ちなみに後日談の視点は、副メイド長視点となります。
後日談 その1
あれから・・・まあ、たった2日しかたってない。
幻想郷の支配を企てた”ぬらりひょん”とその部下たちは、マリアと、そしてレミリアお嬢様方により・・・すべてが死んだ。
そのため、幻想郷には圧倒無敵のハッピーエンドが訪れる!!
・・・・・・まあ、そんな話はどこにもなかった。
まず初めに言うと、紅魔館は”吸血鬼異変”が起きる前よりも酷い状態となっている。
まず、レミリアお嬢様についてだ。
レミリアお嬢様については、まだましな方だ。
マリアが死んだと理解し、ちょっとずつでも前に進もうとしている。
けれど、その一歩はとても弱々しく・・・最近ではまともに起きてくることも少なくなってきている。
・・・大好物のキャロットカップケーキなんかは・・・マリアが作った物以外は受け付けないとまで。そう言いながら、もう10日も飲食をしていない。
日に日に弱り果てていくレミリアお嬢様を見てみると・・・とても物悲しくなる。
次に、フランドールお嬢様。
私が、アイツに落とされた後、何があったのかは知らないが・・・
目が完全に黒く濁ってしまった、前までの明るい性格とは裏腹に一日をボーっと過ごしていると思いきや、壁に向かってマリアとの会話を壊れた蓄音機みたいに何回も何回も何回も何回も繰り返している。
「今日は、お勉強頑張ったよ!だからほめて!」とか「マリアー!このお人形!はじめて壊さずに作れたの!!」やらはまだいい・・・
「マリアっ・・・すき。だいすきっ。愛してるっ」なんて言葉を聞いたときは・・・
もはや、私たちのよく知るフランドールお嬢様はどこにもおらず。
今は隔離の為にヴワル魔法図書館の奥に作った地下部屋に閉じ込めている。
・・・3番目に、咲夜ちゃんっす。
咲夜ちゃんは・・・なんというか、薄気味悪くなった。
髪の毛はぼさぼさで、あの綺麗だった銀髪もくすんで、ピシッとしていたメイド服なんかは・・・ボロボロで、マリアとお揃いにしていたであろう手袋を抱きしめては、マリアの私室に閉じこもって、ずっとずっとすすり泣いているだけ。
幸い監視を任せたメイドによれば、ちゃんとご飯を食べてくれているようで・・・レミリアお嬢様とフランドールお嬢様よりかはまだましだった。
そして、紅魔館の門番である・・・美鈴さん。
美鈴さんは何というか、以前より自分を大切にしなくなった。
落ち着いた狼女たちの話では、もうあの日からずっと寝ていないとのことだ。
・・・食事も最低限の物しかとらずに、空いた時間があれば中庭で鍛錬しているという。
雨の日も、風の日も・・・そして今も続けている。
もう、護るものさえズタボロで・・・護りきれなかった自責の念か・・・一度、倒れたとき・・・ただひたすらに「ごめんなさい」とうなされていた。
パチュリーさんも、終わったとはいえ・・・
パチュリーさんは、あれからというもの運動する時間も食事する時間もすべて投げ捨てて、”死者復活の魔法”を追い求めている。それも、狂ったようにだ。
ただひたすらに、完全無欠の魔導書と言われている魔導書を一つ一つのページを読み漁り・・・なければページを破いて捨てて・・・
その魔導書も、レミリアお嬢様が拾ってきてマリアが形状記憶の魔法をかけていたからページが回復して・・・また読んだページを読み返しての繰り返し・・・
小悪魔さんだけは、そんなパチュリーさんを心配していたけど・・・
何もできることはない、今は好きにさせていいと伝えると、どこか不満げに頷いてくれた。
・・・・・・そして紅魔館の住民ではないが、八雲 紫もだ。
八雲 紫は、どうやら・・・かなり深い部分まで乗っ取られてしまっていたようだ。
あれ以来、八雲 紫が起きる気配はない。
八雲 紫の式であるという”八雲 藍”の話では、式神の主従関係が解除されているとのことだ・・・どうやら、あの影の野郎は魂に結び付いたらしい。
魂に結び付いたソイツを八雲 紫の影から引っ張り出した私のせいだと頭を下げると、八雲 藍は何もせず、何も言わずに背を向けて私を紅魔館へと送り返した。
・・・後から聞いた話だが、八雲 紫は今後一切・・・奇跡でも起きない限り目を覚ますことはないという事、そして八雲 紫がそんな調子なので・・・おそらく近い将来、いつになるかは分からないが・・・幻想郷を覆う”博麗大結界”と呼ばれるものが崩壊するとのことだ・・・
・・・紅魔館も大変になったのだが、幻想郷もこれまた大変だった。
今まで八雲 紫が居たことによる平穏が、八雲紫が行動不能になったということで、ただでさえ引火前の爆弾だったというのに、引火してしまい爆発した。
今や幻想郷のあちこちでは、妖怪組織と妖怪組織が血を血で洗う大戦争を起こしている。
そこで動いたのが、”博麗の巫女”と呼ばれる存在だ。
拳一つで数々の妖怪と争いをちぎっては投げちぎっては投げ・・・
正直に言えば、彼女が出張っていれば・・・吸血鬼異変も簡単に終わったんじゃないかと思うぐらいだ。
しかし、彼女はそれを聞いて・・・ただ一言「すまない。」とだけ言い、帰っていった。
そして人里も、いきなり長が居なくなったからか・・・
人里も人里で大混乱、元々抑えられていた人々が次の長の座を奪おうと、我こそは我こそはと、外で妖怪たちが大戦争を起こしているというのに呑気にそんなことをしだしていたのだ。
・・・あの時、私が行くと言っていれば。
こんなことにはならなかったのかもしれない。