クソデカ感情抱え込んだ紅魔館組の異変騒動!   作:ライドウ

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私が、マリアに優しく頭をなでられたのはもう結構前のことだ。
マリアが私の”専属メイド”になってからは、声しかかけてくれない。
お世話はしてくれるんだけど・・・それも寝ている間だけだ。

けれど、声をかけてくれているだけでも私はウレシイ。
だって、ちゃんとそこにいるってことだから・・・


でも、でもどうして?私にはアナタの声しかキコエナイノ?



紅い霧の異変 その7

 

「おーい、霊夢ぅ!」

 

エントランスホールに戻った霊夢を迎えるように魔理沙が玄関から飛び込んでくる。

霊夢も魔理沙も傷が一つなく、まだまだ余裕そうだ。

 

「魔理沙、遅かったじゃない。」

 

「あの門番が意外とタフだったんだよ。」

 

不機嫌そうにフンと魔理沙がやるが、どこかかわいらしい。

霊夢も霊夢で、その意図が分かったためにハイハイと適当にあしらっていた。

 

「しっかし、お屋敷の中も随分と真っ赤だなぁ。」

「掃除とか大変そうよね・・・私は神社で手いっぱいだけど・・・」

 

「ふっふっふっ、よく来たっすねぇ!侵入者のお二人さん!!」

 

その声がかかった途端に、霊夢と魔理沙が戦闘態勢に映る。

そして声のかかった方を見ると・・・

 

「ここであったが・・・えーっと、はいはい。ここであったが百年目!!紅魔館副メイド長このアンナが相手だ!」

 

「・・・・・・?」

「あぁーっ!!あ、アンタあの時の!!」

 

霊夢がカンペを読みながら喋るアンナに奇怪な表情を向けたのと対照的に魔理沙は指をさして驚く。

 

「おろ?あららら?もしかして、そこの金髪白黒魔法剣士!あの時の森にいたあの子!?」

 

アンナも魔理沙に気づいたのかうれしそうに手を振ってくる。

 

「そうなんだぜ!久しぶりだな、アンナさん!」

「アタシのことを覚えてくれているなんて嬉しいっす!今そっちに行くからゆっくり話でも」

 

そう言いながらアンナが下りようとした途端・・・

 

 

 

業火の熱線がアンナを真上に吹きとばした。

 

 

 


 

「みぎゃあああああああ!!」

 

アンナが情けない悲鳴をあげながらどこかに飛んで行く。

いきなりなその様子に霊夢も魔理沙も表情を強張らせて再び構える。

 

「アハ・・・」

 

どこからか、狂気的な笑い声が聞こえてくる。

その恐ろしい笑い声は段々と近づいて、霊夢と魔理沙はこれ以上ないほどの命の危険を感じ取っていた。

 

「ねえ魔理沙。逃げ口ってとこかしら?」

「・・・・・・そこの玄関だけど、逃げるのか?」

「正直とっても、今すぐにでも。」

「私もだぜ。」

 

 

 

そして、それは・・・・・・・アンナを吹き飛ばした穴から出てきた。

 

 

 

 

「ミ ィ ツ ケ タ ァ」

 

 

 

 

 

金色のサイドテールは、宝石がぶら下がっているような羽根が羽ばたくたびにふわりとかわいらしく動く。

しかし、どす黒いほど真っ赤に輝く目と・・・むき出しになった凶悪な犬歯が、その可愛さを打ち消してしまっている。

そして右手に持つ、炎の塊が轟々と燃え盛り・・・少し寒いぐらいだったエントランスが、熱く苦しいものに一瞬で変わった。

その少女、フランドールは・・・狂いながらも、霊夢と魔理沙を見下ろしている。

 

「あの人は・・・・・・あの時のっ」

 

かつて、魔理沙が幼いころ魔法の森に案内した二人・・・顔も思い出せなかったが、今はっきりと思い出した。

それがどういうことだろうか、あの時の・・・あの時の優しそうな表情はどこにある?

身体も何も変わっていないのに・・・どうして、ああなっているのだろう。

そのショックで、思わず魔理沙は力を抜いて・・・構えを解いてしまう。

 

「あれが、アンタの憧れた人って?どう見ても頭がいかれてるじゃない!」

 

対して霊夢は、構えを解かずに震えそうな足を押さえつけながらその少女・・・フランドールを睨みつけていた。

霊夢とて魔理沙の恩人と言う事ならば、できるだけ傷をつけずに無力化をしたいのだが・・・相手は完全にこちらに殺意を向けている。

あの母親の言っていた、殺気はこういうものなのかと思い返しながら恐怖に震える自分を押さえつけている。

 

「ネエマリア、アイツラヲコロシチャエバイイノ?・・・ワカッタワ、ジャアソコデミテテ!スグニヤツザキニシテミセルカラ!!」

 

「来るわよ!構えなさい魔理沙!!」

「あ・・・ああ!」

 

すぐさま、フランドールが炎の剣・・・本物の”魔剣 レーヴァテイン”を力任せに振り下ろしてくる。

それに相対したのか、かつてフランから”疑似剣 レーヴァテイン”を受け継いだ魔理沙。

二つの炎の剣が、甲高い金属音を響かせて打ち合わされる。

 

ガァン!

 

「っ!?なんて馬鹿力!?」

 

魔理沙は、魔力で自身の能力をブーストしているとはいえ・・・相手は吸血鬼のフランドール。地の力が違いすぎで、魔理沙がパワー負けしていた。

大きく隙を作ってしまう魔理沙だが、人里の依頼で中々の場数を踏んでいた魔理沙はその程度は予測済み。すぐさま弾幕を足元に撃って何とか距離をとる。

魔理沙の弾幕が床にぶつかって、煙が出ている中霊夢は正確にフランドールに向けて大量の札と針を霊力で練り上げた陰陽玉から発射する。

・・・しかし、

 

「アハハハ、キカナイヨォダ!!」

 

「なぁっ!?」

 

振り回されたレーヴァテインの炎が、その弾幕をすべて燃やし尽くしてしまう。

流石の霊夢も防御されてることは予想していたのだが・・・まさか”霊力で再現し、強化したものを”燃やされるなんて思わず硬直する。

そしてその硬直を見逃さず、フランドールが霊夢に向けてレーヴァテインの力を使いながら弾幕を展開する。

 

「あつッ!?グ、グレイズしても熱いんですけど!?これ弾幕ごっこ用の弾幕じゃない・・・あっちょっ、巫女服が燃えちゃうじゃない!!」

 

本物の弾幕に、相手が割と本気で弾幕ごっことか通用しないぐらいの相手だと理解する霊夢。

冷静さを取り戻そうと、距離を置こうとステップを踏もうとする霊夢・・・

 

しかし

 

「霊夢っ!!」

 

 

 

「・・・・・・えっ?」

 

 

 

「キャハハッ、シンジャェッ!!」

 

 

 

見ていない間に、フランが霊夢の真正面をとらえ・・・そして、レーヴァテインを振り上げている・・・

いきなりのことに足がもつれて、しりもちをつきそうになっている・・・これでは、避けられない。

 

(うそ、私・・・しん、じゃう・・・の?)

 

物理攻撃と言えども弾幕ごっこ用に力を手加減すればピチュる程度で済むのだが・・・

本気で攻撃されては、ピチュることもない・・・つまりは死ぬ。

しかも相手は、本気で殺しに来ている・・・

 

(い、いやっ。し、死にたくない・・・死にたくないっ、だれか・・・たすけてっ!!」

 

死の直前となり、感情的になる霊夢。

助からないとわかっていても、そう叫んでしまう。

 

 

 

 

 

 

 

そして、

 

 

 

 

 

レーヴァテインが

 

 

 

 

霊夢に向かって

 

 

 

 

 

振り下ろされた。

 

 


 

 

 

 

 

 

 

 

 

ガキィィィィィィンッ!!

 

 

 

 

 

「・・・ふぇ?」

 

甲高い音が、霊夢の耳に響いた。

しりもちをつき、腕で防いでいたのだが・・・いつまでも斬られない。

恐る恐る、腕をどけて・・・目を開けてみる。

 

「・・・ぁ。」

 

霊夢の前で、フランドールのレーヴァテインを止めていたのは・・・

 

白黒の魔法剣士、彼女の幼馴染の・・・霧雨 魔理沙だった。

 

「大丈夫か、霊夢っ!?」

 

魔理沙が、フランドールとつばぜり合いをしながらこちらをチラ見してくる。

いつもの優しそうな眼ではなく、鋭く・・・細い目だ。

 

「う・・・うん。」

 

「そうか、ならそこでみてるんだぜ!!」

 

魔理沙が、全力で疑似剣 レーヴァテインを振って、フランドールを無理やり引き離す。

 

「アンタは、確かにアタシの恩人。アタシに、この疑似剣をくれて人里で異端扱いだった私に道を作ってくれた人だ。」

 

「・・・ナンノハナシ?ワタシ、アナタノコトナンテシリモシナイワ。」

 

「そうかよ、なら・・・お前は此処で、絶対に倒す。」

 

魔理沙は、ブチギレていた。

正直、相手が恩人で頭が狂ってしまっているということもそうだが、何よりも幼馴染の霊夢を傷つけようとしたことに大激怒していた。

そして、魔理沙は意識を切り替える。これは弾幕ごっこという遊びじゃない、本物の命のやり取りだ。

 

 

「”レーヴァテイン・レプリカ”、出力リミッター解除。」

 

 

魔理沙がそう呟いた途端に、魔理沙の持つ西洋剣に赤い魔法陣が浮き上がる。

そして、その魔方陣が光った途端に、その西洋剣が赤く燃え盛る。

 

「正直、お前相手にここまでの切り札は使いたくはなかった。使うなら、奥に待ち構えるラスボスにってな。」

 

そう言いながら、魔女帽子の中からミニ八卦炉や水晶玉を取り出す。

それらを取り出した後に、もう一つ・・・・・・一本の細い瓶を取り出した。

その瓶を地面に投げ捨てると、巨大な魔法陣が広がり紅魔館のエントランス全体に広がった。

 

 

「覚悟しろ、ここにいるのは幻想郷最強の魔法剣士だ!!」

 

 

その言葉と同時に、巨大な魔法陣が光り輝いた次の瞬間、フランドールはレーヴァテインを振り回し・・・複数個のレーザーを弾いた。

そのレーザーが飛んできた方向を見ると・・・巨大な魔法陣の中心だった場所に、星形のナマモノが現れている。

星型のナマモノが、その先端を動かずたびにレーザーが照射され、フランはそれを弾き続ける。

 

しかし、フランドールはその星形のナマモノに意識を向けすぎていた。

ドゴォッ!!という爽快な打撃音と共に、フランドールは吹き飛ばされる。

星型のナマモノもそれに合わせるように吹き飛ばされたフランドールに向けてレーザーを撃ちおろす。

煙の中でフランドールは、何とか体勢を立て直しその次の瞬間には、レーヴァテインを構えて魔理沙に向けて突撃する。

 

そして、互いの距離がほぼ無くなった途端二人はレーヴァテインを打ち合った。

一回、二回三回。激しく獣のように攻め立てるフランドールとは対照的に魔理沙は隙を見つけては蹴りや格闘術を織り交ぜてフランドールのペースを乱す。

七回目の打ち合いで、魔理沙とフランドールは鍔ぜり合う。

最初の鍔迫り合いとは違い、魔理沙が魔力ブーストが上回ったのかフランドールがおされている。

 

そして、霊夢が瞬きをした次の瞬間・・・

 

ガキィンッ!!

 

魔理沙が、疑似剣 レーヴァテインを振り上げ、フランドールのレーヴァテインをフランドールの手から離させていた。

そして、ここぞとばかりに頭上に疑似剣 レーヴァテインを構えた。

 

「ア、アァ・・・ワタシガ、マケル?」

 

「ああ、お前の負けだ。魔剣『レーヴァテイン・レプリカ』!」

 

轟ッ!!

 

魔理沙が、最後の最後でスペルカードで・・・とどめを刺した。

 


 

倒れ伏すフランドール。

その意識は、かすかに・・・まだ保っていたのであった。

 

 

「マケ、タ。ゴメン、ナサイ・・・マリ・・・ア。」

 

 

声が聞こえない、今まで聞こえていたマリアの声が聞こえてこない。

あぁ、また…また守れなかった。フランドールは、またしても無力な自分を責め立てる。

 

ふとフランの近くに”いまだ燃え盛るレーヴァテイン”が落ちている。

 

(レーヴァ・・・テイン。マダ、タタカイタイノ?)

 

しかし、それを否定するかのように・・・レーヴァテインは温かで優しい火しかその刀身に宿さない。

フランドールはますます混乱する、レーヴァテインは魔剣。意志があるはずではない。しかし、レーヴァテインはその炎によって何かを表現する。

そして、倒れて意識が遠のきかけているフランドールに・・・

 

 

”レーヴァテインは優しい炎で、かつての思い出を見せる”

 

 

 

「ソう…ダ。ワタ、し・・・は。」

 

 

最後の力を振り絞り、無理やり立ち上がるフランドール。

レーヴァテインはそれに呼応し、ふわりと浮かび上がりフランドールのそばに浮かぶ。

それを掴みフランドールは立ち上がる。

 

レーヴァテインの優しい炎はフランドールを包むと、フランドールの傷は見る見るうちに消えてゆく。

 

 

「温かい・・・ありがとう。レーヴァテイン、私・・・思い出したよ。」

 

 

ふと、壁に視線を向ければ・・・安堵の表情で消えてゆくマリアの幻影。

 

 

「マリアは・・・・・・マリアは、確かにあの日に死んだ。けれど、その思い出は私の中に残っている。」

 

 

レーヴァテインを右手でしっかりと持ち、左手はフリーハンドにする。

 

「・・・・・・お待たせ、そして久しぶり。」

 

(私は、再び・・・前を向く。)

 

顔をあげたフランの表情は・・・狂気的なものではなく・・・理性的で、また優しい表情だった。

それを見た魔理沙は、口角を吊り上げながら疑似剣 レーヴァテインを構える。

 

「来なさい、私の全力で相手をしてあげる。」

 

魔理沙が腕を振り上げると、星形のナマモノがレーザーをフランに撃ちおろす。

しかしフランはそれを、進むことで回避しレーヴァテインを下段に構えて魔理沙に近づく。

再び、互いの距離が無くなった途端にフランドールはレーヴァテインを振り上げ、魔理沙は疑似剣 レーヴァテインを振り下げた。

甲高い金属音が響き、そのぶつかり合った衝撃波で風圧が発生する。

 

魔力で全力ブーストしている魔理沙と、吸血鬼のポテンシャルを発揮し始めたフランとのパワーは互角であった。

なら次に求められるのは、速さであった。

 

先ほどの剣の打ち合いとな段違いの速さで争いが繰り広げられる。

霊夢から見ればもはやそれは達人芸の域を越えており、繰り広げられる戦いがとても美しい舞の様にも見えている。

そしてそれに水を差す様にレーザーを照射する星形のナマモノ・・・しかしそれもフランドールは読めていたのか打ち合いをやめてバク転で回避する。

 

「そう・・・れっ!!」

 

そして、フリーハンドの左手で一発の魔力弾を作ったと思いきやその星形のナマモノに向けて放つ。

星型のナマモノは回避するが・・・

 

「キュッとして・・・ドカーン!!」

 

その掛け声と同時に左手を握ると、魔力弾が破裂し大量の小さい魔力弾が星形のナマモノに襲い掛かった。

星型のナマモノはそれを回避できずにピチューンという音を立てて消えてゆく。

 

「マジかよ・・・」

 

「さて・・・これが正真正銘、最後の攻撃よ!!」

 

フランドールがレーヴァテインに魔力を送ると、レーヴァテインが轟ッと炎を強める。

魔理沙もニィッと口角をあげて、疑似剣 レーヴァテインに魔力を送り炎を強める。

 

フランドールは横に構え、魔理沙はレーヴァテインを頭上に抱えた。

 

「禁忌『レーヴァテイン』!!」

「魔剣『レーヴァテイン・レプリカ』!!」

 


 

二つのレーヴァテインのぶつかり合い・・・

大きな爆音と膨大な熱量はエントランスを黒焦げにするには十分であり・・・

 

「すごいね・・・ニセモノのレーヴァテインで、本物のレーヴァテインに勝つだなんて」

 

フランの持つレーヴァテインの火が、ゆっくりと鎮火していく。

 

「貴女に勝つために、ずっと努力したんだぜ。」

 

逆に魔理沙のレーヴァテインは、いまだに燃え盛っている。

 

 

「・・・そっか。じゃあ、この先にいるお姉さまは私より強いから、がんばれ・・・」

 

 

フランはそれだけを伝えると、満足げに倒れるのであった。

 

 





マリアは、確かに死んだ。
それに、アイツらが言っていたことは本当だったのかもしれない・・・
けれど、その時はその時だ・・・私たちは、その時になっていたら全力でマリアを止めようとするだろう。

でもそれは、うん・・・”もしかしたら”の話だ。


だからね、マリア。


私は、前を向くよ。

例えどんなことがあっても、前を向いて思いっきり笑顔でいてやる。
それに・・・長年生きてたらもしかしたらマリアとまた会えるかもしれないし。


いままで、ありがとう。マリア、これからも、見守っていてね・・・

ifがあるとしたら

  • マリア生存ルート(最終的に暴走)
  • マリア生存ルート(幻想郷に行かない)
  • マリア×レミリア
  • マリア×フランドール
  • マリア×美鈴
  • マリア×咲夜
  • マリア×パチュリー
  • マリア×アンナ
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