ヒラタさん、誤字報告ありがとうございます!
リムルがヴェルドラを喰ってから、数日が経過した。
数日経っても進む気配が無く、どうかしたのかとリムルに聞いてみたら、
(俺スライムだぞ?魔物に襲われたら、どうやって戦えっていうんだよ!)
との事。
確かにそうである。リムル曰く、必要なのは攻撃手段だと言う事なのだが、スライムにまともな攻撃ができるとは思えない。まあ、転生者ってだけでまともなスライムとは言えないが。どうしたものかとヒポクテ草や魔鉱石を二人で喰ったり取り込んだりしつつ、うんうんと唸っていたら、初めて会った時に水を噴射して飛んで来たのを思い出した。そして、それが出来るのなら、水をうまく噴射して水の刃的な物が出来ないかと提案してみた。リムルはそれだ!と喜色満面に(線目のスライムなので顔自体は変わっていないが)その案を採用し、一週間の練習の結果、岩を切り裂く程に水を操れる様になった。どうやらエクストラスキル『水操作』を手に入れたらしい。
新しいスキルを手に入れ、喜んでいるリムルを見て、1つ思い付いた。
これ、僕も新しいスキル習得出来るんじゃね、と。
今の僕の体は植物である。外見自体はスターヴなのだが、『変化者』を使えば蔓や葉の再現は容易い。そこで、背中からしなやかで丈夫な蔓を生やした。スターヴとしての外見は損なわれるが、戦闘手段の為なので仕方が無い。そして生やした蔓を、ブンブンと振り回してみる。ある程度動かすのに慣れたところで、さっきリムルが両断した岩に向けて、蔓を振り下ろしてみた。
ドゴッ!と、岩が凹んだ。これだけでもそこそこ威力があることが分かるが、まだ物足りない。そこで、蔓を少し太くし、一部分だけを硬質化させてみる。
《スキル『成長促進』を獲得しました》
ここで予想外のスキルを獲得した。いや、存在するとは思っていたのだが、意外と簡単に獲得することが出来たな。
気を取り直して、成長させた蔓を再び、岩の凹んだ部分に対し振り下ろした。そして、
ドガッ!!と岩は大きな音を出して破壊された。
《スキル『蔓の鞭』を獲得しました。続けて、スキル『岩砕き』を取得しました。》
いやポケ○ンかよ。いや、確かにポケモンの技から思い付いたけどさ。
(新しいスキルだってさ。『蔓の鞭』と『岩砕き』だって)
(何それ!ポケ○ンじゃん!)
(全くだよ。でさ、まだ2つほど獲得できそうなスキルがあるんだけど………ちょっと見てて)
この蔓を“茨”に変えて、壁を砕く。トゲトゲで当たったら痛そうだ。僕には痛覚無効があるので触っても痛くはないが。
《スキル『茨の鞭』を獲得しました》
世界の言葉が響いた。思った通り、スキルを取れたようだ。
今度は、手から巨大な葉っぱを生やす。そして腕を大きく振りかぶり、葉を別の大きな岩へと飛ばした。
スパッ、と静かに音を立て、岩は両断された。
《スキル『葉刃』を取得しました》
《スキル『成長促進』『蔓の鞭』『茨の鞭』『葉刃』を獲得した事により、エクストラスキル『植物操作』に進化しました》
やったぜ。(完全勝利)
新たなエクストラスキルを手に入れ喜んでいるセルガを横目に、リムルはこう思った。
(セルガって、くさ・ドラゴンタイプだよな………)
今、失礼な事を考えられた気がする。僕はポケットじゃなくてデュエルのモンスターズなんだけど。
______________________________________
そんな事がありながらも進んで行った先には扉があった。その扉からは3人のボウケンシャー………違う、冒険者が入ってきた。僕とリムルはすぐに隠れて様子を伺ったのだが、ここで思わぬ問題が発生したのだ。
「____________________________」
「___________________________________」
そう、言葉が分からない。異世界だから、言語は違うのだろうかと考えた事もあったが、案の定であった。
(マジか………言葉が通じないとは。これは前途多難だな………)
(え?何言ってるんだ?)
(うん。どうにかして、言葉が分かるようにしたい所だけど………)
(だから、何言ってるんだよ。俺は普通に言葉が分かるぞ?)
(え?)
(何でお前だけ………え、何? ………ああ、言われてみれば)
リムルが急に誰かと会話を始めた。おそらく彼のユニークスキルである『大賢者』であろう。一体何が「言われてみれば」なのだろうか。
(セルガ。とりあえず、あいつらがどっか行ってから話すよ)
(あいさー)
今は、あの3人から身を隠す事にした。うーむ………何を話してるかちょっと気になる。どうやら、仲が良さそうなのは分かるが。
3人をやり過ごした後、扉を潜り、リムルから『魔力感知』について教えてもらった。なんでも、意思のある音ならば脳内で勝手に理解できるよう変換されるらしい。また、周囲の感知もできるようなので、暫く練習して、『魔力感知』を獲得した。脳内に溢れ出す情報量に頭がパンクしそうになったが、支援者さんのフォローにより無事、全方位がバッチリ見えるようになった。
そんなこんなで、ゆっくりと安全第一に進んでいた所だったんだけどね………
合ってしまった訳ですよ。何って?目だよ、目。
前世の記憶とはかけ離れた、とても禍々しい大蛇と、目が合ってしまったのである。
(………………目と目が合う〜しゅんか〜ん好〜きだと〜気付〜いた〜)
(うおおおおい!?正気に戻れ、セルガアアアアア!?)
れれれ冷静になれ、僕。いくら怖いからって見た目で判断しちゃあ駄目だ。そうだ、きっとこの蛇は見た目に反して優しい心を持っているんだ。彼の目をご覧、こんなに澄んだ優しい瞳を………
キシャーーーーーーーーーーーー!!
どう見ても獲物を見る目です本当にありがとうございました。こうなったら仕方が無い。大蛇は僕とリムルを威嚇し、臨戦態勢を取っている。だが、こちらには『植物操作』がある。『葉刃』の餌食にしてくれるわ!と、大蛇を見据える。
するとどうだろう。
大蛇が大きく息を吸い込む動作をしたかと思ったら、
いかにも毒です、という見た目の霧状のブレスを出してきたではないか。
(………ゑ?)
僕は無言で『思考加速』を発動した。
(おい!どうすんだよ、セルガ!あれ絶対ヤバイやつだぞ!)
(………………どうしよう)
(くそ!とりあえず全力で逃げろ!俺が『水刃』で倒すから!)
(………了解)
だが、僕が離れるよりも、このブレスのほうが速い。吸わなければ大丈夫、という風には見えないし………マジか………2度目の人生、こんなところで終わるのか………
《援。ユニークスキル『毒殺者』の『毒操作』により、『毒霧吐息』の無効化が可能です》
支援者さんキタ━━━━(゚∀゚)━━━━!!
完全に忘れてたわ、『毒殺者』。
リムルとスキルの情報共有をしていたのだが、詳細まではよく知らなかった。
もし支援者さんが居なかったら死んでたね。
ありがとう、支援者さん!とお礼を言ったら、ハァ、と返された。自分のスキルにバカにされた………死にたい。
というわけで、『毒殺者』のスキル内容をば。
毒攻撃:自分のあらゆる攻撃に毒を追加する。自分の身体に毒性を持たせる。これらの毒は『毒生成』で作り出した物を使用可能。
毒生成:魔素を使い、毒を作り出す。毒は効果を作り変える事が出来、『毒攻撃』で与える毒として使用可能。
毒操作:自分の周りの毒を操作可能。毒の移動、効果の変化が出来、自分が干渉した毒への完全耐性を得る。
ものすごい毒!って感じ。
(リムル、何か大丈夫みたいだよ)
(どこがだよ!全然大丈夫じゃないだろ!それこそ毒を無効にするスキルでも無い限り………まさか)
(ふっ………今の今まで完全に存在を忘れてたけどね!)
(………………後で説教だからな)
(どうして)
何故か怒られる羽目になってしまったが、もう恐れる物は何も無い!
『思考加速』を解除し、『毒霧吐息』に正面から突っ込んで行く。大蛇は僕が『毒霧吐息』をモロに受けたのを見て、勝ち誇っている。僕が死んだと思っただろう。
生きてるんだな、これが。
大蛇が驚愕で硬直した隙に、『植物操作』を発動。『葉刃』を大蛇の首元へと飛ばした。
ズパッ、ストン。
かなり呆気なく、大蛇の首は地面に落ちた。我ながら、かなりの威力である。
この『葉刃』、『変化者』で作り出した葉を使っている。この変化には魔素しか使っておらず、またその消費も微々たる物である。
何百発撃っても魔素切れは無さそうだ。当分のメインウェポンは『葉刃』となるだろう。
リムルから長々とお説教を喰らってしまった。やれもっと慎重に行動しろだの、やれ自分の事をもっと把握しておけだのと、ごもっともすぎて耳が痛かったので、大蛇の死体に話を逸らすことにした。リムルからはまだ何か言いたげな視線を受けたが無視しておく。
リムルが大蛇を『捕食者』で捕食しようとしたので、『葉刃』で2つに分け、自分も『変化者』で取り込んだのだら、リムルに引かれた。解せぬ。
だが、そのお蔭で『熱源感知』と『毒霧吐息』を手に入れたので結果オーライである。
色んな意味で紆余曲折な道のりを抜け、僕等は遂に洞窟の入り口に辿り着いた。ここに着くまでに何度か戦闘を行った。百足、蜘蛛、蝙蝠、蜥蜴。それら全てと戦闘し、捕食ないし取り込んでいる。その結果、『麻痺吐息』『粘糸、鋼糸』『吸血、超音波』『身体装甲』のスキルを手に入れた。
「ワレワレハ、ウチュウジンデアル!」
「ベツノワクセイノヒトカラミタラボクラガウチュウジントモイエル」
『変化者』で声帯を作り出し、『超音波』で発声することに成功した。
これで人間と意思疎通が出来るだろう。この見た目じゃ受け入れられるか怪しいけれども。
声を出せるようになったのはいいが、もう一つ試したいことがあった。大蛇と百足から『毒霧吐息』『麻痺吐息』を手に入れたのだが、この2つを『変化者』でくっつけ、もっと強力なブレスに進化させられないか、というものだ。
《援。ユニークスキル『変化者』でスキル『毒霧吐息』『麻痺吐息』を統合することは可能です。実行しますか? yes/no》
当然、yes、だよ!
《確認しました。『毒霧吐息』『麻痺吐息』を『変化者』により統合………成功しました。スキル『毒霧吐息』『麻痺吐息』はエクストラスキル『猛毒吐息』に進化しました》
よっしゃ。名前に同じ部分があると関連性を疑っちゃうのよね。新しいスキルを手に入れたら、とりあえず色々試して見るのも良いかもしれない。
「サテ。ヨウヤットソトニデテキタワケダケド、コレカラドウスル?」
「ソウダナ。マチトカムラニデモイッテ、ココロヤサシソウナニンゲンニコエヲカケテミヨウカナ」
「ヘー。ソノマチトカムラハドコニアルワケ?」
「………ワカラン」
「ヒトソレヲイキアタリバッタリトイウ」
「ウッセ」
会話の練習をしつつ、色々と試しながら僕等は道を進んでいた。途中で狼に襲われたりしたが、リムルがちょっと凄んだだけで逃げていった。臆病な奴だなとリムルは言っていたが、リムルからは魔素がダダ漏れなのでビビるのも仕方が無いと思うが………まあ、魔物が近寄って来ないので楽ではある。と思っていたら………
目の前に、数十体の魔物が現れた。
彼らは人形で小柄。薄汚れて貧相な格好をしている。しかし、粗末だが武器を作れる程の知性はある。
RPGでもよく見る緑色の魔物。ゴブリンである。
冒険者を襲うまさにテンプレといった奴らなのだが、怖いとは思わない。
洞窟の魔物と比べれば、全然かわいい物である。襲って来るようなら、新しく手に入れた『猛毒吐息』で殲滅するまでだが、どう来るか………
「グガッ、強キ者ヨ…。コノ先二、ナニカ用事ガ、オアリデスヵ?」
敵対の意志は無さそうだ。どうやら、僕等と会話を試みるつもりらしい。
せっかくなので、ゴブリン達と会話してみる事にした。
ステータス
名前:セルガ=テンペスト
種族:小竜
加護:暴風の紋章
称号:なし
魔法:なし
技能:ユニークスキル『支援者』
ユニークスキル『変化者』
ユニークスキル『毒殺者』
エクストラスキル『植物操作』
エクストラスキル『猛毒吐息』
エクストラスキル『魔力感知』
獲得スキル…『熱源感知』『粘糸,鋼糸』『超音波』『身体装甲』
耐性:熱変動耐性ex
物理攻撃耐性
痛覚無効