クソデカ感情抱え込んだ紅魔館組の異変騒動!   作:ライドウ

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私がいつも抱えている黒い無地の魔導書。

あの人たちからもらった大切な物。

これには日々の日常も大切な思い出も、難しい魔法も昨日の晩御飯も記される。
だからこそこれは、私の大切な物。

だからこれは・・・・・・




これは・・・


紅い霧の異変 その6

魔理沙に門番・・・美鈴を任せて紅魔館に突入した霊夢。

しかし寄りにもよって霊夢の勘は此処で鈍り、あろうことか上ではなく地下を目指し始めた。

紅魔館のエントランスが広いというのと、なぜか地下へと続くドアが開けっぱなしということもあり、霊夢はそこに飛び込んで行ったのだ。

 

「ごほごほっ・・・何よ埃っぽくて辛気臭いわねぇ。」

 

何を隠そう霊夢は、こういう陰湿な所が大の嫌いなのだ。

どちらかというと明るくて清潔な所が好きで、隙あらばそういうところで昼寝をしたいと常々口にしているぐらいだ。

 

「こういうところはそう、さっさと突破するのが吉ね!」

 

そういう霊夢は、そのレンガ造りの廊下をトップスピードで駆け抜け。

正面にあった大きな扉を蹴破った。

 

「おらぁッ!!異変の首謀者出て来い!!」

 

「うっひゃぁ!?」

 

扉を蹴破った霊夢に偶然扉の近くにいたのか赤髪の少女が驚きのあまり本を落としている。

 

「ちょ、ちょっと!扉は開ける物であって蹴るものじゃないですよ!そ、それに貴女・・・図書館ではお静かにって張り紙が見えないんですか?!」

 

静かに怒鳴りつけるという器用なことをするその少女・・・小悪魔。

その隣にいたホブゴブリンたちは彼女が落とした本をそそくさと拾いながらどこかに逃げてゆく。

しかし悲しきかな、ドアを蹴破った紅白の巫女は・・・

 

「アンタも異変を起こした一味ね!さっさと首謀者の所に案内なさい!ぶちのめされたくなくなければ。」

 

「うわっ、異変解決者野蛮すぎ・・・」

 

思わず、両手で鼻と口を覆いショックを受ける小悪魔。

この後、あの時のことを振り返った小悪魔によると・・・

 

 

「あの時の博麗の巫女は、理不尽な暴風雨でした。しかもただの暴風雨ではなく、胸ぐらをつかんでくるんですけどね・・・」

 


 

活躍のシーンなく霊夢に弾幕ごっこでぼっこぼこにされた小悪魔。

一応、このヴワル魔法図書館の司書長を務めただけあって中々に強いのだが・・・やはり歩く厄災もとい、異変解決中の博麗の巫女にはかなわなかったよ。

目をグルグルにして一つの本棚に突っ込んで気絶している小悪魔を同僚のホブゴブリンたちが頬を叩いて意識確認をしているぐらいぼっこぼこにされている。

 

(さすがにやりすぎたかしら)

 

流石の霊夢も、ホブゴブリンたちから向けられる軽蔑の目とひと暴れした後の賢者タイムで申し訳なくなってくる。

しかしそこはあくまで異変解決のための致し方ない犠牲だ。あとでちゃんと謝っておこう。

 

「さーて、もうここに用は・・・あー、あるみたいね。」

 

小悪魔をボコボコにしたので元の道に戻ろうとしたとき、怒気に近いオーラを霊夢が感じ取った。

スーッと奥からやってくる紫色のパジャマ姿の女性・・・

紅魔館地下”ヴワル魔法図書館館長”のパチュリーが珍しくこめかみに血管を浮かせながら出歩いている。

 

「貴女ねぇ、図書館内で騒いだ挙句に・・・本棚の破損。さすがにやりすぎじゃないかしら?幻想郷というのは野蛮人しかいないのかしら?」

 

訂正、かなりブチギレてた。

ちなみにその間に小悪魔に視線を向けることなく話題にも出されないためパチュリーは小悪魔がボコボコにされたことに関してはいいらしい。

 

「わ、悪かったわよ。ともかく、貴女が外の紅い霧の維持者ね・・・あの霧どうにかしなさいよ。」

 

「太陽の光を遮るように態々紅く着色した霧の事かしら、それならお断りよ。アレはレ・・・お嬢様からお願いされたものだし。それに維持はしてても停止権限はお嬢様が持ってるわ。」

 

「・・・なるほど、じゃあ私は退散を」

 

そっと用はないと図書館を後にしようとする霊夢。

しかし・・・

 

「逃がすわけないじゃない。少なくとも、私の邪魔をしたこと。後悔させてあげる。」

 

「ですよね・・・」

 

やれやれといった感じで、その場所から走ってはなれる。

直後、さっきまでたっていた場所に魔力で構成されたハルバートが大量に押し寄せた。

 

「こ、殺す気!?」

 

「大丈夫、ミネウチで済ませるから。」

 

「あれに峰とかないわよ!?」

 

槍のようなお祓い棒を構えて、飛んでくるハルバートを弾く霊夢。

久しぶりに魔理沙以上の弾幕ごっこ・・・しかも相手はかなり強いと見える。

霊夢はこれ以上にないほどにワクワクしだした。

 

階段を駆け上がり、渡り廊下の手すりから飛び降り浮遊する霊夢。

それをパチュリーが妨害するかのようにハルバートだけではなく魔法陣を展開し、魔力弾とレーザーを発射する。

普通なら、避けられそうにないほどの弾幕なのだが霊夢はわずかな隙間を見つけては回避を続け、あろうことか反撃に転じる。

 

「何なのよその変態軌道・・・」

 

「アンタまでそれ言うの!?」

 

あまりの軌道にパチュリーがそう評価すると霊夢が青ざめる。

霊夢は自身の軌道が変態ということに関しては自分で知る由もないのだ。霊夢は、”避けられるからそう避けている”だけなので・・・

原作と違い、そんな変態軌道を習得したのもひとえに第12代博麗の巫女との特訓のせいではある。

 

「けれど読めた・・・火符『アグニシャイン 上級』」

 

パチュリーがスペルカードを発動させると、霊夢は直感で距離をとる。

その判断は正しく、高頻度で避ける隙が小さい輪状の火炎球がパチュリーを中心に放たれ始める。

しかし、距離をとった霊夢の元にたどり着くと変態軌道ではないにしても隙間を縫って避けられるほどの弾幕の隙ができている。

 

(今の一瞬で分析された?いや、ただの直感みたいね)

 

避けられたことに関してパチュリーは冷静に分析し、慌てないようにする。

そして冷静に弾幕を展開し、近づけさせないようにそして避けることに集中するように攻撃をし続けるのだが・・・

 

(なぜ、なぜ当たらないの?!)

 

避ける。避けて避ける。

当たらない、当たる軌道のハルバートを弾かれる。当てるつもりで放った魔力弾が回避される。

数で攻めようが質で攻めようが、博麗 霊夢は避け続ける。

 

「ならっ!金符『シルバードラゴン』!!」

 

それならばと、自身のしるもっとも強い人から避けずらいとお墨付きをもらっているスペルカードを発動させる。

銀色の弾幕をアスタリスク上に展開し、霊夢に向かって発射する。

次々に放たれるそれは、その直前に放たれた弾幕と重なり段々と逃げ場をなくしてゆく。

 

「っ・・・さすがにっ」

 

霊夢が苦しい声をだし、ガリガリガリガリとグレイズの音が響く。

しかしグレイズをさせても撃墜までにはいかない・・・霊夢も霊夢で焦るのだが・・・

パチュリーもパチュリーで焦り始めていた。

 

(どうして・・・どうして、落とせないの!?」

 

パチュリーの焦りがピークになってしまう。

感情が前に出て弾幕が止まる。霊夢も止まりパチュリーを見る。

 

「なぜ、なぜ邪魔をするの!?お嬢様の・・・レミィの願いをなぜ!!」

 

パチュリーの叫び声がヴワルの魔法図書館で響く。

パチュリーたち・・・いや、紅魔館の住民にとってはレミリアの提案した今回の件は一つの願いでもあった。

この異変を起こし成功させれば、きっとマリアは反応してくれる。

 

「・・・私は、アンタたちの事情なんて知らない。」

 

霊夢がため息をつきながら、槍のようなお祓い棒を肩に担ぐ。

そう、霊夢にとっては紅い霧を止めに来ただけ・・・ただそれだけだ。

それゆえに霊夢・・・魔理沙も紅魔館の事情など知ったことではない。ただ迷惑だから、ただ面白そうだから。という理由でここにきている。

 

「この異変の意味なんて私たちは知らない。それに、どんな理由があれ異変を止めるのが博麗の巫女の役目」

 

「これを異変というならば、なぜあの時!マリアさんを見捨てたんだ!!」

 

パチュリーが大粒の涙をこぼしながら一つの魔導書・・・”黒無地の魔導書(ベシュヴェールング)”を展開する。

いつかの時、パチュリーがレミィにプレゼントされた魔導書。そして、マリアが手伝いながらなんとか解読した代物。

所有権はパチュリーにあるが・・・パチュリーにとってはレミリアとマリアから渡された大切な宝物なのだ。

 

「魔符『黒本に刻まれた思い出(ベシュヴェールング・メモリー)』!」

 

そのスペルカードを宣言した途端、ヴワル魔法図書館が強く共鳴する。

元よりここは、マリアが能力を応用して作り出した空間。それ故に、それは生まれた。

メイド服を着た一つの淡い幻影・・・薄い色だが銀に近い水色。逆に言えば水色に近い銀色。

しかし・・・その両手に持つのは、いや・・・召喚する物は大量のライフル銃。

 

「居なくなって・・・ここから!私たちの希望を・・・うばわないでよ!!」

 

パチュリーが手を向ければ、ライフル銃はすべて霊夢に指向する。

水色の幻影も両手にライフルを構えて、霊夢に敵対する。

そして放たれる大量の鉄の雨。

 

「・・・・・・これがアンタのラストスペルってわけね。なら私も」

 

一枚のスペルカードを裾から取り出す。

今まで発動させた針符『千本封魔針』の中心に向かって針が飛ぶ絵ではない。

5色の極彩色の弾幕が連なる絵。正真正銘の博麗 霊夢の切り札。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「霊符『夢想封印』!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

虹が、解き放たれた。

 

 

 

 

 

 

 

 




負けた。
虹色に包まれて・・・

ああでも、なんて清々しいんだろう。

全力の・・・”黒無地の魔導書(ベシュヴェールング)”まで取り出して負けた。


そしてあのスペルを、魔符『黒本に刻まれた優しい記憶(ベシュヴェールング・メモリー)』取り出しても・・・負けた。

でも、マリアさんはたしか・・・

「負けることで分かることもあるって・・・」


・・・今ならその言葉の意味が分かる。

「私も・・・だいぶ参ってたみたいね。」

随分長く運動してないからか・・・もう飛ぶ力も持っていない。
このまま墜落して・・・終わりなのかな。

「マスターっ!!まにあってぇぇぇぇええええっ!!」

ふわりと、落下の感覚がなくなる。
そして、

「こ、小悪魔?」

ホブゴブリンの応急処置を受けた後なのだろうか、体中に包帯と絆創膏を張り付けている。

「はぁ・・・はぁ。ま、間に合いました~・・・」

「小悪魔・・・貴女・・・」

全速力で飛んできたのか、背中の羽が若干震えている。

「はふぅ・・・・・・スッキリしましたか?」

「・・・ええ、清々しいほどね。」

思えば小悪魔には苦労を掛けたと思う。

「・・・・・・これからどうしましょう。」

「今は、回復に努めましょう。あと、リハビリですね。」

「・・・ちょっとずつ、進めていきましょうか。」

ifがあるとしたら

  • マリア生存ルート(最終的に暴走)
  • マリア生存ルート(幻想郷に行かない)
  • マリア×レミリア
  • マリア×フランドール
  • マリア×美鈴
  • マリア×咲夜
  • マリア×パチュリー
  • マリア×アンナ
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