目が覚める、相変わらずの私の私室だ。
「副メイド長、おはようございます。朝食はすでに用意できています」
すかさず声をかけてくるのはなんだか、久々に見る気がする副メイド長補佐。役職と肩書きはそのままだが、メイド長は死亡、メイド長補佐・・・咲夜ちゃんも行動不能で事実上私がメイド長代理、副メイド長補佐がメイド長補佐代理を務めている。
「ありがとう・・・今日のレミリアお嬢様とメイド長代理は?」
「レミリアお嬢様は12日ぶりのお食事を、メイド長代・・・咲夜ちゃんは、メイドちょ・・・マリア様の部屋です。」
レミリアお嬢様が久々に食事をとったっていうのは、嬉しい報告だ。
「分ったわ、朝食を食べてから合流します。先に業務を開始して。」
「・・・」
「・・・悪い知らせ?」
行くように促したが、副メイド長補佐が悔しそうな顔で顔を伏せる。
「美鈴様がまた倒れて、パチュリー様の喘息がまた悪化。美鈴様はベットに拘束して無理やりに休息を取らせて、パチュリー様は現在地ヴワルの司書全員で治療中です。」
また状況が悪化した。
美鈴が倒れるのは今週に入って早4回目。パチュリーに至っては今月で3回目の喘息の悪化だ。
「はぁ・・・こっちの身にもなって欲しいわね。」
「っ・・・」
思わず零してしまった愚痴に副メイド長補佐がビクつく
「ごめんなさい、ちょっといらっしゃい。」
「はいっ・・・」
私がそう言うといなや、副メイド長補佐はダッシュで私に飛びついた。頭を撫でてあげると、小さく泣く声が聞こえてきた。
「わたしは、わたしはなにもできません!!こんなことになるならば・・・こんなことになるならば!!」
副メイド長補佐も、それなりにマリアに懐いていた。
だからこそ、直接的な力にはなれなくても間接的にマリアの助けになる”副メイド長補佐”を買ってでたのだ。
だからこそだろう、今この状況が、今の私たちでは現状維持すら難しい状態が、とてもとても悔しいのだ。
「とりあえず、貴女も今日は休みなさい。3週間前から働き詰めでしょう?」
「そ、そんなの5週間も働き詰めの副メイド長と比べれば!」
「だめ、私も貴女の事を言えないけど。しっかりと休みなさい。今まともに動けるのは、私たちメイド隊と狼女たちしかいないの。それを統括する私たちまでが倒れたら大変なのよ?」
軽く、優しく叱りつけると・・・副メイド長補佐は観念したかのように弱々しい声で、はい。と言って・・・そのまま眠ってしまった。
「いい子。」
そっと、副メイド長補佐を私のベットに入れて、ブランケットをかけてあげる。
「さてと、今日も一日頑張るっすよ!」
働かない頭を無理やり切りかえていつもの口調を使う。
今紅魔館がめちゃくちゃな今、アタシが頑張らないとすぐに砕け散ってしまうっす。
だからこそ、
「マリア、見ててくれっす。かならず、私はあの頃の紅魔館を取り戻してみせるっす。」
それが何年かかろうが、何百年かかろうが。
私にはもう生命の枷など無い、だからこそ、ゆっくり、気長に、だけどちょっと慌てつつ。ゆっくりとでもこの状況を何とかしよう。
紅魔館最後の希望”副メイド長 アンナ・ゲールマン”
彼女は決して折れない、そして最後まで希望を信じた女性であった。
・・・なんか死にそうなフラグ立ってるけど。
副メイド長は死なんぞ。マジで。
(副メイド長の不老不死としては、自身を生命の石を使って地球の生命サイクルから完全に離脱し人間を辞めたその時の姿をアンナと完全に同化している生命の石がその姿かたち記憶を常に保存、それこそ心臓が止まろうが存在を消されようが死亡もしくは消滅直前に保存したアンナを再現しているため、心臓が穿たれようが脳が潰されようが魂が消されようが何をしてもアンナが復活する仕組みである。ちなみに本人は死んだとは知覚しているため経験を糧にできるというチートである。)