「・・・一つ、聞きたいことがあるの」
もうこの際、どうして人里の長がそこにいるのか~とか。
どうして幻想郷を支配しようと目論んだのか~とか、しばりつけたあの影野郎はぶん殴る~とか、もはやどうでもいいぐらいだった。
「なんだクソガキ。言ってみろ。」
「・・・どうして、マリアを殺したの?」
「まりあ?・・・あぁ、あの妖精のことか。あやつはかつて、この幻想郷の者だ。」
「・・・・・・は?」
どういうことだろう。いや、お姉さまも洞窟にいたから拾ってきたって言ってたけど・・・
・・・何となくだが、つかめてきた。
「まさか、邪魔だから飛ばした・・・とか?」
「ほぉ、クソガキにしては冴えた頭じゃないか。」
厭味ったらしく笑いながら拍手をしてくるそのにんげ・・・いや、妖怪。
なるほど、その時から幻想郷を支配する目論見が進んでいたわけだ。
「アレは、この幻想郷における龍脈の管理者。各地の力を制御し、そして維持する役目にあった。」
リュウミャク?私たちにとっての魔力と言う事だろうか・・・
いや恐らくそういうことだろう。こいつの言い方からしてそうだ。
「その力を奪うがために、必死に探したが・・・アレは自分が作り出した空間に閉じこもって出てこないとんでもない奴だった。」
いや、リュウミャク・・・てか魔力の流れを管理しているならそりゃ、隠れるに決まってるじゃん。なに言ってんだこいつ。って、そんなことを考えている暇はなかった。
「でも、飛ばした。それで、戻ってきた。」
「・・・ああ、忌々しいことにな。だが、どうやら記憶は戻っていなかったようだ。かつての威厳と無駄に偉そうな態度はどこへやら・・・・・・そして、厄介なことに今度は神性を携えて戻ってきおった。」
「しん・・・せい?神様みたいな力を持ってたってこと!?」
いや、マリアがそんな力を持つこと自体は心当たりがある。
近隣の村や町に足を運んでは困っていることを解決していたマリア・・・それで仮に崇められていたとしたならば、それは確かにそんな力を持つに決まっている。
「あのままでは、その神力に耐えきれるわけがない。暴発するに決まっている、ワシの幻想郷を吹き飛ばされてはたまらんのでなぁ・・・殺した。」
つまり・・・
「タダジャマダカラコロシタダケカ!!」
抑えていた狂気が、あふれ出す。
しかし、狂気の力をもってしても・・・この鎖が引きちぎれることはなかった。
「邪魔?しかし、貴様らにとっても都合の悪い話じゃぁないだろうが。」
ガシッと髪の毛を捕まれる。
その痛みが、狂気をさらに暴れさせるが・・・それでも鎖が引きちぎれない。
「あのままでは、貴様の言う”まりあ”は存在を塗りつぶされ、暴走し・・・この幻想郷を吹き飛ばすどころか、貴様らを殺すかもしれない存在だったのじゃぞ?」
・・・・・・え?
「どういう・・・こと?」
理解が、及ばない。
マリアが、私たちを・・・紅魔館の皆を・・・殺す?
う、うそだ・・・そんなことはあり得ない。
マリアが、私たちを殺すはずがない・・・
「嘘だ。そう思うか?貴様は知っているのだろう?暴走の果てを」
「ひぅっ・・・」
首を掴まれ、変な声が出てしまう。
そして、その男が言ったことが理解できてしまう。
おそらく、こいつの言う暴走というのは私の狂気と似たようなものだろう。
感情そのもの、知性がある妖怪たちが心の奥底にしまい込んでいる凶暴性。
・・・それを理解して、私は・・・
「そんなの・・・・・・うそ・・・だよ。」
絶望に折れること・・・ただそれだけしかできなかった。
だって、マリアは優しくて・・・暖かくて・・・
でも怒るととても怖くて・・・・・・でも、でもでも
「うそ・・・・・・だ・・・」
目の前が、真っ暗になっていく。
・・・私まで、私まで折れたら・・・誰が、誰がマリアの・・・マリアの・・・
アレ?マリアは、イキテイルハズナノニ・・・
ドウシテワタシハ、死んでいるって勘違いをしてたんだろう。
あぁ、でも眠いや・・・今は寝てしまおう。
お休み・・・マリア・・・
そのあとの展開は、レミリア編の”死闘”通りです。
はい・・・フラン編はもうおしまい。
後日談へと続きます・・・