名)を援護するべく、勇者部の皆も動き出した。

 

戦士さんはカードを一枚取り出すと弓のような武器についている物にスライドする。

 

【ホーク】

 

《ホークトルネード》

 

戦士さんは弓を構えて風を纏った矢を放つ。というかあの矢はどこから出ているんだろう?

 

矢を何発も連射すると今度はその弓で……弓で相手斬るんだ……。

 

戦士さんが助けてくれたこともあり、私達の周りにいたバーテックスはもう人型バーテックスしか居なくなった。

 

「カ……カリス?」

 

『姿を見た時からわかってはいたが、やはりお前には剣崎さんの記憶があるのか』

 

剣崎さん?一体誰だろう?戦士さんの知り合いかな?

 

戦士さんは少し屈んで弓を横にして構えるという独特の戦闘ポーズを取ると、決して油断しないような雰囲気で人型バーテックスを睨む。

 

『お前がもし、剣崎さんの記憶を持っているなら決して油断できない相手だな』

 

そう言って戦士さんはカードを三枚取り出すと、先程と同じように弓に付いている物にスラッシュする。

 

【ドラゴンフライ】

 

【シェル】

 

【ホーク】

 

《スピニングダンス》

 

戦士さんが膝を折って屈むとその場に小さな竜巻のような風が発生し、そのまま戦士さんを覆って中に浮び上がる。

 

戦士さんはその体勢の状態で人型バーテックスに向かっていくと蹴りを放った。戦士さんの蹴りは見事命中して人型バーテックスは爆発し……爆発!?

 

「バーテックスが爆発するの初めて見たわ」

 

「……そうですね」

 

規格外の技を使った事で私を含めた勇者部皆が唖然としていた。すると突然戦士さんは私達の方を向いたから、無意識にそれぞれ武器を構えてしまう。

 

そして、人型バーテックスを倒した影響で今回の樹海化が終わった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

〜黒宮純〜

 

 

 

 

 

 

 

 

 

樹海での戦いが終わり、俺は勇者部のメンバーと共にどこかの学校の屋上に放り出された。勇者部のメンバーには人間時の顔を見られているためすぐにハートの2を使う訳にはいかない。

 

俺はすぐさまこの場を去ろうと屋上のフェンスに手をかける。

 

「あ、あの!」

 

分かってはいたことだが、勇者部の確か結城友奈って言う少女が話しかけてきた。あまり話すこともないし聞くだけはしてやってもいいか。

 

そう思って友奈達の方を向くと、あちらのメンバーは友奈以外が身構えた。多分襲ってくると勘違いしているんだろう。だが残念な事にいつ誰が襲ってくるとは限らないので俺は醒弓カリスアローを手放すわけにはいかない。

 

『なんだ?』

 

俺は敢えて突き放すように冷たい声音を出す。聞いたところによると初代仮面ライダーカリスこと始さんも後に仲間になるメンバーに冷たくあしらっていたらしいから。それを参考にしている。

 

「あ、あの、私讃州中学勇者部結城友奈って言います!よろしければお名前を教えていただけませんか?」

 

困った事になった。直ぐにこの場を去りたくてもどうせ次回も会うことになるだろうし、なによりコイツは一度冷たくしてもめげなそうだから、とにかく面倒くさい。

 

仕方ない。

 

『……カリス』

 

「えっ?」

 

『仮面ライダーカリス。それが俺の名だ』

 

結局の所名乗ってしまった。いや、こればかりは仕方ないと思う。あんな名乗ってくれなきゃ泣きますよって感じで見られたらどうしようもない。

 

だからこれは仕方なく名乗ったのだ。

 

俺はそれだけ言うと、今度こそフェンスを飛び越えて友奈達からは見えないように陰に隠れる。こちらからは見えるが、突然飛び降りた俺を心配したようだ。

 

俺は溜息を吐くと誰もいない場所でハートの2をカリスラウザーのスラッシュ・リーダーにラウズする。

 

【スピリット】

 

カードの2の効果で俺は黒宮純としての姿に戻る。

 

あーもう面倒くさい。なんてったって俺がバーテックスと戦わなくてはいけないのか。

 

でも、何故だろうな。バーテックスと戦っていた時、俺の中のジョーカーとしての本能が少しだけ刺激されたのは。俺の予想ではあのブレイドの姿を真似たバーテックスのせいだと思うのだが……こればかりはちょっと調査が必要だな。まぁ、多少長引くだろうが地道にやっていくしかないな。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

Continue to next time!

 

 

 

 

 

 

 

 




所々設定とか弄りながら書き直してます。もし「ここはこうした方がいいんじゃないか?」とか「こういったキャラ出してよ」とか「ここ誤字脱字だゾ」ってことがあれば、遠慮なく感想欄にて教えてください

敵対ライダー追加予定

  • 仮面ライダーディケイド(激情態)
  • 仮面ライダーキバ(エンペラー)
  • 仮面ライダーカブト
  • 仮面ライダーアギト
  • 仮面ライダー響鬼
  • 仮面ライダー鎧武
  • 仮面ライダードライブ(プロトタイプ)
  • 仮面ライダーダークゴースト

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