たかが紙切れ、されど紙切れなのである★
(くそっ…あの通り魔絶対に許さん…)
頭が痛い。足も痛い。と言うか全身死ぬほど痛い。まあもうすぐ死ぬんだけど。笑えんわ。
僕、
なんで開幕で死にかけてるかって?それは話せば3分くらいかかるんだけどね。
あれは確か二年前…いや36万…いや、1万4000年前だったか…10分くらい前だったかな。
_____________________________________
「スターヴ・ヴェノム・フュージョン・ドラゴンの攻撃!猛毒のアロージョン・ソーン!」
「イワァァァァァァク!!」
どこぞの凡骨デュエリストよろしく断末魔を上げるこいつは田中太郎。僕のデュエル仲間であり、レッドアイズと城之内の大ファンだ。
僕の休日はもっぱらこいつとのデュエルか、大会出場に費やしている。ちなみに今の戦績は79勝72敗1引き分けなので、これで僕の80勝達成というわけである。
「くそう!俺のレッドアイズが…!」
「ふっ…特殊召喚されたモンスターで僕のスターヴに勝てると思っているのか?」
「いうて効果を受けないモンスターとか無効にするモンスターとか対処のしようはいくらでもあるけどな。あとは…
「おいやめろ」
カードショップから出ながら、他愛のない話をしていく。
やれ
「しっかし…お前ホントにスターヴヴェノム好きだよな。オリジナルの技名まで作ってさ…」
そうなのだ。何を隠そう、僕は【スターヴ・ヴェノム・フュージョン・ドラゴン】が大大大大好きなのだよ。命掛けても良いレベル。
「当たり前だ!あの毒々しい赤と黄色と紫のコントラスト、細くすらりとしたフォルム、最高だろ!」
「そうか…?よく分からんな」
「お前がレッドアイズを好きな理由と同じだ」
「そうか、なら仕方ないな」
そこで納得してしまうのがデュエリストである。誰だって好きなカードの1つや2つは有るものだ。そこを譲る訳には行かない。
「おい見ろよ、リア充がいるぞ」
「ん?」
そう言って田中が指差したのは、笑顔で歩く爽やかな青年と、その横に並ぶ美人さん。なるほど、確かにリア充オーラがムンムン出ている。二人が歩いて行く先には、柱に持たれてふらふらとしている中年男性がいた。そのまま、3人は会話を始めたようだ。
「よーし加藤、いっちょリア充観察と行こうぜ」
「やめろよ、失礼だろ。…ふむ、年齢が離れているし、二人のどちらかの親戚…いや、親戚の態度じゃないな。会社の同僚か?」
「割とガチめに観察してんじゃねえか…お前こそ失礼だろ」
相手の観察はデュエリストの基本だからね、仕方ないね。
「そんな事より…
「「キャーーーーーーーー!!」」
…およ?」
突如として町中に悲鳴があがり、混乱が場を支配する。そして、男がこちらに向かって走ってくる。手には…包丁。 包丁!?ヤバい!
「おい加藤!逃げるぞ!」
「あ、ああ…さっさと「どけ!殺すぞ!」…は?」
包丁を持った男に突き飛ばされる。刺されなくて良かった…と思ったのも束の間、
宙に浮く、紫色のデッキケースが見えた。
「_____ッ!!」
手を伸ばす。地を脚で蹴り飛ばし、駆け出す。
ただ、一心不乱に手を伸ばして、伸ばして____
届いた。
「良かっ、」
赤い車が、こっちに走って来るのが見えた。
あ____
______________________________________
という訳で、今出血大サービス(物理)中なのだよ。後悔はしていない。
「助けられて良かったぜ…僕のスターヴ・ヴェノムと【
《確認しました。ユニークスキル『
《確認しました。ユニークスキル『
《確認しました。身体を植物で作成します…成功しました》
やべえ。なんか変な声が聞こえる。とうとうおかしくなったか、僕…
しかも体がすごく熱い。熱すぎる。
《確認しました。対熱耐性獲得…成功しました》
「お、おい、加藤!?大丈夫か!?お前、血が…!」
うるさいな田中。血くらい出るだろ、人間だもの。
ただ、痛いのは嫌なんだけどね…
《確認しました。痛覚無効獲得…成功しました》
「うっせえ奴だな……そんな顔すんなよ、田中…」
しかし、車にぶつかって死ぬのか…ちょっと想定外だったかな………
ないわー…。
《確認しました。打撃耐性獲得…成功しました。続けて物理攻撃耐性獲得…成功しました》
「でも、お前、頭から、そんなに…お前、お前…!」
僕を抱える田中。顔は真っ青で、顔が涙でグチャグチャだ。泣くな気持ち悪い。
視界が霞んできて、熱の代わりに寒気が僕を襲う。マジかこれ…熱いと思ったら今度はめっちゃ寒い……キツイな……
《確認しました。対寒耐性獲得…成功しました。
対熱対寒耐性を獲得した事により、『熱変動耐性ex』にスキルが進化しました》
さっきから変な声が止まない。何を言ってるのかは全く分からないがとにかく煩い。
だが、そんな事よりも優先すべき事がある。
「心配すんな田中…これ……お前にやるよ…」
そう言って僕が渡したのは、【スターヴ・ヴェノム・フュージョン・ドラゴン】のカード。これだけは渡しておきたい。
「お前、これ…」
「野郎の泣き顔なんか見たくないしな…どうせなら美少女に抱えられたかった…」
「……お前らしいな」
むしろ田中が性転換して美少女に変わればいいのでは?誰得だよ。
《確認しました。ユニークスキル『
「スターヴ・ヴェノムを頼む、田中……
デュエルで、笑顔を………」
何ということは無くはない人生だった。
親に捨てられはしたが、拾ってくれた人達は優しくて…今思えばとても幸運だった。
欲しい物だって買ってくれたし。その時行ったカードショップで、僕は
学校でも、顔はいい方だったから、友達も出来た。
いつか恩返ししたいなって、思ってたのに、なぁ…
マジかー……僕死ぬのかー………
あ、でも異世界転生とか出来たりして。でも撥ねられたのトラックじゃなくてただの車だからなー……
まあ…もし生まれ変われるとしたら、スターヴ・ヴェノムみたいなかっこいいドラゴンに転生したいなぁ。
《確認しました。『スターヴ・ヴェノム』を検索…成功しました。『スターヴ・ヴェノム・フュージョン・ドラゴン』を元にスキルと身体を製作します》
《ユニークスキル『
昔、想像した事あったっけなあ…誰よりも強くて、かっこいい
《種族を「竜種」に設定…失敗しました。再試行……失敗。代行措置として種族を「
……………いや、なんで失敗したんだよ。2回失敗したくらいで諦めんなよ!僕竜種がいーい!さらなる再試行を要求する!
………………
…………………………………
……………………………………………………………応答は無い。
くそっ、へなちょこな奴だな…… そんな事を思考しつつも、急な睡魔に抗えず、僕は眠りに落ちていった。
ステータス
名前:加藤 瑠衣
種族:小竜
称号:無し
魔法:無し
技能:ユニークスキル『支援者』『変化者』『毒殺者』
耐性:打撃耐性、物理攻撃耐性、熱変動耐性ex、痛覚無効
いかがでしたでしょうか。
作者はにわかなので、おかしいところが有ったら流すか報告して頂けると嬉しいです。
追記:「カワラヌモノ」は既に存在してたので没。あとこれからのストーリーも考えて「変化者」にしておきました。それと瑠衣くんには植物になってもらいました。ユルシテ
余談ですが、作者の年齢が主人公と同じであり、ハーメルンを使いこなせて無かったり学校とかがあるので(今日から夏休みなので出来るかもしれませんが)コメントをあまり返せなかったり更新が遅くなったりするかもです。ユルシテ…ユルシテ…